「『王家の紋章』初演で、自分に欲があると確信した」、平方元基インタビュー(下)

ミュージカル『王家の紋章』より=写真提供:東宝演劇部

平方元基さんインタビューの後半です。有料部分ではミュージカルデビューから6年を振り返り、進み続けることで見つけた欲や、前へ進む原動力などについて伺いました。※平方元基さんのサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは5月22日(月)です。(このプレゼントの応募は終了しました)

ミュージカル『王家の紋章』より=写真提供:東宝演劇部

ミュージカル『王家の紋章』より=写真提供:東宝演劇部

■初演に比べてテンポがよくなっているので、息付く暇がないです

――客席で拝見していても、特に原作ファンの方々の熱が溢れていて、幕間や終演後がキラキラしているんです。「メンフィスが♪」「イズミルが♪」といつもの帝国劇場とは違う雰囲気です。

喜んで頂けるのは嬉しいですね。演じていて、きっとお客様だったら、このシーンはこうやって観たいだろうなと思ったりします。それは原作の力がものすごく強いんだと思います。僕は少女漫画にそんなに触れたことはありませんでしたが、実際に自分がそのキャラクターになって飛び込んでみたら、ものすごく分かりやすいのに分からない展開がどんどん起きるんだなと。恋をするのはすごく分かりやすい。でも、時空を超える……それは、分からない(笑)。やはり女性でしか作りえない、すごく輝かしく綺麗なものなんでしょうね。だから、こういう機会がなければ触れ合えなかった世界観だと思います。大阪のお客様は絶対好きだと思いますよ!

――なるほど。

物語の最後に舞台から去って、やっと息が出来る感覚です。初演に比べてテンポがよくなっているので、息付く暇がないですね。

――やはりイズミルという役の、場面を変えていく力が大変なんですね。

物語の冒頭に1度舞台に出て、「策を練ってくれ」と言ってから何が起きているのか。時間の経過が自分の中で進んでいないと、「妹が殺されたと知って怒る」だけでは、どうしても感情が動かないんです。舞台に出ていなくても、イズミルの時間が動いていて、舞台に出たときに場面を動かす。そういうエネルギーがイズミルならではだと思います。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、『ロミオ&ジュリエット』や『スカーレット・ピンパーネル』などについて伺った内容など、インタビュー後半の全文を掲載しています。

<有料部分の小見出し>

■自信を持って煌びやかな世界にお客様を誘い込んで、引きずり込む

■自分がやりたいと思うものを提示して発信することで、どんどん現実化していった

■「この人じゃないと出来ないと思う」と言ってもらえる役者になりたい

■今輝ける時に最大限に輝かなければ、自分の未来がない。それがモチベーション

■僕たち自身が大阪のお客様の前で演じることをものすごく楽しみにしている

<ミュージカル『王家の紋章』>
【東京公演】2017年4月8日(土)~5月7日(日) 帝国劇場 (この公演は終了しています)
公式ページ http://www.tohostage.com/ouke/
【大阪公演】2017年5月13日(土)~5月31日(水) 梅田芸術劇場メインホール
公式ページ http://www.umegei.com/ouke/

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※ここから有料会員限定部分です。

■自信を持って煌びやかな世界にお客様を誘い込んで、引きずり込む

――観客も『王家の紋章』ならではの独特の世界に、飛び込める感覚があると思います。

もう、思い切り飛び込む気持ちで来てほしいです! その方が絶対に楽しいと思います。舞台セットもアトラクション感がありますよね。高さがあるセットや、ビニール幕がすごく綺麗な水を表現していて、水面みたいになっていたり。そういう細かい部分も、さらにブラッシュアップされているので「楽しむぞ」という気持ちでお越し頂けたら。

――独特の感覚はありますか?

この作品はお客様に圧力をかけるくらいのものを渡さないと、むしろお客様はポカンとしちゃうんじゃないかと思います。ミュージカルは演者が喋って歌って伝えるものです。漫画は読者が自分の想像力で色々と膨らますことができますが、僕がイズミルを演じると、僕の声ですし、僕の台詞の言い方やトーンになってしまいます。そこで自信を持って煌びやかな世界にお客様を誘い込んで、なおかつ引きずり込まないと、お客様が楽しめないんじゃないかと思うんです。イズミルはひとりのシーンが多いので、客席の熱量を直接感じることが多いですが、それを跳ね返すくらいの気持ちで演じています。

■自分がやりたいと思うものを提示して発信することで、どんどん現実化していった

――平方さんは2011年の『ロミオ&ジュリエット』でミュージカルデビューをされて、それからは再演作品で、今ご一緒されている、浦井(健治)さんが演じた役をされることが多かったですね。

当時は比べられることもありましたが、でも、お客様は作品ありきでご覧になるので、仕方がないかなと思います。

――新作でオリジナルキャストで演じることが増えて来て、変わった思いなどはありますか?

「自分ってこうやってもいいんだ」と思うようになりました。再演作品は、資料として前の映像を見たりしますし、どうしても自分だけのオリジナルにはならないんですよね。演出が大きく変わることも少ないですし、好きにやっていいと言われても、やはり以前演じた方のものをどこかなぞっている部分がありました。不安になった時は、以前のものを選んでしまうことが多かったです。オリジナルキャストではすごく自由にやらせて頂いてますね。

――自由に出来て自分発信で作っていける?

今回も再演ですが、「もっとこうしたい」という希望があったんです。自分がやりたいと思うものを提示して発信することで、どんどん現実化していったので、発してもいいんだなと思ったんですよね。自分が思うことを、まず伝えてやってみる。まだ先輩方のように思ったことをそのまま体現できる技術はないですが、「こうしたいからどうしたらいいですか」と聞いてみたり。貪欲になりましたね。

ミュージカル『王家の紋章』より=写真提供:東宝演劇部

ミュージカル『王家の紋章』より=写真提供:東宝演劇部

■「この人じゃないと出来ないと思う」と言ってもらえる役者になりたい

――いつ頃から欲が出たんですか?

いつ頃からなんだろう……。ここ2年位のことだと思います。『アリス・イン・ワンダーランド』のウサギ役も再演でしたが、初演の(田代)万里生くんとは全く畑も違うし、育ってきた環境も全然違いましたから。あの時に自分のやりたいことを出すことを知り、でも全然出来なくて、打ちのめされながらも、舞台ってすごく楽しいんだなと思い始めたんです。そして、昨年『王家の紋章』初演に出会ったときに、自分に欲があるんだと確信しました。それまでは、欲がいいことだと思っていなかったんですね。ある程度の及第点を取ることができればいいならば、それは僕じゃなくてもいいってことですよね。それではこの世界に立ち続けることは出来ないなと。「この人じゃないと出来ないと思う」と言ってもらえる役者になりたいと思っています。

――2011年の『ロミオ&ジュリエット』から拝見していますが、昨年の『王家の紋章』と『スカーレット・ピンパーネル』を拝見して、すごいなと思ったんです。技術面はもちろんのこと、一番は存在感が増したと思いました。

本当ですか!? 良かったです。

――特に『スカーレット・ピンパーネル』はダブルキャストが交互スケジュールではなく、初日の3日後に平方さんひとりだけ加わっていたので大変だったんじゃないかと。

なんだか不思議な感覚でした。初めて会った人の家に突然「お邪魔します」と入って行き、匂いや景色を知らない空間で頑張って自己紹介をして、「お邪魔しました」とドアを閉める感覚。全く知らない場所でやっている感覚でした。でも、そこでもお客様に評価はされますからね。

――その1度しか見ない方もたくさんいますから。

そこで「よくやったね」と1ミリでも上の結果を出して、「この子はもっと何かあるのかもしれない」と思わせたいんです。「頑張ったね」はみんな言ってくれるんです。でも、頑張っているのはみんな同じですから。

――自分の中で、大変だと思う感覚はあるんですか?

すごくあります。でも、それは自分の中だけの事ですから、あまり口に出さないですね。

■今輝ける時に最大限に輝かなければ、自分の未来がない。それがモチベーション

――その大変な思いをしながら進んでいく、自分の一番のモチベーションは何ですか?

スポットライトを浴びて演じているのは自分ですからね。僕自身で何とかしないといけないですし、失敗したら舞台は止まってしまいます。むしろ、自分がいることでもっと良くなって欲しいと思ってやっています。その原動力って何だろうと考えると……自分がこれで食べていくと決めたからだと思います。サラリーマンではないという事かもしれません。

――サラリーマンじゃないって事かもしれない?

僕はずっとパイロットになって、サラリーマンになりたかったんです。安定して毎月決まった仕事がある人生が、自分の中で幸せなんじゃないかと思っていたんですよ。でも、俳優という職業はそうじゃなくて、仕事がある時もない時もあります。でも、それは誰のせいにも出来なくて、自分次第なんです。まずは、舞台に立ち続ける事。それが評価になろうが、なるまいが、立ち続けて自分がいるということをまず知ってもらわなければ、イズミル役なんて絶対に頂けなかったと思います。そして、絶対に譲らないために、自分が演じた役を悔いなく残していかなければ、自分の人生を放棄していることになるんです。だからこそ、今輝ける時に最大限に輝かなければ、自分の未来がない。それがモチベーションだと思います。

――もう人生そのものですね。

この仕事は、自分が晒されている分、自分自身について言われることも色々とあります。そういうことに対しての憤りだったり、色んな気持ちも役とリンクしていれば乗せちゃうんです。それだって使えますからね。

――ステージで演じている事自体が、生きる事そのもの。

だから、舞台がすごく楽しいです。

――嘘がつけませんね。

お客様に何を受け取って欲しいのか、自分の目の中に描くものを確実にしっかり持っておかないと、お客様はすごく敏感で感性がある方ばかりだと思うので、薄っぺらいものはすぐにバレてしまうと思います。先輩から聞いたことをそのままやってみても、先輩は経験があるから出来ますが、僕は同じようには出来ないんです。やはり失敗してもいいから、自分から積極的にやっていかないといけないですね。

――今の生き方が今後の舞台に反映されますね。

やっと自分の未来が楽しみになりました。これまでは自分自身に期待をしていた事がなかったんです。でも、今とても楽しくなっています。

――お話を伺って平方さんの今後がさらに楽しみになりました。

嬉しいです!

■僕たち自身が大阪のお客様の前で演じることをものすごく楽しみにしている

――最後に大阪公演を楽しみにしているお客様にぜひメッセージをお願いします。

大阪公演は東京で一つ終えてから出来るので、土台がしっかりしていて、愛や憎悪の色合いがさらにくっきりと出てくると思います。そういうはっきりしているものに対して、大阪のお客様はとてもいい反応をくださるんです。それがすごく楽しみで、早く大阪のお客様の笑い声や拍手を味わいたいと思っています。日によっても全然違ってくるので、あの生の感じが楽しみです! お客様が楽しみにしてくださっているところに申し訳ないんですが、僕たち自身が大阪のお客様の前で演じることをものすごく楽しみにしています!

――確かに大阪公演って違いますよね。昨年久しぶりに大阪公演を観たときに、大阪のお客様は、いつもこんなに磨き上げられた素晴らしい舞台を観ているんだと思って、羨ましくなりました。

大阪のあの空気感は何でしょうね。それに役者も乗りだすんですよね。作品が温まってから行くので、エジプト感も増していると思います。お客様もちょっと派手なコーディネイトで、アクセサリーも大きめのキラキラ感のあるものを着けて来て頂いて、客席も『王家の紋章』の雰囲気で見て頂いたらいかがでしょうか(笑)。

――客席にもライトが当たっていますしね。キラキラして綺麗かもしれませんね。

客席がナイル川の水面になっているかも!

ミュージカル『王家の紋章』より=写真提供:東宝演劇部

ミュージカル『王家の紋章』より=写真提供:東宝演劇部

※平方元基さんのサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは5月22日(月)です。(このプレゼントの応募は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

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“「『王家の紋章』初演で、自分に欲があると確信した」、平方元基インタビュー(下)” への 6 件のフィードバック

  1. ruka より:

    後半は、役者としての意識を知れてよかったのと、インタビューを読んでいても日々成長している素敵な俳優さんなんだとわかりとてもよかった。イズミルの画像も本当に素敵で、本当にありがたい記事でした。

  2. ゆ~ より:

    東京公演を観劇した後にイズミルに対する想いや役作りについて語られたこのインタビューを拝見し、大阪公演を観劇したら、また違った気持ちで観劇できました。
    本当に丁寧に演じられているのを観劇していると実感しますし、ステージ上でイズミルとして生き抜いている姿はキラキラ輝いていてとても素敵です。
    お仕事に対する強い覚悟も感じられるとても貴重なインタビューをありがとうございました。

  3. よっすぃ〜 より:

    大阪公演何度か観劇して空気感の違いを楽しんでいます!今最高に輝いている平方さんを応援できてとても幸せです。これからも応援し続けたいと思う、素敵な記事をありがとうございます!

  4. はぐ。 より:

    平方さんのインタビュー後半は、平方さんの仕事への熱意が凄く伝わって良かったです。
    平方さんの今後のお仕事にとても興味が沸きました!

  5. みるみる より:

    元基イズミル、毎回新たな発見があって生きた舞台の素晴しさ、喜び感じました。歌も最高でした。原作を壊さずそれでいて生き生きと自由に膨らませてくれてありがとう!大阪も楽しみにしてます。

  6. euco より:

    イズミル役について、「王家の紋章」について…開幕後のインタビューは本当に貴重で、読みごたえたっぷりでした!まさに「平方元基じゃなきゃできない」ものを築き上げられてるなぁと感じた再演のイズミル。記事の中で語られている平方さんの強い覚悟、お芝居を通じてしっかり客席まで届いています。
    ぜひ、他の作品でもまた平方さんのインタビュー記事を読みたいです!

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