難病の赤ちゃんが自ら移動できる遊具、学生が開発

脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy: SMA)という難病をご存知でしょうか?運動神経細胞の病変によっておきる筋委縮症です。小児期に発病するⅠ型は重症型で、運動発達が停止し、体幹を動かすこともで出来ません。体の自由を奪われた状態です。Ⅰ型は、出生2万人に対して1人前後と日本では言われていますが、米国では6000人に1人という数字が出ています。

そんな病気をもってい子どもたちのために、グランドバレー州立大学の学生たちがPlay and Mobility Device プレイ&モビリティーデバイス(遊具・移動器具)を開発しました。(2015年2月19日PRweb 発表)

ビデオに登場している生後16か月のライラちゃんも、SMAⅠ型の患者です。これまで自分の体を自分でコントロールしたことがありません。でも、この移動器具に乗り込めば、ジョイスティックを触るだけで、行きたい方向に行けます。お兄ちゃんを追いかけることさえ出来るんです。普段はライラちゃんが運転しますが、緊急の時には、見守っている大人の手元の機械でコントロールできて安心です。

ライラちゃんのお母さんは、「ライラはこれまで自分で自分の体を動かしたことがないので、最初はとても怖がってたの。でもすぐにうまく使えるようになって、初めて自分の意志で行きたい方向へ動いて、生まれて初めての自由を味わってる」と話します。

The project is funded through a five-year, $180,000 grant from the National Science Foundation for students and faculty members to create specialized devices for people with disabilities. (プレスリリースの英文)

このプロジェクトには、5年間、アメリカ国立科学財団から180,000ドルの資金が提供されます。障害のある人たちに特殊化した器具を作る学生や教師が利用できる資金です。(翻訳)

“Lylah is very verbal and smart, but has no ability to move herself,” said Lisa Kenyon, associate professor of physical therapy, who, along with a group of students majoring in physical therapy, is working with Lylah to use the device. (プレスリリースの英文)

「ライラちゃんは言葉もよく話せて頭のいい子ですが、体の自由は全くききません」と、リサ・ケニヨン准教授は語ります。理学療法を専攻している学生のグループと、ライラちゃんのためのデバイスを作っています。(翻訳)

☆smart 和製英語では、「やせている」、「すらっとしている」という意味ですが、英語で人を形容する場合にはまず、「頭がいい」「利口な」という意味になります。他にも「おしゃれな」「格好いい」「きびきびした」という意味にもなります。ライラちゃんを形容するのに、言葉は出るけれど、体が動かせない障害があるということでしたので、無難に「頭がいい」と訳しました。

Kenyon said the ultimate goal is to help Lylah become qualified to get a power wheelchair, which can start at $10,000. Insurance companies require proof that individuals can drive a wheelchair and the Play and Mobility Device is helping Lylah and her family gather proof that she can control a device of her own. (プレスリリースの英文)

ケニヨン准教授は、究極のゴールは、ライラちゃんが、電動車椅子を使えるようになることだと言います。電動車椅子は1万ドル以上かかり、保険会社に使用を認めてもらうには、本人がちゃんと車椅子を操作できるという証明が必要です。プレイ&モビリティーデバイスに乗れれば、ライラちゃんがこうした器具を自分でコントロールできるという証拠になるというわけなのです。(翻訳)ライラちゃん

これまでにも特殊な障害を持つ子どものために、デバイスを開発してきたグランドバレー州立大学の学生たち。ライラちゃんの症状に合わせて改良を重ねてきました。学生たちにとっても、障害のある子どもが、嬉しそうに自分たちの作った器具を使っているところを目の当たりにして、モチベーションが高まり、やりがいを感じているようです。

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