「演じてみたいのは『ミス・サイゴン』のキム役の、あの生きざま」、木下晴香(下)

木下晴香さん=撮影・岩村美佳

2019年4月20日(土)に開幕する舞台『銀河鉄道999』さよならメーテル~僕の永遠 に、メーテル役で出演する木下晴香さんのインタビュー、後半です。歌が好きだと気づいた時を覚えていないというくらいに歌が日常だったという子供の頃から、2017年に『ロミオ&ジュリエット』でデビューしてからのこと、今後目指したい役についてまで伺いました。

木下晴香さん=撮影・岩村美佳

木下晴香さん=撮影・岩村美佳

――木下さんの、歌の力がすごいと思って拝見しているのですが、歌がお好きなことが伝わってきます。

はい(笑)! 好きですね。

――子どもの頃から、気づいたら歌っていたという感じ?

小さい頃は、童謡などをラップの芯を持って歌っている映像が残っていたりするんですが(笑)、ミュージカルという観点でいくと、母が観劇好きなのか、ミュージカルCDが結構家にあったので、それを真似して歌っていました。

――物心ついたらもう歌が好きだったという感じですか。

そうですね。好きだって気づいたのはいつなんだろう? 歌うことが日常過ぎて。

――ある時、歌が好きになったわけじゃないということですよね。

そうなんですよね。気づいたらという感じです。歌を好きになったのがいつかと言われるとわからないんです(笑)。この仕事に飛び込むきっかけになったのが「全日本歌唱力選手権歌唱王」でした。それに挑戦するのも、最終的には実力を試してみようという思いでした。ミュージカルは元々大好きで、その頃もやっていましたが、周りから反応を頂けるとは自分自身が思っていませんでした。

――みんなに評価してもらえるとは思っていなかった。

そうですね。それぐらい、歌うことが私のなかで日常でした。

――中高生の頃は、どんな活動をされていたんですか?

キッズミュージカルという、小3から中3まで参加出来る劇団が地元にあって、私は中2までしたが、そこで歌とダンスの基礎を習いました。その時に歌を担当させて頂くことが結構多かったです。お芝居にはまだまだ今も苦戦しながら戦っています。

――高校生の時は、どんな活動をされていたんですか?

高校生の時は、普通科の学校に通って、普通の部活をしていたので、オーディションを見つけたら受けるぐらいの感じでしたね。勉強に追われつつ、ミュージカルのへ夢は変わらなかったので、オーディションを受けて受かったら出演するというようなことをしていました。

――佐賀県ご出身ですよね。東京なんてはるか遠い場所じゃないかと。

はい、遠かったです(笑)。

――そのなかで、歌唱王をきっかけに、『ロミオ&ジュリエット』オーディションの声がかかり、デビューしてと、目まぐるしい転換期だったと思いますが、振り返ってどんな2年でしたか?

とにかく次々に自分のなかで課題が出てくる日々なので、気持ち的にはあんまり休んでないというか……。

――走り続けている感じ?

そうですね。

<取材協力>
ヘアメイク=Yuu.(エイトセンシズ)

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、『ロミオ&ジュリエット』のジュリエット役について、『モーツァルト!』のコンスタンツェ役について、そして将来やってみたい役は?という質問に答えてくださった『ミス・サイゴン』のキム役について、それぞれ話された内容と、中川晃教さんが最初に見たミュージカルが『ミス・サイゴン』だったということについての反応など、インタビュー後半の全文と写真を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■次にチャンスがあった時に必ず掴めるように過ごしている日々

■(ジュリエットは)いかに自分事に捉えて深められるか、今も戦っています

■(将来にやってみたい役は?)『ミス・サイゴン』のキムがやりたい

■(メーテルは)私にしか出来ない女性の姿を作り上げようと思っています

<舞台『銀河鉄道999』さよならメーテル~僕の永遠>
【東京公演】2019年4月20日(土)~4月29日(月・祝) 明治座
【大阪公演】2019年5月10日(金)~5月12日(日) 梅田芸術劇場メインホール
公式サイト
https://999-40.jp

<関連リンク>
木下晴香 HARUKA KINOSHITA Tristone Entertainment
http://tristone.co.jp/actors/haruka/
木下晴香オフィシャルTwitter
https://twitter.com/haru_147

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木下晴香さん=撮影・岩村美佳

木下晴香さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■次にチャンスがあった時に必ず掴めるように過ごしている日々

ミュージカルに必要な要素であれば、もちろん舞台をやっていくなかで経験させて頂くことで成長することも出来ると思いますが、『ロミオ&ジュリエット』から『モーツァルト!』の間などは、お芝居のレッスンに行って打ちのめされたりしていました。今でも本番がある期間以外はまだまだ積み重ねの時期だなという感覚で、何か次にチャンスがあった時に必ず掴めるように過ごしている日々ですね。歌に関しても、昔はただ好きで歌っていましたが、お仕事でさせて頂くとなると、もっともっとお客さんに届けるにはとか、技術的に響かせるにはとか、毎日研究が面白く、最近は毎日違う意味で歌っています。

――方法論を色々試したり。

はい。そういう日々を過ごしています。

――『ロミオ&ジュリエット』で初めて拝見した時に、とても芯があって燃えるような方だなと感じて、すごく鮮烈な印象でした。『モーツァルト!』のコンスタンツェが決まった時に期待していたんですが、「ダンスはやめられない」が、最高でした。

嬉しいです。

――強いというか、芯があるというか、そういう役に対して、共感度が高いのでしょうか?

私は普段、人と一緒にいると聞き手に回るというか、全部受け身型なんです。色んな意見を全部聞いちゃうので、わからなくなってしまうのですが、それをひとつひとつ整理して、一個自分の意見が決まった時は、自分のなかでものすごく動き出すものがあるんです。すぐに行動にも移すようになる。モヤモヤ期も長いですが、決まった時は自分でも止められないぐらい進んでいくタイプだと思っています(笑)。

木下晴香さん=撮影・岩村美佳

木下晴香さん=撮影・岩村美佳

■(ジュリエットは)いかに自分事に捉えて深められるか、今も戦っています

特にジュリエットは、もちろん演じてはいましたが、自分自身が必死に進んでいた姿がきっと重なったんだろうなという感覚です。コンスタンツェはものすごく鋭く、繊細な女の子だなと思っていて、きっと家族やヴォルフガングとの些細なことなど、抱えた思いが爆発するのが「ダンスはやめられない」。演じる時に、稽古でも自分の実際の経験との感覚をすり合わせていくことが結構多いので、それが合っていたのか、うまく利用できたのか……。

――改めて取り組むジュリエットは、その時と違う取り組み方になりますよね。

違いますね。演じるということを、この2年間で理解したというか。『ロミオ&ジュリエット』の舞台上だったら、もし素の私が少しでも入っていたら戸惑ってしまうようなことも、ジュリエットだったら出来るんだ、どこまででも行けてしまうんだ、という感覚を知りました。いまだに台本と向き合う日々ですが、演出の小池(修一郎)先生も、勢いや一生懸命さよりも、良い意味で余裕が出来た分、役の深みのほうをすごく求めてくださる感じがして、いかに自分事に捉えて深められるかということをしています。今も戦っています(苦笑)。

木下晴香さん=撮影・岩村美佳

木下晴香さん=撮影・岩村美佳

■(将来にやってみたい役は?)『ミス・サイゴン』のキムがやりたい

――将来やってみたい役などはありますか。

役ですか? 決められませんが……、正直に言っておいていいですか……?

――ぜひ! 言霊ですから!

『ミス・サイゴン』のキムがやりたいです。

――ぜひやって頂きたいです(笑)。実は、ジュリエットを拝見した時、キムを観たいと思ったんです。

本当ですか!? 嬉しいです。

――ご自身で思っていらっしゃるのが、逆にすごく嬉しいです(笑)。

キムはやりたいなぁ……。

――キムをやってみたいと思う理由を伺ってもいいですか。

そうですね……ちょっと話が重なりますが、小さい頃はあまり前に出るのが得意なタイプじゃなく、恥ずかしがりやでしたし、悪い意味で真面目過ぎて、表現において、ありきたりなところで収まってしまう、綺麗にやってしまうんです。それは今も、自分のなかですごく戦って、もがいているところなのですが。キムは、人としても女性としても母としても、死に物狂い、命がけじゃないですか。ジュリエットも、命がけの恋ですし、もちろん必死ですが、『ミス・サイゴン』の作品の奥深さ、心に重く、ずんとくるような作品のなかで、あのキムの生きざまに挑戦してみたいと思ったのが一番なんです。ベトナム戦争は実際にあったことじゃないですか。私はもちろん戦争を経験していませんが、ロンドンの25周年の映像を見た時、言葉でも言い表せないぐらい、そこにかつてあった世界が本当に舞台上にあるように見えて、あの世界で生きてみたいと思いました。何と言えばいいのか難しいですが、苦しいかもしれないけれど、挑戦させて頂けたら、ひたすらのめり込んであの役を演じたいとすごく思いました。

――心のレベルで惹かれる役なんでしょうね。

そうですね。

――きっと呼び合うものがあると思うので、今日伺えて嬉しいです。勝手に期待しています(笑)。ちなみに、中川さんが最初に見たミュージカルが『ミス・サイゴン』ですよ。

そうなんですか!? うわぁ~!

――それでミュージカルを「作ってみたい」と思ったそうです。

作ってみたいと感じたんですか! その創作の意欲のある方ってすごいですよね。0から1が得意な人と、1からという人がいるじゃないですか。私は1からタイプなので、生み出す力がある方をすごく尊敬するんですよね。今回、中川さんとご一緒して、そういうところからも、たくさんインスピレーションを受けるんじゃないかなと思います。

――稽古なども、すごく刺激的な時間になるんでしょうね。

すごく楽しみです。

木下晴香さん=撮影・岩村美佳

木下晴香さん=撮影・岩村美佳

■(メーテルは)私にしか出来ない女性の姿を作り上げようと思っています

――最後にメッセージをお願い致します。

『銀河鉄道999』と聞くと、ぴったりの世代じゃない方も多いかもしれませんが、舞台版ならではのキャストで、色んな大きな舞台に出演されている方がたくさんいらっしゃいますし、オリジナルという部分をすごく楽しみに、劇場に足を運んで頂けたらなと思います。私が演じるメーテルも、私にしか出来ない女性の姿を作り上げようと思っています。ぜひ観に来てください!

木下晴香さん=撮影・岩村美佳

木下晴香さん=撮影・岩村美佳

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“「演じてみたいのは『ミス・サイゴン』のキム役の、あの生きざま」、木下晴香(下)” への 2 件のフィードバック

  1. メロンパン より:

    晴香ちゃんへの取材とても楽しく拝見させて頂きました。晴香ちゃんの声、歌、お芝居、舞台映えする姿、とても好きです。ロミジュリのチケットはどうにか上のほうを1枚確保できて、晴香ジュリエットの魅力に惹きこまれました。晴香メーテル、チケット取れたので、とても楽しみに待ってます!

  2. めい より:

    役を深めていく過程のお話がとても興味深かったです。木下さんが将来、ミス・サイゴンのキム役をやりたいとお話されたと知って、私も是非木下さんのキムが観たい!と強く思いました。木下さんについて色々と知ることができる素敵なインタビュー記事で、とても読みごたえがあり楽しめました。

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