ミュージカル「ミス・サイゴン」、全国ツアーへ 小野田龍之介インタビュー(上)

小野田龍之介さん=撮影・岩村美佳

ミュージカル「ミス・サイゴン」が帝国劇場での上演を終え、12月10日から全国ツアーが行われます(岩手、鹿児島、福岡、大阪、名古屋で上演)。新キャストのクリス役で出演されている小野田龍之介さんに、公演開幕後のインタビューをしました。(上)(下)2回にわけてお届けします。物心ついたころからダンスを踊っていて、初めてミュージカルに出演したのは8歳。初めて聞いたミュージカルCDは「ミス・サイゴン」。生で見たいと思い、中学1年生のとき自分でチケットを買って観に行き、すっかりハマッてそれから何度も劇場に足を運んだそうです。その小野田さんがオーディションでつかんだクリス役を好演しています。でも、実は子供の頃やりたかった役はトゥイ役だったとか。帝国劇場公演が開幕してから伺った小野田さんのインタビューをお届けします。

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■子供のとき、初めて海外のミュージカルCDを聞いたのが「ミス・サイゴン」

■ずっとトゥイをやりたかった。一途なものが、崩れていく感じが好きで

■トゥイには大きいんじゃないかと言われ、オーディションはクリス役を受けて

■子供のときから聞いている歌声と一緒に歌うというのは、ドキドキ

■世界のサイゴンファミリーに、なんだか繋がっている感じがするんです

■初演クリス役の岸田敏志さんと、出演前日に話せたことがものすごく大きい

ミュージカル「ミス・サイゴン」公演より=写真提供・東宝演劇部

ミュージカル「ミス・サイゴン」公演より=写真提供・東宝演劇部

<ミュージカル『ミス・サイゴン』>
【東京公演】2016年10月15日(土)~11月23日(水・祝) 帝国劇場 (この公演は終了しています)
【岩手公演】2016年12月10日(土)~12月11日(日) 岩手県民会館 大ホール
【鹿児島公演】2016年12月17日(土)~12月18日(日) 鹿児島市民文化ホール(第1)
【福岡公演】2016年12月23日(金・祝)~12月25日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【大阪公演】2016年12月30日(金)~2017年1月15日(日) 梅田芸術劇場メインホール
【愛知公演】2017年1月19日(木)~1月22日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール

<関連サイト>
帝国劇場 ミュージカル『ミス・サイゴン』
http://www.tohostage.com/miss_saigon/index.html
小野田龍之介オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/onoda-ryunosuke/

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※12月2日に掲載する予定のインタビュー「下」では、「ミス・サイゴン」のお話のほか、幼いころの思い出や、19歳のときに出演したシルヴェスター・リーヴァイさんのコンサート、将来の夢などについてうかがった内容を掲載します。

※小野田龍之介さんのサイン色紙と写真を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインすると、この記事の末尾にプレゼント応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは、12月16日(金)です。(このプレゼントの応募は終了しました)

小野田龍之介さん=撮影・岩村美佳

小野田龍之介さん=撮影・岩村美佳

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――先日小野田さんが出演されている回を拝見しました。私はこの仕事をしていながら実はサイゴン観劇2回目という、初心者なんです。

そうなんですね!?

――あまり観劇した経験がなく恐縮ですが、そういう観客の方もいらっしゃると思いますので、ぜひその魅力を語ってください。

初めてご覧になる方もいらっしゃいますよね。「ミス・サイゴン」は演出的に素晴らしい作品ですが、言葉にするのがなかなか難しい作品だと思います。魅力をお伝えできるように頑張ります!

■子供のとき、初めて海外のミュージカルCDを聞いたのが「ミス・サイゴン」

――よろしくお願い致します。今回初めて「ミス・サイゴン」に出演されていますが、ご覧になったことはありましたか?

2004年、日本では2回目の上演のときに初めて観ました。僕はまだ中学1年生でしたが、自分でチケットを買って観に行きました。

――なぜ観に行こうと思ったんですか?

子供のときからこのお仕事をさせて頂いていたんですが、初めて海外俳優の方々が歌っているミュージカルCDを聞いたのが、ジョナサン・プライスさん達の「ミス・サイゴン」ロンドン初演CDだったんです。小さい頃からずっと聞いていましたので、イメージがすごく膨らんでいたのですが、生で見たことがないのが悔しくて、それで観に行ったんだと思います。

――ご覧になっていかがでしたか?

一番最初に観たときの印象はあまり覚えていないのですが、それから何度も観るようになって、一番たくさん観たのがオリジナル演出版の最後になる2008年ですね。ちょうど、舞台と舞台の間でスケジュールが空いていたので、仕事がない休みの日は「ミス・サイゴン」を観に行ってました。舞台を観るのも勉強ですから、それが今回結んだらいいなと思います。

小野田龍之介さん=撮影・岩村美佳

小野田龍之介さん=撮影・岩村美佳

■ずっとトゥイをやりたかった。一途なものが、崩れていく感じが好きで

――その頃から出演したいと思っていましたか?

子供のときから、ずっとトゥイをやりたかったんです。

――そうなんですか!?

もちろんクリスは素晴らしい役だと思っていますし、キムとクリスが歌うナンバーなど本当に素晴らしいと思いますが、好きな役と、やりたい役ってちょっと違うんですよね。クリスは好きな役でしたし、ジョンも好きでしたが、子供のときにやりたいと思っていたのはトゥイだったんです。トゥイは子供に人気なんですよ。

――なぜでしょうか?

わからないんですが……タム役の子役たちも歴代トゥイが好きな子が多いそうです。だから同じ気持ちなんじゃないかと思います。一途なものがはかなく崩れていく感じでしょうか。

――子供たちにストレートに入ってくるんでしょうかね。

あと、キムに「堕落したな」って言いたかったんです(笑)。

――え!?

「堕落したなーーー」っていうあの響きが好きで、あれを帝国劇場で叫びたいとずっと思ってました。ちょっとくだらなくてすみません(笑)。

■トゥイには大きいんじゃないかと言われ、オーディションはクリス役を受けて

――(笑)。オーディションは最初からクリス役を受けられたんですか?

はい。実は、最初オーディションを受けるつもりはなかったんです。「ミス・サイゴン」に出たいとは思っていたんですが、どこか見るものだと思っていたところがありました。昔から上演されている作品でお客さん側歴が長いと、出たいとはもちろん思うんですが、想像出来ないんですよ。お客さんとして感動しすぎているからでしょうか。

――聖域に踏み込むような感じですか?

そうですね! その聖域には入れないってずっと思っていたので、オーディションを受けようとは思っていませんでした。でも、受けてみないかと言われて、せっかくだし受けてみようと思い、クリス役を受けたんです。

――その時、クリス役をというのはすんなり受け入れました? それこそ、やりたいと思っていたトゥイ役などもありますが。

トゥイには大きいんじゃないかと言われたんですよね。それで、クリス役を受けることになりました。でも、この役を掴むぞと思って受けなかったんです。受けてみよう、このクリスの楽曲を、「ミス・サイゴン」に携わるスタッフの前で歌ってみようって。だから、役を掴むというよりは、その曲を歌いに行ったという感じです。

――実際に歌ってみていかがでしたか?

すごく楽しかったです! 今回演出で日本に来日されたJPと日本のスタッフの皆さんが審査してくださったのですが、「Why God Why?」「Sun and Moon」「The Confrontation」を歌いました。今まで聞いていただけの楽曲や芝居を、自分の思うように、さらに演出家がそのときに言ったことを加えて演じられる時間がものすごく楽しかったです。「Why God Why?」は10回ぐらい歌ったんじゃないでしょうか。「次はこうやってみて」と言われ、何度もトライしました。

――オーディションを終えて、より演じたいと思ったのか、もしくは満足したのか、いかがでしたか?

満足しましたね。抜粋で3曲ですが、「ミス・サイゴン」の世界を演じられたことに、いい経験ができたなと思いました。

小野田龍之介さん=撮影・岩村美佳

小野田龍之介さん=撮影・岩村美佳

■子供のときから聞いている歌声と一緒に歌うというのは、ドキドキ

――市村(正親)さんや、笹本(玲奈)さんなど、ずっとお客さんとして見てきた方々と一緒にやるというのはいかがでしたか? 萎縮や、畏れなどはありましたか?

萎縮は全くなかったですね。笹本玲奈ちゃんとは、僕が15歳で初めて帝国劇場の舞台に出演させて頂いた「ルドルフ・ザ・ラストキス」で共演させて頂いたんです。その時からすごく仲良くさせて頂いていたので、いい意味で遠慮なく、相手役としてやらせて頂けたのかなと思います。キムとクリスは、少しでも遠慮があると難しい役なので、これをやって大丈夫かな……とか、変な遠慮はなかったですね。もちろんキム・スハちゃん、昆夏美ちゃんも、全員にリスペクトを持って、お互いに「大丈夫?」とケアをしあいながら円滑にやっています。だから僕は作りやすかったですね。

市村さんは“ミスターサイゴン”ですからね。見てきたというより、ずっと子供の頃からCDを聞いてきているので、劇場でその歌声を聞くのは若干当たり前になってきていましたが、稽古場で同じ共演者としてやったときに、「おぅ……」と思いました。すごく気さくに接してくださるので萎縮はなかったですが、市村さんの第一声、「売り出すぞサイゴン〜」と聞いた瞬間に「あ、『ミス・サイゴン』だ」と改めて感じて、「よし! やろう!」と身が引き締まりました。すごく刺激的でしたね。やっぱり子供のときから聞いている歌声と一緒に歌うというのは、ドキドキしますし、ワクワクします。こんなに幸せなことはないです。

■世界のサイゴンファミリーに、なんだか繋がっている感じがするんです

――「ミス・サイゴン」は、“サイゴンファミリー”といいますよね。他の作品でそういう言い方をあまりしないと思いますが、何か違いというか、独特なものがあるんでしょうか?

僕も一番最初に、JPと振付のベンに「ファミリーにようこそ」と言われたときに、全くピンと来なかったんです。どういうことなんだろうなと思いました。「『ミス・サイゴン』はとても大きなファミリーです。そこに来てくれたことを嬉しく思います。どうかこのファミリーを楽しんでください」と言われて、他では“カンパニー”と言うのに“ファミリー”というのが引っかかっていて、何が違うんだろう、何か違うんだろうかと思っていたんですが……違いますね!

――やっぱり違いますか?

何が違うのか、具体的にはわからないです。ただ、すべての共演者、スタッフの皆さんに対して、僕は、今なんだか特別な気持ちでいます。自分で言うのもなんですが、僕はものすごく作品と共演者の皆さんに恵まれるタイプの俳優だと思っているんです。その小野田が、いつも以上にそれを感じているので、「ミス・サイゴン」は凄まじいファミリーなんだと、それは目や耳ではなくて、心で感じるものが大きいと思います。

「ミス・サイゴン」は世界的に大きいカンパニーであり、世界のサイゴンファミリーに会う機会はなかなかありませんが、なんだか繋がっている感じがするんです。それは、もしかしたら、日本初演から25年間、ずっとエンジニアを演じていらっしゃる市村さんのお力なのかもしれません。日本初演は世界初演のすぐ後で、ほぼ同じ時期です。その市村さんがファミリーにいてくださっていることが、世界と日本で上演されている「ミス・サイゴン」を繋いでくださっているエネルギーなんじゃないかと感じます。

■初演クリス役の岸田敏志さんと、出演前日に話せたことがものすごく大きい

――25年の歴史が繋がっていく、大きなファミリーなんですね。

僕は初日が開いて2日目から出演させて頂いたのですが、初日の夜のパーティーで、初演クリス役の岸田敏志さんがいらっしゃったんです。岸田さんは、子供のころから聞いているクリスの声で、その方と自分が出演する前日の夜に話せたことがものすごく大きいです。岸田さんとは以前から仲良くさせて頂いているんですが、それまでクリスのことを話したことがなかったんです。クリス役をやることもお話ししていなくて。僕はそういうことが人に言えなくて、静かに頑張ろうと思うタイプで……。前日に岸田さんとお話ししてから本公演の初日に望めたことで、一気に気持ちが引き締まり、「ミス・サイゴン」への思いがまた強くなりました。だからこそ、この物語のエネルギーを、新しく入ったキャストとして新たにまた燃やしたいと思っています。

小野田龍之介さん=撮影・岩村美佳

小野田龍之介さん=撮影・岩村美佳

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“ミュージカル「ミス・サイゴン」、全国ツアーへ 小野田龍之介インタビュー(上)” への 1 件のフィードバック

  1. ゆん より:

    充実した内容のインタビューで、とても興味深く拝読いたしました。
    トゥイ役をやりたかったというお話が意外でした。(小野田さんの「堕落したなー!」を聴いてみたかった気もします/笑)
    後半のインタビューも楽しみにしています。素敵な記事とお写真をありがとうございました。

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