寝たきりの人のベッドの天井に映し出せる「プロジェクションクロック」

お義父さんのお気に入り「プロジェクションクロック」
お義父さんのお気に入り 天井にも映せる時計「プロジェクションクロック」

お義父さんのお気に入り 天井にも映せる時計「プロジェクションクロック」

もしもあなたが、病気とか怪我で体を動かせなくなってしまって、ベッドでずっと横になっていると想像してください。お昼間はまだ人にたずねることができるけれど、夜になると、いったい今何時なのかわからなくて不安になりますよね。時計は壁や柱にかかっているから、首も動かせないあなたには時計が見えないのです。そばに誰もいなくて、「今何時?」ときくためだけに人を呼ぶのも気兼ねで遠慮してしまう。でもやっぱり何時か知りたい・・・そんなときに便利な時計を紹介します。

2008年、転倒事故で脊髄損傷(せきずいそんしょう)をおった義父は要介護5、障害者手帳は1級でした。自宅介護が本人の希望と家族の願いでもありましたので、その後約7年間の介護生活が始まりました。全介助が必要な状態でしたので、夜に水が飲みたくなったら誰かを呼ばないと飲むことが出来ません。夜には何度か水分補給のために、呼ばれなくても数回は義父のところに行くのが長年の習慣でした。最初のうちは朝の3時に、最後の1年くらいは朝の1時に、「最終チェックです~!」と言って顔を出したものです。調子が良くてぐっすり眠っているときもありましたが、眠れなくて、あるいはのどが渇いていたりして、私が来るのを待ちかねていたこともありました。そんなときいつも、「今何時?」ときかれたものです。

天井を見上げて、「まだみどりさん、来ないかなあ。今何時かなあ」と思っている義父の気持ちを想像したとき、「天井に時計があったらいいんだ」と気がつきました。でも、普通の時計を天井に取り付けるのは大変です。そこで、見つけたのが、”プロジェクションクロック”です。通販サイトで見つけました。

本体からアナログ時計が映写される時計です。Plywood インテリア& 雑貨ショップホームページより

本体からアナログ時計が映写される時計です。Plywood インテリア& 雑貨ショップホームページより

義父のベッド横に本体をセットして、天井に時計を映してみたら、本当に嬉しそうに「これはいいなあ、よく見える。何時かすぐ分かるなあ」と言いました。夜寝る時には明るすぎて、眩しいんじゃないかと思いましたが、義父は「暗いのはかなわん、これくらいがいい。消さんといて」ということでした。真っ暗でも自分で電気をつけられない義父は、プロジェクションクロックの満月ような光に照らされている方が安心して眠れたのかもしれません。

プロジェクションクロックをつけて眠っている義父 2014年

プロジェクションクロックをつけて眠っている義父 2014年

自宅介護でしたので、家にはヘルパーさんや看護師さん、理学療法士さんや主治医の先生など、たくさんの方が出入りしました。みなさんに「初めて見ました。素敵ですね」とか「カッコいいなあ、僕もほしいな」と褒めてもらってご満悦だった義父。「みどりさんのホームラン」と言って喜んでいました。

この時計は本体も自由にいろんなところに置いて使います。本来なら時計を設置できない場所、例えば天井やドアや障子などにも時計を映し出せるというもので、インテリア雑貨に分類されています。通販だけでなくインテリアショップでも見かけました。介護用品ではありませんが、義父のような障がいをおった人や、しばらくは体を動かせない術後の患者さんなどにも喜ばれるのではないでしょうか。義父は入院したときにも、このプロジェクションクロックを持参していました。

Plywood インテリア& 雑貨ショップホームページより

Plywood インテリア& 雑貨ショップホームページより

通販で、約8000円前後で購入できます。「プロジェクションクロック」で検索してみてください。

<アイデアニュース関係記事>
24時間全介助が必要な父を在宅介護、家族が倒れないためのスケジュール
→ https://ideanews.jp/backup/archives/5213
手を使わずに呼び出し音を出せます、息などに反応する「マルチケアコール」
→ https://ideanews.jp/backup/archives/4557
手が不自由な人でも本のページをめくることができる…iPad活用法
→ https://ideanews.jp/backup/archives/4303
寝たきりの人の介護が劇的にラクになる、自動体位変換エアマット
→ https://ideanews.jp/backup/archives/4042
寝たきりの人のベッドの天井に映し出せる「プロジェクションクロック」
→ https://ideanews.jp/backup/archives/3627
お義父さんの介護はエコノミカル ~安くて便利なグッズ紹介~(2)
→ https://ideanews.jp/backup/archives/3084
お義父さんの介護はエコノミカル ~安くて便利なグッズ紹介~(1)
→ https://ideanews.jp/backup/archives/3013
「超福祉展」レポート、「HAL®」などについて詳しくお伝えします
→ https://ideanews.jp/backup/archives/13129

———————–

アイデアニュース有料会員向け【おまけ的小文】 「みどりさんのホームラン」(橋本正人)

このプロジェクションクロックは父が本当に気に入っていたものでした。父は、頸椎損傷で倒れてから7年、自分では首から下が動かせない状態が続きましたが、最後まで頭はしっかりしていました。1日中、ほとんど横になっているとはいえ、朝、正人が起きてきて体温を測ってお水を飲ませてくれる時間まであとどれだけなのか、食事介護のヘルパーさんが来るまでどれくらいなのか、今日は訪問リハビリの人が来る曜日だから何時に来るのだ、今日はデイサービスのお迎えが何時にくる……と、ずっと時計を見ながら考えていたのだと思います。

このプロジェクションクロックに出会うまでは、夜でも小さな電灯がつく方式の壁かけ時計を父の部屋にかけていました。でも、真横になって寝ていて、首が動かせない父にすると、壁の時計は見にくくて、しかも夜になるとよけいに見にくかったはずです。父を自宅介護している私たち夫婦も、夜は眠らないといけないので、午前1時から午前7時までの6時間は、ブレススイッチ(息を吹きかけると離れた場所で音がなって知らせてくれる装置)のスイッチを切って、介護をせずに眠っているという約束にしていました(父の体調が悪い時などは夜通しケアするのは当然ですが)。そんな父にとっては、明け方に目が覚めた時に「ああ、今はまだ○○時だけど、あと○○時間すれば来てくれるな」と知ると、安心できたと思います。

天井に映し出された時計

天井に映し出された時計

父は、ほめ上手で、何をしてもにっこり笑って「ありがとう」と言う人でした。その父が「みどりさんのホームラン」といつも呼んでいたのが、この「プロジェクションクロック」でした。みどりがこの時計を見つけてきて購入してくれて、本当にうれしかったのだと思います。介護のために作られた商品ではなくても、介護に役立つ商品が世の中にはたくさんあります。それらをあの手この手で探し出して使ってきた経験を、みなさんと共有してゆきたいと思います。

なお、アイデアニュースの記事は、「役に立つ記事」「ぜひ読んでほしい」記事を掲載しているので、無料で読める部分を多くしたい、その一方で、せっかく有料読者になってくださった人への特別のサービスをしないと申し訳ないと、ずっと悩んできました。ということで、2015年6月からは、ひとまず、基本的に各記事の末尾に有料会員向けに「おまけ的小文」のようなものを追加して、「全文閲覧権」を購読してくださっている方に、少しではありますが、限定情報をお伝えてゆくことにしました。

どうかよろしくお願いいたします。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA