5月8日に日生劇場で開幕する、ミュージカル『グレート・ギャツビー』に、ギャツビー役で主演する井上芳雄さんにお話を伺いました(愛知、大阪、福岡公演有り)。ギャツビー役への思いや、演出の小池修一郎さんと新作を作る思いなどを伺いました。
■ハムレットを演じるような感覚です。トートとも共通しているかも
――『グレート・ギャツビー』の稽古が始まっていかがですか?
まだ台本は1幕までしか頂いていないのですが、基本は宝塚で上演された舞台の流れを汲んでいます。でも、すべて新しい音楽なので、やはり印象が違うなとは思います。立ち稽古も始まりましたが、やってみたらすごくいい役で面白いですね。僕が演じるギャツビーが、男優冥利につきるいい役だなと思います。
――お話されていて、ニヤニヤしちゃうくらい、いい役なんですね?
そう!(笑)。はやく先のシーンをやりたいと思うくらいです。
――どういったところが面白いですか?
彼は最初から周りの人と違うものを抱えて出てくるので、独特の空気があるんです。何かこう……ハムレットを演じるような感覚です。トートとも共通しているかもしれません。明らかに周りと違うことが、周りの反応も含めて面白いんですよ。もちろん普段の自分とは全く違いますし、その中で色んな気持ちが動いたりするのも、初めて経験する感覚で、すごく楽しいですね。ギャツビーとして自分の思惑を出さずに、(田代)万里生が演じるニックと会話して、次第にデイジーとの関係が分かっていく過程などもすごくスリリングで感動的です。
■小池先生ならではのミュージカルの作り方の特徴や凄さを感じます
――主役として小池先生とオリジナル新作をゼロから作っていく過程はいかがですか?
小池先生も最良のものを探して色んな道を探っているんだと思います。そして、探して出来上がってきたもののクオリティを僕はとても信頼しています。色んな役の人に動きをつけたりするのを見ると、新鮮ですね。これまでももちろんされていたんだと思いますが、『エリザベート』『モーツァルト!』でご一緒したときは、他の人を見ている余裕が全くなかったですから。今、色んな演出家のやり方を知った上でみると、小池先生ならではのミュージカルの作り方の特徴や凄さを感じます。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、小池先生ならではのミュージカルの作り方の特徴などについて井上さんがどう分析しているかなどについて伺ったインタビューの全文をテキストで掲載しています。4月18日に掲載するインタビューの「下」では、「ミュージカル俳優だと言っていてそんな程度かと判断されないように、常に戒めています」という井上さんの舞台にかける思いについてさらに掘り下げて伺った内容を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■音楽がないときでも動きと台詞のタイミングでリズムを出している
■小池先生は、僕を褒めてプレッシャーをかけているような感じです
■もし若いころに演じていたら、宝塚を真似してしまったかもしれません
■オベラッカーさんの楽曲は、ミュージカルの中で歌うときにこそ力を発揮する
<ミュージカル『グレート・ギャツビー』>
【東京公演】2017年5月8日(月)~5月29日(月) 日生劇場
【愛知公演】2017年6月3日(土)~6月15日(木) 中日劇場
【大阪公演】2017年7月4日(火)~7月16日(日) 梅田芸術劇場メインホール
【福岡公演】2017年7月20日(木)~7月25日(火) 博多座
公式ページ http://www.tohostage.com/gatsby/
<関連サイト>
井上芳雄オフィシャルサイト http://www.grand-arts.com/yi/
- 「ミュージカル俳優はこの程度かと判断されないように」、井上芳雄インタビュー(下) 2017年4月18日
- 「トートと共通しているかも」、『グレート・ギャツビー』井上芳雄インタビュー(上) 2017年4月17日
- 井上芳雄「過去の経験はこのためだったと言えるように」 『グレート・ギャツビー』製作発表 2017年1月31日
※井上芳雄さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは5月1日(月)です。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
■音楽がないときでも動きと台詞のタイミングでリズムを出している
――具体的にその特徴はどんなところでしょうか?
例えば人の動かし方です。音楽がないときでも動きと台詞のタイミングを厳密に設定して、淀みがないように、無駄な流れがないようにしてリズムを出していると思いますね。やはりミュージカルなので、音楽が鳴る中でやっているという意味では、こういう風にテンポを作るんだなと。おそらくストレートプレイだと、最終的に完成されたテンポを目指していたとしても、まず役者がやってみて作っていくと思いますが、それを小池先生が最初から提示している動きが見ていて気持ちいいんですね。さすが「ミュージカルの演出家」なんだと感じます。
■小池先生は、僕を褒めてプレッシャーをかけているような感じです
――作品作りもしくは役作りについて小池先生とお話されて、何か新しいと思ったことはありますか?
やたらとプレッシャーをかけてくるというか。
――プレッシャーをかけてくる?
今の井上芳雄だったら、色んな演出家とやってきて、色々とやってきただろうからお任せしますよという雰囲気ですね。逆にいうと、僕を褒めてプレッシャーをかけているような感じです。「こういう風にやれ」とは言わないんですよね。「ギャツビーが偽っている所と、本音が出てしまう所の違いは、はっきりやったらいいと思う」とはおっしゃっていましたが、最初に立ち稽古したときも、「まあ、いいんじゃない」と。これからか変わっていくかもしれませんが、自分が思っているギャツビー像と、小池先生が思っているギャツビー像はそんなに遠くはないのかなと思っています。
■もし若いころに演じていたら、宝塚を真似してしまったかもしれません
――なるほど。製作発表のときに「過去の経験はこのためだったと言えるように」とおっしゃっていましたが、そのあたりの手応えはありますか?
どんな役を演じるときも、実際に立ってみないと分からないところがあり、分かっていると思ってやってみても、どう動いたらいいのか分からないときもありますが、ギャツビーは、何となくしっくりくるというか、知っていたというか。今まで自分がやってきた役の色んな要素が入っていると思います。ハムレットの孤独、足ながおじさんで演じたジャーヴィスのイギリス紳士の立ち振る舞い、トートの1人の人を愛する執着心……そういうこれまで演じてきた色んな役の色んな要素が入っている役だなと思います。初めてでどうやったらいいのか分からないという感覚はないですね。
――伺っていると、運命的な出会いの役ですね。
運命的と思おうとしているところはあるかもしれません(笑)。まだ稽古序盤なので、ここから違っていくかもしれませんが、今がギャツビーを演じるすごくいいタイミングじゃないかと思っています。もっと若ければ出来なかっただろうと。どうしても宝塚のイメージがあるので、もし若いころに演じていたら、宝塚を真似してしまったかもしれません。まだ探っているところですが、どれぐらいリアルにやるか、どれぐらいデフォルメするかという、お芝居の表現のバランスの問題だと思います。小池先生がこの作品に求める表現のバランスさえ分かれば、そこに向って突き進んでいけばいいので、あまり迷いはありません。「これはある意味時代劇だから、ある程度デフォルメしていった方がいい」とおしゃっていましたし、その中で、自分の本当の気持ちはなくさないでやるというのが、逆に面白いと思います。ストレートプレイでリアルに演じるのももちろん面白いですが、僕は元々ミュージカルが好きなので、ミュージカルのエンターテインメント性を、リアルな心の動きをなくさずに、どう作るかがトライアルだなと思います。
■オベラッカーさんの楽曲は、ミュージカルの中で歌うときにこそ力を発揮する
――リチャード・オベラッカーさんの楽曲はいかがですか?
1曲1曲のクオリティがすごく高いと思います。ジャンルもジャズっぽいナンバー、バラード、チャールストンなどがありますが、やはりひとつひとつのレベルが高いと思いますし、ミュージカルの作曲家なので、特に物語の中に入ったときに活きるんです。決して派手ではなく、どちらかというとオーソドックスなミュージカルの曲調だと思いますが、だからこそ、ミュージカルの中で歌うときに力を発揮すると思いました。
――楽曲について、オベラッカーさんから言われていることや、小池先生に言われていることはありますか?
昨年、オベラッカーさんが『エリザベート』を見に来てくださったときに少し話しましたが、彼は俳優も、歌唱指導も、何でもやるんですよ。音楽のことも、歌のことも詳しいのですが、発声や歌い方がすごくいいと言ってくださいました。楽曲制作では、僕の歌や声に合わせて作ってくださったみたいです。すごく高い音を出したり、力技でもっていくという曲はあまりなく、本当に慎重に、丁寧に歌えば魅力が出るような楽曲だと感じています。
※井上芳雄さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは5月1日(月)です。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
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ちょうど指折り観劇日を数え始めたタイミングで記事が見れて良かったです。お写真が素敵なのと観劇前に予備知識として音楽について話が聞けたのが良かったです。
井上芳雄さんのことは、ポッドキャスト番組『週刊日経トレンディ』にゲスト出演されたときに知り、気になる俳優さんです。
ぜひ生を観に行きたいです。
記事の内容を読んで新しい舞台への想いや意気込みなどとても伝わりました。そして私のなかで期待値がものすごく高くなっています。
とても楽しみです。
また写真の芳雄さんが素敵です。
ありがとうございました。
グレートギャツビーは新作なので、どんな作品になるのかとても興味深くインタビューを拝読しました。物語の中で魅力を発揮する楽曲は、当日の観劇まで楽しみでわくわくしましたし、演出の小池さんと井上さんの信頼関係を踏まえた上で作り上げられるギャツビー像がますます期待が高まりました。
大好きな 「グレイト・ギャツビー」を
大好きな 芳雄さんが 舞台で‼︎
嬉しすぎる 運命に 感謝しか ありません。どんな ギャツビーに
お逢い 出来るのか?
期待と 興奮で ワクワクしております。
5月が 待ち遠しいです‼︎