「人間は、こんなことを毎日やれるんだと」、『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』大貫勇輔・三浦涼介(上)

大貫勇輔さん(右)と三浦涼介さん=撮影・岩村美佳

ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター〜北斗の拳〜』が、2022年9月25日(日)から9月30日(金)まで東京・Bunkamuraオーチャードホールで、10月7日(金)から10月10日(月・祝)まで福岡・キャナルシティ劇場で上演されます。2021年12月の初演時には、観劇後の原作ファンやミュージカルファンから、多くの称賛の声が寄せられました。2022年版は新たなキャストが加わって、ブラッシュアップされて帰ってきます。

アイデアニュースでは、大貫勇輔さんと三浦涼介さんの対談を、上、下に分けてお届けします。大貫さんは初演に引き続いてケンシロウ役を演じます。三浦さんは、再演からの参加でレイ役を演じます。「上」では、稽古のこと、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』(2018年)以来の共演への想い、プライベートでも親しいというお話、稽古場で口論したことなどについて話してくださった内容を紹介します。

「下」では、実際に親しい二人が役の上でもケンシロウとレイという親友関係を演じること、ケンシロウとレイがお互いどこに惹かれあって友情を育んだかというお話、レイのシーンが増えたことによる変化、今回の公演へのそれぞれの想いなどについて伺った内容と、お客様へのメッセージを紹介します。

大貫勇輔さん(右)と三浦涼介さん=撮影・岩村美佳
大貫勇輔さん(右)と三浦涼介さん=撮影・岩村美佳

(インタビューは9月中旬に実施しました)

ーー通し稽古をされたと伺いましたが、手応えはいかがですか?

大貫:だいぶ前に通したのも含めると、3回通しましたね。

三浦:1回目の通しは、僕が稽古に入ってから10日目くらいで、一昨日、昨日で2回通しました。自分が関わるシーンを深くお稽古できた期間があったので、だいぶ心の中が繋がってきたなと思いましたし、通し稽古の後に、演出の石丸さんからノートを頂いて、また新たな課題ができました。石丸さんがまだ未来を見てくださっているんだなと感じられて、さらに楽しみが増えました。

ーー課題というのは、どのような点に関してでしょうか?

三浦:お芝居の未来といいますか、レイという役がもう少し見えてくるという、表現の仕方に関することです。

ーー大貫さんは、石丸さんから三浦さんへのノートについては、どのように感じていらっしゃいますか?

大貫:りょん(三浦さん)の素晴らしいレイのおかげで、自分が演じているケンシロウを、初演からさらに進化させることができていると感じます。この作品をより良くするためには、自分はどんな変化が必要なのかなと、りょんのレイを通して、いろいろ考えています。

石丸さんは、“間”のことをすごくおっしゃっていたのですが、今回、りょんの芝居を初めて見た時に、自分のなかで本当に実感が湧くまで、無理してセリフを言わなくていいのだと思いました。「進めなければいけない」という思い込みが自分の中にあったからこそ、りょんのお芝居を見て、たくさんの気づきがありました。

テンポよくどんどん進めていかなければいけないと思っていたところから立ち戻って、お芝居というものは、もちろんセリフは決まっているけれども、リアルに起こっていることだったら、その瞬間に生まれた感情によってセリフが生まれるべきだと思った時に、もう一度自分の、なぜここでセリフを言うのかと立ち戻らせてもらったというか。

決められた時間の中でこの作品を上演しなければいけないので、いらない“間”は摘まなければいけませんが、“間”によって引き立つことがあるのだと、すごく学ばせていただいています。りょんがこの作品に加わってくれたことで、間違いなくバージョンアップしていますし、自分自身もお芝居をする上で、たくさん学びがあります。

ーー初演でケンシロウを生きたからこそ、感じられることでしょうか?

大貫:「初演はこうだったから」というのが、自分の中に知らず知らずにあって、それをいい意味でそれを壊してくれたといいますか。例えば、ケンシロウはいろんな人の影響を受けて変化していく役です。

一幕最後の、覚醒する人間が悲しみだけではなく、いろいろな感情を内包していなければならない状態の中で、初演ではただただケンシロウとして生きることに精一杯でしたが、今回は、人間が悲しんでいる状態、苦しんでいる状態で、セリフを言う時の言い方の真実はどこにあるのかということを、すごく悩んでいます。

もしかしたら叫ぶことではなく、一番ベストな間があって、強調する言葉があって、受け取る言葉があって、それをどういう風に、間なり、声のボリューム感だったり、テンポ感だったりで、お客様に伝えなければいけないのか。自分が気持ちいい芝居をすればいいのではないと、悩んでいるところです。

初演の感覚に引きずられがちになってしまっているので、そこを直している最中です。もっと原作に近い、淡々と冷静な男で演じてもいいのかなと、新たに作ろうとしています。

ーー三浦さんは初演をご覧になったそうですが、今実際に参加されてから、印象が変わったことはありますか?

三浦:ないです! 観劇させていただいたときに、「人間はこんなことを毎日やれるんだ」と衝撃でした。同じお仕事をさせていただいている人間として、10代や20代の若い方達ばかりではないですし、肉体的、精神的なところをいろんな意味ですごく感じたんです。まさか自分が出演させていただくことになるとは思わずに拝見していたので、割と素直に、思ったことを感じたままに、観劇された方達と話をしたんですが、本当に衝撃的でした。

1ヶ月一緒にお稽古させていただくと、これがあったから、あの舞台があったんだと。毎日怪我と隣り合わせで、皆さん命をかけてされていたんだと、稽古場からすごく考えさせられているというか、感じているところです。

ーー今は、まさにその命をかけた稽古をされているのですね。

三浦:僕は皆さんに比べるとそんなに動いていないですが、単純に高いところに登ったり、釣り上げられるということだけでも、やはり単純に怖いことで……。観てくださっている方達に、それを感じさせないようにやらなければいけないから、稽古があるのだと思いますが、やっぱりすごく怖いなと思う瞬間が多々あるわけです。でも稽古が十分にできていれば、不安なく、緊張せずに登れることなのだと思うので、日々そこを目指しています。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』(2018年)以来の共演への想い、プライベートでも親しいというお話、稽古場で口論したことなどについて話してくださった内容などインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。25日掲載予定のインタビュー「下」では、実際に親しい二人が役の上でもケンシロウとレイという親友関係を演じること、ケンシロウとレイがお互いどこに惹かれあって友情を育んだかというお話、レイのシーンが増えたことによる変化、今回の公演へのそれぞれの想いなどについて伺った内容やお客様へのメッセージなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■大貫:『ロミオ&ジュリエット』以来の共演。いつか一緒に芝居をやりたかった

■三浦:共演という発想がなかった。一緒にお芝居して、喧嘩したくもないし(笑)

■大貫:喧嘩はしていないですが、稽古場における正しい居方について口論を(笑)

■三浦:僕がどうであれ、大貫さんの居方は全然いいし、どうであってもきっと好き

<『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』>
【東京公演】2022年9月25日(日)〜9月30日(金) Bunkamuraオーチャードホール
【福岡公演】2022年10月7日(金)〜10月10日(月・祝) キャナルシティ劇場
公式サイト
https://horipro-stage.jp/stage/musical_fons2022/

『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』 関連記事:

⇒すべて見る

大貫勇輔 関連記事:

⇒すべて見る

三浦涼介 関連記事:

⇒すべて見る

※大貫勇輔さんと三浦涼介さんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは10月24日(月)です(このプレゼントの募集は終了しました)。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

大貫勇輔さん(右)と三浦涼介さん=撮影・岩村美佳
大貫勇輔さん(右)と三浦涼介さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■大貫:『ロミオ&ジュリエット』以来の共演。いつか一緒に芝居をやりたかった

ーーお二人は、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』(2018年)で初共演されて、今回が2回目の共演になります。前作では、大貫さんは死のダンサー役で、セリフを交わされていなかったという意味では、一緒にお芝居をされるのは初めてかと思います。一緒にお芝居をするとどんな感じになるかなど、想像されていましたか?

大貫:想像したことはなかったですが、いつかやりたいなと思っていました。当時は、死のダンサーを演じるのは最後だと思ってやっていましたし、ミュージカルをやりたいという気持ちがありながらも、どうなっていくかがわからない時期でした。こういう形で共演できるとは、想像していなかったですね。決まったときは本当に嬉しかったです。

大貫勇輔さん(右)と三浦涼介さん=撮影・岩村美佳
大貫勇輔さん(右)と三浦涼介さん=撮影・岩村美佳

■三浦:共演という発想がなかった。一緒にお芝居して、喧嘩したくもないし(笑)

三浦:僕は、共演するしないは本当に考えていなくて、この先も共演できたらいいなという発想すらなかったです。プライベートで仲良くさせてもらっているので、それだけで学べることがありますし、一緒に時間を共有できることの、自分的な幸せが十分にあるので、一緒にお芝居して、変に芝居のことで喧嘩したくもないし(笑)。

大貫:(笑)。

三浦:ぶつかるのだけは避けたいなと。芝居イコール、酔うと役者たちは言い合うみたいな(笑)。

大貫:喧嘩しがちなのでね。

三浦:しょうもないことで喧嘩することがよくあったので。

三浦涼介さん=撮影・岩村美佳
三浦涼介さん=撮影・岩村美佳

■大貫:喧嘩はしていないですが、稽古場における正しい居方について口論を(笑)

大貫:別の取材で、「酔っぱらうと、りょんが僕に絡む」と言ってしまったんです。その飲んだ時の映像が残っていて、見返したら僕が突っかかってました(笑)。

三浦:マジでひどいんですよ(笑)。そう言うから絡んだんだろうなと思っていたんですが、映像見てみたら、明らかに……。

大貫:僕が絡んでましたね。

三浦:珍しいこともあるものだなって。

ーー今回、稽古がはじまってからは、喧嘩しましたか?

大貫:喧嘩はしていないですが、口論を…(笑)。

三浦:(笑)。

大貫:稽古場における正しい居方について、口論はしましたね。

三浦:しましたね。

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳
大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

■三浦:僕がどうであれ、大貫さんの居方は全然いいし、どうであってもきっと好き

ーーそれはスムーズに解決しましたか?

三浦:僕がどうであれ、大貫さんの居方は全然いいし、どうであってもきっと好きなんだけど、というだけなんです。

大貫:という感じに落ち着きました。お互いにわかってるねみたいな感じですね。

ーーお芝居の中身的な話では、口論はなかったんですね?

大貫:「ここの間をもう少しとる?」とか、1回目の通しから変化して、「やっぱりこっちの方がしっくりきたから、この方向でお芝居しようかな。やりづらかったらごめんね」とかですね。

三浦:そうだね。

大貫勇輔さん(右)と三浦涼介さん=撮影・岩村美佳
大貫勇輔さん(右)と三浦涼介さん=撮影・岩村美佳

※大貫勇輔さんと三浦涼介さんの写真1カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは10月24日(月)です(このプレゼントの募集は終了しました)。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

Follow me!

“「人間は、こんなことを毎日やれるんだと」、『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』大貫勇輔・三浦涼介(上)” への 19 件のフィードバック

  1. ミカン猫 より:

    アタタミュ舞台、2度拝見させて頂きました。配信もあったので、数えきれないくらいたくさん堪能させて頂きました。こちらでは、三浦さん、大貫さんの仲の良さや素敵なインタビュー、そしてお写真が見られてファンとしては、とてもありがたいです!

  2. U・S・O より:

    レイはケンシロウが唯一心を許し共に闘った盟友ともいわれていますね
    お二人とも様々なお仕事をされるなか、いつもプライベートにまで及び深く心を通わせる親しい方とのご縁で結ばれるばかりではないことと思います。
    正に常に心がお互いの側にある
    そういう意味でも北斗の拳は
    大貫さんと三浦さん
    ケンシロウとレイ
    両方の意味において唯一無二のコンビだからこその、素晴らしい作品に更なる煌めきの相乗効果が生み出されたと思います。
    (下に続きます)

  3. もといけ より:

    素敵なお写真と対談記事、ありがとうございます。事前に記事を拝見してから公演を観劇しましたが、ケンシロウとレイがお互いから与え合ったものがとても強く伝わってきて素晴らしい一幕最後へ繋がっていき、こういうことだったか…と納得でした。記事有料部分では意外な裏話が聞けて、お二人の素顔を垣間見られたようで嬉しかったです。

  4. まりな より:

    素敵なインタビュー記事をありがとうございます!
    東京公演を観劇させていただきました。
    「人間は、こんなことを毎日やれるんだ」って、まさに見出しのとおりのことを思いました!
    お2人の仲の良さが伝わってくるインタビューでしたし、そんなお2人が舞台の上でも親友役をされているのが観れて、とても嬉しかったです!

  5. シイナ より:

    酔った時のお2人のエピソードが面白く、仲の良さがうかがえて、微笑ましく思いました!

  6. ありあり より:

    東京公演千秋楽おめでとうございます!
    残すは福岡公演のみですね。
    こんなに素晴らしい作品がこんなに早いタイミングでブラッシュアップされての再演となったことが本当に嬉しいです♪
    お二人の関係性も知れて、福岡公演がより楽しみになりました^ – ^

  7. あめにゃん より:

    お二人の役を深める努力と格好良い綺麗なお写真、憂いのある三浦さんの美しいアップのお写真をありがとうございます。
    親しいからお芝居の話でぶつかりたくないと仰る三浦さんのお人柄。だからこそ出来る舞台上のお二人の空気感が素晴らしかったです。
    こちらのインタビューを読んでから期待を高まらせて観劇させていただきました。

  8. れん より:

    インタビュー現場の空気が感じられるような、あたたかい記事をありがとうございます
    『お芝居のことで喧嘩したくないし』
    仲が良いからこその本音なんだろうなぁ、とクスッとさせていただきました
    本日の初日、楽しみに向かいます

  9. ろみ より:

    お二人の互いに信頼、尊敬している様子が感じられたインタビューでした。無事に幕が開き最後まで駆け抜けることができますよう祈っています。
    (下)も楽しみにしています!

  10. EMAxEMA より:

    ロミジュリでお二人は拝見していましたが、こんなに親しいとは知らなかったので驚きました。
    ケンシロウとレイは深い信頼で結ばれている役ですので、今回の記事を読んでお二人の新しい北斗の拳を拝見するのがますます楽しみになりました。

  11. バーバラ より:

    マタハリ、舞台呪術廻戦を拝見して、三浦さんのファンになりました。
    明日から始まるこの舞台にも期待しています。
    いつも、品のある優しい写真をありがとうございます。
    文章もとてもおしゃれで、アイデアニュース、大好きです。

  12. セイヤーズ より:

    稽古場でのお二人の事など、珍しいお話を興味深く読ませていただきました。いつもながらの素敵なお写真に加え、三浦さんのふとした表情もみられて嬉しい記事でした。ありがとうございます。インタビュー後半も楽しみにしております!

  13. しまっころ より:

    インタビュアーの岩村さんがお二人の仲が良いリラックスした感じをうまく引き出して下さっていて、普段知ることのできないお二人の関係性やお互いの在り方がよくわかる大変興味深いインタビューでした。
    後半のお話も楽しみにしています♪

  14. みこモン より:

    大貫さんのファンです。
    ロミジュリで共演された時におふたりが親しくなられたらいいなと思っていました。私の長年の友人がずっとりょんさんのファンなので。なのでとても嬉しいインタビューでした。写真もとても良いです!自然な柔らかさがにじみ出てますね。

  15. みひら より:

    ごめんなさん
    …さんが慌てていたのだ「さん」が抜けておりました
    三浦涼介さんです
    あわてんぼう失礼しました

  16. みひろ より:

    いつも素敵な記事をありがとうございます
    お写真も沢山ありますし、初出のお話も沢山でいつも楽しみです
    三浦涼介のファンですのでこれからも沢山記事をよろしくお願いします

  17. のの より:

    大貫さんと涼介さんの兄弟のような仲の良さを垣間見ることができる素敵な記事でした^ ^
    ロミジュリの頃から涼介さんの憧れの人であった大貫さん。
    普段から仲良しなだけに芝居でぶつかりたくないというのは 意外でした。
    二人の熱いお芝居を観れるのが楽しみで仕方ありません。

  18. うまし より:

    有料会員部分では他の媒体ではなかなか聞けないお話もうかがえて、日頃から仲の良いお二人の雰囲気が伝わってくる内容に読んでいてニコニコしてしまいました。
    お二人の密度の濃い関係がケンシロウとレイにどう反映されてどんな進化を遂げているか、観劇がますます楽しみになりました。
    (下)のインタビューもお待ちしています。

  19. しゅりん より:

    お二人の中の良さがうかがえるインタビューで、ブラッシュアップされた「ミュージカル北斗の拳」を観劇するのがさらに楽しみになりました。後半も期待してます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA