「青二才感はあると思います」、『絢爛とか爛漫とか』安西慎太郎インタビュー(上)

安西慎太郎さん=撮影・岩村美佳

舞台『絢爛とか爛漫とか』が2019年8月20日(火)から9月13日(金)まで、DDD青山クロスシアターで上演されます。舞台は昭和のはじめ、登場人物は4人の若き文士たち。あまたのカンパニーが繰り返し上演してきた作品を、1993年に初演を手がけた鈴木裕美さんが再び演出します。安西慎太郎さんが古賀大介役を、鈴木勝大さんが泉謙一郎役を、川原一馬さんが加藤常吉役を、加治将樹さんが諸岡一馬役をそれぞれ演じます。稽古がはじまって4日目、立ち稽古を始めた稽古場を訪れ、安西さんにお話を伺いました。

安西慎太郎さん=撮影・岩村美佳

安西慎太郎さん=撮影・岩村美佳

――稽古がはじまって、ご自身の感覚としては今どんな感じですか?

最初に思うのは(演出の鈴木)裕美さんの話ですが、本読みもそうですし、今日の立ち稽古を経て、こんな言い方を役者がするのはダサイんですが(笑)、個人的なことをいうと、とてもひとりの役者として学ぶことが多いです。一番は裕美さんの戯曲に対しての真摯な姿勢です。ひとつの物語を届けるにあたり、今必要なことをやっているのが、楽しいし、おもしろい。そういう風に裕美さんが思わせてくださるので、とても濃厚な時間を過ごしています。

――鈴木(裕美)さんとのお稽古を熱望されていましたね。

そうなんですよ。演劇を愛しているということは、すでに感じています。

――今まで、いろいろな舞台を経験されて、いろいろな演出家の方ともお仕事をされてこられたと思いますが、鈴木(裕美)さんは何がそんなに違いますか?

違いというよりも、どの演出家さんもやられていることではありますが、台本を丁寧に読み解くこと、戯曲に埋まっている“言葉”という宝物を掘っていく作業で精密に作り上げることはしたことがなかったので。そこが一番の違いですね。

――鈴木(裕美)さんとお話をされていて、「ここは!」と思うようなことはありましたか?

台本読解です。

――今まで普通になっていたけれど、役を演じるために紐解いていくときに、当然やるであろうことを改めて、本当に大事なことだなと思い返すような?

まさにそうです。舞台もそうですが、「本を読む」という読解力が一番大切なのではないかなと思っています。もちろん、必要なことはいろいろありますが、まずはこれができないといけない、ここからがスタートラインだと、すごく感じました。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、稽古場での共演者の間での役割分担や古賀大介役とご自身について伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。20日掲載予定のインタビュー「下」では、『TRUMP』シリーズの『COCOON 月の翳り星ひとつ』公演を終えてのお話なども伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■(4人は)とてもバランスがいいのではないか、必要なパーツをもった人たちが集まった

■和ませてくれるのは加治さん、僕は青二才感(笑)

■今までやってきた役のなかで一番自分に近い、パーソナル的な部分は少し近い

■(自分に近いタイプを演じるのは)難しい、逆に変な感覚になる

<『絢爛とか爛漫とか』>
【東京公演】2019年8月20日(火)~9月13日(金) DDD青山クロスシアター
公式サイト
http://kenran.westage.jp

<関連リンク>
舞台『絢爛とか爛漫とか』
http://kenran.westage.jp
安西慎太郎オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/anzaishintaro/
安西慎太郎staff Twitter
https://twitter.com/anzaistaff

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安西慎太郎さん=撮影・岩村美佳

安西慎太郎さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■(4人は)とてもバランスがいいのではないか、必要なパーツをもった人たちが集まった

――演じることや、役者としての根本を改めて思い返す時間にもなりそうですね。

なりましたし、いい意味で、自分は不足しているものが多いなと感じています。いろいろなことを知らなさすぎる。そう認識できたから、少し前に進める感じはしています。

――ここからきっと、鈴木(裕美)さんとやっていくなかで、いろいろな発見があるでしょうね。

そうですね。

――4人で揃って稽古をして、改めて戯曲に取り組んで、いかがですか?

僕が言うことではないですが、とてもバランスがいいのではないかと感じています。裕美さんが作るひとつの物語を届けるにあたって、必要なパーツをもった人たちが集まった感じはありますね。たとえば、ひとりひとりおもしろいです。それぞれのおもしろさがあります。

安西慎太郎さん=撮影・岩村美佳

安西慎太郎さん=撮影・岩村美佳

■和ませてくれるのは加治さん、僕は青二才感(笑)

――たとえば、「場を盛り上げるのはこの人」というような役割分担はありますか?

盛り上げるというよりも、和ませてくれるのは加治さんです。あと、裕美さんもですね。和ませるというよりは、場を作ってくださるので。

――そのなかで、安西さんはどんな立ち位置ですか?

僕はまだなにも……どうなんだろうな(少し考えこむ)。青二才感はあると思います(笑)。

――青二才感(笑)。4人のなかで一番年下ですね。

「がんばれよ」という感じはしますね。

――鈴木(勝大)さんや川原さんはいかがですか?

鈴木さんは、めちゃくちゃ頭がいい方だと思います。

――じゃあ、本当に役にぴったりですね。

人格というよりも、きっとすごく考えるタイプの方なのかなと思います。

――取材会のときも、「動」ではなく「静」という感じがしましたね。

そうですね。

――川原さんはいかがですか?

一馬くんは、僕が19歳のときに『合唱ブラボー! 〜ブラボー大作戦〜』という作品で共演させていただいたことがあって、見た目でいうと不思議な空気感がある人だなと思いますが、とても芯があって力強い人だなと思います。

安西慎太郎さん=撮影・岩村美佳

安西慎太郎さん=撮影・岩村美佳

■今までやってきた役のなかで一番自分に近い、パーソナル的な部分は少し近い

――4者4様の色になりそうですね。演じる役もそれぞれ違うタイプの役ですが、改めて古賀役としては、どう取り組みはじめていますか?

取り組みとしては、本に執着すること。本に執着してやめないこと。まだはじまったばかりですが、まず一番大事だと思います。古賀も文士なので、言葉に対しての敏感なところがあるので、そこは大切にしていきたいなと思います。

――常に言葉をつづる文士が発する言葉は、自分が友達や仲間たちと話しているときと違うなと思いますか? 取材会では、男4人が集まればこういう話になるんじゃないかというお話もありましたが。

どうだろう? 使っている言葉自体は普段と違うものなのですが、結局わちゃわちゃしたり、ケンカしたりとか、男はバカだなと思うところは変わらないのかなと思っています。

――逆に、この言葉は難しいなとか、自分にとってはこういう風に思うことが難しいことなどはありますか? 今まで演じてきたキャラクターのなかでも、割りと新鮮に映ることとか。

今までやってきた役のなかで一番自分に近いと思っています。周りの方がどう思っているかわかりませんが、パーソナル的な部分は少し近いんじゃないかと。

――どの部分が?

まず、うだうだしているところ(笑)。

――(笑)。

「やればいいじゃん」ということ、まず行動に起こすことができないわけではなく、古賀は全然出来ないタイプなので。

――そうですね。

僕も割りと近いところがあって、思うことがあっても、亀みたいに甲羅のなかにひっこんでしまうところはあります。あと、「才能がない」と思っているところは、僕も毎日感じていることです(笑)。

――ポジティブ思考ではなく、ネガティブ思考ですか?

ネガティブというか……。

――自分に厳しいとか?

なにかが起こったときのモードに入る感じが「あ~」ってなる。たとえば、誰かにムカつくようなことを言われたら、その閉じこもり方が一緒なんです(笑)。そういうところが、所々にありますね。まだ全体的に作り上げている状態なので、もしかしたら「全然違った」となるかもしれませんが、現段階ではそう思っています。

安西慎太郎さん=撮影・岩村美佳

安西慎太郎さん=撮影・岩村美佳

■(自分に近いタイプを演じるのは)難しい、逆に変な感覚になる

――自分に近いタイプを演じるのはどうですか?

逆にそれが難しいのではないのかなという感じがします。

――共感度が高い方が演じるのは難しい?

逆に変な感覚になるんです。

――例えば役が言われているのに、自分に言われている感じとか?

それもありますね。変に役が自分に近いと思いすぎてしまって、そこで思考が止まってしまいそうなのも怖いなと思います。「自分に似ているから、こうだよね」という概念を作ってしまうのが怖い。

――知らない感情だと、いろいろなところから疑っていったり、考えて構築したりするところを、「こうだ」と決めつけてしまう感じなのでしょうか?

割りと、変に腑に落ちてしまうから。納得はしますが、それをどういう形にしていくのか。思考を止めてしまわないようにと思っています。

安西慎太郎さん=撮影・岩村美佳

安西慎太郎さん=撮影・岩村美佳

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“「青二才感はあると思います」、『絢爛とか爛漫とか』安西慎太郎インタビュー(上)” への 3 件のフィードバック

  1. ゆい より:

    この度は素敵な記事をありがとうございます、いつも楽しく拝見しております。
    安西さんは役の特徴や物語における役割を深く追求されたうえで、物語の登場人物に「人間らしさ」を付加させるのがとても上手な印象だったので、最近演じられた中では恐らく最も普通の人間らしいであろう古賀という役に、固定概念を持ってしまいそうで怖いという感覚をもたれていたのが意外でした。
    安西さんらしい「役に対して思考を止めてしまわないように」という言葉が聞けたのがとても嬉しいです。
    深く掘り下げられたインタビューをありがとうございました。これからも素敵な記事を楽しみにさせていただきます。

  2. かえる より:

    素敵なインタビューをありがとうございます。
    安西くんの役作りやお芝居に対する考え方がとても好きで、インタビューを読むたびにいつも素敵な役者さんだなぁと感じます。
    深く掘り下げて訊いてくださっているので、そこに真剣に考えて向き合って答える姿や、言葉を聞くことができて、とても嬉しく思います。
    お写真も素敵です。(下)の記事も楽しみにしています。

  3. みほこん より:

    役が自分に近いと普通はそこを強みに感じるのが自然で、そこで思考が止まってしまいそうだと言う安西さんがとてもらしいというか、大好きなところです。
    似ているから、こうだではなく、その物語のその役そのものを演じようとするが所以かもしれないですね。
    素敵な記事をありがとうございました!記事これからも楽しみにしています。舞台も楽しみです。

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