2019年4月13日(土)に横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホールで開幕(4月13日と14日はプレビュー公演)する舞台『Being at home with Claude~クロードと一緒に~』に、「彼」役で主演(松田凌さんとW主演)する小早川俊輔さんにインタビューしました。上下に分けて2日連続で掲載します。今回の出演が決まる以前、初演(2014年)を観劇していたという小早川さん。当時大きな衝撃を受けたという作品に、演じる側として向き合うお気持ちをうかがいました。
カナダの戯曲家 ルネ=ダニエル・デュポワによる『Being at home with Claude~クロードと一緒に~』は、2014年にW主演で上演された日本初演以来、スウィッチキャスティング(主役以外がWキャストで入れ替わる形式)、Lecture-Spectacle<読み聞かせ>と、上演形態を変化させながら公演を重ねてきた作品。4回目の上演となる今回は、横浜の赤レンガ倉庫1号館という異国情緒漂う会場で、Blanc(ブラン)とCyan(シアン)のWチームによる公演となっています。そしてCyanで主役の「彼」を演じるのは、2018年に『白痴』、『銀河英雄伝説Die Neue These』でそれぞれ主演を務め活躍中の小早川俊輔さん。本作品で3度目の主演となるBlancの松田凌さんと共に、W主演を務めます。偶然にも2014年の初演を観劇し、当時大きな衝撃を受けたという小早川さん。その作品に、今度は演じる側として向き合うお気持ちを聞かせていただきました。
――今回のオファーを受けられたとき、どう思われましたか?
「あの作品だ!」というのが、まず第一印象でした。僕は『クロードと一緒に』の青山円形劇場での初演を見たことがあるんです。当時10代の終わりぐらいに共演した同年代の役者さん、稲葉友さんが主演されていて、見に行った仲間から「これはすごいぞ」という評判を聞き興味が湧いて観に行ったのですが、その時に受けた衝撃が蘇りました。
――偶然とはいえ、ご自身で見に行こうと思われたのですね?
その頃は、入ってくるものすべてが楽しくて、とにかくいろんなものを見てみようと思っていた時期でした。青山円形劇場に行ったのも初めてだったので「こんなに丸い劇場があるんだ!」と、驚いたのを覚えています。そこに、シンプルだけれど、とても象徴的な舞台セットが組まれていて、そこで観た体験すべてに「演劇というのは、こんなこともできるんだ」と、新鮮な気持ちになったことを覚えています。
――そんな多感な時期に受けられた衝撃はどんなものでしたか?
内容ももちろんですけれど、なんといっても最後のセリフ量に圧倒されました。特殊ともいえる舞台セットの中で、主役である「彼」が膨大な量のエネルギーを放出しながら伝えようとする人生や苦悩を垣間見た時間は、今でも感覚として濃く刻みこまれています。重厚な作品という印象がありましたね。まさか自分がそこに出ることがあるとは夢にも思いませんでしたから、出演させて頂くことが決まった時は本当にびっくりしました。その時の自分に会ったら言ってあげたいです。「お前、これやるんだぞ」と。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、『Being at home with Claude~クロードと一緒に~』の「彼」と小早川さん自身を比べての思いなどについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。12日掲載予定のインタビュー「下」では、小早川さんが職業としての俳優を意識した中学3年生の時から、大学の劇研での公演、小劇場公演、『テニスの王子様』出演などについても話してくださったインタビュー後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■(Cyanチーム演出の)保科由里子さんは、僕の「芝居」の原点とも言えるような方
■「彼」の気持ちを思うと、胸がつまる。息ができない感じになるんです
■「言っちゃうとすり抜けていく」から言わない。頑固なところは似ているかも
■掘り起こして来なかったものを、今、さらけ出されているようなところがあって
<舞台『Being at home with Claude ~クロードと一緒に~』>
【東京公演】2019年4月13日(土)~4月28日(日) 横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
(4月13日と14日はプレビュー公演)
【Blanc(ブラン)チーム】演出:田尾下哲
出演:松田凌、石橋祐、福澤重文、鈴木ハルニ
【Cyan(シアン)チーム】演出:保科由里子
出演:小早川俊輔、根本正勝、川野直輝、澤田拓郎
公式サイト
https://www.zuu24.com/withclaude2019/
公式ツイッター
https://twitter.com/withClaude
公式フェイスブック
https://www.facebook.com/withclaude
<チケット>
【一般】全席指定 8,300円
【学生】当日引替券(各回20席限定) 3,900円
【プレビュー公演】(Cyan 4月13日/Blanc 4月14日) 3,900円
カンフェティ
https://www.confetti-web.com/search_result.php?search_text_post=withclaude
イープラス
https://eplus.jp/sf/detail/2885280001
チケットぴあ
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=1906859
<小早川俊輔(こばやかわしゅんすけ)>
1993年10月12日生まれ、大阪府出身。2013年、舞台『飛龍伝』以降、ミュージカル『テニスの王子様 3rdシーズン』(2016~2018)『プリンス・オブ・ストライド』(2017)などに出演。2018年には『白痴』、『銀河英雄伝説Die Neue These』でそれぞれ主演を務めている。2016年4月から、TV情報番組「猫のひたいほどワイド」(tvk)の番組リポーターに就任。最近ではドラマ『私のおじさん~WATAOJI~』(2019・テレビ朝日)に出演するなど幅広く活躍中。
<関連リンク>
小早川俊輔 Twitter
https://twitter.com/kbykw_shnsk
小早川俊輔 公式ブログ
https://ameblo.jp/shunsuke-kobayakawa/
- 「4月に初めて作詞、歌・言葉…表現を学びたい」、溝口琢矢インタビュー(下) 2021年6月15日
- 『Being at home with Claude~クロードと一緒に~』溝口琢矢インタビュー(上) 2021年6月14日
- 2019年以前の有料会員登録のきっかけ 2020年8月18日
- 「周りの人が支え、愛してくれるから」、『SERI~ひとつのいのち』合同取材会より 2022年8月2日
- 2020年12月以前のプレゼント 2021年6月16日
- 2020年末上演『忠臣蔵 討入・る祭』の第一部舞台映像と座談会特番、2月7日から配信 2021年1月27日
※小早川俊輔さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは5月11日(土)です。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
※ここから有料会員限定部分です。
■(Cyanチーム演出の)保科由里子さんは、僕の「芝居」の原点とも言えるような方
――実際、稽古に入られてみて、いかがですか?
あの頃自分が見たものと、今自分が取り組んでいるものが同じ作品であるというリアリティはあまり感じません。むしろ、これからどんどん自分たちなりの形になっていくのだろうなという気持ちの方が強いです。今回、Wチームということで、それぞれに別の演出家の方がいらっしゃるんですが、僕が出演するCyanチームを演出してくださる保科由里子さんは、僕が大阪から東京に出てきたころからの知り合いなんです。10代の頃から保科さんのワークショップやレッスンをずっと受けてきて、僕の「芝居」の原点とも言えるような方なので、保科さんとこの作品を作り上げていけることは、自分にとってとても貴重な体験になるだろうという、とても前向きな気持ちでいます。
■「彼」の気持ちを思うと、胸がつまる。息ができない感じになるんです
――「彼」は小早川さんから見てどんな人物でしょう。
最初は、自分が「彼」という人物にどこまで寄り添っていいものかと戸惑うところがありました。「彼」がお金のためにしてきたことや、ましてや”殺人”という事実は、自分の現実とはかけ離れていますから。ただ、膨大なセリフと不毛にもとれるやりとりを、チームのみんなと「なんでだろう」と突き詰めながら作り上げていくと、そのひとつひとつのパーツの中に、自分にも共感できることが見つかるんですよね。これはたぶん、誰にとっても同じではないかと思います。
「彼」には「自分が誰にも受け入れられてこなかった」という、生い立ちや境遇の蓄積があります。それゆえに「誰かと繋がる」ことを求めますが、それによって満たされることはなく、常に心のどこかで「自分は不完全だ」「欠けている」と、感じている。その孤独が強ければ強いほど、かけがえのない人物に出逢えた時の「彼」の喜びや、愛おしさは深まっていき、それが稽古の中で実感できた瞬間、「彼」の直面している現実が突き付けられて「なんて可哀想なんだ」と思うんです。胸がつまるというか、息ができない感じになりますね。今は、日を追うごとに、そんな風に「彼」の気持ちを感じるようになっています。
■「言っちゃうとすり抜けていく」から言わない。頑固なところは似ているかも
――自分と似ているところはあると思いますか?
その質問に答えるのは、結構恥ずかしいですね。それだけ個人的な作品なんですよ『クロードと一緒に』という作品は。
あ、でもこれは似ているかもしれないですね、「それを言っちゃうとすり抜けていく」と感じているところ。だからもう言わないと決めてるという。そういう頑固なところは似ているかもしれません。
■掘り起こして来なかったものを、今、さらけ出されているようなところがあって
――そう言いながらも質問に対してまっすぐに向き合って答えてくださっていると感じます。
そう思っていただけたなら、それだけ自分がこの作品に心を深く開いていこうとしているのだと思います。ただ、やはり、共感したいけどしていいのかな? この感覚は合っているのかな? これを出していいのかな? という問いは、常にあります。今まで自分が感じてはいたけれど掘り起こして来なかったものを、今、さらけ出されているようなところがあって。一歩、役から離れた時に「彼」はあくまでもこの物語の人と意識していかないと、それだけ自分の生活に影響してくる強さがこの作品にはありますね。
※小早川俊輔さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは5月11日(土)です。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
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記事を読ませて頂いて、楽しみな舞台が更に楽しみになりました!
小早川さんが彼という役にどのように向かい合っていらっしゃるのか知ることが出来て嬉しかったです。
インタビューの続きも楽しみにしております!
素敵な記事ありがとうございます!
見に行くのがとても楽しみになりました。
彼の感情の動き、変化を小早川さんがどう表現されるのかワクワクしています。
彼の心情、自分自身を重ねて見てしまいそうですので、ハンカチ持参で見に行きたいと思います。
インタビューの「下」も楽しみにしています。
小早川さんのインタビュー記事、とても嬉しいです!
作品との向き合い方の一端を知れて、今までとまた違う小早川さんの姿が観られそうだという期待が高まりました。私は「彼」の何に共感を抱けるのか、楽しみに劇場へ向かおうと思います。
インタビューの「下」も楽しみにしています!
ライターの方の質問内容も興味深く、それに対して真摯に答えている小早川さんのお姿が想像できました。
あまり簡単な戯曲ではないからこそ、しっかり考えて積み上げる、その成果がどのように現れるのか今から楽しみです。
とても貴重な記事をありがとうございました。
小早川くんのインタビュー記事、すごく嬉しいです!
舞台を観に行くのが更に楽しみになりました。
私にも「彼」の心情が理解できたとき、きっと泣いてしまうんだろうな…と思いました。