「子供も観られる作品。家族連れなどで、ぜひ」、小西遼生・森新太郎対談(下)

小西遼生さん(左)と森新太郎さん(右)=撮影・岩村美佳

ミュージカル『ピーターパン』が、2021年7月22日(木・祝)から8月1日(日)まで、めぐろパーシモンホール・大ホールで、8月7日(土)から8日(日)まで相模女子大学グリーンホール・大ホールで、続いて、大阪、仙台、名古屋で上演されます。日本上演40周年記念公演として、森新太郎さんの演出で新たにリニューアルされます。出演は、4回目の出演となる吉柳咲良さんがピーターパンを、初めての出演となる小西遼生さんがフック船長とダーリング氏を演じます。アイデアニュースでは、開幕前の7月初めに小西さんと森さんの対談取材をしました。下では、お互いの印象や、ミュージカルにおいて大事にしているポイントなどについて伺いました。

小西遼生さん(左)と森新太郎さん(右)=撮影・岩村美佳
小西遼生さん(左)と森新太郎さん(右)=撮影・岩村美佳

――演出家、役者としてのお互いの印象を、お聞かせください。

森:僕がこれまで見てきた小西は抑えた演技で、二枚目なものばかりでした。稽古に入る前は「彼の新境地を開く!」と僕も意気込んだのですが、いざ稽古を始めてみたら、新境地というか、もともとおバカなことが大好きなやつで。「お前、嘘つき! こっちじゃん!」と思ったんです。最初は僕が頑張ってこじ開けなきゃ、くらいの覚悟で臨んだんですが、こじ開ける必要は全くなくて、こちらが望む以上のおバカな芝居を今は勝手にやっていますよ。それはそれで楽しいです。

小西:まったくその通りです(笑)。まず、僕の中のイメージでは、フックが二枚目のキャラクターのはずがないんですよ。なので、僕も進んでやりたいなと思うことをやっていますし、森さんが求めてくれることも腑に落ちることが多くて。自由でやりやすいです。

森:今後、小西の仕事の方向性が変わるんじゃないか。

小西:いいですね~!

――今回はお互いの求めているものが合っていたということですね。

小西:合致した感じですね。

――もしも、小西さんが二枚目の役をやる時に、森さんが演出することになったら、何か違うことを考えますか?

森:そうですね。けどそもそもが、僕は二枚目の芝居にあんまり縁がないんですよ。格好つけてても、必ず間抜けというところに落とし込むので、どの芝居にも出られますよ。

――じゃあ、森さんが演出したら、ただの二枚目にはならないということですね。

森:絶対に(笑)。

――小西さんは稽古場で、他の方々に対する森さんの演出を見て、森さんならではで面白いなと思うところはありますか?

小西:今回、森さんにとってイレギュラーじゃないかと思うのが、若い子たちがたくさんいる現場ってそんなにやっていないんじゃいないかと。森さんがめちゃくちゃ優しい顔をしているんですよ。僕は初めてなので、森さんが普段から優しい顔をしているのか分からないですけど、めちゃくちゃ楽しそうだったり、子供たちに対しても、そんなに!?というくらい褒めるし。でも稽古に海賊のキャストしかいない日は口が悪くなったりして(笑)。

森:(笑)。

小西:こっちが素なんだろうなと思うくらい、今回の現場は結構特殊なんじゃないかな。

森:おっしゃる通りです。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、「ミュージカルであり芝居であること」などについて話してくださったインタビュー後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■森:子供の芝居を見ていると、本当に心が浄化される。全然空気がよどまない

■小西:一筋のつながったお芝居として見せたい、音楽をしっかり聴かせる使命も

■森:「叫ばないと怒るけど、それで喉を壊したらもっと怒る」と無茶を言った

■小西:スタッフの人たちが、すごく目をきらきらさせて観ている瞬間がある

<ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』>
【東京公演】2021年7月22日(木・祝)~8月1日(日) めぐろパーシモンホール大ホール
【神奈川公演】2021年8月7日(土)~8月8日(日) 相模女子大学グリーンホール(相模原市文化会館)
【大阪公演】2021年8月14日(土)~8月15日(日) 梅田芸術劇場メインホール
【宮城公演】2021年8月21日(土)~8月22日(日) 仙台銀行ホール イズミティ21・ 大ホール
【愛知公演】2021年8月28日(土)~8月29日(日) 御園座
公式サイト
https://horipro-stage.jp/stage/peterpan2021/

<関連リンク>
小西遼生オフィシャルサイト
https://konishiryosei.com
小西遼生|株式会社キューブオフィシャルサイトhttp://www.cubeinc.co.jp/archives/artist/konishiryosei
小西遼生 twitter
https://twitter.com/ryosei_konishi
小西遼生 instagram
https://www.instagram.com/ryosei_konishi_official/
森新太郎 monaka kogyo
森新太郎/演出(モナカ興業)

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小西遼生さん=撮影・岩村美佳
小西遼生さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■森:子供の芝居を見ていると、本当に心が浄化される。全然空気がよどまない

――普段の現場での森さんは、今回あまり見られていないということですね。

小西:でも、演出することや、仕事の仕方ということは勿論目的は変わっていないと思います。あと『ピーターパン』が好きなんだなぁと。このメンバーでこの環境の中で、いい方向に持っていくための方法なんだろうと思いますが、とにかく優しい(笑)。

森:僕は大体優しいと言われるんです(笑)。厳しいという過剰な噂が先行して、みんなが「想像してたよりは全然優しいじゃん!」といって、プラスな感じで捉えてくれるので、得なんです。

――今回はその振れ幅が特に…ということですね。

森:子供たちとお喋りしていると、本当に心が浄化されるんです。それは、僕らも他の出演者も、みんなですね。だからある意味、全然空気がよどまないというか。どんなに大人たちが思い悩んでいても、子供たちは嬉々として自分のお絵かきとか見せてくるんです。その度に「こんなくさくさした気持ちで作ってちゃだめだ、もっと晴れやかな気持ちで作らなきゃだめだ」と我々に思い出させるというか。

小西:子役の子とはよく仕事をしますが、こんなに子供らしい子役の子というのも珍しいかも。もっと大人びている子が多いというか。

――それは『ピーターパン』の現場の子供だからなんでしょうか。

森:いや、どのスタッフさんに聞いても、こんなに素直な子が揃うのは滅多にないと言っているので、奇跡に近い子役陣なんだと思います。だから、みんな可愛がっていますよ。そしてすごく癒されています。

森新太郎さん=撮影・岩村美佳
森新太郎さん=撮影・岩村美佳

■小西:一筋のつながったお芝居として見せたい、音楽をしっかり聴かせる使命も

――ミュージカルとお芝居について伺いたいのですが、「ミュージカルであり芝居であること」のポイント、大事にしていることを、お聞かせください。

森:僕は昔あるプロデューサーに、「ミュージカルだからと言って気負う必要はない。ミュージカルもお芝居です」と言われました。もちろん専門的なことはミュージカルの専門の演出家よりは分かっていないと思いますが、「普通にいつも作っているように、お芝居を作ればいいだけですよ」と言われて、ちょっと心が軽くなって、『パレード』を演出しました。でも、いざやってみると、特にやっぱり歌ですね、難しいのは。今、小西ともいろいろ話し合っていますが、発声が変わるんです。お芝居の時の発声と歌の発声とで違うので、そこのギアチェンジというのはさすがに考慮してあげないと、俳優さんの負担になるなと思っています。それさえ克服できれば、日常的な会話がより自然に歌に移行できるのではないかと。今、そんなことを考えながら、更なる高みを目指しています。

小西:ミュージカルは、曲が入って来て、台詞をしゃべって、そこから歌を歌うという、大体どの作品でも同じような流れがあるんですが、その直前までしゃべっている言葉の圧と、歌を歌う瞬間って、たとえば音域の問題があったり、突然歌になった時に、それがスムーズにいきやすいものと、すごく引っ張られてしまうものがあります。『ピーターパン』はミュージカルですが、一筋のちゃんとつながったお芝居として見せたいと思った時に、そういった違和感は邪魔でしかないので、うまいこと作っていきたいなと思っています。逆に音楽をしっかり聴かせるという使命もあります。そのためには逆算して台詞の部分から計算して、しゃべっているけれど歌っているでもいいし、どんな方向でもいいんですが、成立させたいと思ってます。

小西遼生さん=撮影・岩村美佳
小西遼生さん=撮影・岩村美佳

■森:「叫ばないと怒るけど、それで喉を壊したらもっと怒る」と無茶を言った

――『ピーターパン』の楽曲だと、そこが難しかったり簡単だったりする部分はありますか?

小西:どの作品でも、必ず戦わないといけないところですね。最近、森さんと話していたのは、この曲はあえて朗々と歌ってみようかとか、いろいろ試してみようと。フック船長はカロリーがすごく高くて、森さんが求めているのはお馬鹿なフック船長なのでカロリーが非常に高くて、出てくる度にわーわー言ってるんですよ。これが、なかなか負担がね(笑)。

森:(笑)。

小西:自分で勝手にやってそうなってるんですが、どうやってバランスを作ろうかと探しながらやっていますね。

森:僕はストレートプレイが主だから、叫ばせるのは当たり前で、叫ばせちゃう。立ち稽古の初めに、「叫ばないと怒るけど、それで喉を壊したらもっと怒る」という、むちゃくちゃなことを言ったんです。

(一同笑)

森:僕は無茶を言うので、その時は「無茶です」と言ってくれていいですよって。熱くなってくると、どうしてもストレートプレイは「もっと出せ出せ」となりがちですが、ミュージカルは歌が美しく聞こえてなんぼのところもあるので、そこはちゃんとバランス取りながらやっています。

森新太郎さん=撮影・岩村美佳
森新太郎さん=撮影・岩村美佳

■小西:スタッフの人たちが、すごく目をきらきらさせて観ている瞬間がある

――最後に、読者の方へ、伝えたいことをお聞かせください。

森:演出的にこれまでの『ピーターパン』とまるで違うことをやっているので、『ピーターパン』マニアの方にも観て欲しいですし、声を大にして言いたいのは、とにかくミュージカルとして曲が素晴らしいんですよ。かなりの名曲揃いで、それをただ聴きに来てもらってもいいくらいです。東京公演は生オケなので、やっぱり音をちゃんと圧で受けてもらって、特に小さいお子さんなんかは、今画面越しでのものの楽しみ方が多くなっているので、この機会に本物のオーケストラの迫力を体感してもらいたいなと、心から思っています。

小西:今までのミュージカル『ピーターパン』がどうだったのか、僕はほとんど知らないですが、稽古場で観ているスタッフの人たちが、すごく目をきらきらさせている瞬間があるんです。そして、共演しているキャストたちが、自分が出ていないところでも、本当に楽しそうに観ている瞬間がたくさんあります。今日本の劇場で観られるミュージカルの中でも、格別幸せな気持ちになれる最高のものができるのではないかなと感じます。

小西:やはり、劇場にどのくらいのお客さんが来てくださるかと、実はドキドキしています。特に今回は子供も観られる作品なので、家族連れのお客様など、たくさんの人たちに劇場に来てもらって、劇場を埋めてもらいたいなと思っています。来てくだされば必ず損はさせない『ピーターパン』をお見せしますので、ぜひ劇場に足をお運びください。

小西遼生さん(左)と森新太郎さん(右)=撮影・岩村美佳
小西遼生さん(左)と森新太郎さん(右)=撮影・岩村美佳

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“「子供も観られる作品。家族連れなどで、ぜひ」、小西遼生・森新太郎対談(下)” への 5 件のフィードバック

  1. はる より:

    楽しさやワクワクがたくさんつまった舞台でした。音楽や、影絵・パペットを用いた演出も素敵。
    ピーターをはじめとする子供たちは元気いっぱいで、わたしもエネルギーを分けてもらえた気がします。そして船長はお間抜けさんなところが憎めなかったです。インタビュー「上」のほうのお写真の船長さん ウィンクしてるの?と二度見してしまいました笑

  2. マヒロ より:

    先日、ピーターパン観てきました!小西さんのフック船長、本当に愛くるしくてお間抜け具合とカッコ良さと可愛いさと、なんなんだこの人は!と思うほど魅力的なフック船長でした♪作品の演出も童心の頃の想像力を引き出してくれるような演出も沢山、それに演者さんのそれぞれのキャラクターもそれぞれのお気に入りがあって、本当に楽しい時間でした!観劇前にこのインタビュー記事を読んでいったのも楽しみのスパイスになりました!そして素敵なお写真もありがとうございます♪

  3. ぽち蔵 より:

    後編もとても興味深く拝読しました!
    積み上げてきた技術と演じる心のバランスはとても繊細で絶妙なものなのでしょうね。
    今回観劇は出来ないのですが、スタッフさんもキャストさんも目がキラキラしている現場、想像が広がります。

  4. まみろう より:

    初日を観劇しまして、かなり興奮して帰ってきました(笑)森さんの演出、小西さんの出演ということで楽しみにしていましたが、何よりも演目の素晴らしさを改めて感じました。
    作り手側にとってのミュージカルとストレートプレイの違いは、聞いてみたかった質問なので岩村さんナイス!という気持ちです。ありがとうございます。

  5. K より:

    後半も楽しいインタビューと素敵なお写真でした。ありがとうございます🎵

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