「タップに限らず、昨今ではすごく踊っている感じ」、 朝夏まなと&実咲凜音対談(下)

朝夏まなとさん(右)と実咲凜音さん(左)=撮影・岩村美佳

東京のシアター・クリエで、その後、愛知・大阪・大分・佐賀で上演されるミュージカル『モダン・ミリー』に出演する、 朝夏まなとさんと実咲凜音さんの対談インタビュー、後半です。コメディミュージカルとしての面白さや、ミュージカルナンバーの魅力などについて伺いました。また、今だからこその舞台にかける思いも語ってくださっています。

※編集部注:新型コロナウイルス感染症拡大にかかわる政府及び東京都の方針等を踏まえ、政府より「緊急事態宣言」が発出されたことを受け、お客様の安全を第一と考え、シアタークリエ公演から全国ツアーまで全公演中止されることが、4月8日に発表されました。中止によるご入場券の払戻しにつきましては公式サイトをご確認ください。
https://www.tohostage.com/cancel2020_7.html

朝夏まなとさん(右)と実咲凜音さん(左)=撮影・岩村美佳

朝夏まなとさん(右)と実咲凜音さん(左)=撮影・岩村美佳

――コメディでハッピーな作品だと、チラシビジュアルから伝わってきますが、伺っているとキャラの濃さから来る面白さなのかなと。どんな感じのコメディでしょうか?

朝夏:稽古中なので全貌がまだ見えていないのですが、今までやってきたなかでいうと、キャラクターが濃いから、その人たちのやりとりで、真剣にやっているんですが面白いとか、英語では笑いどころだったのが、日本語ではうーんというところを、どう持っていくかというところが、割と難しいなと思いました。「コメディでバーンと面白いことをやって笑わせます」ではなくて、台本にある笑えるようなセンテンスをちゃんと拾って、緻密にやっていかなければ難しい。それをさらっとやって見えることで、お客さまのクスッとした笑いがあるのかなと。そういうのが結構多いよね。

実咲:確かにそうですね。台本の台詞自体にも、それぞれが言葉を発していることに裏はないんですよね。だからその分、私の役ならば「どうして女優になりたくて来たのか」みたいなことが、皆さんそれぞれにあって、そのうえで台詞を喋って、ちょっと面白く見える。そのぐらいにならないとダメということですよね。

朝夏:そうそう。

実咲:あんまりやってしまうと、軽くなってしまう。

朝夏:やはりアメリカンなというか、ブロードウェイ・ミュージカルという感じなんですよ。でもそこに、(小林)香さんが意味合いを見つけようとされています。やはりミリーが田舎で育っていた時に、自分のお祖母ちゃんやお母さん、自由がない女性たちを見ているから、その世の中を変えたい、私は玉の輿に乗ってお金持ちになれば変えていける、女の権利や女性が強くあるべきだ!と思って来ている。今、アメリカでは#MeToo運動が巻き起こってますが、そのはしりの時代ですから、女性が強くあるシーンなどに意味合いを持たせようとされているので、男に屈しないと思いつつも、最終的に真実の愛を目指すという、そこのバランスを今私も悩んでいますね。

――強いだけじゃないぞ、というところ。

朝夏:そうなんです。バブルの時に「3高」の男を狙うには、良い大学に入って、良い会社に入って、OLになって出会うしかなかったみたいなことで、自分のスキルも上げて玉の腰に乗りたい、そういう女性はいっぱいいたから。ただそれを今の時代にやるのに、どう共感してもらえるのかを悩んでいますね。

<取材協力>
朝夏まなとさんヘアメイク:タナベコウタ
朝夏まなとさんスタイリング:加藤万紀子
実咲凜音さんヘアメイク:長野一浩(MARVEE)
実咲凜音さんスタイリング:Yoshino
・ホワイトノースリーブワンピース 26,000円+税/ottod’Ame (ストックマン 03-3796-6851)
・ブルーパンプス 17,500円+税/ダイアナ(ダイアナ 銀座本店 03-3573-4005)
・ピアス 28,000円+税/STAR JEWELRY(スタージュエリー表参道店 03-5785-0201)

※アイデアニュース有料会員限定部分には、この作品のテーマやミュージカルナンバー、タップについてのお話のほか、いろいろと難しい「今」、表現を届けるお仕事を選んでいるおふたりが思っていることや伝えたいことを語ってくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

実咲:ドロシーは本当の愛は何かを見つけに来た、やはりテーマは愛

■朝夏:(タップは)無我夢中、良いナンバーたくさんあります

■朝夏:上演できますように!(パン!と手を合わせる)

■実咲:この作品で良かった、自分も助けられている

■朝夏:舞台で助けられることって絶対に何かある。今自分はやれることをやるしかない

■実咲:舞台に立たせてもらうことは当たり前ではないと、実感しています

<ミュージカル『モダン・ミリー』>
【東京公演】2020年4月7日(火)~4月26日(日) シアタークリエ
【愛知公演】2020年4月29日(水・祝)~5月1日(金) 御園座
【大阪公演】2020年5月4日(月・祝)~5月6日(水・祝) 新歌舞伎座
【大分公演】2020年5月13日(水) iichiko総合文化センター iichikoグランシアタ
【佐賀公演】2020年5月16日(土)~5月17日(日) 佐賀市文化会館
※全公演中止となりました
公式サイト
https://www.tohostage.com/modern_millie/

<関連リンク>
朝夏まなとオフィシャルウェブサイト
https://asakamanato.com/
朝夏まなと東宝芸能プロフィール
https://www.toho-ent.co.jp/actor/1040
朝夏まなとオフィシャルinstagram
https://www.instagram.com/asaka_manato_official/
朝夏まなとマネージャーTwitter
https://twitter.com/asakamanatomg
実咲凜音ホリプロオフィシャルサイト
https://www.horipro.co.jp/misakirion/
実咲凜音オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/mirion-misaki/
実咲凜音instagram
https://www.instagram.com/misaki_rion/

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朝夏まなとさん(左)と実咲凜音さん(右)=撮影・岩村美佳

朝夏まなとさん(左)と実咲凜音さん(右)=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

実咲:ドロシーは本当の愛は何かを見つけに来た、やはりテーマは愛

――今の女性は本当に自立して、自分の足で歩きますもんね。そこに愛が要るのかというところですよね。

朝夏:そうなんです。

――実咲さんは、そのあたりはどう思いますか?

実咲:私はそもそも、いろいろお話してしまうと、ネタバレしちゃうんですが、ドロシーはミリーとは違った育ち方をした人で、彼女は彼女で何かを、自分の周りにはいろんなものがあるけれど、本当の愛は何かというものを見つけに来たというところがあるのかなと。やはりテーマは愛です。私も愛でした(笑)。

朝夏:みんな愛ですよ! それを“自分で”選ぶ。だって、あっちじゃなくてあっちじゃん。

実咲:そうですよね。

朝夏:あのナンバー、なんやったんやっていう(笑)。

実咲:情熱的なのはなんやったんや、っていう。

朝夏:すみません、うまく言えなくって(笑)。

――最後まで言っちゃうと面白くなくなっちゃいますもんね?

朝夏:ごめんなさい(笑)。

――今仰っていた「自立と愛」というところが、どう描かれるかはお楽しみですね。

朝夏:そうですね!

実咲凜音さん=撮影・岩村美佳

実咲凜音さん=撮影・岩村美佳

■朝夏:(タップは)無我夢中、良いナンバーたくさんあります

――ミュージカルナンバーはいかがですか? タップがありますよね。

実咲:私、思ったより踊っていない!

朝夏:全然やっていないね、1回だけ。

実咲:ほんの8小節ぐらい。まぁさま(朝夏)は踊っています!

朝夏:タップに限らず、昨今ではすごく踊っている感じがします。

――昨今は歌っていましたもんね。去年の『MANA-HOLIC』以来ですか?

朝夏:そうですね。今回は、チャールストンなど、時代時代の踊りがあるから、すごくリズムが面白いですし、振りもそれに合っていると感じます。タップのシーン、良いよね。女性の自立のところです。

実咲:2幕の頭のところですね。

朝夏:ほかの女子たちも超迫力がありますよ。

――女性役でのタップって何か違いますか?

朝夏:靴が違います(笑)。でも、踏み方に変わりはありませんでした。

――なかなか両方される方っていないですよね。男性がヒールを履いてタップを踏むことってなかなかないでしょうし。

朝夏:加奈子さんに「足圧が強いね」って言われました。それは男役で踏んでいた過去があるからかなと思いましたが、褒め言葉ととっています(笑)。

――なるほど(笑)。実咲さんは、横で見ていていかがですか?

実咲:タップ、すごく素敵ですよ。男の靴とヒールだと、面積が違うからちょっと音が…と仰っていませんでした?

朝夏:そうそう! ヒールだから、踵のチップが小さいから。

実咲:男性靴だと、大きいですからね。

――鳴らし方が全然違うんですか?

朝夏:やってみたら一緒でした。(実咲も)もっとあったら良かったね。

実咲:見ているだけでも楽しいです。タップは、見ているほうがいいですからね。涼し~い顔してやっていても、実際はもう…。

朝夏:無我夢中だよ。足の裏、めっちゃ痛いから。

実咲:足の裏は痛いし、何だか変な筋肉は使うし、みたいな、難しいところがあります。

朝夏:でもすごくバレエを踊りますから。

実咲:あはは! あれをバレエと仰いますか?

朝夏:バレエでしょ。トウ(シューズ)は履かねども。

実咲:トウは履かねども(笑)。確かに爪先で、あれは無理です(笑)。

朝夏:パディシャはした。

実咲:確かに久し振りにあんなにパディシャはしましたね。1年ぶりですね。

朝夏:パ・ド・ドゥじゃん。

――じゃあおふたりとも1年ぶりに踊るという感じですね。踊りも楽しめて、ナンバーも楽しめて。

朝夏:良いナンバーたくさんありますよ~!

朝夏まなとさん=撮影・岩村美佳

朝夏まなとさん=撮影・岩村美佳

■朝夏:上演できますように!(パン!と手を合わせる)

――春にちょうど良いですね、明るくなった季節に。

朝夏:上演できますように!(パン!と手を合わせる)

実咲:本当にそうですよね…。

朝夏:(願うのは)それだけです。

■実咲:この作品で良かった、自分も助けられている

――いろいろと難しい昨今ではありますが、公演を心待ちにしている皆さんにメッセージをお願いします。

朝夏:これは劇場に来たらね…。

実咲:元気になれますよね。

朝夏:元気になるし、笑顔になれると思います。見応えがある作品にしたいですね。キャストの人数もシアタークリエにしては多くて、本当に所狭しと人がいて、舞台からのエネルギーがすごいと思うんです。そういう時代の転換期に生きている人たちのエネルギーは、きっとお客さまに伝わると思いますので、それをもらいに来てください。

実咲:この時期にこの作品で良かったですよね。

朝夏:すごくわかる!

実咲:そういう意味では、この作品に自分も助けられているなと思います。

朝夏:うんうん。

実咲:上演できると信じて、お客様にも笑顔になっていただけるように。カンパニーのみんなも明るいですしね。

朝夏:うん! 本当に明るい。

朝夏まなとさん(左)と実咲凜音さん(右)=撮影・岩村美佳

朝夏まなとさん(左)と実咲凜音さん(右)=撮影・岩村美佳

■朝夏:舞台で助けられることって絶対に何かある。今自分はやれることをやるしかない

――読者の皆さんも、今いろいろなことを思っていると思うので、表現を届けるお仕事を選んでいるおふたりが、今思うこと、伝えたいことがありましたら、お聞かせください。

朝夏:そうですね…。私にできることはこれしかないので…。本当に、どうしたらいいかわからない人はたくさんいると思いますし、観たいのに観られない、やりたいのにできないというのは本当に辛いと思うんです。私は今稽古中なので、先は見えないですが、まだある程度救われているというか。(舞台ができないという)その事に直面していないので。その方たちの測り知れない思いなどは想像でしかないですが、でもやはり、舞台で助けられることって絶対に何かあると思うんです。震災の時や天災の時などもそうですが、やはり、やる意義は絶対にあるので、本当に早く収束してほしい。それだけですし、今自分はやれることをやるしかないですね。

■実咲:舞台に立たせてもらうことは当たり前ではないと、実感しています

実咲:そうですよね。途中で公演ができなくなってしまった方々もたくさんいらっしゃいますし、初日が延びてしまったり、これだけやってきたのに立てる場がないとか、延期になってしまってすごく悔しいとか、観ていただけない悲しい気持ちもあると思うのですが、やはりネガティブにだけなっていてもいけないというような気持ちがあります。舞台に立たせてもらうことも当たり前ではないということが、やはり口ではいつも言いつつ、こういう時にこそ自分たちもより実感しています。

朝夏:本当にそれはありますね。

実咲:お稽古中で、これから初日にあたっては、本当に舞台が無事に開けられて、皆さんも予定通りに観に来られることができたら、と祈るのみだなと思います。だから、できることを精一杯やるしか、今は本当にないですね。

――舞台が大好きな皆さんのエネルギーを、むしろ今強く感じますね。

朝夏:いろいろな方たちが今も溜めていると思うので、きっとそのエネルギーが爆発する時が来るでしょう!

朝夏まなとさん(右)と実咲凜音さん(左)=撮影・岩村美佳

朝夏まなとさん(右)と実咲凜音さん(左)=撮影・岩村美佳

※朝夏まなとさんと実咲凜音さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは5月1日(金)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

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“「タップに限らず、昨今ではすごく踊っている感じ」、 朝夏まなと&実咲凜音対談(下)” への 5 件のフィードバック

  1. ちゅん より:

    朝夏さん実咲さんそしてアイデアニュース様、楽しいお話ありがとうございます!

    私は逆に、身体的な傷病より精神的な疲弊の方が根治難しいと思うので、経済も劇場も球場も回してほしいです。
    こんな元気な子(作品)が生まれないまま死んでしまうなんて…。

    劇場で待っています。

  2. sunandmoon33 より:

    後半の記事もたっぷり読み応えあり、嬉しく拝見しました。後半も素敵なお写真沢山ですネ。
    ミリーもドロシーも愛がテーマ、それぞれに気づいていくことがあるんですネ。どんな風に変化していくのかが楽しみです。
    そして朝夏さんが沢山踊られているとのこと、ワクワクします。パワフルな出演者の皆様と創られるモダンミリーの舞台がどうか開幕しますようにと心から祈っております。
    日々刻々変化する状況の中ではありますが、いつか収束した暁には舞台好きのパワーと愛で朝夏さん始めカンパニーの皆様を応援したいと思います!!!

  3. ぴぴ より:

    お二人の言葉にすごく励まされました。
    朝夏さんと実咲さんの素晴らしい表現力にいつも元気を貰い、勇気づけられています。
    ずっと楽しみにしていた公演なので、観劇してさらにパワーをもらいたい!です!
    暗いニュースが続く中、とても元気をもらえる記事でした。
    本当にありがとうございます。

  4. なりたてファン より:

    記事の中のお二人の言葉にとても励まされ勇気をもらえました。
    すでに見られないことが決まってしまった公演日もありますが、まだ幕が開くこと、観られることを信じて、たくさん踊るまぁ様を想像しています。
    楽しみです。遅くなっても幕が開いたら、アイデアニュースさんの素敵な写真や記事も楽しみにしています。

  5. より:

    良いナンバーたくさんありますよ〜という朝夏さんのお言葉を聞き、公演観ることができれば……と願わずにはいられません
    そして、初日の延期が決まった今、お二人の舞台への思いにグッとくるものがありました
    私にとっても舞台は最大の癒やし
    一日でも早く事態が収束し、劇場にたくさんの笑顔が溢れる日を願っています

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