「中禅寺さんにちょっと重なるのでは」、『魍魎の匣』小西遼生インタビュー(上)

小西遼生さん=撮影・NORI

2021年11月10日(水)から11月15日(月)まで東京のオルタナティブシアターで開催される イッツフォーリーズ公演ミュージカル『魍魎の匣』で中禅寺秋彦役を演じる小西遼生さんにインタビューしました。インタビューは上下に分けて2日連続で掲載し、「上」では作品の魅力、中禅寺秋彦に共感するポイント、ミュージカルとミステリーの相性の良さについて感じられていることなどについて紹介します。2021年11月9日(火)掲載予定の「下」では、オリジナルミュージカルを作り続けてきた「イッツフォーリーズ」劇団公演ならではの魅力、自分の趣味で読む小説のジャンルについて、普段から脱出ゲームや謎解きが好きなこと、お客さまへのメッセージなどを紹介します。

小西遼生さん=撮影・NORI
小西遼生さん=撮影・NORI

ーーミュージカル『魍魎の匣』の稽古はいかがですか。(※このインタビューは2021年10月中旬に行ったものです)

立ち稽古が始まったばかりですが、演出の板垣恭一さんがたくさんプランを練ってくださっていて、スムーズに進んでいます。

ーー原作は、かなり分厚い作品ですよね。

全部やりたくなってしまうくらい面白い作品ですが、原作のボリュームからは考えられないくらいにシェイプされている台本だと思います。本読み稽古の時点でも、かなりスピーディーに話が進むと感じました。しっかりと要点が繋ぎ合わされていて、スリリングな舞台になるんじゃないかという印象です。

ーー京極堂こと、中禅寺秋彦役でのご出演が決まった時のお気持ちはいかがでしたか。

オファーをいただいてから原作を初めて読んだのですが、「こんなにも面白い作品だったのか」と驚きました。名作シリーズのアイコン的なキャラクターである、中禅寺秋彦役をさせていただくことが、とても楽しみです。

ーー今は、お稽古の中で役を作られているところでしょうか。

『魍魎の匣』の原作では、関口が語り手となって、瞬間瞬間に起こっている出来事について、誰がどう思っているかというところまで、すごく細かく表現されています。舞台版になると、話がギュッと圧縮される分、登場人物たちの感情の流れも原作とは違ってくるでしょう。だからこそ、原作を大切にしていきたいと思っているので、稽古しながらいろいろと試しています。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、中禅寺秋彦に共感するポイント、ミュージカルとミステリーの相性の良さについて感じられていることなどインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。2021年11月9日(火)午前11時0分掲載予定の日掲載予定のインタビュー「下」では、オリジナルミュージカルを作り続けてきた「イッツフォーリーズ」による劇団公演ならではの魅力、自分の趣味で読む小説のジャンルについて、普段から脱出ゲームや謎解きが好きなこと、お客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■中禅寺の「憑き物落とし」には、僕が台本を読むときの方法に通ずるものがある

■何を伝えれば理解を得られ、心の向きを変えられるか。緻密に計算し尽くされている

■『魍魎の匣』という作品は、舞台に向いている。音楽が入ると更にドラマチックに

■謎やミステリーと、音楽のあるミュージカル。やっぱり相性がいいと感じています

<イッツフォーリーズ公演 ミュージカル『魍魎の匣』>
【東京公演】2021年11月10日(水)~11月15日(月) オルタナティブシアター
千代田区有楽町2-5-1有楽町マリオン(有楽町センタービル)別館7F
公式サイト:
http://www.allstaff.co.jp/mouryo/

<キャスト>
小西遼生・吉田雄・北村諒・神澤直也・大川永・加藤将・熊谷彩春・池岡亮介・德岡明・万里紗・横田剛基
宮田佳奈・米谷美穂・金村瞳・神野紗瑛子・堀内俊哉・浅川仁志・森隆二
駒田一
明羽美姫・鈴木彩子・東城由依・矢野叶梨・近藤萌音・日野七乃葉

<スタッフ>
原作:京極夏彦「魍魎の匣」(講談社文庫)
上演台本・作詞・演出:板垣恭一
作曲・音楽監督:小澤時史
主催・企画・制作:
株式会社オールスタッフ
ミュージカルカンパニー イッツフォーリーズ

<関連リンク>
小西遼生 公式HP:
https://konishiryosei.com
小西遼生公式twitter:
https://twitter.com/ryosei_konishi
小西遼生Instagram:
https://www.instagram.com/ryosei_konishi_official/

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小西遼生さん=撮影・NORI
小西遼生さん=撮影・NORI

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■中禅寺の「憑き物落とし」には、僕が台本を読むときの方法に通ずるものがある

ーー役と小西さんご自身の共通点を感じられることはありますか?

中禅寺さんは、変人の域に入っているキャラクターですから(笑)。彼の膨大な知識量や物事に関しての思慮深さなど、僕が個人的に重ね合わせるにはレベルが違いすぎる人物だと思っています。でも、物事を理路整然と順序立てていくという思考の流れに、共感できる部分はたくさんあります。僕自身の台本に対するアプローチは、この役作りとすごく重なります。

ーーどのような点が重なりますか?

中禅寺さんは、自分の生業である「人の魍魎落とし」つまり「憑き物落とし」をしながら、謎の開示をしていきます。これを全部、彼は「言葉」で行うんですよ。つまり、彼が仕事を遂行する上で最も大切なのは、言葉で順序立てていくことなのです。こういうところに、僕が台本を読むときの方法に通ずるものを感じます。

小西遼生さん=撮影・NORI
小西遼生さん=撮影・NORI

■何を伝えれば理解を得られ、心の向きを変えられるか。緻密に計算し尽くされている

ーー具体的には、どのように台本を読まれているのですか?

「前半のセリフや起きたことが、後半のこの場面につながっている」というようなことが、いくつも入り乱れているのが台本です。まずは、その全体を読み解いて、自分の中で整理整頓します。そして、今度は、それをどのようにお客さまに伝えるかを考えていくんです。ただ理解してもらうだけではなくて、感情が湧いたり、面白いと思っていただけるには、どうしようかなと。これは中禅寺さんがしていることに、ちょっと重なるのではと思うことがあります。

『魍魎の匣』のクライマックスには、中禅寺さんが謎を解くだけではなく、物事を順序立てていくことで、登場人物全員の魍魎を落としていくという場面があります。ここでも、何を先に伝えれば、相手の理解を得られるか、心の向きを変えられるかというところまで、緻密に計算し尽くされているセリフになっているんです。中禅寺さんの「憑き物落とし」には、演じるということに近しいものがあると思います。

小西遼生さん=撮影・NORI
小西遼生さん=撮影・NORI

■『魍魎の匣』という作品は、舞台に向いている。音楽が入ると更にドラマチックに

逆の見方をすれば、この『魍魎の匣』という作品が、舞台に向いているのだとも思います。もちろん見せ方の難しさはありますが、この作品の舞台化やミュージカル化そのものが、とても面白い試みだと感じています。

ーー『魍魎の匣』がミュージカルになると知ったとき、とても驚きました。

僕は謎解きといいますか、いわゆる探偵物の作品に何度か出演させていただいたことがあります。このジャンルの作品の場合は、大半が説明セリフになることが多いんです。説明セリフを言葉で伝えることには、演劇的な面白さがあり、そこに音楽が入ると更にドラマチックになるでしょう。ですから、この『魍魎の匣』は、ミュージカルならではの作り方ができる作品だと思います。

ーーどのようなシーンで、その面白さを感じられそうですか?

例えば、謎解きのシーン。僕が演じる中禅寺さんが謎解きをしている時には、他の登場人物は全員、受け手になるんですよ。そして、お客さまも恐らくそうだと思います。僕のセリフを聞きながら「ああ、なるほど」と思っていただけたら、もちろんそれも演技としては成功していると言えるでしょう。でも、そこに音楽が乗ることで、飽きずに楽しんでいただけると思っています。

ーー「飽きずに」ですか?

舞台上にいるキャラクターたちは、謎に直接関わっている当事者なんです。だから、中禅寺さんが謎を開示したとき、舞台上にいるキャラクターたちはその謎の当事者ですから、渦巻くものがあるはずなのです。でも、お客さまは第三者ですから、基本的には、舞台を眺めていらっしゃる立場になります。こっちがうまく表現しないと、冷静な目線になってしまい、面白くなくなってしまうと思うんですよ。

小西遼生さん=撮影・NORI
小西遼生さん=撮影・NORI

■謎やミステリーと、音楽のあるミュージカル。やっぱり相性がいいと感じています

ーーふと、冷静になってしまうということですね。

でも、音楽があると変わる気がします。音楽には、理屈じゃないところでお客さまの心を感動させたり、緊張感を持たせたりと、舞台に向かって前のめりに気持ちを展開させて行ける力があると思います。謎やミステリーと、音楽のあるミュージカル。やっぱり相性がいいなと今回感じています。

ーーミュージカルとミステリーの相性の良さ。面白いですね。

それなりに計算して作らないといけないですし、難しさもあります。でも、うまくいくと、すごくいい相乗効果が生まれるなと思っています。

小西遼生さん=撮影・NORI
小西遼生さん=撮影・NORI

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“「中禅寺さんにちょっと重なるのでは」、『魍魎の匣』小西遼生インタビュー(上)” への 8 件のフィードバック

  1. ENFJ6317 より:

    いつも、小西さんのことを記事にしていただきありがとうございます。
    魍魎の匣、観に行きました!
    コロナ禍である今、観に行けて本当に良かったと思っています。
    魍魎の匣は、ラノベを読みましたがイラストの中善寺秋彦さんに、小西さんがピッタリ過ぎて…
    前方席で観ることが出来ましたが色気たっぷりでした。。魍魎の匣は、ちょっと怖い印象があるので、抵抗がありましたが、面白おかしい演出にもなっていてホラーやミステリーが苦手な私でも安心して観ることができました。

  2. まみろう より:

    素敵なインタビューをありがとうございます。
    言葉で謎を解くことと音楽からエモーションを得ることは、対極にあるようで補完し合える、というのはとても共感できます。
    言葉にも音楽にも感性の鋭い小西さんが、ミュージカルで京極堂を演じるのはとても楽しみです!
    後半記事も楽しみにしています。

  3. ぽち蔵 より:

    とても興味深い小西さんのお話や素敵なお写真に毎回感謝です。
    明日の後編も楽しみです!

  4. roze より:

    原作を読んでいると小西遼生さんの風貌の京極堂が脳内をバシバシ駆け巡ります。
    今までは相手役の方と稽古を重ねて役に重ねていってるのだろうなぁと思っていましたが、恐らく今回はそのまま小西遼生さんに染み込んで、相手役との掛け合いの前にすんなりと中禅寺秋彦になってしまったのではないかなぁとインタビューからも感じています。明日も楽しみにしています。

  5. サイク より:

    京極堂な雰囲気の小西さんの写真。この佇まいを見るとますます公演が楽しみになります。
    そして小西さんの役を作って行く過程のお話しを聞くのが好きです。
    音楽との融合···
    どんな空間が広がっていくのかを想像するだけでワクワクします。
    いつも素敵な写真と記事をありがとうございます。

  6. ミック より:

    小西さんが出演されると聞いて初めてこの本を読んでみました。
    そして、これがミュージカルになるとどうなるのかとても楽しみです。

  7. みゆき より:

    いつもの小西さんの役作りの緻密さと今回の中禅寺さんのキャラクターがとてもリンクしていて、面白い作品になりそうですね。関西公演して頂きたかったです。拝見できないのが残念・・・

  8. くう より:

    魍魎の匣を含む京極夏彦先生の百鬼夜行シリーズ、学生時代に夢中になって読みました。その作品のミュージカルに小西さんが中禅寺さんとしてご出演なさるのが本当に嬉しいです。インタビューを拝見してますますワクワクしてきました。初日を楽しみにしております。

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