JONTE、アルバム「Delight」をリリース、舞台『それいゆ』では劇中歌も

JONTEさんのニューアルバム「Delight」(ディライト)より

歌手・俳優のJONTE(ジョンテ)さんが、2017年4月26日に3枚目となるオリジナル・アルバム「Delight」(ディライト)をリリースしました。アイデアニュースでは、このアルバムについてJONTEさんに詳しく話していただいたインタビュー記事を後日掲載する予定にしていますが、ここではまず、2016年12月に掲載したJONTEさんインタビューで語ってくださった舞台『それいゆ』について、2017年4月に行われた公演の様子をテキストで紹介します。

JONTEさんのニューアルバム「Delight」(ディライト)より

JONTEさんのニューアルバム「Delight」(ディライト)より

舞台『それいゆ』は、2016年5月から6月にかけて東京と大阪で初演され、2017年4月6日から東京・福岡・兵庫の3都市で再演されました。筆者が新神戸オリエンタル劇場での公演を観劇した4月19日は、中原淳一氏の命日。カーテンコールの際には、キャスト陣から観客にひまわりの花と種がプレゼントされ、舞台と客席一体となって中原氏を偲びました。

物語のはじまりは1940年。雑誌「少女の友」でデビューした中原淳一(中山優馬)は挿絵画家、人形作家として確固たる地位と人気を築いていました。中原のイラストは少女たちにとって夢と希望を与えてくれる宝物のような存在。アトリエにはファンの舞子(桜井日奈子)、助手の桜木(辰巳雄大)、舞子の紹介で中原と出会った天沢(JONTE)らが出入りしていました。軍部は「中原の画風は時局に合わない」とし、「少女の友」の編集長の山嵜(佐戸井けん太)から、少女をモンペ姿で描いてくれないかと持ちかけられた中原は、その申し出を断り、「少女の友」を辞めることを決意。中原は画風を変えることなく、戦後、雑誌「それいゆ」「ひまわり」を創刊します……。

中山優馬さん演じる中原淳一は、全身白のスーツ姿で、「美しさとは」という台詞を何度も繰り返します。歩き方も座り方も常に背筋がぴんと伸びていて、一つ一つのゆったりとした動作から、華やかながらも風格と威厳を備えた人物像が伝わってきます。美しさとは、自分自身に正直に生きること、信念を貫くこと、そうではないのか。そんな思いが中山さんの演技から感じられました。

JONTEさんが演じたのは、物語の語り部でもある中原の助手・天沢栄次。最後まで献身的に中原を支え、歌手になる夢を追い続ける青年で、劇中では歌も披露。初めて中原と天沢が出会った日には、情熱的に「サンタルチア」を歌います。そして中原が余生を終えようとしているラストでは、客席から登場して「愛の賛歌」を熱唱。赤く柔らかな炎のような歌声が舞台上の中原を、そして会場全体を包み込んでいました。

※有料会員限定部分には、公演レポートの全文を掲載します。(この記事には公演写真はありません)

<有料会員向け部分の小見出し>

■心の移り変わりを表現した辰巳雄大、イラストの少女そのもの桜井日奈子

■登場するだけで笑いを呼んだ金井勇太、貫録を見せつけた佐戸井けん太

■印象的だったラストシーン、自分に正直に生きることこそが美しい

<舞台『それいゆ』>
【東京公演】2017年4月6日(木)~11日(火)サンシャイン劇場
【福岡公演】2017年4月14日(金)~15日(土)北九州芸術劇場 中劇場
【兵庫公演】2017年4月19日(水)~23日(日)新神戸オリエンタル劇場
(全ての公演は終了しています)
梅田芸術劇場のページ http://www.umegei.com/schedule/607/

<舞台『それいゆ』についてのJONTEさんインタビュー記事>
「ミュージカル、舞台も、精力的に頑張っていきたい」 JONTEインタビュー(下)
https://ideanews.jp/backup/archives/29083

<JONTE オリジナル・アルバム「Delight」>
発売:2017年4月26日、定価:¥3,000+税(TKCA-74497)

<JONTE「Delight」Release Party>
【大阪公演】2017年6月3日(土) 大阪・KANDYLION
【東京公演】2017年6月10日(土) 東京・かつしかシンフォニーヒルズ / アイリスホール
公式ページ http://jonte.official-web.jp/?p=1035

<関連サイト>
JONTE -施鐘泰- Official Website
http://jonte.official-web.jp/
JONTE(ジョンテ)オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/jonte/

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■心の移り変わりを表現した辰巳雄大、イラストの少女そのもの桜井日奈子

イラストレーター志望の中原の助手・桜木高志を演じたのは「ふぉ~ゆ~」の辰巳雄大さん。俊敏な動きとテンポの良い台詞回しで、真っすぐで天真爛漫なキャラクターを作り出していました。それだけに、誰よりも中原に憧れてデザイナーを目指してきた桜木が、中原から離れていった場面の驚きは大きく、人の心の移り変わりを一番わかりやすく映し出している役柄でした。

中原のファンでアトリエに出入りする女優の卵・大河内舞子を演じたのは、桜井日奈子さん。初演の『それいゆ』で女優デビューを果たしたというフレッシュさは舞子のキャラクターそのもの。モンペ姿で「すみれの花咲く頃」を無邪気に熱唱する桜井さんは、まるで暗い時代の道端に咲いたピンク色の花のようでした。中原のデザインしたドレスに身を包んで登場すると、イラストの少女がそのまま飛び出してきたかのようで、見とれてしまいました。

■登場するだけで笑いを呼んだ金井勇太、貫録を見せつけた佐戸井けん太

舞子の婚約者・五味喜助を演じたのは、金井勇太さん。チンピラ風のツバ付き帽子に原色カラーのジャケット。巻き舌での話し方、いかにもけむたがられるような威圧的な振る舞いで悪役を感じさせ、金井さんが登場するだけで客席から笑いが起こるほどのコミカルな存在感。とはいえ、そんな五味も心のどこかで舞子を愛していたということが伝わってきて、愛おしい気持ちになりました。

雑誌「少女の友」の編集長・山嵜幹夫を演じたのは、佐戸井けん太さん。さすがの貫録の存在感ある役どころでした。山嵜が「少女の友」を去った中原にこだわり続けていたのは、「可愛さ余って憎さ百倍」という気持ちだったのかもしれません。嫉妬のあまりに中原を苦しめようとたびたび現れますが、中原の才能を愛していたということが心臓の奥深くまで届いてくるような演技でした。

■印象的だったラストシーン、自分に正直に生きることこそが美しい

昭和初期を表現した舞台セットは、転換するたびに美しい光景が浮かびあがり、タイムスリップしていくようでした。特に印象的だったのは、中原の心を写し出すかのように一面に広がるひまわりの花畑に、白い衣装の中原が溶け込んでいくラストシーン。余生を終えようとしている中原が、まるで太陽の光を全身に浴びながら、舞い降りてきた天使に導かれて眠りにつくような幻想的な光景で、いつまでも心の中に残りました。

現代は美しいものが世の中にあふれている豊かな時代ですが、反面、真の美しさを見極めることが難しく、見落としてしまうことも多い気がします。中原淳一氏のこだわり続けた「美しく生きること」は、華やかに着飾ることではなく、自分自身に正直に生きること、信念を貫くこと、そういったことを意味しているのかもしれないと考えさせられる作品でした。

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