2022年4月8日(金)から4月18日(月)まで日本青年館ホールで上演されるミュージカル『銀河鉄道999 THE MUSICAL』に星野鉄郎役で出演する中川晃教さんと、キャプテン・ハーロック役で出演する三浦涼介さんの対談インタビュー、後編です。ハーロックの存在感の出し方についての試行錯誤、三浦さんと小池修一郎先生の約束、ご自身の20周年を振り替えて中川さんが思うこと、蜷川幸雄さんや石丸さち子さんの熱い現場のことなどについて話してくださった内容と、中川さんと三浦さんそれぞれからのお客さまへのメッセージを紹介します。
(※このインタビューは3月下旬に実施しました)
――三浦さんがハーロックを作っていくなかで、キーにされていることや、ここを大事にしたいなと思っていることは、いかがですか?
三浦:鉄郎から憧れられているとか、鉄郎のお父さんからの大事な伝言、遺言を彼に伝える使命感とか、そういったところはもちろんですが、「せっかく動いている人間が演じる」というところですね。この間、殺陣稽古をした時に、「ハーロックはもっとゆったりしていていい。むしろ相手が振りかかってきて、それを年寄りのようによけてくれ」みたいなオーダーがあったのですが、僕からすると遅すぎて、どうしても動いていっちゃうんです。個人的には、どんどん斬っていきたいと思っちゃうから。
パフォーマンスとしては、そのちょうど良いところを見せられたらいいなと思います。生で観た時に、「ハーロックってこんな俊敏な瞬間もあるんだ」ということが、違和感ではなくて、きちんとハーロックの良さの1つになったらいいなと。本当に動いたらこうなるのかもしれない、というリアリティーは追求したいと思います。
中川:今のお話は、すごく興味深いですよね。
三浦:本当ですか?
中川:「でーんとしている」というだけじゃない存在感、メリハリを、自分のなかでどう作れるかということを言っているんですよね。
三浦:はい。演出家の方には、「もっとゆっくり歩いてハケていいです」と言われました。今、メリハリと仰ってくださいましたが、それができたらいいなと思います。ずっとゆっくりとは観ていられないですから。
――確かに、ずっとひとりだけゆっくり動いていたら、気になるかもしれません。
中川:ああ…。
三浦:だから、良いところどりですね。
――動きのなかにも、ハーロックならではの見せ方、見どころがあるんですね。
三浦:そうだといいなと思っています。
――中川さんは、20周年イヤーを音楽活動に特化されてきて、ミュージカルは昨年4月の『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』以来ですよね。ご自身の柱である歌の活動をされるなかで、久しぶりにミュージカルに取り組まれ、今どのような思いですか?
中川:まず、「久しぶり」という感覚があまりないんです。去年もたまたま20周年ということもあって、本当に“あえて”ではなく、“たまたま”ミュージカルがなかったという感じでした。三浦さん、そういう時ってない?すごく重なる時と、ふわっと全然違うものの余白ができる時と。
三浦:ありますね。
中川:ずっとミュージカルというものをやり続けてきていますが、今この時代、ミュージカルが市民権を得てきていると感じます。僕自身の20年ということでお話するならば、ウィーン・ミュージカルから、ブロードウェイ、オフ・ブロードウェイ、ウエストエンド、韓国、そして日本のオリジナルミュージカルと幅広い経験をさせていただいてきました。
『モーツァルト!』という作品で数々の賞を頂いた時には、ミュージカルというものと、自分というものの距離感は、まだ初めましてという感覚でした。この20年の月日の中、さまざまな経験をさせていただく中で、ミュージカルというものに、ようやく、しっかり足が地に着いた感覚を得られています。それと同時に、ミュージカルが市民権を得て、盛り上がってきている。そんな今こそ、新たな自分が向かう先、ステージって何だろう?と考える時期なのかな、と思っているんです。
感覚的に、その時ごとの、自分の分岐点みたいなものだと思います。小さい分岐点もあれば、大きい分岐点もあったり、いろいろな岐路があるでしょう。『銀河鉄道999』は、3度目で、ようやくミュージカルになりました。自分が関わりを持たせていただいた作品が再演という形を経て、今だからこそ、どうすればミュージカルになっていくだろうと考えます。温めつつ、進化させつつ。ひとりではできませんが、今回のように素晴らしいキャストの方が集うというタイミングをいただきました。
「準備」と言っていいのかわかりませんが、昨年はそういう期間をいただいていたのかなと、思っています。日本のオリジナルミュージカルを、ここからどこまで耕していけるのか。そういう種みたいなものが、たくさん稽古場のなかにも埋まっていたり、作品を通して出会い、共鳴し合って、それが次に繋がっていったり。そういうことを、僕はミュージカルから感じることができている。そんなタイミングに来ているのかなと、20年を経て、すごく思いますね。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、三浦さんと小池修一郎先生の約束や、蜷川幸雄さんや石丸さち子さんの熱い現場のことなどについて話してくださった内容と、中川さんと三浦さんそれぞれからのお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■三浦:ミュージカルを毛嫌いしていた僕に、小池先生が「3年頑張れ」と
■中川:(蜷川さんや石丸さんの)あの熱さは好き? 三浦:「大好き」かも(笑)
■三浦:人生の輝かしさの欠片さえ、落とさず拾い上げる力を持って生活する大切さを
■中川:2.5次元ではなく、2.8次元を目指す。私たちの出会いを、ぜひ劇場で見届けて
<『銀河鉄道999 THE MUSICAL』>
【東京公演】2022年4月8日(金)〜4月18日(月) 日本青年館ホール
公式サイト
https://999musical.com/
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※中川晃教さんと三浦涼介さんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは5月7日(土)です(このプレゼントの募集は終了しました)。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、よろしくお願いいたします。
※ここから有料会員限定部分です。
■三浦:ミュージカルを毛嫌いしていた僕に、小池先生が「3年頑張れ」と
――三浦さんも、昨年は6〜7月に『マタ・ハリ』にご出演されて以来ですから、ミュージカルは久しぶりのご出演ですね。その前は『エリザベート』ですから、1年に1本くらいですね。
三浦:自分自身でも、それがベストだと思っていたんです。例えば、小池先生の作品などの大作は、やはり長い期間ですよね。それを何本もされている方々は、すごいなと思っていましたし、僕は精神がついていかないんです。まず心が置いていかれるので、それを何とか乗り越えてと考えたら、年に1本できたらありがたいなという感じでした。そんな中で、小池先生との約束で3年を経て…。
中川:小池先生との約束ですか?
三浦:最初に小池先生のお仕事をいただいた当時の僕は、ミュージカルを本当に毛嫌いしていたんです。
中川:あらっ!知らなかった!
三浦:何かをきっかけに、「それも出会いですから」ということでお願いして、お仕事をさせていただき始めたのですが、とにかく、やればやるほど、ちょっと違う…という違和感になっていって(苦笑)。
中川:そうなんだ。
三浦:でも「待て待て。3年だけ頑張れ。3年やれば何か見えてくるから」とおっしゃって。
中川:石の上にもね?
三浦:はい。そう言われて3年経って。当時、自分がやっている意味みたいなものを、どこか探っていたところがあって。「やはり名前や顔をもっとたくさんの人に知らせないといけない、その作業をやらなくては」というところが、映像などの仕事になっていたのかなと、今思います。
だからといって今、ミュージカルがやりたい、ストレートプレイがやりたい、〇〇がやりたいとかではなくて。もちろんこれからもご縁があれば、いろいろなお仕事をしていきたいと思っていますが、舞台に立つためには、集客とか、いろいろなことが関わってくるので、その努力も必要だなとは思っています。
■中川:(蜷川さんや石丸さんの)あの熱さは好き? 三浦:「大好き」かも(笑)
――久しぶりに『マタ・ハリ』でミュージカルに出演されて、いかがでしたか?
三浦:ミュージカルに出たというよりも、「すごく芝居をした」という感じでした。リモート稽古の時間もありましたが、芝居の稽古がすごく楽しかったんです。
中川:『マタ・ハリ』は観れていないのですが、観た方が「素晴らしかった!」と仰っていましたよ。
三浦:ありがとうございます。
中川:ダブルキャストだったよね。誰とダブルキャストだったの?
三浦:とんちゃん(東啓介)です。
中川:ああ、東くんね!
三浦:演出の石丸(さち子)さんもすごく素敵な人でしたからね。僕は、ストレートプレイの時に、蜷川(幸雄)さんの仕事を結構やらせていただいていて、出演させていただいていたので。
中川:そうなんだ…!何の作品をやられたの?
三浦:『ボクの四谷怪談』という、ミュージカルっぽくて歌もあった作品や、『わたしを離さないで』、あとはシェイクスピアもやりました。
中川:シェイクスピアは何をやったの?
三浦:『ヴェローナの二紳士』です。蜷川さんのとんでもない稽古という、誰かが殺されかけているみたいな稽古場を見たので。
(現場爆笑)
三浦:言葉で本当に殺されるんじゃないかという、それぐらいの稽古を受けて、見てきたので、石丸さんの稽古を受けて、どこか久しぶりにそういう人に会えたという感動と喜びがありました。
――石丸さんは、蜷川さんのお弟子さんですものね。
中川:あの熱さですよね。それは好き?
三浦:「大好き」かもしれないです(笑)。もちろん落ち込んじゃいますけど。理不尽なものは嫌ですが、愛がある人はわかるじゃないですか。
中川:じゃあ、ハーロックは『マタ・ハリ』以来なんだね。
ーー聞きたいことがどんどん出てきますね。そろそろお時間なので。
中川・三浦:あっという間!
■三浦:人生の輝かしさの欠片さえ、落とさず拾い上げる力を持って生活する大切さを
――まだまだお話が止まらなさそうですが、稽古場で続きをお話しいただいて。最後に、読者の方にひと言ずつメッセージをお願いします。
三浦:こういったご時世に、こうして作品ができること、とにかく初日に向けて体調も万全に。当たり前のことですが、当たり前のことを大切にしていくという作業と、やはり観にきてくださったお客様にこの作品を通して何を伝えられるんだろうということも、稽古場のなかで自分なりに見つけて輝かせていきます。
機械人間になる話ですが、そうならずに生きていく中で努力をすることや愛し合うこと。だからこその輝かしい人生や生き方。本当に辛い世の中になってしまった今だからこそ、そういうものの、ちょっとの欠片も落とさないように、拾い上げられるくらいの力をもって、生活していくということの大切さ。きっとこの作品で、それを伝えられると思うんです。
ストーリー自体はすごく難しいですが、それを考えるのは稽古場の僕らの仕事です。お客様には本当に素直に観ていただければと思います。精一杯頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
■中川:2.5次元ではなく、2.8次元を目指す。私たちの出会いを、ぜひ劇場で見届けて
中川:ハーロックと鉄郎という、この男同士の関係性が、今回はミュージカルのなかでナンバーとして語られていくんですね。旅立つ瞬間に、ハーロックは、やはり鉄郎の背中を押しているし、後にハーロックが、鉄郎がいつも崖っぷちに立たされるような時に、必ず救い上げて助けてくれるのですが、そのことに、鉄郎としては、やはりお節介はやめてくれって思うような、そういう正直な鉄郎がどこか現れたりするんです。
ハーロックが、鉄郎にとってどういう存在なのかということが、どんどん劇が進むほどにわかっていきますが、今回は、それが音楽のなかで解き明かされていったりします。そこはミュージカル『銀河鉄道999』の見どころになっていくと思います。
また友情とか、愛情とか、そういったものを超えた先に何が待っているのか。この作品に関わる、役を超えた、三浦さんや中川とかが個として、この舞台のなかでどう実感し、キャッチボールをし合って劇を積み重ねていくのか。そこもやはり見どころになっていくんだろうなとすごく感じています。2.5次元ではなく、2.8次元を目指していくというところでの私たちの出会いを、ぜひ劇場で見届けてください。よろしくお願いします!
※ 中川晃教さんと三浦涼介さんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは5月7日(土)です(このプレゼントの募集は終了しました)。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、よろしくお願いいたします。
初演・再演と観劇していますが、コロナ禍での今回の上演だからこそ、銀河鉄道999のテーマから受け取るメッセージが多く、感慨深いものがありました。
劇場に到着して30分前に公演の中止を知った日もありましたが、無事に千穐楽が迎えられて良かったです。
改めてこの記事を読みながら、作品の奥深さを噛み締めています。
ステキなお写真と対談、ありがとうございました。
待ちに待った中川さんと三浦さんの共演!楽しみにしていました!早速記事にしてくださってありがとうございます!
999が千秋楽まで無事駆け抜けられるよう祈っています!
お二人が岩村さんを信頼されてることがよくわかるリラックスした素敵なお写真と記事!ありがとうございます!お稽古場での事、演出や役づくりのお話を伺った上での観劇は一層興味深く思います。
お二人の共演が拝見出来て非常にに嬉しく思います。また配信もあるため、千秋楽は配信にて観劇します。アニメと同じようなクオリティーで、本当にワクワクする作品だと感じました。
共演は初めましてのお二人が,対談を通じてもお互いをより深く理解し,「銀河鉄道999」での役柄につなげていらっしゃるのが感じられて,胸が熱くなりました。
三浦さんの中川さんへの言葉「少年の心を忘れずに」に頷き,まさに鉄郎くんはぴったりと思います。
この記事のおかげで,舞台を拝見するのがますます楽しみになりました。
とっても雰囲気のある写真も素敵です。有難うございました。
お二人のミュージカルに対する想いが伝わってきました。
これまでの道程や考え方などがよくわかりました。
早く観たいです!