「image」上演へ、「劇団鹿殺し」オレノグラフィティ、インタビュー(上)

オレノグラフィティさん=撮影・達花和月

今年活動15周年を迎えた「劇団鹿殺し」。その記念公演として、今年1月には本多劇場で、劇団鹿殺し“王道”作品「キルミーアゲイン」、7月にはサンシャイン劇場で、“挑戦”作品「名なしの侍」が上演されました。そして記念公演のラストを飾る、2003年の初演時に“衝撃度No.1”と言われた伝説の作品「image -KILL THE KING-」が、11月23日~12月4日まで東京・下北沢駅前劇場、12月8日~12月11日まで大阪・ABCホールで上演されます。この作品に出演する俳優・音楽担当のオレノグラフィティさんに、劇団との出会いとこれまで、そして「音楽」への想いを語っていただきました。(上)(中)(下)3回に分けてご紹介します。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、オレノグラフィティさんが演劇と出会ってからの紆余曲折、「image -KILL THE KING-」との出会い、そして「劇団鹿殺し」に入団するまでについて語っていただいたインタビューの全文を掲載しています。11月8日掲載予定のインタビュー(中)では、「劇団鹿殺し」に入って「バイトはしない」と決めてからの大変な生活についてのお話を紹介します。11月9日掲載予定のインタビュー(下)では、音楽を創るようになった経緯とオレノさんの音楽についての考え方、外部出演での鈴木勝秀さんや鴻上尚史さんとのエピソードなどを語っていただいた全文を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■大人の真面目な劇団に入って、向いてないんじゃないかなと思ってた時に、劇団が解散しちゃって

■「image」には、ホント、ビックリしました。見たこと無い「演劇」でした。「演劇」って別に形ないんだって

■ストーリーもちゃんと追えないし、感情移入もちゃんと出来ないし、時系列とかムチャクチャだけど

■“王道のお芝居”と、“アンダーグラウンドだけど演劇でしかできないもの”の2つがあると

■ティッシュをバラ撒きながら「♪ウィ・ティッシュ ア メリークリスマス♪」って、ブリーフ1丁で客席に

■遊び続けたことがある。でも半年で飽きちゃった。遊びの世界ってたかが知れてるなって

<「劇団鹿殺し」オレノグラフィティさんのサイン色紙と写真を有料会員3名さまにプレゼント>
オレノグラフィティさんに書いていただいたサイン色紙と写真1カットを、アイデアニュース有料会員(月額300円)3名さまに抽選でプレゼントします。当選者の発表は発送をもってかえさせていただきます。応募は有料会員の方はログインし、この記事の文末にある応募フォームからご応募願いします。有料会員の方はコメント欄にメッセージを書き込むことができますので、ぜひ記入をお願いいたします。応募締め切りは11月21日(月)です。(このプレゼント応募は終了しました)

オレノグラフィティさん=撮影・達花和月

オレノグラフィティさん=撮影・達花和月

<劇団鹿殺し「image -KILL THE KING-」>
【東京公演】下北沢駅前劇場 2016年11月23日(水・祝)~12月4日(日)
【大阪公演】ABCホール 2016年12月8日(木)~11日(日)
作・丸尾丸一郎 演出・菜月チョビ 音楽・オレノグラフィティ
劇団鹿殺し 15周年記念・伝説リバイバル「image -KILL THE KING-」のページ
http://shika564.com/image/index.html

<「劇団鹿殺し」オレノグラフィティさん関連ページ>
劇団鹿殺し公式サイト⇒http://shika564.com/
オレノグラフィティ ツイッター⇒https://twitter.com/oreno_g?lang=ja

<アイデアニュース関連記事>
「image」上演へ、「劇団鹿殺し」オレノグラフィティ、インタビュー(上)
「意地でもバイトはしないって決めて」 オレノグラフィティ、インタビュー(中)(11月8日掲載予定)
「音楽を創る時、忘れないようにしているのは鼻歌」、オレノグラフィティ(下)(11月9日掲載予定)

※ここから有料会員限定部分です。

■大人の真面目な劇団に入って、向いてないんじゃないかなと思ってた時に、劇団が解散しちゃって

――オレノさんは関西のお生まれでいらっしゃるんですね。

元々神戸なんです。2005年に上京するまでずっと神戸で。「鹿殺し」に入って1ヶ月で上京することが決まって…。

――入っていきなりですか?とても大変だったのでは?

なんかでもね、僕その時もう何も関西に守るものが無かったんで。もうすべて捨てて、バッと、「行きます!」って。もう一切未練がなかったですね、関西に、神戸に。

――経歴を拝見すると2003年くらいから活動されていますね。

「劇団珈琲」っていうところに入ってて、神戸の先輩のつてで入った大人の劇団で。そこで2年くらいやってたんですけど、結構洗礼を受けて、演劇界の(笑)。真面目にお芝居やってらっしゃった方で、僕わりとちゃらんぽらんだったんで、結構怒られたりしてて。稽古場で蹴られたりしてて(笑)。

――え?!

(笑)。自分がお芝居やっていくのに、ちょっと向いてないんじゃないかなと思って。こんなことなら演劇辞めようかと思って。演劇自体は小学校からやってたんですよ、ずっと。「演劇クラブ」という学校の活動で。で、辞めようと思ってたちょうどその時、「劇団珈琲」が解散しちゃって。半年くらいブラブラしてて、丸尾(丸一郎さん)に誘われて「鹿殺し」に入ったんです。

――2004年の11月からですね。

劇団は関西で5年活動してて、この「image」の初演を観て。僕が初めてこの作品を観たの、お客さんとしてだったんですよ。

■「image」には、ホント、ビックリしました。見たこと無い「演劇」でした。「演劇」って別に形ないんだって

――初演をご覧になって、ショックを受けられたそうですね。劇団HPの「image」のコメント動画でのショックの例えがすごく面白くて(笑)。

もう、ビックリしました。ホント、凄かったです。見たこと無い「演劇」でした。「演劇」って別に形ないんだ、ってことに気付かされた作品というか。

――今までやっていらしたのが、いわゆる「ザ・演劇」だったから?

そうですね、もう、だからエンターテイメントならエンターテイメント。例えば「(劇団)新感線」さん的な世界観であったり、会話劇なら三谷(幸喜)さんみたいな会話劇、鴻上(尚史)さんみたいな、独特の抽象世界なら抽象世界っていう、そのもう3つぐらいのジャンルしか、高校演劇のとき無くて。で、それに似かよった、会話劇のシュチュエーションコメディの方たち、ちょっと甘ずっぱい青春の方たち、という先輩方がいらっしゃって。そんな中で僕も三谷さんとかがすごい好きで、母の同級生に「(劇団)東京ヴォードヴィルショー」の山本ふじこさんっていう女優さんがいらっしゃって、その方のご縁で、小学校六年生の時に新神戸オリエンタルホテルの劇場に、三谷さんの「アパッチ砦の攻防」っていう作品を観に行ったのがきっかけで、演劇を本格的にやりだして。

■ストーリーもちゃんと追えないし、感情移入もちゃんと出来ないし、時系列とかムチャクチャだけど

――では三谷幸喜さんがいらっしゃらなければ、オレノグラフィティという役者さんは存在しなかったんですね!?

本当にそうですね(笑)。もともとはシュチュエーションコメディが好きだったんです。だからそっち側で頑張って行こうと思っていて。ですけど、「鹿殺し」の「image」を観た時に「何だこれは?!」と。自分の思っていた演劇と全く違うタイプのもので、ストーリーもちゃんとは追えないし、キャラクターに感情移入もちゃんとは出来ないし、会話の時系列とか流れもムチャクチャだけど、なにせ、言葉のセンスが凄かったり、破壊力がすごかったり“生である”ってことの意味ってこういうことなんだ、っていう事に気付かされたんです。

■“王道のお芝居”と、“アンダーグラウンドだけど演劇でしかできないもの”の2つがあると

「あー、じゃあ演劇って、こういうのも演劇だし、こっちの方が僕は好きだな」と思って、それを観た時に。むしろ自分が演るとは思えなかったです。これは出来るとは思わなかったです、自分には。でもまぁ、なんだろう…、“カタチがあって万人に理解しやすいPOPな”、…違うな、“王道を行けるお芝居”ではなくて、“アンダーグラウンドでサブカルチャーなものだけど演劇でしかできないもの”っていう、世界が二つあるんだなと思って。だから、そういう意味ではすごい衝撃的な作品ですね、やっぱり。価値観が変わった。

■ティッシュをバラ撒きながら「♪ウィ・ティッシュ ア メリークリスマス♪」って、ブリーフ1丁で客席に

――「鹿殺し」さんとの初めの出会いは「image」ですか?

その前の作品でも「鹿殺し」さんを観たことがあったんですけど、それはつか(こうへい)さんの源流の時代劇の話で、その時は僕はあまり、日本史とか得意じゃなかったので、ピンとこなくて。その公演で一番印象に残ったのは、クリスマスの真っ最中だったので、終演後に男優たちがティッシュをバラ撒きながら「♪ウィ・ティッシュ ア メリークリスマス♪」って、歌いながらブリーフ1丁で、客席を練り歩くっていうパフォーマンスがあって(笑)。

――凄いインパクトですね!(笑)。

その印象しか残ってなかったです(笑)。だから「鹿殺し」すごい気になっていて。“何をしでかすかわかんない劇団”だな、と(笑)。

――そんな、面白い劇団があるなって思って、次に「image」を観に行ったら…。

ガツン!と殴られましたね、本当に。

――「image」を観て、「鹿殺し」に入ろう!となったのですか?

いや、劇団員になったのは、もうその3年後くらいです。でも、僕はその時から関西で面白い劇団は、もう「鹿殺し」しかないと思ってたんで。なんだろう、本当に“身の丈に収まってない”と言うか、…なんて言うんだろう、結構、その時の関西の劇団って、わりとなにかの模倣であったり、自分の生活の延長線上にあるお芝居が多かったんです。「鹿殺し」は、もう、荒唐無稽というか。

――いろんなものが詰まってますね。

そうなんですよね。彼らのやりたいことが多すぎるんだなって思って。でも、実際それを「ハチャメチャだから分かんないや」って言うには、説得力ありすぎるんですね、その作品に。「なんだか分かんなかったんだけど、俺は今すごく心を揺さぶられている」って言う状況で。観終わった後のアンケートとかも、だからもう書き殴るぐらいのテンションになっちゃうんですよ。でも、自分はシュチュエーションコメディとかの畑の人間だったから、まさか、この劇団で自分が役者演るなんてことは思いもしなくて。すごい劇団があるな!っていう印象でしたね、その時は。

■遊び続けたことがある。でも半年で飽きちゃった。遊びの世界ってたかが知れてるなって

――では、その想像もしていなかった劇団に入るきっかけとなったのは?

僕は一回、お芝居がしんどくなっちゃって嫌いになっちゃったんですけど、その後半年間バイトだけして生活していたんです。居酒屋で働いて、夜はカラオケ屋でバイトして、朝あがったら「ちょっと海行こうぜ!」って、みんなで車で海行って遊んで、昼の12時ぐらいに帰ってきて、仲間の家に行って、3時ぐらいから寝て、で、そのまま仕込みに居酒屋に行って、ってもう、本当ずっと遊び続けてたんですね。それで「メッチャ楽しいやんけー!」ってなって(笑)。「演劇以外にもこんな楽しいことあってんやー!」って思ってたんですけど、半年で飽きちゃったんですよ、生活に(笑)。「あれ?」って。面白いと思ってたけど、大したことないな、と思って。遊びの世界ってたかが知れてるなって思って。

もちろんそれが正社員になって、例えばそれを続けてって、もっといろんな遊びを知ったら、そっちには刺激があったのかも知んないですけど、なんか、それも想像がある程度ついちゃって、べつにこれ、人生をかけてまで続けたいことじゃないなと。…って思ってる矢先に、丸尾に呑みに誘われて。「新しい風を吹き込もうと思ってる『鹿殺し』に。もう一回本気で芝居やれへんか?」って言う誘われ方をして。

――丸尾さんとは元々面識はおありだったのですか?

「神戸市高校演劇祭」に僕ずっと出てて。西田シャトナーさんが第1回目の総合演出をされて、2回目から岩崎正裕さん(「劇団太陽族」主宰)なんですけど、そこの演出助手として、丸(尾)さんが入ってて、そこで。直接の関わりは、呑んだ事とかなかったんですけど、何となくの面識はあって…。

――それで丸尾さんに声を掛けられて。

僕、毎回「鹿殺し」観に行って「メチャメチャ面白かったです!」って言って帰ってきてたので(笑)。それで、まさか誘われるとは思ってなかったです。だから上京したのも、全部丸さんの誘いがなければ、多分無かったし…。

オレノグラフィティさん=撮影・達花和月

オレノグラフィティさん=撮影・達花和月

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オレノグラフィティさんに書いていただいたサイン色紙と写真1カットを、アイデアニュース有料会員(月額300円)3名さまに抽選でプレゼントします。当選者の発表は発送をもってかえさせていただきます。有料会員の方は記事下のコメント欄にメッセージを書き込むことができますので、ぜひ記入をお願いいたします。応募締め切りは11月21日(月)です。(このプレゼント応募は終了しました)

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“「image」上演へ、「劇団鹿殺し」オレノグラフィティ、インタビュー(上)” への 1 件のフィードバック

  1. アキ より:

    image-KILL THE KING
    オレノさんのインタビューを読めば読むほど一体何が観られるんだろうと楽しみがどんどん膨らみます。
    観られる日を楽しみにしています!

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