2019年9月28日(土)にオーチャード所属アーティストによって開かれる『ORCHARD LIVE 2019 -HEARTFUL MUSICAL SONGS-』に出演する、山田元さんにインタビューしました。上下2回に分けて2日連続で掲載します。「上」では、2019年8月26日(月)まで帝国劇場で上演されているミュージカル『エリザベート』に、オープニングの悪霊役、兵士役、ハンガリー貴族のジュラ役、ルードヴィッヒ2世(※編集部注:エリザベートのいとこの息子でバイエルン国王となるが湖で水死体で発見される)役などで出演していることについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載します。8月27日(火)掲載予定のインタビュー「下」では、『ORCHARD LIVE 2019 -HEARTFUL MUSICAL SONGS-』についてのお話のほか、フラワーショップで働いていた山田さんが『リトルマーメイド』『Beautiful』などに出演するようになったこれまでの歩みについて、上原理生さん、山田元さん、木暮真一郎さんで活動するヴォーカルユニット「Adam’s」について、フローリストとしての自分を含めた今後のビジョンについて伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載します。
――『エリザベート』、ロングラン公演ですね(取材は2019年8月初旬に実施しました)。この長丁場をシングルキャストです。
そうですね。3ヶ月で108回公演です。例えば1週間で11回公演があって、うち、マチソワ4回演ったりとか、シングルで108回務めています。
――山田さんは劇団四季の『リトルマーメイド』のエリック王子役でロングラン公演は経験されていますが、劇団四季ではエリック役は何人かいらっしゃいますね。シングルキャストでの3ヶ月というのは初めてですか?
『リトルマーメイド』で、エリックではないんですが、アンサンブルで出演していたときに3ヶ月以上出演していたことはあります。ただ、公演数が3ヶ月で108回公演というのは、ちょっとまだ自分の中で未知の領域ですね。
――3か月公演の『エリザベート』という大きなミュージカルをやってきて、得たもの、気付きはありますか?
やっぱり108回、全く同じ公演に出続けるというので、どうしても台詞だったり、動きだったりというのが、身体にこびりついてきてしまって。それで勝手に身体が動いたり、勝手に台詞を言っちゃう、みたいな形になってきてしまうと思うんですけど。
――いわゆる「慣れ」というか。
そうですね。でもそれは自然なことなのでしかたないんですけど、それをいかに自分の、このフィジカルな面と、メンタルな面を管理して、身体も新鮮に、心も新鮮に生きるかというのを、毎日毎日やっていかなくちゃいけないというのを、やっぱり中日を過ぎて、後半戦にかけて毎日挑戦しているところではありますね。
――気を許すと勝手にもう、身体が動いてしまうと。
そうなんですよ。
――自分の気持ちが乗り切らないうちに動いてしまう感じでしょうか?
そう。僕は、舞台の上で自分の心自体は安全なところにはいない方が良いとは思っていて、どこかしらリスクを持っていた方が、より生きた芝居ができるということを確信しているんです。でもどうしても舞台上の決められた動きという、ある意味では安全性がないとお芝居は成り立たないので、それが心の方まで侵略してくると、それこそ機械でもできるような芝居になってしまうのかなと思うんです。
――そこがロングラン公演の罠というか。
そうですね。そうだと思います。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、ロングラン公演の中でのオフの日の過ごし方や、山田さんの俳優仲間の間でキーワードみたいなものになっているという「ギラつく」などについて話してくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。8月27日(火)掲載予定のインタビュー「下」では、『ORCHARD LIVE 2019 -HEARTFUL MUSICAL SONGS-』についてのお話のほか、フラワーショップで働いていた山田さんが『リトルマーメイド』『Beautiful』などに出演するようになったこれまでの歩みについて、上原理生さん、山田元さん、木暮真一郎さんで活動するヴォーカルユニット「Adam’s」について、フローリストとしての自分を含めた今後のビジョンについて伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■毎回「黄泉の国」に行くとどうしても心が沈んでいくので、休演日は海に行って癒されるように
■「ギラつく」は目立とうとするのではなく、俳優として貪欲にその瞬間を生きるみたいなもの
■フランツ、素敵ですよね。真面目で板挟みになる感じとか、もうたまらないですよね
■ラミン・カリムルーが大好きで、彼は手が印象的に動くんです。それに影響を受けています
<『ORCHARD LIVE 2019 -HEARTFUL MUSICAL SONGS-』>
【東京公演】2019年9月28日(土)17:00開演 なかのZERO 大ホール
出演者:
美羽あさひ/小南竜平/上原理生/中西彩加/荒田至法/門田奈菜/華花/山田元/町屋美咲/木南清香/木暮真一郎/川口大地/湊陽奈/榎本成志/伊藤壮太郎/伊藤広祥/笘篠ひとみ/伊宮理恵/本多釈人/蓮井佑麻/竹井未来望/重松直樹/早川一矢/横田剛基/元榮菜摘/新垣ケビン/飯嶋あやめ/鈴木満梨奈/ジェニファー
チケット:全席指定 6,500円
公演情報
https://ssl.alpha-prm.jp/ro-on.jp/service/app/event/detail/519/
ORCHARD 公式 Twitter
https://twitter.com/orchard_info
ORCHARD
http://orchard-net.com/
<ミュージカル『エリザベート』>
【東京公演】2019年6月7日(金)~8月26日(月) 帝国劇場
公式サイト
https://www.tohostage.com/elisabeth/
<関連リンク>
山田元 公式 Twitter
https://twitter.com/genyamada97
山田元 ORCHARD
http://orchard-net.com/wordpress/?page_id=2280
- 2020年12月以前のプレゼント 2021年6月16日
- 「花を管理すると、お世話できていることが自信になる」、山田元インタビュー(下) 2020年11月17日
- 「念願のストレートプレイ」、『通りすがりのYouTuber』山田元インタビュー(上) 2020年11月16日
※山田元さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは9月26日(木)です(このプレゼントの募集は終了しました)。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
※ここから有料会員限定部分です。
■毎回「黄泉の国」に行くとどうしても心が沈んでいくので、休演日は海に行って癒されるように
――長丁場の公演の中で、今年は梅雨寒が長く続いて、梅雨明けと同時に気温が上がりました。この気温差では健康管理が本当に大変ですね。
本当におっしゃるとおりで(笑)。梅雨の時期は身体は重いし、メンタルもちょっと重たいし…。
――メンタルも重たい?
季節柄もたぶんあると思うし、どうしてもやっぱり「黄泉の国」というのもあるんです。本当に全然冗談じゃなくて、毎回そこに行ってあの世界で生きると、どうしても心は沈んでいくので。それをオフの日でどう解消するか、みたいな。でも、そのオフの日も雨が降ってて何もできなかったり…。
――今年は雨が多かったですし。Twitterでは「流れるもののそばに行くと癒される」ということで、海に行かれたと呟かれていましたね。
そうなんですよ、本当にエリックみたいなんですけど、自分が湘南出身で、海が身近にあるっていう生まれなので、とても海とか、あと僕は水泳を2、3歳の頃からやってたんです。
――では、泳ぎはかなり自信が?
もうとっても。自信があります!
――そうなんですね! それを聞いてふと思い出しましたが、『リトルマーメイド』をご覧になった方の感想で、“山田さんのエリックは「海の男」っぽかった” みたいなのを聞いたことがあります(笑)。そこはちょっとご本人が滲み出たのかもしれないですね。
ホントですか! そうかもしれないですね。もう、それこそ学生の頃から、ライフガードみたいなバイトもやってましたし。
――本当に「海の男」ですね。湘南ということは、波乗りとかも?
波乗りは、最近趣味でやってます(笑)。時間があるときですが、だから6月中の休演日とかも、疲れてても海とかに行って、癒されるようにしてました。
■「ギラつく」は目立とうとするのではなく、俳優として貪欲にその瞬間を生きるみたいなもの
――その公演中の先日のツイートで「居て捨ててギラつく」という言葉が、すごく印象に残ったんですが、これは?
あはははは!(笑)。なんて説明すればいいかな…劇団四季での話なのですが、浅利慶太先生が残された有名な「居て、捨てて、語る」という言葉があって、それは、舞台上にただ居て、自分自身を捨てて、そしてただしゃべる。そこでもう役が完成する、というものなんですけど、それをふまえた上で、「ギラつく」という言葉が、僕の俳優仲間で、ちょっとキーワードみたいなものになっていて、ただ単純に目立とうとするという意味ではなくて、ひとりの俳優として、貪欲にその瞬間を生きる、みたいなものということでしょうか。
――油断をせず、前髪しかない幸運の女神の髪の毛をキッチリつかまえるぞ! 的な心持ちというか。
うんうん、そうですね。安心せずに、怖いんですけど、でも綱渡りの綱の上を駆けていくような。
――そこが先ほどおっしゃっていた、心は安全なところにはいない方が、というところですね。
そうですね。常にリスクを負わないといけないなと思っています。
――そこは本当に共感するところなんですが、これをやるとホントにしんどいんですよね…(笑)。
そうなんですよ! ホントにしんどいんです。どれだけオートメーションというか、自分の心も身体も自動にしてしまえば簡単か、楽かと思うんですけど、それじゃちょっと意味がないので…。
――たしかに! 「あ、自動的に演ったな」という感じは、心に引っかからないような、こちらまで届かなくて、観ている側としては、なんとなく置いていかれた気になっちゃいます。
そうですね。たぶんわかってしまう人もいると思います。
――なるほどそういう意味だったんですね。「ギラつく」というキーワードは、前回『Beautiful』(2017年)ご出演のあとでインタビューさせて頂いたときに「周りがギラついていた」とおっしゃっていたので、気になって。
たしかに、たしかに(笑)。もうずっと使う言葉ですね、僕の中では「ギラつく」ってワードは。
――そうなんですね。でも、山田さんのイメージの「王子」と「ギラつく」は一見親和性がない感じです(笑)。
普通の一般の言葉では「ギラつく王子」っていうのはあまりないですけど、“演じる” という上で考えると “「王子」として、その場を貪欲に生きる” ということだったら成立する感じですね。
――“「王子」として貪欲に生きる” ですね! ものすごく腑に落ちました。
■フランツ、素敵ですよね。真面目で板挟みになる感じとか、もうたまらないですよね
――ここで「王子」つながりでお聞きしたいのですが、『エリザベート』では、皇太子ルドルフに共感されるとか?
あはははは!(笑)。
――『エリザベート』を演っている中で、一番「そうだよね」って思っちゃう役なんですか?
なんて言えばいいんだろう…。それぞれ人は生きていると、誰しもがたぶん「孤独」を背負っていると思うんですけど、毎回 “マイヤーリンク” のシーンとか、“ママ何処” のシーンとかは、「あぁ…(溜息)」って思いながら、胸に溜めながら(笑)。
――先日『エリザベート』を拝見したあと、勝手ながら(笑)、もし山田さんが他の役をされるとしたら? と、いろいろシュミレーションしてみたんです(笑)。ルドルフは一番イメージが重なると思いましたが、息子ではなくパパ、いつか山田さんの皇帝陛下を拝見したいと思いました。
フランツ、素敵ですよね。真面目で、(妻と母、国家と民の間で)板挟みになる感じとか、もうたまらないですよね、俳優として! とっても惹かれる役です。『エリザベート』というと、トートはどうしても “The トート!” みたいな感じになりますけど、でもやっぱりね、フランツは…、あの役はとっても良いですよね。
――以前、『Beautiful』のジェリー・ゴフィンを演りたい! っておっしゃっていたので、だったら『エリザベート』は、絶対フランツでしょ! って、実は思ってました(笑)。
あはははは(笑)。そうなんですよ。そうそう、ジェリー、懐かしいですね。
■ラミン・カリムルーが大好きで、彼は手が印象的に動くんです。それに影響を受けています
――ところで『エリザベート』では、何役というか、何シーン登場されているのでしょう?
オープニングで悪霊、皇帝の義務とバートイシュルは兵士。結婚の失敗の貴族、そのあとはジュラですね。二幕は、ジュラと精神病院の看護人、そのあとにジュラ演って、ルードヴィッヒ2世、ですね。(※編集部注:一幕「SCENE1 死者と夢見人たちの夜の世界」で悪霊役、「SCENE5 ウィーン王宮・謁見の間」「SCENE6 バートイシェル」で兵士役、「SCENE8 ウィーン・アウグスティン協会」「SCENE9 シェーンブルン宮殿の鏡の間」は貴族役、「SCENE13 ハンガリー訪問」「SCENE14 ウィーンのカフェ」「SCENE16 ウィーンの街頭」でハンガリー貴族のジュラ役。二幕は「SCENE1B 戴冠式」でジュラ役、「SCENE3 ウィーン近くの精神病院」は看護人役、「SCENE13 ハンガリー独立運動」でジュラ役、「SCENE19 悪夢」でエリザベートのいとこの息子でバイエルン国王となるが湖で水死体で発見されるルードヴィッヒ2世役)
――結構目まぐるしく登場されていますね。「悪夢」では、とても華やかな雰囲気のルードヴィッヒがまぶしかったです(笑)。
(笑)。ルードヴィッヒは、最初はシュテファン役の佐々木(崇)さんが演じる予定だったんです。で、僕がマクシミリアン(メキシコ皇帝 フランツ・ヨーゼフの弟)を演じてたんですけど、途中で小池(修一郎)先生が変更されたんです。
――そうだったんですね。一幕の兵士役では、目深に被った兜でお顔は見えなかったのですが、手の所作がピシッと美しい兵士が一人居て、「あそこにいらっしゃるな」と、すぐにわかりました(笑)。
本当に!? でも、手が印象的だってよく言われるんです。
――そうですよね、手の表情がすごく印象に残ります。ダンスの影響なんでしょうか、たしかクラッシック・バレエをされていらっしゃいましたね?
イヤイヤ、違うんですよ、なんでもないんですよ。ダンス系のあれはもう…(笑)。
――え?! ダンス系ダメですか?(笑)。
ダンスは苦手ということで!(笑)。手の所作が印象的なのは、僕はラミン・カリムルーという俳優さんが大好きで、彼はいろんな役を演るときに、とっても手が印象的な人で、とくに『The Phantom of the Opera(オペラ座の怪人)』のファントム役を演じる時の手が綺麗で印象的に動くんです。それにすごい憧れているっていうのと、 “手で役を変える” みたいな意識もあって。それがたぶん、自分の中で影響を受けて結構強く意識をしているところですね。
――ご自身で意識的にやっていらっしゃることなんですね。『最終陳述』(2019年2月~3月)、『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』(2019年1月)でも、そこは遺憾なく発揮されていました。
ありがとうございます(笑)
※山田元さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは9月26日(木)です(このプレゼントの募集は終了しました)。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
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元さんがどんな心構えで舞台に挑んでいるのか、なかなか聞けないことが知れて、応援する気持ちがますます大きくなりました!手が印象的と私も常々思っていたので、その秘密も知れてよかったです。まるで元さんの笑い声が聞こえるかのようないきいきしたインタビューをありがとうございました!
山田さんの記事を読みたくて、有料会員登録しました。
エリザベートの108公演に、慣れることなく挑戦を続けた真摯な姿勢や、海に関わるお話も伺うことが出来て、大変読み応えのある内容でした。
いろいろな表情の写真もたくさん掲載されていて、とても素敵なロングインタビューでした。
つい先日、公演は終わってしまいましたが、いつも真摯に公演に望まれている元さんのエリザベートでの貴重なお話がたくさん聞けて、嬉しかったです。本当にいつも素敵な手仕草には魅了されていましたので、そのお話もとても興味深かったです。普段見ることのできない表情のお写真もとても素敵です。素敵なインタビュー有難うございました。
美しい手が、お花達を愛でる様子が好きです。
そういう方に舞台に立って頂きたいと願っています。
2020年のエリザベートも楽しみです!
エリザベートに対する考え方、オフでの様子も垣間見る事が出来ました。真摯にお答えなさっている姿が浮かぶようです。ご本人のツイッターを毎回拝見していて、そこに山田元さんの見ている方向?も分かり楽しみでもあります。「居て、捨てて、ギラつく」素敵な言葉です。お話を聞くことが出来て嬉しく思います。
後半も楽しみにしています。
山田さんの記事が読みたくて有料会員になりました。
素敵なインタビューをありがとうございます。
ルドルフや「ギラつく」について語られた内容が特に印象に残りました。
山田さんのTwitterも踏まえてのインタビューでしょうか、とても良い内容でした。
後半もとても楽しみにしています。
素敵なインタビューとお写真ありがとうございます!!
Adam’sのコンサートで元さんのことを知り、エリザベートで初めて舞台姿を拝見できました。
2020の再演も決まったのでまた元さんの素敵な姿を観れるのを心待ちにしています♪
明日の記事も楽しみにしています!!
お花が、大好きな元さん!
何にたいしても、紳士な方で、お話しを聞いていても、静かな中でも、一本、筋がとおっているので、精神的にもしっかりしている方だと、思いました。これからが、楽しみです。
2回に分けてのロングインタビューが全部読みたくて、つい有料会員になってしまいました。山田元さんが本当に大好き!
インタビュー、大事に読み進めていきました。気になっていたあんなことや、初めて知ることも沢山で、とても読み応えがありました!後半も楽しみにしています。