貧しい人々を救う盗賊の首領を芹香斗亜が熱演、宝塚『群盗-Die Räuber-』開幕

宝塚歌劇宙組シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『群盗-Die Räuber-』-フリードリッヒ・フォン・シラー作「群盗」より-=撮影・橋本正人

宝塚歌劇宙組シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『群盗-Die Räuber-』-フリードリッヒ・フォン・シラー作「群盗」より-が、2019年2月9日(土)に梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで開幕し、2月26日(火)からは日本青年館ホールで上演されます。原作は、1781年に出版されたシラーの戯曲処女作「群盗」。18世紀ドイツの文学運動シュトゥルム・ウント・ドラング(疾風怒濤)の代表作のひとつです。主人公は貴族の生まれで、のちに貴族から金品を奪って貧しい人々を救う盗賊の群れ-群盗-の首領となるカール。主演をつとめる芹香斗亜(せりか・とあ)さんが、正義感あふれる若者を演じます。

宝塚歌劇宙組シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『群盗-Die Räuber-』-フリードリッヒ・フォン・シラー作「群盗」より-=撮影・橋本正人

宝塚歌劇宙組シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『群盗-Die Räuber-』-フリードリッヒ・フォン・シラー作「群盗」より-=撮影・橋本正人

主人公のカール役を演じる芹香さんは、スラリとした長身を活かし、どんな衣装もかっこよく着こなしていたのが印象的。「いいことも、悪いことも全てやってみたい」というヤンチャなカールですが、貴族の出ということもあり、佇まいにどこか気品がにじみ出ている青年を熱演。堂々と歌い上げるソロナンバーはもちろんのこと、従姉妹のアマーリアや異母弟のフランツと綺麗なハーモニーを奏でるデュエット曲も聴き応えたっぷり。アマーリアのほっぺをツンとしたり、アマーリアを後ろから強く抱きしめたりするところは、特に胸キュンが止まらない必見シーンですので、ぜひチェックしてみてください。

カールに想いを寄せる従姉妹のアマーリア役を演じるのは、天彩峰里(あまいろ・みねり)さん。可憐な風貌のアマーリアですが、性格は意外と気が強いところも。天彩さんはカールに恋心を抱きながらも、どこかつれない態度をとってしまう、いじらしくて、かわいいアマーリアを好演。思わずため息がこぼれてしまいそうなほど、純白のウエディングドレス姿がよく似合っています。天彩さんの慈しみに満ちたやさしい歌声も聴きどころのひとつです。

カールの異母弟であるフランツ役を演じるのは、瑠風輝(るかぜ・ひかる)さんです。燕尾服姿と長髪がよく似合っていて、カールとはまた違った魅力がある瑠風さんのフランツ。カールを陥れようとするところや、無理やりアマーリアを妻にしようとするところは、いかにも悪役という感じがありますが、物語の序盤でフランツの過去が描かれている分、彼を完全悪として見られない部分も。嫉妬心や怒りなど、さまざまな感情を丁寧に演じわけている瑠風さんの表情にも注目です。

カールの学友で、のちに群盗のメンバーとなるのが、穂稀せり(ほまれ・せり)さん、愛海ひかる(まなみ・ひかる)さん、雪輝れんや(せつき・れんや)さん、なつ颯都(なつ・はやと)さんの4人。風貌もキャラクターも四者四様で、物語に深みをもたせる役どころです。カールを含めた5人は、いいことも悪いことも共に行い、青春を謳歌しながら友情を深めていきます。歌やダンスも息ぴったりで、5人が醸し出す雰囲気は、まさに強い絆で結ばれた仲間そのもの。その友情が深まっていく過程を目の当たりにしているからこそ、迎える結末がよりグッと胸に響くものになっていました。

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<有料会員限定部分の小見出しと写真>

■ベートーヴェンのピアノソナタ『月光』の旋律から静かに始まる冒頭

■父から見放され、勘当されたと思っていたカール。その裏には…

宝塚歌劇宙組シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『群盗-Die Räuber-』-フリードリッヒ・フォン・シラー作「群盗」より-=撮影・橋本正人

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■義賊としてもてはやされた群盗たちは、やがて民衆からも敵視され…

宝塚歌劇宙組シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『群盗-Die Räuber-』-フリードリッヒ・フォン・シラー作「群盗」より-=撮影・橋本正人

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■フィナーレは、キレキレの踊りと、うっとりするデュエットダンスで魅了

宝塚歌劇宙組シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『群盗-Die Räuber-』-フリードリッヒ・フォン・シラー作「群盗」より-=撮影・橋本正人

宝塚歌劇宙組シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『群盗-Die Räuber-』-フリードリッヒ・フォン・シラー作「群盗」より-=撮影・橋本正人

<ミュージカル『群盗-Die Rauber-』-フリードリッヒ・フォン・シラー作「群盗」より->
【大阪公演】2019年2月9日(土)~2月17日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
【東京公演】2019年2月26日(火)~3月4日(月) 日本青年館ホール

<関連ページ>
宝塚歌劇団 『群盗-Die Rauber-』のページ
https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2019/gunto/
梅田芸術劇場 『群盗-Die Rauber-』のページ
http://www.umegei.com/schedule/773/

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■ベートーヴェンのピアノソナタ『月光』の旋律から静かに始まる冒頭

ベートーヴェンのピアノソナタ『月光』の旋律から静かに始まる冒頭。赤い葉やバラの花が散りばめられた舞台上に、次々と現れる役者たちを見れば、「今から舞台が始まる」という高揚感がどんどん高まっていきます。疾走感のあるロック調のオープニング曲は、エッジの利いたエレキギターが印象深いナンバー。そして、音楽に合わせ、全員がビシッと勢ぞろいして踊る姿には「かっこいい!」の一言しかありません。序盤から物語の世界へ惹きつけられ、次の展開が楽しみになる作品です。

物語の舞台は18世紀のドイツ。父のモール伯爵と病弱な母、そして従姉妹のアマーリアと共に穏やかな少年時代を過ごしていたカールのもとに、異母弟のフランツがやってきます。愛人の息子であるフランツに周囲の人間は蔑みの目を向けますが、カールとフランツは兄弟として競い合い成長していきました。その後、広い世界で全てを見たいと語るカールは生家を離れ、ライプツィヒの大学へ入学。カールにいつしか淡い想いを抱くようになっていたアマーリアは、母の形見の指輪を渡し、旅立つ彼を見送ります。

■父から見放され、勘当されたと思っていたカール。その裏には…

新しい世界へと踏み入れたカールの日常は、大学で出会った仲間たちと共に街や酒場へ繰り出し、お互いの意見を戦わせる日々。しかし、啓蒙主義者の国政参加を主張した論文が受理されなかった上に、カールの学生生活を知った父親から勘当するという旨の手紙が届きます。戻る場所をなくし絶望するカールですが、仲間たちの言葉に触発され、貴族の子息であることを捨て、善意の盗賊の群れ-群盗-になることを宣言。こうして、富めるものから奪い、貧しい民に分け与える「群盗」がうまれたのです。

凛城きら(りんじょう・きら)さんが演じる厳格な父、モール伯爵から見放されたと思っていたカールですが、実はその裏にはフランツと、モール伯爵の弟へルマンの存在がありました。彼らは爵位を狙い、カールを策にはめ、嘘の報告で父と息子を勘当させたのです。

宝塚歌劇宙組シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『群盗-Die Räuber-』-フリードリッヒ・フォン・シラー作「群盗」より-=撮影・橋本正人

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■義賊としてもてはやされた群盗たちは、やがて民衆からも敵視され…

義賊として民衆にもてはやされる群盗たちでしたが、その首領であるカールが「放埓な貴族」だと公表されたことにより、今度は民衆からも敵視されることに。軍隊と民衆の両方に追わることとなった群盗たちは、森の奥深くへと逃げていきます。群盗の一員になった少年、グリム役を演じた湖々さくら(ここ・さくら)さんの迫真の演技に、心が揺さぶられました。

宝塚歌劇宙組シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『群盗-Die Räuber-』-フリードリッヒ・フォン・シラー作「群盗」より-=撮影・橋本正人

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■フィナーレは、キレキレの踊りと、うっとりするデュエットダンスで魅了

フィナーレでは男役と女役がシックな黒の衣装に身をつつみ、キレキレのダンスで観客を魅了。一方、芹香さんと天彩さんは赤の煌びやかな衣装で、舞台に華を添えます。うっとりするような2人のデュエットダンスにも、胸キュンポイントがありますので、ぜひそちらもお見逃しなく。また、全編を通して流れるクラシックとロックが融合した数々の楽曲も今作の魅力のひとつ。澄みわたるピアノの旋律やヴァイオリンの音色、そこに重なるかっこいいエレキギターの響きには、シビれること間違いなし! そんな素敵な音楽も、ぜひ劇場で堪能してください。

宝塚歌劇宙組シアター・ドラマシティ公演、ミュージカル『群盗-Die Räuber-』-フリードリッヒ・フォン・シラー作「群盗」より-=撮影・橋本正人

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