「アーティスト活動も役者も。相乗効果で両方がよくなるのが強み」、松下優也(下)

松下優也さん=撮影・岩村美佳

2022年1月15日(土)から1月23日(日)まで東京建物Brillia HALLで、2022年2月2日(水)から2月6日(日)までCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで上演されるミュージカル『ヴェラキッカ』で、シオン役を演じる松下優也さんのインタビュー、後編です。「下」では、『ジャック・ザ・リッパー』のこと、アーティストと役者という二つの柱がある活動をしていることの面白さ、演じるにあたり大切にしていること、ご自身の美学のこと、2022年をどう過ごしたいかなどについて話してくださった内容を紹介します。

松下優也さん=撮影・岩村美佳
松下優也さん=撮影・岩村美佳

――前回取材させていただいた『ジャック・ザ・リッパー』のアンダーソンが素晴らしくて、観たほうがいいと周囲に熱心に勧めていました。

そう言っていただいて嬉しいです。もちろんいつでも頑張りますが、メンタルや体調など、タイミングもよかったんです。自分なりに頑張り時でしたし、勝負をかけようと思っていました。

――『イキヌクキセキ~十年目の願い~』、『ジャック・ザ・リッパー』、『ハウ・トゥー・サクシード』、そして今回の『ヴェラキッカ』。連続した4つの役が全く違っていて、カラフルですごいなと思います。

「その人でしかない人」を演じることも、すごいことだと思うんですよね。でも、それならば僕は音楽だけで十分だと思うんです。役者やお芝居をやる楽しさって、その物語の中に存在する人物になっていくことで、本来芝居ってそういうものじゃないかと思います。

――松下さんはアーティスト活動もされていますが、アーティストと役者というふたつの柱を行ったり来たりする面白さや、化学反応みたいなものについては、どのように考えて取り組んでいらっしゃいますか?

自分自身が表現したいことは、音楽を通してのアーティスト活動の中にあります。でも、音楽がお芝居と影響しあっていることがたくさんあるんですよ。たとえがあまりにも偉大な人になるので、「いやいや、お前そんなレベルじゃないやろ」となりそうですが、大谷翔平さんは、ピッチャーとしてもバッターとしても活躍されていますよね。「どちらかだけにしたほうが良いのでは」と言われているところを、「自分は二刀流」として活躍されています。多分、大谷さんは「自分はどっちもやってこそだ」と考えていらっしゃると思うのですが、僕もまさにそのタイプだと思うんです。

僕の場合は、両方やってこそ影響を与え合って、相乗効果で両方がよくなっているということに、この数年で気付きました。それが強みだなと思っています。音楽は、本当に自分自身なので、「自分が何をやりたいのか」ということが、まずは絶対的にあります。

「自分はこういう風に見られたい」という気持ちは、お芝居や自分に与えられた役には必要のない欲だと思っています。「その役を演じること」だけを考えてきたので、芝居においては「自分はこう見られたい」という思いがないんですよ。自分が表現したいものや、確固たる自分があるという潜在的な自信があったからなのかもしれません。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、『ジャック・ザ・リッパー』のこと、演じるにあたり大切にしていること、ご自身の美学のこと、2022年をどう過ごしたいかなどについてなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■『ジャック・ザ・リッパー』のアンダーソンは、本質的に悪い人ではないという役作り

■演じるには、作品を多角的に観測することが必要。ブラックホールの撮影に似ている

■僕の美学は「引き算」。引くことに、人間の深みが表現として見える瞬間があると思う

■2022年も今やっていることに力を注ぎ、いいものにするために1日1日を過ごしていく

<ミュージカル『ヴェラキッカ』>
【東京公演】2022年1月15日(土)~1月23日(日) 東京建物Brillia HALL
【大阪公演】2022年2月2日(水)~2月6日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
公式サイト
https://verachicca.westage.jp/

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松下優也さん=撮影・岩村美佳
松下優也さん=撮影・岩村美佳

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■『ジャック・ザ・リッパー』のアンダーソンは、本質的に悪い人ではないという役作り

――アーティスト活動で、「これをしたい」ということができているからこそ、というところもありますか?

「アーティスト活動で、実現できている」というのは、かなり大きいです。あとは、仕事をしている自分とプライベートの自分とは、基本的に切り離して考えています。「自分はタレントだからこういう風にいなきゃいけない」とは考えていません。もちろん、社会人としての常識を守るのは前提ですが、タレントとしてお仕事をさせていただいている時の自分と、普段の一人の人間としての「松下優也」とは、結構切り替えて考えている部分があります。普段「自分」として存在できているので、舞台の上での自分がどう思われたとしても「別に芝居やし」という感じです。

――オフの自分も大切ですね。

『ジャック・ザ・リッパー』でいえば、薬物で捕まっている人たちもいますよね。それに手を出すなんて絶対にだめなことですが、お芝居ならそれを表現できてしまうというところが、表現する面白さだと思うんですよね。「よくないものはよくない」のですが、「よくないものが何故よくないか」を考えずに、「よくない」とすることも嫌いです。法律がそうだからというのではなく、なぜよくないのか。

――なぜなのかを、きちんと考えるということでしょうか。

『ジャック・ザ・リッパー』の時代は、多分コカインはイギリスでは法律的にだめではなかったんですよ。今とは道徳観が違ったのかもしれませんが、警察がそれをやっていることが問題。でも、薬物に手を出してしまったり、依存してしまった人たちが、みんな悪い人間かと言われたら、本質的には決してそうではないことも多いと思うんですよね。僕は、アンダーソンをそういう人間として表現したかったんです。「弱さや優しさが、そうさせてしまった」というところは、絶対に持っておきたいなと思っていました。本質的なことを考えるのが、好きなのかもしれません。 

松下優也さん=撮影・岩村美佳
松下優也さん=撮影・岩村美佳

■演じるには、作品を多角的に観測することが必要。ブラックホールの撮影に似ている

――最初に松下さんを拝見したのは『黒執事』ですが、『THE ALUCARD SHOW』など、個性的な強いイメージがありました。他の作品も色々拝見しましたが、特に今回は、アンダーソンの繊細な弱さのようなところを拝見した時に、すごく面白いと思いました。

この年齢になって、キャリアを重ねたからこそできたものだなと思います。本質を見極めて、そこになるべく目を向けたいと思っていても、表現につながっていなければ意味のないことだと思いますが、徐々に表現に昇華できつつあるなと思います。人間は、陰と陽の二面性だけではなく、いろいろな面を持っていると思うので、多くの角度から話を見ながら役を作っています。

――演じるときに、大切にされていることはありますか?

「こう演じたい」という自分の思いよりも、「話がどのようになっているか」です。その中で、自分がどこに当てはまるのかを見つけていくような感じです。数年前にブラックホールが撮影されたニュースがありましたが、あれはブラックホールを直接撮影しているのではないんです。さまざまな角度からいろいろな望遠鏡で見て、全部を照らし合わせて、ブラックホールができているんですよ。

――そうなんですね。

役を演じるのも、そういうことだと思っているんです。多角的な部分から観測してできていくものなので、自分から何かを仕掛けるのではなく、物語を理解した上で、自分がどこにはまるのか。

松下優也さん=撮影・岩村美佳
松下優也さん=撮影・岩村美佳

■僕の美学は「引き算」。引くことに、人間の深みが表現として見える瞬間があると思う

――自分がパズルの中のピースとして、どうあるのか、何を求められているのかが大事ということですね。

どうしても何かを「すること」に終始してしまいがちですが、「しないこと」はすごく重要なことで、足すことよりも引くことこそが重要で、センスが問われるところだと思います。

――「抜け感」みたいなことでしょうか。

そうです。そこで、人間の深みのようなものが、表現として見える瞬間があるのだと思います。「アンダーソンには、こんな面もあるんだ」というときに、「こんな面」を見せるには、その前に他の面をもっと表現しておかないといけませんから、「引く時にすごく引こう」と考えます。このような「構築」は、歌もダンスもお芝居も全部一緒なんです。僕の美学として、「引き算」を大事にしています。

松下優也さん=撮影・岩村美佳
松下優也さん=撮影・岩村美佳

■2022年も今やっていることに力を注ぎ、いいものにするために1日1日を過ごしていく

――2022年が始まりましたが、今、読者の方に伝えておきたいことをお聞かせください。

昔は、飛躍したことを思ったり言ったりしましたが、今は、目の前のことをやることが何よりも重要だということに気付きました。ですから今は、目の前の『ヴェラキッカ』に向けて100パーセントでやることを考えています。例えば、『ジャック・ザ・リッパー』を観てくださって、僕のことを評価していただけるのは嬉しいのですが、それは自分で言うことではないので、自分がやれることはその作品に向けて全力でやることだと思っています。僕は自分をどう売り込むとか、そういうことにはそもそも向いていないですし、伝えることは周囲の方に「頑張ってください!」とお任せして(笑)。1日1日を、作品や、今やっていることに対して力を注ぎ、いいものにするために過ごしていきます。

松下優也さん=撮影・岩村美佳
松下優也さん=撮影・岩村美佳

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“「アーティスト活動も役者も。相乗効果で両方がよくなるのが強み」、松下優也(下)” への 3 件のフィードバック

  1. YUKA より:

    ジャックザリッパーのアンダーソンのことやアーティスト活動のことも含まれていて、とても読み応えのある記事でした。
    松下優也さんのことの考えていることが、深く知れて嬉しいです。またお写真も全てステキでした。
    ありがとうございました。

  2. きききき より:

    インタビュー後半楽しみにしてました!!ジャックザリッパーについてまたお話しが聞けると思わなかったので、嬉しいです。優也くんも言っていますが、アーティストと俳優は全く別の人格だけど、2つが合わさった時の化学反応が見ていてすごいと思います。
    例えがブラックホールで宇宙好きな優也くんらしい。笑。ずっと優也くんの舞台をご覧になっている岩村さんだからこそ引き出せる色々なインタビュー、読んでいて興味深かったです。
    ヴェラキッカ、最後まで駆け抜けられますように!!

  3. なお より:

    いつも松下優也くんを特集してくださりありがとうございます。今回も深く掘り下げたインタビューで優也くんのお芝居への向き合い方や考え方を知ることができてうれしかったです。お写真もとっても素敵でした。ありがとうございました♪

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