「コンプライアンスが厳しい時代に対応した業界に」、板垣恭一インタビュー(下)

板垣恭一さん=撮影・NORI

2021年6月9日(水)から6月20日(日)まで、東京・渋谷の CBGK シブゲキ!! で上演されるミュージカル『いつか~one fine day』2021の脚本・演出を担当している板垣恭一さんのインタビュー、後半です。2020年に賛同人代表をつとめた「舞台芸術を未来に繋ぐ基金」と、2021年に理事に就任した「一般社団法人 未来の会議」について伺いました。

板垣恭一さん=撮影・NORI
板垣恭一さん=撮影・NORI

――「舞台芸術を未来に繋ぐ基金」(現「一般社団法人 未来の会議」)公式サイトの賛同人代表メッセージでの「演劇って社会に必要とされているの?」と「平時から僕らは『自助努力』をしてきたのか」について、お伺いしたいです。

「自助努力」や「演劇は社会的に必要なものとされたところでできてるのか」ということは、コロナ禍になる前から宋さんと話していたんです。あのタイミングで立ち上げたのは宋さんが「気がついたらやる人」だったから。「一緒にやらない?」と言われたので「いいよ」って。後で「で、何するの?」って聞きました。

――Yesが先だったんですね。

宋さんが言うんだから、やってみようかと。まず、お芝居が世の中に必要なのかとかいうのは、ちょっと業界に対して意地悪を言ってるんです。そもそも年間に演劇を必ず観る人って全国にどれくらいいるんでしょう。かなり少ないんじゃないでしょうか。

年に何回もとまではいかなくても、年末には必ず舞台を観に行くとか、どの世代にも一定数の観劇層がいるなどの状態になって初めて、演劇が社会的に必要とされたと言えるのではないかと。生活レベルへの浸透——つまり「文化」ということです。

これはたぶん、日本の学校教育の問題もあると思うんです。例えば音楽を「お勉強」にしちゃったわけです。翻訳劇やミュージカルも似ていて、日本になかった表現方法の外来種に対して「お勉強する」っていう態度から始まったことで、何かいろいろと問題がこじれているんじゃないかな。

例えばですが、ミュージカルは何十年も上演されているけれど、やってるのに日本人の文化になっているか? と言うと、怪しいぞというようなことです。なのでまず「文化に成り得ているのか?」と自分自身の問題として提起しなきゃいけないと思ったんです。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、俳優が怪我などをしたときに備えて保険に入っている公演もあるものの、入っていない公演も多くある問題などにどう取り組もうとしているかや、一般社団法人 未来の会議で「観る」「やる」「応援する」という三つの入口のあるサイトを作ろうとしていることなど、インタビューの後半で話してくださった全文と写真を掲載しています。(この記事に有料会員限定のプレゼントはありませんが、有料会員の方はコメントを書くことができます)

<有料会員限定部分の小見出し>

■保険・補償…コンプライアンスが厳しくなった時代の人が本気で相手をする業界に

■確定申告、パワハラ・セクハラ相談、契約書問題、技術を学べる学校のリンク集を

■学生さんに、ほぼ無償でお芝居を観ていただくというシステムを作ろうとしてます

■おかしいと思うことを、あなたのやり方でいいから、ちょっとだけ変えればいい

<ミュージカル『いつか~one fine day』2021>
【東京公演】2021年6月9日(水)~6月20日(日) CBGK シブゲキ!!
https://www.consept-s.com/itsuka2021/

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板垣恭一さん=撮影・NORI
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※ここから有料会員限定部分です。

■保険・補償…コンプライアンスが厳しくなった時代の人が本気で相手をする業界に

「自助努力」と言うのも、例えば俳優が怪我したときに、大きい公演だったら保険に入ってたりするけど、そうじゃない公演が山のようにある。正当な補償についてあやふやな態度の業界を、コンプライアンスが厳しくなった時代の人が本気で相手するだろうか? ということです。僕が演劇側じゃない人だったら「この人たち趣味でやってるんだな」って思いますよ。それが悔しいんです。

それで、自分たちで何かネットワークを作れないかと公式サイトで書きました。その流れで社団法人化にトライすることで、演劇を取り巻く状況が変わるかもしれないと期待しているわけです。

板垣恭一さん=撮影・NORI
板垣恭一さん=撮影・NORI

■確定申告、パワハラ・セクハラ相談、契約書問題、技術を学べる学校のリンク集を

音楽のライブ系は音楽業界とさせていただいてあえて外してますけど、お芝居に限らず、舞台上で演る能狂言もミュージカルも新劇も人形劇も2.5次元も全部、社団では「舞台芸術」としています。差をつけずに「舞台というのがあるんだ」と言ったときに、僕らがやるサイトにとりあえず来てくれると、なにかしら入り口が見つかるものを作ろうとしています。

最初は自前のコンテンツをたくさん作れるわけじゃないから、既存のものを集めてリンク集のページを作っています。「観る」「やる」「応援する」という三つの入口を提唱して、お客さんとして入った場合は「観る」というところをクリックしていただくと観劇に関する内容を。「やる」は僕ら側。確定申告のやり方やパワハラ・セクハラ相談、契約書問題とか、技術を学べる学校についての内容などを順次アップして行こうとしています。

板垣恭一さん=撮影・NORI
板垣恭一さん=撮影・NORI

■学生さんに、ほぼ無償でお芝居を観ていただくというシステムを作ろうとしてます

「応援する」は「未来のチケット(通称ミラチケ)」という学生への無料観劇支援をメインコンテンツのひとつとしています。ちょうどそのパイロット版を始めたところです。『いつか~one fine day 2021』でも試しますけど、conSeptさんの場合は、学生さんには、ほぼ無償でお芝居を観て頂くというシステムを作ろうとしてます。

これは「舞台芸術」がそんなに素晴らしいものならば、なるべく多くの人に観てもらって観劇層を増やすべきで、それを僕たちは今やんなきゃ駄目なんじゃないの?っていうことなんです。

お金がある人しか観られないというのは資本主義のルールでは仕方ないと思うんです。でも、あまりにも僕たちはそっちに寄りすぎちゃった。寄附をしてくださる人もいらっしゃると思うから、そういうことをちゃんとやっていけば、結果的に「舞台芸術」がその社会に必要なものと認知されるかもしれない。

そのためにはジャンルを越えてつながることも必要なんじゃないかな。とにかく舞台で演って生で観るというものに関しては、一緒なんだよっていう風に、まずは考えてみませんか? と。

板垣恭一さん=撮影・NORI
板垣恭一さん=撮影・NORI

■おかしいと思うことを、あなたのやり方でいいから、ちょっとだけ変えればいい

「私達は必要なのだろうか?」とナイーブに呟くより、あなたがおかしいと思うことを、あなたのやり方でいいから、ちょっとだけ変えれて行けばいいのではないかと。多くの人が同時にそれをできたら、世の中は変わると信じてます。なので僕は「自分はやりまーす!」と手を挙げてみました。そういう人が増えて行く世の中になったらいいなと思っています。

板垣恭一さん=撮影・NORI
板垣恭一さん=撮影・NORI

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