マーティン・クリンプ脚色版『シラノ・ド・ベルジュラック』が、2022年2月7日(月)から2月20日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスで、2022年2月25日(金)から2月27日(日)までCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで上演されます。大きな鼻のコンプレックスに悩みながら、一人の女性を愛し続けたフランスの詩人・剣豪、シラノの物語『シラノ・ド・ベルジュラック』を、ラップやボイスパーカッションで言葉を綴る前代未聞の全く新しい作品として脚色し、英国演劇界最高峰の賞といわれるローレンス・オリヴィエ賞でリバイバル賞を受賞した作品です。
アイデアニュースでは、今回の日本初上演でシラノ役を演じる古川雄大さんにインタビューしました。インタビューは、上、下に分けてお届けします。「上」では、『シラノ・ド・ベルジュラック』の稽古のこと、シラノという人物について、谷賢一さんの演出のこと、シラノを演じる面白さや難しさなどを伺いました。「下」では、シラノのラップのこと、ラップとミュージカルで歌うときの違い、古川さんの「言葉」に対する思い、「言葉」が生まれたプロセスについて調べたこと、映像作品に出演して思ったこと、仕事の選択において大切にしていること、35歳を迎えるにあたっての思いなどについて話してくださった内容やお客さまへのメッセージを紹介します。
(※このインタビューは、1月中旬に行いました)
――いま、稽古はどんな様子でしょうか?
一通り全幕を当たって、大枠を作り、2周目に入っている段階です。カチッと決まっているところはそんなに多くはなく、いろいろなことを試して、可能性をどんどん広げていく作業をしています。
――台本を拝見すると、膨大なセリフ量ですが、稽古の段階で、台本が立体的に立ち上がってきてから発見できたことや、面白いこと、大変さなどの点はいかがですか?
言葉の解釈や内容の深さが、自分の想像の範囲外になっていることです。そのなかでも、シラノはさまざまな表情を見せます。「怒れる男」であるだけではなく、周りの状況をしっかりと理解した上で、「自分はこういう存在なんだ」と。だからこそ、シラノはすごく戦っている人なんだなとわかりました。
作品のことでいうと、たくさんの表現方法があるということが、稽古に入ってからわかりました。セリフの言い方はもちろん、舞台での表現の仕方もです。
言葉だけで伝えるのが基本なので、お客さまがそれをどう受け取るかについては、こちらがルールを説明しないといけないのだと思っていましたが、そこも決まっていなくてもいいんだなと。いろいろな表現方法があると日々学んでいます。
――稽古を通して、シラノという存在そのものや彼の表情についても、台本を読んで想像していた時よりもさらに深まっているとのことですが、具体的に「こう思っていたところが、こう変わった」というところはありますか?
僕の最初のシラノのイメージは、すごく悲しく、怒れる狂人といいますか、ベースに怒りが強くある人でした。でも実は、簡単に言うと「心優しいモンスター」で、とても弱い部分がある人なんだなと。それを補うためのパフォーマンスとして、狂人という捉え方をされているのだろうと思います。
例えば、ド・ギーシュに対して、ただの怒りだけではなく、ド・ギーシュの存在や怖さみたいなものを理解した上で、反発しているようなところがあります。シラノという人は、ド・ギーシュが自身に与えてくる恐怖を、十分に理解しているのだなとわかりました。
ロクサーヌとクリスチャンの仲を取り持つことに対しては、いろんな解釈ができると思いますが、やはり一番は、「自分で気持ちを伝えたい」という強い思いがシラノにあるのだと感じています。ロクサーヌに対する思いだけでなく、クリスチャンへの瞬間的に芽生えた友情というか、彼が弱みを吐露したことで、すごく共感して、「彼のためにやってやりたいな」という気持ちもあっただろうと思うんです。だから、ひとつの感情ではなく、いろんなことが混ざっているような気がしています。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、谷賢一さんの演出のこと、シラノを演じる面白さや難しさなど、インタビュー前半の全文と写真を掲載しています。2月5日掲載予定のインタビュー「下」では、シラノのラップのこと、ラップとミュージカルで歌うときの違い、古川さんの「言葉」に対する思い、「言葉」が生まれたプロセスについて調べたこと、映像作品に出演して思ったこと、仕事の選択において大切にしていること、35歳を迎えるにあたっての思いなどについて話してくださった内容やお客さまへのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)
■シラノの「おちょくり」の背景には、ド・ギーシュへの怯えがあるとわかった
■谷さんは、役者が面白がっているところをピックアップして「それ良いね」と
■「じゃあやってみて」も、「ここでこうやって」と言われても苦痛には思わない
■「愛している」をどう言うか。言葉の裏に隠された気持ちも表現してこそシラノ
<『シラノ・ド・ベルジュラック』>
【東京公演】2022年2月7日(月)~2月20日(日) 東京芸術劇場プレイハウス
【大阪公演】2022年2月25日(金)~2月27日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
公式サイト
https://www.cyrano.jp/
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※古川雄大さんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは3月4日(金)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
※ここから有料会員限定部分です。
■シラノの「おちょくり」の背景には、ド・ギーシュへの怯えがあるとわかった
――演出の谷さんとお話されて、変わっていったことはありますか?
ド・ギーシュに対する思いは、昨日改めて変わりました。シラノは、常におちょくっているような態度をとるので、自分の中に確固たるものがあって、それを相手にぶつけているのかなと思っていたら、実は怯えている部分もあるのだとわかりました。そこが抜けていると、あんまり立体的になっていかないといいますか、表面的なものになってしまうので、ちゃんとド・ギーシュの怖さを理解した上での、反発やおちょくりにしたほうがいいと。序盤からの態度を変えたほうがいいのかなとも、いま話しています。ド・ギーシュに対する態度を、しっかり構築していかないといけないですし、これからどう変えていこうかという段階です。
■谷さんは、役者が面白がっているところをピックアップして「それ良いね」と
――谷さんからの演出を受けて作っていく中で、例えば、「新しさ」や「演出を受ける面白さ」など、どんなことを一番感じていらっしゃいますか?
谷さんは、「これ」と決めずに進めていくんです。これまでの経験では、ある程度決まっていることが多かったので、そこが大きな違いです。多分ギリギリまで可能性を探っていらっしゃるのだと思います。
ご自身のなかにきっとイメージはあるのでしょうが、それを役者に伝えるのではなく、役者がどういう風にやるのかとか、役者が面白いなと思っているところをピックアップしてくださる方だと思います。「それ良いね」というところを拾っていただいていると感じています。
――具体的に、「それ良いね」とピックアップされたことで、覚えていらっしゃることはありますか?
まず、スタート時点ではまっさらで、「じゃあやってみて」という感じなんです。「そこで後ろを向いたのがいいから、決めでいこう」と稽古が進んでいくので、稀なことではなくて。なので、それほど明確には覚えていませんが、「そこに座ったのが面白いから」みたいなことです。
■「じゃあやってみて」も、「ここでこうやって」と言われても苦痛には思わない
――役者を起点に動かしていくやり方は、古川さんご自身はいかがですか。やりやすいものでしょうか?
どちらがいいのか自分ではわかりませんが、「じゃあやってみて」と言われて、できないわけでもないですし、「ここでこうやって」と言われても、苦痛ではないんです。ごくたまに、決められたことがあまり腑に落ちないこともありますが、こういう意味なんだろうなと解釈したら、できますね。
――今回は、自由に動いていらっしゃるということですね。
そうですね。これからどんどん決めていくことが増えていくのだと思いますが、今はまだ探っている段階です。
■「愛している」をどう言うか。言葉の裏に隠された気持ちも表現してこそシラノ
――「シラノは心優しいモンスターで、戦っている人」とおっしゃいましたが、この人物を演じる面白さや難しさについては、どう感じていますか?
シラノは、優しいというか、常に演じている人なので、この表現の裏には何があるんだろうと考えなければいけない人です。物語の中盤に「愛している」という言葉をどう言えばいいのかと、時間をかけながらゆっくり語っていくところがありますが、「愛している」という言葉に対しても、照れや怒りや、いろんなものが出てくるんです。いろいろな人と接しているなかで、いろんな感情がある人です。そこを表現するにあたって、「いま、シラノはどんな気持ちで、どんな気持ちが隠されていて」という部分を考えるのが大変だなと思っています。
あと、会話がすごく詩的になっていたり、やりとりがおしゃれで、発する言葉がすごく哲学的なので、どういう意味なんだろうと思う部分が多いんです。それを自分でちゃんと理解するのが大変なところです。
※古川雄大さんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは3月4日(金)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
古川さんの大ファンで、初ストプレの観劇時に細やかな演技に感激して何度か拝見しました。
久々のストプレで今回とても楽しみにしていま菅、記事を拝見して益々興味深くなり早く観たくなりました。
明日の初日を観劇予定ですが、奥深い作品ですし、何度か体感出来たらと思います。
観劇後にまた読み返してみたいなと思いますし、次回のインタビュー後半も楽しみにしています。
サイン色紙とお写真、是非欲しくて早速応募させて頂きました。
よろしくお願いいたします。
アイデアニュースさんのインタビュー楽しみに待っていました。
他とは違った切り口で深いお話を聞いてくださって興味深く読ませて頂きました。
シラノ観劇するのが更に楽しみになりました。
無事に幕があがりそして無事に千秋楽を迎えられますように。
お写真いつも素敵なカットばかり。ありがとうございます。
北海道に住んでいるので舞台を観に行く事がなかなか出来ない中、雄大君の記事を読むのがとても楽しみです。
雄大さんのシラノ、本当に楽しみです。
インタビューから雄大さんの熱意が伝わってきます。
言葉に置いていかれないようにしっかりと観てきます!
素敵なお写真、ありがとうございます。
古川雄大さんのシラノが、いよいよ始まるんだと記事を読みながら実感してます。
どんなシラノを見せてくれるのか
楽しみの中に期待と、、何故か観る緊張感でワクワクしてます。
舞台という生でしか味わえない感情のシャワーをシラノで浴びたいと思います。
相変わらずカッコいい古川さんですが、5枚めの写真好きです。岩村さんありがとうございます!
岩村さんの深く掘り下げたインタビューがいつも興味深く、観劇の期待を倍増させてくれます。
シラノはNTLを映像で見ましたが、難役だと感じました。谷さんと古川さんがどう表現するのか、日本版の「オリジナリティ」がどこまで出るのか、とにかく無事に幕が開いて自分の眼で確かめる日が待ちきれません。
いつもいつも興味深いインタビューと素敵な写真をありがとうございます。優しい笑顔の古川さんを見ているとこちらまで幸せな気持ちになります。
無事に開幕してくれることを祈っております。
深く切込んだインタビューに造形の美しさ際立つ写真。とても読み応えがありました。
役を構築する過程は皆関心があり、なかなか知ることができないので嬉しかったです。
シラノは愛の詩を謳い、哲学を語り風刺をする。剣豪だが、言葉でも闘う人。
演じる人はさすがに掘下げが深い。シラノの攻撃性が自信のなさの裏返しであると、言われてみればその通りだ。
深掘し咀嚼し突き詰めた先のシラノ。英語の響きとは違うであろうラップ。全て楽しみです!
古川雄大さんの大ファンです。シラノドベルジュの記事が、キッカケですが、これからも、色々なニュースを楽しみにしています。
岩村さん、いつも素敵な記事と素敵なお写真ありがとうございます。岩村さんの撮ってくれる雄大くんが大好きです。
思っていた以上に雄大くんの意気込みを熱く感じています。早く雄大くんの演じるシラノが観たい…!期待感が高まります。後編も楽しみにしています!
「シラノ・ド・ベルジュラック」稽古場での様子から役を掘り下げている姿勢など、さまざまな雄大さんの近況(インタビューは先月のようでしたが)がわかって、とても豪華なインタビューでした。ひとつひとつの発言から、雄大さんご本人がお話しされている様子が目に見えるような記事だと思います。ボリュームがあって読み応えがありました!お写真も一点一点がとても素敵です。
インタビュー後編も「きっと素敵なインタビューに違いない」と今から待ち遠しいです。
今シラノの原作本を読み解いているところですが、なかなか難しく…でもこのインタビューを読んで少しずつ理解できるところもありそうです。とても丁寧かつ深い内容で、何度もじっくり読ませてもらおうと思います!
とても貴重なインタビューありがとうございます。そして素敵なお写真でとても嬉しいです。後編も楽しみです。
お稽古の様子や役作りまで詳しく深掘りしてくださったインタビューに素敵な画像!ありがとうございます!
シラノの表と裏に隠されたいろんな感情、側面や魅力をどんなふうに表現されるのかなと想像が膨らんでさらに観劇が楽しみになりました^^
古川さんの丁寧に役に向き合い役作りをされる姿がとても好きです!
これまで古川雄大さんの歌声と目の表情が好きで出演ミュージカルを観てきました。シラノは歌がない分、表情や仕草の演技が際立つのかなと楽しみです。それから、岩村様の写真での雄大さんは表情が自然体で大好きです。
楽しみしかありません。どんな舞台になるのか想像するだけでワクワクします。古川くんの感性で作り出される新しいシラノ。きっと斬新なものになると確信しています。岩村さん、いつも丁寧かつ愛ある取材、ありがとうございます!岩村さんの記事と美麗なお写真大好きです!またお願いします。後編も楽しみです。
インタビューを読んでより観劇するのが楽しみになりました
雄大さんがどんなシラノを演じるのか見るのが楽しみです
今回、雄大くんの主演ということでシラノ・ド・ベルジュラックという演目を知りましたがインタビューを読ませていただいて少し理解出来きたので初日がとっても楽しみです!いつも素敵なインタビュー&かっこいい写真ありがとうございます!後編も楽しみにしています。