2022年6月17日(金)から6月19日(日)にTOKYO FMホールで開催されるミュージカルコンサート『Musical Lovers 2022』で、企画・演出を手掛ける藤岡正明さんのインタビュー、後編です。下では、コンサートの構成のこと、トーク部分に関するアイデアのこと、『銀河鉄道999 THE MUSICAL』公演終了後に公開した動画のこと、『ジャージー・ボーイズ イン コンサート』の有観客初日のカーテンコールの景色のことなどについて伺った内容と、お客さまへの想いについて「愛」「恩返し」という言葉を交えながら話してくださった内容を紹介します。
――ご自身のコンサートでは企画・演出をされていらっしゃいますが、今回はそれとはまた違う感覚ですか?
ゲストさんを入れて開催してきた『M’s Musical Museum』でも、もちろん企画・構成・演出は僕でしたが、今回のように、いろいろなキャストがいる中でやるのは初めてになります。ただ『M’s Musical Museum』でも、コーナーとして、必ず一つ一つの作品を10分くらいのメドレーでパッと聞いていただくというのをいつもやっていて、かなりお腹いっぱいになるような構成にはしてきたんです。これまでの『M’s Musical Museum』が楽しかった人は、今回もきっと楽しめると思います(笑)。僕自身もたくさんのミュージカルコンサートに出演させていただいている中で、「美味しいところをいかに盗めるか」という観点もありますし、今回は、新たにまた挑戦させてもらいたいです。
――上演時間は、どのくらいを予定されていますか?
2部構成もありなのですが、僕は、ギュッと濃縮して集中して聴いていただく方がいいのかなと思っているんです。今の目標としては、長すぎないというところで2時間。それくらいが限界かなと思っています。コーナーみたいな分け方をするのであれば、2幕制もありなのですが、果たして本当に、それがお客さまが見たいものになるのかどうか。例えば「ブロードウェイミュージカル」と「ウェスト・エンド作品」と分けたとしても、「ブロードウェイミュージカルのあの曲が聞きたかったんです」とおっしゃるお客さまは少ないのかなと思っていて。
「ブロードウェイ」でも「ウェスト・エンド」でもいいので、「このキャストの、あの歌聴けてよかった」というところが一番大きいんじゃないかと僕は思っているんです。だからコンセプトよりも、とにかく1曲1曲、お客さまにお腹いっぱいになっていただいて、その代わりちょっとした裏切りもさせていただこうと。そんな濃密な2時間、あるいはギュッと圧縮した1時間50分くらいを楽しんでいただけたらと思っています。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、トーク部分に関するアイデアのこと、『銀河鉄道999 THE MUSICAL』公演終了後に公開した動画のこと、『ジャージー・ボーイズ イン コンサート』の有観客初日のカーテンコールの景色のことなどについて伺った内容と、お客さまへの想いについて「愛」「恩返し」という言葉を交えながら話してくださった内容など、インタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■トークも大事。今思いついたけど、開演前に「坂元健児のミュージカル講座」とか
■観られなかった人へと動画を作った『銀河鉄道999』。こんなことしかできず悔しい
■絶対忘れない。『ジャージー・ボーイズ イン コンサート』有観客初日のカーテンコール
■愛に溢れたコンサートにしていこうと決意。お客さまへ愛情の恩返しをしたい
<『Musical Lovers 2022』>
【東京公演】2022年6月17日(金)~2022年6月19日(日) TOKYO FMホール
公式サイト
https://masaaki-fujioka.com/contents/507859
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■トークも大事。今思いついたけど、開演前に「坂元健児のミュージカル講座」とか
――濃密な時間になりますね。内容が濃くてトークも進みそうで、時間内に納まるのかが気になります(笑)。
時間が足りなくなったら、開演前にサカケンさんに出ていただいて、「早めにトークを済ましておく」みたいなことを(笑)。坂元健児さんにお願いしたら、30分でも40分でも1人で喋ってくださるので。
――それは是非とも拝聴したいです。
トークも大事だと思うんです。例えば、開演の15分前に「坂元健児のミュージカル講座」「坂元健児のミュージカル裏話」みたいなのがあったら、めちゃくちゃ面白いですよね。でもトークを入れた構成にすると、2時間では難しいんです。だったらもう、一笑いも二笑いも十笑いぐらい、サカケンさんに先にやっていただくというのは面白いかもしれないですね。今思いついたことなのでどうなるかわかりませんが、もしもサカケンさんがOKしてくれたら(笑)。もしかしたら、開演前に何かあるかもしれないので、来てくださるお客さまは、早めに客席にいらしていただいて…。
――開演時刻15分前に着席想定で伺います(笑)。
2時間プラスアルファで、楽しんでいただけたらいいなと思います(笑)。
■観られなかった人へと動画を作った『銀河鉄道999』。こんなことしかできず悔しい
――『銀河鉄道999 THE MUSICAL』が、4月18日に無事千穐楽を迎えました。途中で中断もありましたが…。
本当にあのときは悔しかったです。制作サイドもかなり投資して、最新機器を入れて稽古場や劇場の感染対策に尽力してくださっていました。キャストも一丸となって、感染対策、予防に取り組んでいました。結果的にはみんな陰性だったのですが、ちょっとでも熱が出ると止まってしまうんです。全員でPCR検査を受けて、全員の陰性が確認されないと公演ができないんです。楽しみに観に来てくださったお客さまに、直前で発表しなくてはならなくなってしまったことと、本当に残念な思いをさせてしまったということが、やはり申し訳なかったですね。
今は「まん延防止等重点措置」や「緊急事態宣言」も出ていないので、マスクをしながら普通に生活できるし、買い物やご飯を食べにどこかに行くのも、一般的に生活している分にはできる状態にあると思うんです。でも我々のこの仕事の場合は、舞台の公演中や稽古中は、そういうことが一切できなくなっていくんです。何かあったときは、公演が飛んでしまいますから。でも、その対策をやっていても、熱が出ると公演中止が出てしまう。発熱したキャストの方は、本当にやりきれない気持ちだったと思います。悔しくてコロナが憎いですよ、やっぱり。
それでも、劇場に来てくださるお客さまがいらっしゃる以上、また一歩ずつ歩みを進めていかなくてはならないと思っています。いつかまた、気兼ねなくキャストのみんなで打ち上げができる、そういうときが来たら本当に報われるのだろうなと思っています。
――感染ではなくても、熱が出てしまうと公演ができなくなるんですね。
熱がある以上、出せないんです。短期間の公演だったこともあって、それで降板が決まったり…。本当に本人たちも悔しかったと思います。
――努力が及ばないのが、なんとも辛いです。
だから公演が飛んだときに、何もできないけれど、動画を作りました。観られなかった人に何かをと思ったんです。公演中はどうなるかわからない状態でしたから、ちょっと不謹慎かなと思ったので、公演終わってからになってしまいましたが、それでも楽しんでもらえたらと。あんなことしかできないのが、やっぱり本当は悔しいですけどね。
■絶対忘れない。『ジャージー・ボーイズ イン コンサート』有観客初日のカーテンコール
――千穐楽後にもかかわらず、客席側を向いて下さったお心遣いに心が温かくなりました。
コロナ禍に入って、より一層、強く実感するようになったのが、劇場に来て、観たいと思ってくださるお客さまの気持ちが、何よりもこちらの励みになるということでした。僕らの存在意義とかアイデンティティみたいなものって、やはりお客さまの拍手なんですよ。お客さまの笑顔や拍手、ときに涙、いろいろだと思うんですけど、お客さまに何かを持って帰っていただいて、初めて自分たちのアイデンティティが確立するんです。それをこのコロナ禍に入って、より一層深く強く実感したんです。
だから今回の『Musical Lovers』もそうなんですけど、「なぜお客さまにお腹いっぱいになっていただきたいか」というのはそこなんです。自分たちが、お客さまからたくさん勇気をもらった分をお返しするには、お客さまの気持ちの離れたところにミュージカルコンサートを持っていくのではなくて、このキャスト陣が一番輝いているところをお見せすることが、来てくださったお客さまへの大きな礼儀だと思っているんです。ある種の「恩返し」みたいなものかもしれないですね。僕らが勇気をもらっているんです。だから実は、客席を向かせてくれたのはお客さまなんですよ。
『ジャージー・ボーイズ』の帝国劇場での公演(2020年7月~8月)が中止になったときは、『ジャージー・ボーイズ イン コンサート』(2020年7月~8月)という形でやることになりました。予定していた初日から2日ぐらいが飛んで、配信のみでしたが、たくさんの方が見てくださったんです。もちろんそれも嬉しかったんですが、有観客初日のカーテンコールの景色だけは、絶対忘れないようにしようって思いました。
当初予定していた『ジャージー・ボーイズ』のチケットはもう売り始めていたんですが、『ジャージー・ボーイズ イン コンサート』をやるにあたっては、客席を50%ぐらいにするために、不公平にならないように一旦全て払い戻ししないといけなかったんです。なおかつ、このコロナ禍でどういう形だったら上演ができるのかを模索していたんです。公演をやっても採算がとれないけれど、それでもやるということになって。プロデューサー陣も本当に苦渋の選択だったと思うんです。その思いにも僕は感動しました。
そしてやはり、お客さまがあれだけ劇場に戻ってきてくださったとき、「うわーっ! 舞台にお客さまが帰ってきてくれた」ってみんな感じたと思うんです。自分たちが帰ってきたわけじゃなくてね、お客さまが帰ってきてくれたんですよ。そのときに「ああ、そうか。俺はこういう人たちに支えられてやってたんだなあ」と思ったんです。これはもういくつになっても、このシーンだけは一生覚えておこうって思いました。堕落したり、傲慢なことをしたりしないで、誠実に舞台と向き合おうという、ある意味自分の初心にしようって思った光景でした。お客さまあっての舞台、そして俳優だと、強く思っています。
■愛に溢れたコンサートにしていこうと決意。お客さまへ愛情の恩返しをしたい
――最後に、そんなお客さまへのメッセージをお願いします。
こんなことを言うと、ちょっと照れくさいというか、クサく聞こえるかもしれないですけど、やっぱり劇場に足を運んでくださるお客さまの愛情が、僕らには、強く強く届いています。そして、僕らもその愛情の恩返しを、お客さまへの愛情でお返ししたいと思っています。それこそが、僕がこの『Musical Lovers』というタイトルに込めた意味でもあって、とにかく愛に溢れたコンサートにしていこうと決意しています。もうぜひともそのつもりで劇場に足を運んでいただきたいです。現実の社会では、たくさんキツいこと、いろんな嫌なことがあると思いますが、一緒に忘れて、その時間を愛でいっぱいにできたらなと思っています。
※藤岡正明さんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは6月28日(火)です(このプレゼントの募集は終了しました)。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
普段藤岡君があまり筆まめではないので(笑)ミュージカルについてどう考えてるのか、とか、色々聞きたかったこともアイデアニュースさんが深く掘り下げてインタビューしてくださり、藤岡君の思いをちゃん引き出して伝えて下さるのでいつも感謝してます。
これを読まなければ知り得なかったこともあるので、本当にありがたいです。
ますます『Musical Lovers 2022』が楽しみになりました。
笑いと涙と愛が溢れるコンサートになることは間違いないですね。
ミュージカルをあまり良く知らないのでこんな私が行ってもよいものかと迷っていましたが、こちらの記事を読んで背中を押されました。
藤岡さんの愛に溢れたコンサート、楽しみにしています。
ご出演者全プロデュースなら型にハマらない自由度高めな公演になりそうですね。こちらを拝読してますます楽しみになりました!
定番曲も、そうではない新しい試みも、両方とも期待してます。
6月を心待ちにしております♫
M’s Musical Museumが毎回とても楽しいので、その藤岡さんプロデュースのMusical Lovers 2022への期待が膨らんでいました。インタビューを読んでますます楽しみになりました!