2人のキャストで10人あまりの登場人物を演じるミュージカル『ダブル・トラブル』が、「ハリウッドチーム」（ふぉ〜ゆ〜の福田悠太さんと辰巳雄大さん）と「ブロードウェイチーム」（原田優一さんと太田基裕さん）のダブルチーム編成で、2021年5月2日（日）から埼玉・大阪・東京で上演されます。5月2日（日）からのプレビュー・埼玉公演にはハリウッドチームとブロードウェイチームが、5月7日（金）からの大阪公演にはハリウッドチームが、5月6日（木）からの東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA公演にはブロードウェイチームが、5月12日（水）からの東京・よみうり大手町ホール公演にはハリウッドチームとブロードウェイチームが出演します。「ブロードウェイチーム」の原田優一さんと太田基裕さんの合同取材の様子と、独自インタビューの内容を紹介します。（このインタビューは、振り付けの稽古が始まった段階で実施したものです）

【2021年5月13日追記】この度、政府による5月7日の発表で緊急事態宣言が延長されたことに伴う政府および東京都の措置を踏まえ、5月12日（水）～5月16日（日）の東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA公演、ならびに、5月12日（水）～5月30日（日）のよみうり大手町ホール公演につきましては、劇場での感染予防対策をより強化し、公演を予定通り再開させていただくことになったとの発表がありました。なお、緊急事態宣言の発令に伴って、5月7日（金）～5月9日（日）の大阪の全4公演と、東京の5月6日（木）～5月11日（火）の6公演が中止となりました。最新の情報は公式サイトでご確認ください。
公式サイト：
https://www.musical-wtrouble.jp/

ーーお稽古はいかがですか？

原田：ちょうど振り付けの稽古が始まったところです。ひたすら本読みと歌の稽古を繰り返して、やっと動きが付き始めました。今、結構頭がパンパンな二人でございます。

太田：パンパンです。もう湯気が出そう！

ーーお二人で10役あまりを演じられるわけですよね。

原田：普通のお芝居に加えて、役を一つ一つ変わっていく時の「段取り」も今回は身に付ける必要があります。普通は、舞台裏に引っ込んだら一息つけるわけですけれども、今回は、引っ込むのはチェンジの時間。次の役への着替えや切り替えタイムなので、実は舞台上に出ているもう一人よりも忙しくなるわけですよ。

ーー息もつけないですね。

原田：はい。今回は、一般的なスタイルのお芝居に比べると、倍以上の段取りがあるんじゃないかなあという気がしています。

太田：舞台裏に「引っ込む」という感覚がもはやないですよね。常に舞台上にいて、ずっと見られているという感覚を、ノンストップで2時間くらい感じながら、歌って、踊って、セリフ言って。しかも、何役も演じる。緊張感のある舞台です。

ーー台本を拝見しましたが、確かに休む暇もなさそうな作品だと感じました。

原田：お水を飲む暇さえもない感じです。でも水分は人として必要なので、死守したい。

太田：稽古しながら、水分補給できるタイミングを模索しているところです。

ーー初めて台本をご覧になった時の感想はいかがでしたか。

原田：セリフ1行を挟んで別の役になる、ということもあるので、どの役だっけ？ということを押さえるだけでもまず混乱するなと思いました。これって、本当に役を変われるんだろうか？物理的にどうすればいいんろう？とか。

太田：いつも自分が演じる役を想定しながら読み進めていくんですよね。でも「ダブル・トラブル」は、最初の数ページで読みながら混乱してきてしまって…いったん閉じました。昨日、原田さんも「今までのキャリアの中で、一番体力的にキツイ作品かも」っておっしゃってましたね。

原田：カロリー消費量が。

太田：原田さんがそうおっしゃるなら、説得力があるなあと思って聞いていました。

原田・太田：（笑）。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、2人で10役あまりを演じる作品だからこその大変さや役作りの工夫、お互いの印象などについて伺った合同取材インタビュー前半の全文と写真を掲載しています。4月27日（火）掲載予定のインタビュー「下」では、ハリウッドチームの「ふぉ〜ゆ〜」の2人とのエピソードに関する合同取材のお話と、独自取材で伺ったジミーとボビーのような兄弟感がお二人にあるかどうかや、稽古中のルーティーン、舞台への想いなどについて伺ったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

＜有料会員限定部分の小見出し＞

■原田：20役の『グーテンバーグ！』は帽子でチェンジ。着替えも含む今回の方がキツい

■太田：特徴の把握で止まると薄っぺらくなるので、その先を見つけながら

■原田：もっくんは、表はキラキラ、裏で体育座り。体を張ったり、人としてきれい

■太田：原田さんは、ゆるい空気を醸し出しながら、冷静かつ客観的に物事を捉えている

■原田・太田：共通点は「相手のテリトリーにヅカヅカと踏み込まない」ところ

＜ミュージカル『ダブル・トラブル』＞
【プレビュー・埼玉公演】5月2日（日）～5月3日（月・祝）　志木市民会館パルシティ（ハリウッドチームとブロードウェイチーム）
【大阪公演】2021年5月7日（金）～5月9日（日）　梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ（ハリウッドチーム）　※5月7日（金）～5月9日（日）の全4公演は中止　
【東京公演】2021年5月6日（木）～5月16日（日）　紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA（ブロードウェイチーム）　※5月6日（木）～5月11日（火）の6公演は中止
【東京公演】2021年5月12日（水）～5月30日（日）　よみうり大手町ホール（ハリウッドチームとブロードウェイチーム）　
※緊急事態宣言の発令に伴って上演が一部中止となりました。最新の情報は公式サイトでご確認ください。
公式サイト：
https://www.musical-wtrouble.jp/

＜関連リンク＞
ミュージカル『ダブル・トラブル』公式​Twitter ​
https://twitter.com/wtroublejp
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■原田：20役の『グーテンバーグ！』は帽子でチェンジ。着替えも含む今回の方がキツい

ーーこれほどまでに慌ただしい作品の経験はいかがですか？

原田：1人複数役という作品は、20役を演じる『グーテンバーグ！ザ・ミュージカル！』で経験しているのですが、その時には役の名前が書いてある帽子が、舞台の後ろにずらっと並んでいて。帽子を変えて役をチェンジしていくという流れでした。この時も、舞台に出ずっぱりではあったのですが、体力的にはやっぱり、役ごとに着替えも含まれる今回の方がキツいですね。

太田：帽子チェンジ、いいですね。今回もそうしましょうよ（笑）。

原田：（笑）。

太田：僕はこんなに役変わりをするのは初めてです。以前、舞台に出たりはけたりの動きが慌ただしい役を演じたことはありましたけれど。そのときには、舞台の両袖に念のため、メモを置いていたんですよ。でも、今回はメモなんて見ている暇はないですね。

原田：前の役を引きずりながら、ずるずるっと引っ込んでしまうと、次の役に間に合わなかったりするんですよ。「慌てて次の役になろうとしているな」っていう段取りの部分は見せないように演じているんだけれども、心の中では無茶苦茶焦っています。

太田：これを乗り越えられれば、いろいろなお芝居をこれからも乗り越えていけるんじゃないかなと思っているので、なんとかしがみついて頑張りたいと思っています。

ーー役変わりは、どういうふうに行われるんでしょうか。

原田：今回、舞台に扉が4つあるんです。もうドリフ状態ですよ。次は、どこの扉だっけ、右と左どっちだっけ？という感じです。スタッフさんに、次はこっち！こっちの扉！って呼んでもらった方向に向かって走りながら練習しています。ドアの後ろで身ぐるみ剥がされて次の衣装を着せてもらって、はい、再登場！という。

太田：人間なので、ボーッとしてる日だってあるじゃないですか？そんな日の公演、僕はどうなっちゃうんだろう。ドキドキしています。

■太田：特徴の把握で止まると薄っぺらくなるので、その先を見つけながら

ーー1つの役を演じられる場合の役作りとはどこが異なりますか？

原田：カツラをかぶったり、衣装を変えたりはしますが、出てきて演じるのは、どこまでも原田と太田という、同じ人物なんですよね。この体でこの顔なんですよ。だから、役ごとの特徴を掴んで、まずは一つ一つを個性的に作り上げていくことが大切だと思っています。そこができてから、それぞれの役を深めていくという感じですね。声のトーンや話すテンポなどを想像しながら、箇条書きにする作業もしています。

太田：役ごとの特徴を把握し、魅力を自分で認識した上で、次に、どういう人物としてその役をお客さまに感じていただきたいかを深めていっています。でも特徴の把握で止まってしまうと、キャラクターが薄っぺらくなってしまいそうなので、原田さんもおっしゃっていたように、その先を見つけながら作っていきたいです。そうなれば、この作品は、あたたかくて愉快なコメディに仕上がるんじゃないかと思っています。

原田：どの役も愛おしいからね。

■原田：もっくんは、表はキラキラ、裏で体育座り。体を張ったり、人としてきれい

ーー原田さんと太田さんは、オリジナルミュージカル『デパート』で演出家と主演俳優としてご一緒されています。共演は初めてとのことですが、お互いの印象はいかがですか。

原田：もっくんって、写真とかを見ていても、とてもきれいでシュッとしているイメージがあるじゃないですか。でも、そのイメージを残しつつも結構壊してくる人なんですよ。予想以上に体を張ってくれたり。

太田：ハハハ。

原田：エンターテイナーとして、表ではすごくキラキラしているんです。でも、裏では体育座りをしているタイプ。ひとりになると遠くを見つめていたり。その使い分けがいい意味でできる人なんだなと。

太田：よくご存知で。

原田：なんかね、「人としてきれい」だと思っています。

■太田：原田さんは、ゆるい空気を醸し出しながら、冷静かつ客観的に物事を捉えている

太田：ありがとうございます。原田さんは、演出家としての出会いが最初だったわけですが、いい意味で演出家っぽくなくて、人にストレスをかけない方ですね。ゆるい空気を醸し出しながらも、すごく冷静かつ客観的に物事を捉えていらっしゃるんですよ。お芝居を作る時にも「楽しかったらいいよ」だけではなくて、緻密さや信念を持っていらっしゃる方だなと感じました。

ーーとても素敵なエピソードですね。

太田：今回、共演させていただくことになって、改めて感じているのは、原田さんって、人を楽しませることをとても考えていらっしゃる方なんです。これまでのキャリアの中で、たくさんのことを追求しながら積み重ねていらっしゃるからこその考え方だと感じるシーンも多いです。だから、いろいろと吸収させていただきたいです。原田さんは大きく物事を見られていて、引き出しもめちゃくちゃ多いんです。でも、それをひけらかすことなく、横にナチュラルに存在してくださっているので、とても勉強になります。

■原田・太田：共通点は「相手のテリトリーにヅカヅカと踏み込まない」ところ

 ーーお互いに、共通点だと思うところはありますか？

原田：相手のテリトリーにヅカヅカと足を踏み入れないところですね。とも、自分がやるべきことは、それぞれで仕上げよう、みたいな考え方なので、進めやすいです。

太田：逆に、ヅカヅカ来る感じのコミュニケーションだと僕はちょっと…

原田：多分、もっくんそういうの嫌だろうし、無理じゃん？ （笑）。

太田：無理って（笑）。

原田：いや例えば、「この後芝居についてゆっくり語ろうぜ」とか僕が言ったら、ぽんっ！てシャッター急に降ろすでしょ（笑）。

太田：降ろしますね（笑）。いや、人に興味はあるんですけどね。

原田：距離感の取り方がお互いに似ているから、うまくやれる組み合わせになっているんだと思います。二人芝居って、「こうしようね」って決めても、いざ芝居をぶつけてみると、結局崩れてしまうなあとこれまでの経験から思っているところがあるんです。なので、もっくんとは「まずやってみてから話していきましょう」というスタンスで稽古を進められているので、とてもスムーズです。

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