舞台『絢爛とか爛漫とか』に、古賀大介役で出演する、安西慎太郎さんのインタビュー後半です。安西さんが考える作品の面白さや、観てほしいポイントなどを伺いました。有料部分では、『COCOON 月の翳り星ひとつ』についても伺いました。舞台『絢爛とか爛漫とか』は、昭和のはじめの4人の若き文士たちの物語。鈴木裕美さんが演出、安西さん、鈴木勝大さん、川原一馬さん、加治将樹さんが出演します。
――この作品の世界観は、特に安西さんたちの世代にとっては新鮮に感じる、そんな観客層が多くなると思います。おそらく慣れてないであろう皆さまに、この物語のおもしろさや、どこを観てほしいというポイントはありますか?
まず、ひとつとして難しいお話はないことですね。「若き文士」「昭和初期」となると、すぐに感情移入できる感じではないなと受け取られるかもしれないですが、全然難しい話ではありません。時代は違いますが、今のお客さんにも起こりうることではあるので、難しいことはないと思います。舞台セットはすべて古賀の部屋ですが、基本的に4人でいることが多いんですね。その4人が「なにかやっているよ」と、観察している感じがおもしろいと思います。
――お客様は4人の様子を観察するんですね。
いちいち、おもしろいと思うんですよね。
――たとえば、この人とこの人がケンカしているときの、残りの2人の反応などを観察できるという感じですか?
まさにそうですね。お客様に失礼な言い方になってしまうかもしれませんが、僕のファンのお客様だったら、僕しか見ない方もいるじゃないですか。普段はあまりそう思いませんが、ある意味それでもおもしろいかもしれないと思える。
――話の筋がこちらで繰り広げられているときに、あちらがどんな反応をしているのかもおもしろい?
おもしろいですね。あと、4人の男たちというのが、やはり一番の魅力なのかなと思います。男性4人のなかに女性がひとりいても、男5人でも違うし、男3人でも違う。この4人というのが。僕は奇数の方がバランスを取りやすいと思うタイプなんですが、4人のパワーバランスや関係性、そこから広がるそれぞれの葛藤が一番の魅力なんじゃないかと思います。
――「奇数の方がバランスが取りやすい」というのは、どうしてそう思いますか?
ただの僕の感覚ですね(笑)。
――ひとつのことを話すときに、1対1や、2対2よりも、数が違う方がいいんですね。おもしろいですね。
僕はそう思います。
――「そうだ」と共感する人もいるんじゃないでしょうか。
あとは、最後の長セリフは、この作品の醍醐味でもあるのではと思っています。
――脚本を拝見しましたが、そのセリフ部分はページ数がすごく多かったですよね。
7ページくらいあると思います。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、『TRUMP』シリーズの『COCOON 月の翳り星ひとつ』公演を終えてあの世界を生きてみてのお話などを伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。
<有料会員限定部分の小見出し>
■『COCOON 月の翳り星ひとつ』、体も心もあそこまで削ったことはなかった
■お客様がその世界にいる感じ。お客様の空気が日によって、わかりやすく変化していく
■舞台上で倒れそうになりました(笑)。頭の血管が切れるんじゃないかという感じ
■『絢爛とか爛漫とか』は、今まで一番自分に近い役で、一番挑戦的な作品になるのでは
<『絢爛とか爛漫とか』>
【東京公演】2019年8月20日(火)~9月13日(金) DDD青山クロスシアター
公式サイト
http://kenran.westage.jp
<関連リンク>
舞台『絢爛とか爛漫とか』
http://kenran.westage.jp
安西慎太郎オフィシャルブログ
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安西慎太郎staff Twitter
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- 2019年以前の有料会員登録のきっかけ 2020年8月18日
- 岸祐二・川原一馬出演、『In This House~最後の夜、最初の朝~』11月20日開幕 2019年11月11日
- 安西慎太郎「全員で過ごした時間を信じ、手を取り合い」、『絢爛とか爛漫とか』開幕 2019年8月21日
- 2020年12月以前のプレゼント 2021年6月16日
- 村井良大・安西慎太郎・新納慎也ら出演、AuDeeラジオドラマ『かたらずの華』配信開始 2021年3月6日
- 2020年末上演『忠臣蔵 討入・る祭』の第一部舞台映像と座談会特番、2月7日から配信 2021年1月27日
- 7人の作家が『TRUMP』シリーズの世界観を共有、音楽朗読劇『黑世界』上演へ 2020年7月22日
- 「『COCOON 月の翳り星ひとつ』は血管が切れるんじゃないかと」、安西慎太郎(下) 2019年8月20日
- 「青二才感はあると思います」、『絢爛とか爛漫とか』安西慎太郎インタビュー(上) 2019年8月19日
※安西慎太郎さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは9月19日(木)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
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■『COCOON 月の翳り星ひとつ』、体も心もあそこまで削ったことはなかった
――『COCOON 月の翳り星ひとつ』のお話も伺いたいのですが、公演を終えてからのブログも拝見しましたが、あの人気の『TRUMP』シリーズの世界を生きてみて、いかがでしたか?
まず……なんて言うんだろうな。僕の状態からすると、疲れましたねー(笑)。ただ、ある意味、体も心もあそこまで削ったことはなかったので、ある種全身全霊をお客さまに浴びせられた舞台だったんじゃないかと思います。世界観として、あまり僕が経験したことのない世界観で、おもしろかったですね。どんな作品になるか台本だけでは想像できなかったので。最終的には楽しかったです。逆に、お客さまに『TRUMP』シリーズのどこが最強に好きなのかを聞きたくなるような感じですね。
――自分ではそこはわからない?
わからないというより、作品として魅力的なのもわかっているし、おもしろかったですが、お客さまがどこが最強だと思っているのか聞いてみたいです。
――なぜあれほどに熱狂的なファンがいるのかと。
そうなんです。それこそ、なにかやったときに「ああ!」「やめて!」と言うお客さまもいらっしゃるんですよ。
――そんなに?
お客さまの心を打っているということは、あの世界観でいうと、お客さまを苦しめているということですよね。なにがそこまで苦しめているのかということを、逆に聞いてみたいですね。
■お客様がその世界にいる感じ。お客様の空気が日によって、わかりやすく変化していく
――自分のなかでは、もちろんそれを腑に落として演じていて、『TRUMP』というシリーズの独特な世界だなと思っているものの、役を演じるという意味では別にほかの役を演じるのと自分のなかでは、そんなに変わらないということですか?
でも、『TRUMP』の世界の人たちは、ほとんどの人が嘘をつかないので。
――嘘をつかない?
すごくわかりやすく言うと、僕が今トイレに行きたいとして、「トイレに行きたい」とは言わないじゃないですか。でも、感情に裏がないんですよ。
――思ったことは全部言う。
裏がなくて、特にアンジェリコは思ったことを全部前に飛ばすタイプだったので、そういったところも逆に難しかったです。変に裏でサブのものを作ってしまいそうになったのですが、本当に思ったことを言う人だったので、そこがおもしろかったです。
――きっと演じる役によっても違ったでしょうね。拝見していてすさまじいなと。中毒性みたいなところはわかりました。
本当にやっていて「え?」と思うくらい、お客様の食いつきがよかったので。僕が『TRUMP』シリーズに出演したことがなかったから、初日もどうなるんだろうと思っていて、荒木(宏文)さんとも「どうなるんだろうね」と話していて。最初に“月”編の方でアンジェリコが抱きつくんですよ。そうしたら、前に座っているお客様が「はあ!」ってなっていて、それがすごいなと思いました。
――なるほど! 新しい世界ですね。
その世界観にとても入り込んでいて、なんならその世界にいるんじゃないかくらいの感じ。
――多分そうなんですよね。ゲームのなかに入るような、きっと観客もその住人なんですよね。
そういう声が聞こえたりとか。だから、普段はあまりわかりませんが、お客様の空気が日によって、とてもわかりやすく変化していくんですよ。
――例えば、ものすごくファンのお客様が来ている日と、そこまでではないとか、そういう違いがわかりやすい?
日々全然リアクションが違って、今まで立った舞台のなかで一番リアクションがわかりやすく違いました。なにを良しとするのか、結構わからない作品や自由で枠がない作品が多かったので、本当にお客様のリアクションを感じながらできたのが一番強かったかもしれないですね。
――なるほど。安西さんはお芝居が好きで、リアルな芝居をする印象で、おそらく独特なビジュアルも含めて好きという世界観と、安西さんが好きな元々の本質が、どちらかというと違うのかなと思っていたんです。
でも、すごく好きです。根本でやっている作業は違いますが、付け足すものが少し違うだけで、それはある意味、「普段はここのラーメンに行っているけど、今日は違うラーメンにしよう」という感覚と同じで、こっちはこっちでおいしいし、こっちもこっちでめちゃくちゃおいしいみたいな感覚ですね。
■舞台上で倒れそうになりました(笑)。頭の血管が切れるんじゃないかという感じ
――なるほど。そういう異文化も含めて、新しい体験もしつつ。
あと、本当に舞台上で倒れそうになりましたね(笑)。
――どこでですか?
後半で。いい意味で、ですが、頭の血管が切れるんじゃないかという感じで。切れたことはありませんが、血管が出そうなくらい。私生活でも、僕は割りと感情的な方なんですが、今までマックスで怒ったり、強い気持ちをもったりするときの5倍くらいのエネルギーが。
――まだそのエネルギーがあったのか、という感じですよね。
そうですね。
――本気で怒ったとき以上ということですもんね。
だから、本当に全部が飛び出るような感じで、1公演のその5分のシーンを演じただけで、もう……みたいな感じ。
――ブログで「非常にHPを削られました」と書いていましたね。「HPってなんだろうな?」と思ったんです。
HPはゲームなどで、「HPあと50です」みたいな。
――なるほど。おもしろい表現だなと思って。
ライフのチャージのことを指すんです。それが少なくなっていくと、どんどん赤くなってゲームオーバーになっちゃう。
――エネルギーがどんどん減っちゃうんですね。要するに、さっきおっしゃっていた「倒れちゃう」ということですね。
基本、“HP1”でしたからね。
――それは、もうすぐ死んでしまうくらいですね。
でも、“1”なんですが、“1のなかの100”みたいな。“1”でも範囲が広かったとして、“1”しかないんですが、それを刻んで“100”あるとしたら、いつも“1の100”でやっていました。そのくらいの感じでした。
――なるほど。いかに大変だったかということですね。
■『絢爛とか爛漫とか』は、今まで一番自分に近い役で、一番挑戦的な作品になるのでは
――最後に、『絢爛とか爛漫とか』へ向けて、読者の方々へメッセージをお願いします。特に観に行こうか迷っている方にも、ぜひ後押しとなるようなメッセージを頂けたら。
こんなことを言うのは、ちょっと上からのようですが、絶対に観た方がいいと思います。というのは、まず鈴木裕美さんが演出する作品はとてもおもしろいです。今回も絶対におもしろくなると思いますし、カンパニー一同そういう気持ちで作っていくつもりです。やはりキャストもとてもおもしろいですし、そのおもしろい人たちが集まった化学反応が、計り知れない。かならずおもしろい作品になると思うので来てほしいです。そして、個人的なことを話すと、僕が今まで演じてきた役のなかで、自分に一番近いですし、一番挑戦的な作品になるのではないかと思っているので、僕も含め、それぞれの挑戦など、いろいろなものをお客様に観に来ていただきたいと思います。
――以前、撮影させて頂いたときの雑談で、「安西さんのイメージは“陰”か“陽”でいうと“陰”」と話していて、「自分は深海にいます」とおっしゃっていましたが、安西さんが演じる古賀は、やはり“陰”じゃないかと。
僕、家でモニタリングされていたら、「大丈夫?」と思われるくらいですね。
――そんなにですか!?
ある意味、古賀と同じで、古賀も小説に対しての執着がすごいじゃないですか。この芝居も、本当に執着しないとできないものだから、1ヵ月後の自分がどうなるのか楽しみですね。
※安西慎太郎さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは9月19日(木)です。(このプレゼントの応募は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
素敵なインタビュー記事をありがとうございます!安西さんの役に対する思いや考え方が沢山読めて、本当に楽しいインタビューでした。
「絢爛とか爛漫とか」、既に何度か観劇していますがこの記事を読んでから観るとまた少し意識を向けるところが変わってきそうだなと思います。
「COCOON 月の翳り星ひとつ」のお話も聞けて、アンジェリコのファンとしてとても嬉しかったです。
改めまして、素敵なインタビューをありがとうございました!
前半後半共に素敵な記事をありがとうございます。
「絢爛とか爛漫とか」観劇後に記事を読み返すと、また違った視点で受け取ることができ、2度楽しめました!そして、インタビューでも話題に上がっていた最後の長ゼリフは圧巻の一言でした……!
COCOONについてのインタビューでは、演じている時に安西さんが感じていたことの貴重なお話が聞けて、感激でした!
今後の記事も楽しみにしています。
COCOONのお話もきけて本当にありがたいです!
TRUMPシリーズが好きで、安西くん演じるアンジェリコを見て衝撃を受けました。まさに全身全霊で、命を削って演じているのが伝わってきて。見ている方も本当に倒れてしまうんじゃないかと心配でしたが、それほどの熱量で向き合い、演じてくれたことがとても嬉しかったです。
絢爛とか爛漫とかも見て参りました!
男性4人の戯れる姿がかわいくもあり、才能や嫉妬、羨望や執着、どうしようもない感情でぐちゃぐちゃになりながらも、とても「生きている」と感じました。
安西くんのお芝居はやっぱりすごいです!
最後の長セリフのシーン、すごくすごくひきこまれました。
観劇してからインタビューを読み返すのも、
いろいろわかって楽しいです。
絢爛とか爛漫とか拝見したのですが本当に本当に面白かったです。舞台上に4人しかいないのに目が足りなくなってしまったので何度か視点を変えてまた見てみたいと思います。
COCOONの話も始まる前のインタビューは多いですが終わってからの話は中々拝見できる機会がないのでとても良かったです。今まで路傍の石くらいどうでも良かったキャラクターが一番好きになるくらい安西さんのお芝居にただただ圧倒されました。安西さんが彼を演じてくれて本当に良かった。このインタビューを読んで更にその気持ちが強くなりました。ありがとうございます。
絢爛とか爛漫とかに加え、作品の性質上あまり取材がなかったCOCOONのお話まで聞いて頂きありがとうございます。
いつも全力でお芝居に向き合われている安西さんの、これまで以上ではないかという熱量が客席にも伝わってきた作品でした。それを経て安西さんの感じられたこともお聞きすることができて嬉しいです。
今までで1番ではないかと豪語される絢爛とか爛漫とか、鈴木裕美さんの演出も安西さんのお芝居も含め、楽しみにさせて頂きます!
後半のインタビューお待ちしておりました!
TRUMPシリーズは客席と舞台がある意味境がわからなくて、何日か演技というより役の感情に飲み込まれて世界観に対するパニックを起こすような感情を観劇中に起こす公演が何度かありましたが、演じる側の方がこれだけの熱量と感情をぶつけていたのなら、納得です。
絢爛とか爛漫とか初日おめでとうございます!
通うたびにいろんな目線で観ようとも思いますが、安西さんだけみても面白いとの事で、遠慮なく古賀カメラで観劇したいと思います(*ˊᵕˋ*)笑。