「息でニュアンスを」、『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』大貫勇輔インタビュー(上)

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

筒井康隆作・伝説のミリオンセラー『富豪刑事』(新潮文庫刊)をTVアニメ化した『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』が、2020年4月9日(木)25時10分から(レギュラー放送は24時55分から)フジテレビ“ノイタミナ”ほか各局で放送されます。声優として主人公・神戸大助役で出演する大貫勇輔さんにインタビューしました。上下に分けて2日連続で掲載し、「上」では合同インタビューの全文を、「下」ではアイデアニュース独自取材インタビューの全文をご紹介します。

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

--声優のお仕事、いかがですか?

僕は、もともとはダンサーなのですが、舞台やミュージカル、映像のお芝居をやらせていただくなかで、声だけの仕事というチャンスが目の前にやってきて、ぜひチャレンジしたいと強く思いました。オーディション前に、声優のレッスンに行くと、今まで知らなかったテクニックがあって、とても発見と驚きがありました。オーディションに受かり、実際にやるとなったときは不安もありましたが、楽しみの方が強かったです。

『キャッツ』の吹き替えをやって、声優の難しさをすごく感じました。今までは、自分が役として歌っていればよかったのに、「歌っている人」に合わせて自分が歌わなければいけない。最初は難しかったですが、だんだんわかってくるとおもしろさがあって、楽しんでできました。

そして、今回初めてアニメの声優を務めるということで、意識的にアニメを観るようになりました。すると、実際にはアニメーションの顔の表情は動いていないのに、声優さんの声によって表情がより豊かになっているように感じたんです。これがプロの声優の仕事なんだと気付いてから、自分でも、いかにアニメの映像に声で「生きている感」を出せるかというのが、とても大事なポイントだなと思いながら、吹き込みをさせてもらっています。

他の先輩方が素晴らしすぎて、落ち込みそうになったり凹んだりしますが、素晴らしい作品なので、いい作品にしたいという気持ちの方が強いです。失敗を恐れず、挑戦心を失わず、自分なりにいろいろトライしてみようという気持ちでやっています。

--俳優として映像に出るのと、声優とでは違いますか?

違うと思います。映像だと、他の部分が使えるじゃないですか。例えば、声のトーンでは嘘をついているけれど、顔では本当のことが出てしまっているとか。声優は、声で裏と表がある、ただひとつの感情ではない言葉の裏にあるものを声の質感などで表さなくてはいけなくなるので、大きく違うと思います。

--『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』という作品については、いかがですか?

筒井先生が描かれたのは1978年で当時の時代設定ですが、今回は現代を舞台に移した作品となっています。「ガジェット」などの最先端技術で可能なレベルのものが毎話登場します。それが『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』のひとつのおもしろさなので、演出の一つとして楽しんでいただけるかなと思います。

また、結構な大金をさらっと払ってしまうかっこよさ。神戸財閥の力なんですが、それが妙にかっこいいんです。宮野真守さん演じる加藤春と「バディ」と言われていますが、最初は全然バディじゃなくて。その凸凹コンビが、バディへと徐々に成長し、いろいろな謎が解き明かされていくのも、おもしろいところです。台本をいただいて読むと、「へぇ、こうなるんだ」と僕自身もやっていて楽しみながら、毎話アフレコしている感じですね。

あとは、菅野祐悟さんの音楽がめちゃめちゃ好きで、すごくかっこいいんですよね。決め台詞というか、シーンの展開が結構スピード感があって、そこでかっこいい音楽が入ってくるとテンションが上がります。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』で大貫勇輔が演じる主人公・神戸大助という人物像について、加藤春役で共演する宮野真守さんについて、作品の見どころなど、合同インタビューで出たお話の全文と、独自撮影の写真を掲載しています。4月9日(木)掲載予定のインタビュー「下」では、さまざまな現場を経験して変わったことと変わらないこと、印象に残っているアニメ作品や漫画、舞台作品を含めて読者に伝えたいことなどについて伺ったアイデアニュース独自インタビューの全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■神戸大助は、究極のマイペース、人から影響を受けない天然な人物

宮野真守さんは、『DEATH NOTE』でファンになった大尊敬する先輩

■声優は、息の分量、吸い吐き、漏れなどで、ニュアンスを出す

■同じ動きをすると同じ息遣いになるので、声を出すときに体を使う

<TVアニメ『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』>
フジテレビ“ノイタミナ”ほか各局にて2020年4月9日(木)25時10分から放送開始(レギュラー放送は24時55分から)
公式サイト
https://fugoukeiji-bul.com/

<関連リンク>
大貫勇輔ホリプロオフシャルサイト
https://www.horipro.co.jp/onukiyusuke/
大貫勇輔オフシャルファンクラブ
https://fc.horipro.jp/yusukeonuki/
大貫勇輔 YusukeOnuki official Twitter
https://twitter.com/FCyusuke_onuki
大貫勇輔 Instagram
https://www.instagram.com/yusukeonuki_official/

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大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

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■神戸大助は、究極のマイペース、人から影響を受けない天然な人物

--神戸大助という人物については?

本当に「お金でなんでも解決できる」と思っている、究極のマイペースというか、人から全然影響を受けない人間です。加藤が言うことを全部無視するというわけではありませんが、自分のテンポで物事を進めていく人で、浮世離れというか、天然で知らないことが多くて、そこがギャップ萌えじゃないですが、かわいらしいと思える人物です。

--そういう独特のかいわらしさを演技で表現するということですね。

そうです。でも、意図せずかわいくなってしまう系なので、あえてかわいくしているわけではなくて、大助として自然にしていると、結果的にかわいく見えるみたいなところがありますね。

--究極のマイペースとおっしゃられていましたが、ご自身と似ている部分はあったりしますか?

自分では分からないのですが、よく周りから「貴族っぽい」と言われます。

(一同笑)

一見クールで喋らなさそうだとか、貴族っぽいだとか、大助と似ているところがあるんじゃないかと思われるかもしれません。でも、実際の僕は、全然似ていないですね。僕は、喋るのが大好きな人間で、どちらかというと空気を読むタイプでもあるので、あまり似ていないかなと(笑)。

--自分と逆のタイプを演じる感じでしょうか?

そうですね。大助は人の話を聞かないんですよ。僕は、人の話をきちんと聞くタイプなので(笑)。そこのバッサリ感。ある意味、残酷というか、クールなところは、かなり自分とモードが違うので、演じていておもしろいところです。最初の3話は、舞台の関係もあって、皆さんと一緒にアフレコができなかったんですよ。4話目から一緒でしたが、お芝居はやはりキャッチボールだなと思いました。台詞を投げられたときに、パンとはたく。お芝居はキャッチボールが大切なので、そのキャッチの仕方をすごく意識するようにしています。

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

宮野真守さんは、『DEATH NOTE』でファンになった大尊敬する先輩です

--バディを組む宮野さんとのシーンも多いと思いますが、一緒に演じていかがでしたか?

僕が宮野さんを初めて知ったのは、『DEATH NOTE』の夜神月です。アニメを観ていて「この人の声かっこいいな」と思って、初めて声優の方の名前を調べたら宮野さんでした。それからバラエティ番組でも拝見していて、素敵なお人柄で多方面に活躍されている方ですごいなと思って気づいたらファンになっていたんです。今回バディでご一緒できて本当に嬉しいです。

ファンであり、大尊敬する先輩であり、みたいな感じです(笑)。この前、「声優で一番大事なことはなんですかね」と聞いたら、「慣れが一番大事だと思うよ」というお話をされていました。宮野さんは声優歴が今年で19年目だそうで、「やっと最近、慣れてきたんだよね」とおっしゃっていたので、「じゃあ、俺どうすればいいの?!」と思いました(笑)。

(一同笑)。

本当に親切な方で、いろいろ教えてくださるんですよね。「声優」という軸を持ちながら、いろいろなことをされていて、僕は「ダンス」というものを軸にして、いろいろなことをしているので、分野は違えど共通点というか考え方が似ているところがたくさんあって、お話ししていると「そうだよね」とお互いにうなずき合うことがあったり、一緒にいて本当に楽しい先輩です。

--仲良くされているんですね。

はい。宮野さんが先輩ですが、すごく気さくに僕に話しかけてくださるので。皆さんと初めてアフレコするときは、めちゃくちゃ緊張していたのですが、宮野さんがいろいろ話しかけてくださって、少し緊張が和らぎました。声優ならではというか、分からない言葉があったりするんですよね。リハーサルが終わったあとに「ここは、こういう風にします」と言われたときに「今のなんだろう」みたいな。そういう専門用語も「こうだよ」と丁寧に教えてくださったりして、すごくありがたくて感謝しかないです。

--いい出会いですね。

1話、1話でどれだけ盗めるかというのを、すごく意識していて、皆さんがアフレコをしているときに、どんな風に体を使っているかや、どういう絵のときにどういう声を当てはめるのかななど、必死に見て、聞いています。

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

■声優は、息の分量、吸い吐き、漏れなどで、ニュアンスを出す

--舞台やドラマと違うという声の使い方、もう少し具体的に伺えますか?

舞台は広い空間で、マイクによっても声の出し方が変わるんですが、発声のニュアンスが変わってきます。スケールの違いで声量が違います。映像は自然な喋りですね。声優の場合は、息のニュアンス。あとはその役の、大助のときには自分が普段喋っている声よりも少し低い声で喋ったりするので、ここのポジションで、どれくらいの息を混ぜるかなど、息の量でニュアンスを出します。あとは、息を吸うときの息を吸う音、終わりの「〜だった」の「あ(というため息みたいな音)」を入れるのか、「〜だった」と止めるのか、というような息の分量、頭や間、終わりの息の吸い吐き、入れ、漏れをするかしないかなど、というのが、アフレコをするときに気をつけているところですかね。

--声のお仕事以外では、そこまで息に集中しないということですか?

そうですね、あまり息の量は意識していないかもしれないですね。

--技術職ですね。

本当にそうだと思います。正直、他のプロの先輩方たちが何をどうやっているのかは、はっきりとは分からないんですよ。もう、すごい!としか(笑)。

(一同笑)

なんだか分からないけど、すごい!みたいな(笑)。目を閉じていると、どういう顔をしているのか本当に絵が浮かぶんです。だから、それは日々考えて自分で試してみて、というような段階です。

--逆に今、声優さんたちが舞台の仕事をされることも多いですよね。

宮野さんが「声ではこんなに表現できるのに、体がどうやったらそこにいくのかが分からない」とおっしゃっていたときがあって、おもしろいなと思いました。僕は、逆に体では表現できるのに、声はどうやって出せるんだろうと。ある意味、同じことを体験していたんです。声優の方々は声の持つパワーがすごいので、歌ったりすると、やはり情景が浮かびます。そういう声のパワーはあると思いますね。

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

■同じ動きをすると同じ息遣いになるので、声を出すときに体を使う

--舞台俳優やダンサーとしての活動が、声優をする上で活きたことはありますか?

『キャッツ』のときに体感したんですが、実際に動くと声がバウンスしたりするんですよね。だから、映像と同じような動きをすると、同じような息遣いになるので、実際に声を出すときに体を使うということでしょうか。あとは緊張しているときには本当に体を硬直させるとか。それは宮野さんもおっしゃっていて、「全く同じことをしてる」と思って嬉しかったです。

目の前でやられたときにめちゃくちゃ感動したのは、食べているときや携帯を挟んでいるときの声です!(笑)。体を使うことによって声がリアルになるというところは、生きていると思います。

--神戸大助は感情の振れ幅があまりないキャラクターなのかなと思うのですが、そういう役を演じる難しさはいかがですか?

度合いが難しいなと思っています。最初にリハーサルがあるのですが、1回やって、監督から「ここのときは、もう少し感情を出してみようか」「ここはもう少し抑えてみようか」「もう少しクールに」など、そういうことを細かく指示していただけるので、それを形にして、微調整しながら毎回やっている感じです。感情が分かった方がいいときと、分からない方がいいときの両方があるので、「こういう方がおもしろくなるよね」ということも含めて監督のディレクションをしっかり聞いて、それに合うような声を自分で作る感じです。

--感情が分からない方がいいときもあると。

僕自身、結構優しくなりがちだなとアフレコをしながら思うので、もっとクールにやった方がいいんだなと思っています。見下している感じの声を結構意識して作っているかもしれないです。

--あらためて、この作品を観る方へのメッセージをお願いします。

1話1話で、ちょっとずつ謎の部分が多い作品です。情報を少しずつ出して「あ、これこうだったんだ」と、毎話驚きと発見があるという面白味もありますし、最先端技術のガジェットと、お金で難事件を気持ちよく解決していく爽快感、そして加藤春や他の現対本部のみんなとの関係でクスッと笑えるようなものがあり、かっこいい音楽が入ってきたり、本当にスピード感・爽快感がある作品だと思います。そういうところを楽しんでいただけたらなと思います。

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

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