「会場で歌声の圧を、配信でアングルを楽しんで」、日野真一郎インタビュー(下)

日野真一郎さんの過去のライブより=写真提供:株式会社エスエル・カンパニー

2021年3月23日(火)にビルボードライブ東京で、3月30日(火)にビルボードライブ大阪で、ソロライブを開く日野真一郎さん(LE VELVETS)のインタビュー、後編です(東京公演の2ndステージは配信あり)。日野さんが幼少期に歌と出会ったきっかけや、音大で学んだこと、自粛期間中にYouTubeにアップしたピアノ弾き語り動画や、最近出演したコンサート「LOVE SONG COVERS」、そしてコンサートやライブをすることができなかった昨年中にファンの方々から届いた声への想いなどについて話してくださったインタビュー後半の全文を掲載します。

日野真一郎さんの過去のライブより=写真提供:株式会社エスエル・カンパニー
日野真一郎さんの過去のライブより=写真提供:株式会社エスエル・カンパニー

ーー日野さんは、小さい頃から歌がお好きだったのでしょうか。

小学校3年生の時、授業参観日で特技を1人ずつ発表する機会があったんです。僕は歌を歌ったんですよ。特に「歌が好きだ」と強く意識していたわけではなかったのですが、今思えば好きだったんだと思います。

ーーちなみに、曲のタイトルは覚えていらっしゃいますか。

「茶色のこびん」でしたね。歌の話をすると、中学生になってからは、ビジュアル系だったりロック系だったりと、いくつかのコピーバンドでヴォーカルを担当していました。友達がギターを弾いて、僕は歌ったりハーモニカを吹いたり。ゆずさんとか、L’Arc〜en〜Cielさんなど、その時にヒットしていたアーティストさんの歌だけでなく、「なごり雪」「神田川」など、好きな昭和歌謡も演奏していました。

ーー今も多様なジャンルの曲を歌われる日野さんの原点ですね。

高校生になってから、本格的に声楽を習い始めました。4歳からピアノを習っていて、中学生の時、合唱コンクールで伴奏をしたんです。それをご覧になっていた同級生のお母さまが歌を教えている方で「ピアノが好きなら、歌も習ってみたらどう?」と勧めてくださったのがきっかけでした。

ーー声楽を始められたきっかけは、ピアノだったのですね。

高校2年生までは、音大に行きたいと決めていましたが、ピアノ科と声楽科で、どちらに進学しようかと迷っていました。

ーー声楽科を選択されたのは、なぜでしょうか。

ピアノでも歌でも、自分の個性や思いを届けられますが、歌には歌詞があるので、より他の人との違いが出せると考えたのが決め手になりましたね。でもピアノも大好きなので、今も弾いていますよ。

ーー修士課程にも進学されていますよね。修士と学部とでは、学ぶことは変わるのでしょうか。

かなり変わりますね。学部の4年間は音楽だけではなくて、法学や心理学などの授業もあります。僕の場合は教職免許もとっていたので、より幅広いジャンルの授業を受けていました。修士に進むと、声楽科に特化した授業もレッスン回数も増えます。更に声楽以外にも、音楽理論や音楽の歴史を学部では学べなかったレベルまで掘り下げて、専門的に勉強しました。でも、学部と修士の一番大きな違いは、論文の有無かもしれないですね。

ーー修士論文のテーマは何でしたか。

「ロミオとジュリエット」です。シェイクスピアの戯曲がよく知られていますが、フランスのグノーという作曲家が、この物語をオペラにしているんです。論文では、このオペラとシェイクスピアの原作を比較しました。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、「ロミオとジュリエット」の修士論文の具体的な内容や、歌うだけでなく曲作りに取り組んでいることについて、自粛期間中にYouTubeにアップしたピアノ弾き語り動画や、最近出演したコンサート「LOVE SONG COVERS」、コンサートやライブをすることができなかった昨年中にファンの方々から届いた声への想いなどについて話してくださったインタビュー後半の全文を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■クラリネットの音にジュリエットへの思いを読み取った、約150ページの修士論文

■心を揺さぶる歌を届け続けるために。シャワーの温水と冷水で喉を起こして始まる毎日

■マネできる技術を磨きながら、オリジナリティを生み出してきたファルセット

■ファンの皆さんとスタッフの皆さんへの感謝の思いを、今回のライブで形にしたい

<日野真一郎(LE VELVETS)ライブ>
【東京公演】2021年3月23日(火) Billboard Live TOKYO
【大阪公演】2021年3月30日(火) Billboard Live OSAKA
公式サイト:
ビルボードライブ東京
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=12616&shop=1
ビルボードライブ大阪
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=12617&shop=2
【生配信】(Streaming+)
2021年3月23日(火)18:00~ Billboard Live TOKYO[2nd]
https://eplus.jp/sf/detail/1487220002-P0030010?P4=001&P6=001&P1=0402&P59=1

<関連リンク>
LE VELVETS オフィシャルサイト
https://www.le-velvets.com
日野真一郎オフィシャルTwitter
https://twitter.com/V_S_Hino
日野真一郎 YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCb2_qMaPokKBuoY2dEvgAFA/featured
日野真一郎 Instagram
https://www.instagram.com/hinoshinichiro/
日野真一郎ブログ
https://ameblo.jp/shinichiro-hino/
LE VELVETS オフィシャルTwitter
https://twitter.com/le_velvets
LE VELVETS YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC177smUWHIKdpnuVyEDWoCA

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日野真一郎さんの過去のライブより=写真提供:株式会社エスエル・カンパニー
日野真一郎さんの過去のライブより=写真提供:株式会社エスエル・カンパニー

※ここから有料会員限定部分です。

■クラリネットの音にジュリエットへの思いを読み取った、約150ページの修士論文

ーー面白そうな内容ですね。どのような観点で執筆されたのでしょうか。

例えば、シェイクスピアの原作には存在するのに、オペラではカットされているシーンがあったりするんですよ。他にも、原作とオペラで、シーンの順番が入れ替わっているところもあったり。そこに現れているグノーの意図に迫りました。論文の最後では、音楽の分析もしましたね。例えば、「クラリネットのこの音は、ロミオのジュリエットに対する心情だろう」とか、「この音のフレーズは、前半にも出てくるあの音のフレーズと似ているので、二つのシーンでは、同じ感情が表現されているということだろう」というような考察をしたんです。

ーーとても興味深いです。修士論文といえば、内容もボリュームも求められるイメージがあります。

原稿用紙5枚くらいになりそうな文献リストを付けて、提出した記憶があります。論文は全部で150ページくらいでしたかね。正確なページ数は覚えていないですが(笑)。もしも今自分で読んだら、こんなによく書いたなあ!って思いそうです。

ーー150ページくらいですか!相当な分量ですね。現在も、歌はもちろん作曲など、あらゆる角度から音楽に向き合っていらっしゃいますよね。

曲作りの基本は、受験前にも勉強していましたし、大学の授業でも学びました。基本的に自分で作ります。

ーー作曲のアイデアは、どのように生まれてくるのでしょうか。

いろいろな曲をとにかく聴いています。閃く時は本当に一気に書けますが、何日も何週間も考え続けることもあります。自粛期間中は、時間があったので曲を作っていましたね。作詞もしていました。今も解決したわけではないですが、あの時はこの先どうなるのだろうと、本当に辛かったです。でも、作ることで自分自身も元気になれましたし、応援してくださるファンの皆様にも、元気になっていただけたらいいなあと思っていました。

日野真一郎さんの過去のライブより=写真提供:株式会社エスエル・カンパニー
日野真一郎さんの過去のライブより=写真提供:株式会社エスエル・カンパニー

■心を揺さぶる歌を届け続けるために。シャワーの温水と冷水で喉を起こして始まる毎日

ーー昨年発表されたLE VELVETSのアルバム「PRAYLIST」(プレイリスト)収録の「四季〜花見鳥〜」ですね。自粛期間中には、他にもYouTubeでピアノの弾き語り動画をUPされていました。

1〜2週間くらい、ピアノも歌も練習してから撮影していました。動画の撮影も編集も全部1人でするのは初めてだったので、毎回すごく時間がかかりましたね。失敗も多かったです。「よし、今のすごく良いテイク撮れたな!」と思って動画を確認したら、あれ、ゼロ秒!撮れてないじゃん…ということはもう、何十回も(笑)。でも、動画を観てくださったファンの方々や、友人たちから「元気をもらえた」というコメントや感想をいただいたので、時間は毎回かかりましたが、挑戦した甲斐があったなと思っています。

ーー日野さんの歌声だったからこそ、届けられたものがあったのではと思います。

そうだと嬉しいです。僕は、歌う時には、やはり歌詞を大切にしているんです。シーンに感情を入れますし。音符通りに歌うことや技術も、もちろん大前提として重要なのですが、そこだけを徹底すると、機械みたいになってしまう気がするんです。人の心に刺さるというか、心を揺さぶることができるような歌い方が僕は好きですね。

ーーいつも、歌う時にはそこを意識されているのですか。

音はもちろん合っているに越したことはないと思いますよ。でも例え音が外れていても、そういう揺さぶられる歌い方のほうが僕は好きです。それは聴く立場としても同じですね。そういう表現者やアーティストを目指したいと思っています。歌に限らず、絵画でも何でも、芸術を届けるということは、そういうことなのかもしれません。

ーーそのような気持ちで届けてくださる歌声は、なんと4オクターブ弱というとても広い声域から生まれていますよね。声のメンテナンスはどのようにされているのでしょうか。

身体が楽器なので、毎朝身体を起こすところから始めます。起きたらシャワーを浴びて、熱いお湯のあと、冷水を2〜3セットかぶります。これで頭も起きますね。そのあとは、「ブルブルブル」ってリップロールをして、「あいうえお」の母音発声をします。こうすることで、ようやく喉を起こせるんです。

■マネできる技術を磨きながら、オリジナリティを生み出してきたファルセット

ーーそうやって1日が始まるわけですね。ファルセットは、何か特別な訓練をされていますか。

とにかく「マネ」をしてみることですかね。そもそも、大学の時にソプラノで歌っている先輩の曲をマネして歌ってみたら、「あれ、出る!こんな高いところまでまだ出る!」というのがきっかけだったんですよ。今はYouTubeやiTunesで、いろいろな歌手の方のファルセットを聞いています。ファルセットに限らず、いい歌い方をたくさんインプットして、マネするというのが僕なりの練習方法ですね。もちろんただのモノマネになってはいけないので、そこから自分に寄せていく研究をしますが。

ーー確かにマネをするためにも、技術が必要になりますよね。

この練習方法のヒントをくださったのは、お世話になっているヴァイオリニストの古澤巖さんなんです。10年くらい前になりますが「練習って、どうされていますか」って伺ったことがあるんですよ。その時に「まずは上手いと思う人のCDの通りに演奏してみる。それが最初だよ」って。「マネができるということは、その技術が自分の身に付いていることを意味するから」と。確かにそうだなあと思ったんですよね。なので、いいなと思ったものはまず、マネをしてみて、自分なりにアレンジをしながら表現を磨いています。

ーーミュージカルやコンサートなど、グループやソロ以外の場面でも活躍されていますよね。表現を磨くという観点で、共演者の方々からヒントを得られることもありますか。

最近だと「LOVE SONG COVERS」というコンサートに出演させていただきました。宝塚歌劇団、シンガーソングライター、アイドルと、自分の中にはない経験を積んで来られた方々とご一緒することは、本当に刺激になりました。全く自分とは違うアプローチや表現に触れることができて、とても興味深かったです。お正月の「千年のたまゆら」では、和装のファッションショーを経験しましたが、着物の捌き方や見せ方など、普段経験しないことばかりで、たくさん刺激になりましたね。自分の世界だけになってしまうと、やはり限界があります。

日野真一郎さん
日野真一郎さん

■ファンの皆さんとスタッフの皆さんへの感謝の思いを、今回のライブで形にしたい

ーーたくさんの刺激をオリジナリティに昇華させていらっしゃる日野さんが、今回届けてくださるビルボードライブでのライブ。インタビューの最後に、お客さまへのメッセージをお願いいたします。

この状況なので、「来てください」とはちょっと言いづらいのですが…。来場が叶う方には、会場だからこそ味わえる「歌声の圧」や「ライブ感」を感じていただけたらと思っています。配信で見てくださる方は、ぜひカメラならではのアングルを楽しんでいただけたら嬉しいです。手元や顔のアップだけでなく、見えて欲しくない汗も映っちゃうかもしれないんですけれど…。でも、そういう配信ならではのところをプラスに解釈していただけたらと思っています。早く今の状況が改善されて、100%安心して会場で楽しんでいただきたいですね。会場でも配信でも、待っています!

ーー観客サイドだけではなく、ライブを開催されるアーティスト側の葛藤も感じるメッセージでした。

ファンの方々には、ライブをすることができなかった昨年、本当に励ましていただきました。SNSでコメントをくださったり、事務所にも本当にたくさんのお手紙が届いていたんです。読ませていただきながら、僕にできることを考えて形にしたのがYouTubeやInstagramでの発信でした。僕自身が辛くて不安だったこともありますが、何か恩返しをさせていただきたかったという思いもありました。ライブを開催することで、更にそこに応えたいという気持ちもあります。もちろん開催にあたって、批判も受けるかもしれません。でも、いつもライブを支えてくださるスタッフさんたちの中には、一年間全く仕事がなかった方もいらっしゃるんです。僕らアーティストが何か動かないと、全員活動ができなくなってしまうという現状があります。2020年8月19日に開いた僕のソロ配信ライブが、自粛後初めてのステージの仕事だったという方もいらっしゃいました。

ーー自粛後、その方にとって初めてのステージだったのですか。

「日野くんのステージが初めてだよ!」っておっしゃって。それを伺って、僕も「本当に一生懸命頑張ります」って、この前もそんな話をしたところなんです。僕らアーティストは、一番ステージで目立ってスポットライトを浴びる立場なのですが、いつも一番頑張ってくださっているのは、陰で支えてくださるスタッフさんたちなんです。アーティストは、スタッフさんありきの存在ですから。ファンの皆さんがいらして、スタッフの皆さんがいらっしゃるからこそ、僕たちは歌うことができるんです。そこに改めて感謝した一年でもありました。その思いを、今回のライブで形にしたいです。

ーー強い思いが込められた、今回のステージですね。お話ありがとうございます。ライブの無事の成功を、心より願っています。

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“「会場で歌声の圧を、配信でアングルを楽しんで」、日野真一郎インタビュー(下)” への 4 件のフィードバック

  1. kinkonkan より:

    大学院の論文や、動画作成の話など大変、興味深く拝読しました。普段、聞けない貴重なインタビューをありがとうございます。先日の大阪公演に行きました。日野さんの思いが溢れ出して、涙を流しながら歌われていたのですが、このインタビューを読み、理由がわかりました。何事にも真摯に取り組まれる日野さん、LE VELVETSをこれからもずっと応援したいです。また、こちらでの記事も楽しみにしています。

  2. ロイヤルブルー より:

    ライブ直前のグッドタイミングで記事の掲載ありがとうございます。先ずは机上でコンセプト等を練る作業から始まる、制作の過程を少しでも知ることができ、その上でライブに参加でき、とてもいいライブを楽しめました。ありがとうございました。LE VELVETSとしても、また、ソロ活動でも取材をしていただきたいです。次の掲載を楽しみにしています。

  3. ノリノリ より:

    しぃたん初のビルボードライブ東京☆
    とてもワクワクしてます‼︎
    しぃたんの素敵な歌声を、配信で楽しみたいと思いますヾ(´︶`*)ノ♬

  4. かるがも母さん より:

    しぃたんの歌声にはいつも励まされたり疲れてささくれた心をなだめてもらったり、そして何より笑顔を貰っています。
    東京のビルボードライブに行きます。笑顔をもらいに!

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