加藤和樹さん合同インタビュー後半です。有料部分ではアイデアニュース単独取材で、『ハムレット』について振り返って頂きました。
――稽古前に、事前に台本を読んで、台詞を入れ直すという作業があると思いますが、ご自身で考えていることはありますか?
あまりないですね。深作さんがどう作るかと、僕らに何を要求するかは、やはり稽古をしてみないと分からないですから。深作さんが、初めてやった時に僕らに要求したことは、「とにかく台詞を全部入れてきてください」ということでしたので、準備をするとしたら、台詞を全部入れておくことだけですね。言葉が途切れてしまうと、急に芝居にならなくなってしまうんです。相手の目を見てやらなければ成り立たない芝居なので、とにかく今日から頑張ろうと思います。
――加藤さんの台詞の覚え方はどんなやり方ですか?
今回のような作品に関しては、とにかく全部読みます。『ハムレット』のように独白が多い作品は別ですが、ほとんどが会話なので、相手の台詞も頭に入れていかないとダメなんです。
――録音して聞きながら、という形ですか?
そうですね。録音もします。最初はずっと読むだけですが、徐々に声に出していき、話していくという作業をしますね。今回は誰かしらに手伝ってもらわないと、ダメかもしれません。
――役者さんの集中力は本当にすごいですね。
『ハムレット』でも、内野(聖陽)さんが本当に凄いなと思いました。どれだけの量の台詞を覚えなければいけないか。リズムというのは稽古しないと出ないのですが、言葉ではなく、そのリズムで覚えることもあるんですよね。そういう部分は稽古をやってみないと分からない部分なので、とにかく言葉だけは情報として自分の中に入れておこうと思っています。
――他に気をつけようと思っていることはありますか?
『罠』も結構体を使うんです。アクションがある訳ではないですが、とにかく動くので、体力もいります(笑)。喋りっぱなしで、台詞の半分以上を怒鳴って言いあっているので気をつけなければいけません。言葉が潰れないようにやらなければいけないところと、感情的に何を言っているか聞こえないくらいの感情の高ぶりを、使い分けなければいけない。そこは注意しながらやっていこうと思います。そう考えると、昔の自分はよくあんなに叫んでいたなと。今思うとちょっと怖いですね。大丈夫かなと思います。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、稽古がはじまってからの気分転換の方法や、『ハムレット』で意識したことなどについて伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。
<有料会員限定部分の小見出し>
■食事を作るのは気分転換になります。そうめんチャンプルーがすごく好きなんです
■ジョン(・ケアード)さんの『ハムレット』演出は、お客様に考える余裕を与えない
■レアティーズ役では言葉の意味をあまり考えず、気持ちの赴くまま喋ることを意識
■『罠』の課題は、とにかく緊張感。何も起こっていない時も、一瞬も気を抜けない
<舞台『罠』>
【亀有公演】2017/7/13(木)かめありリリオホール
【兵庫公演】2017/7/15(土)・16(日)兵庫県立芸術文化センター阪急 中ホール
【東京公演】2017/8/8(火)~15(火)サンシャイン劇場
http://wana2017.jp/
<関連リンク>
加藤和樹オフィシャルウェブサイト http://katokazuki.com/
加藤和樹オフィシャルブログ http://ameblo.jp/katokazuki-blog/
⇒すべて見る
- 「感情的にしない方が、より悲しみや怒りが見える」、加藤和樹インタビュー(下) 2017年6月20日
- 初演、再演、そして7年… 舞台『罠』主演、加藤和樹インタビュー(上) 2017年6月19日
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■食事を作るのは気分転換になります。そうめんチャンプルーがすごく好きなんです
――これから稽古がはじまって夏に向けて大変だと思いますが、どんな事で気分転換をしますか?
食事を作ったりするのも気分転換になります。本当はプールとかに泳ぎに行けたらいいんですが、とにかく外に出たいですね。日焼けしたり、気分転換にドライブとか出来たらいいなと。でも、逆に稽古に入ったら本当に集中するので、その時はこもってやった方がよかったりします。空いている時間を見つけて、「ここのシーンやりましょう」と、しつこいくらいにやろうと思っています。
――料理も気分転換なんですね。
スーパーに行くのもすごく楽しみです。夏場は、そうめんのつゆを色々変えたりしようかなと思っています。具材を変えたり、つけダレを変えるだけで印象も変わるので。沖縄のそうめんチャンプルーがすごく好きなんですよ。この夏は色んなそうめんを食べようと思います(笑)。
――そうめんで夏を乗り切るんですね!
■ジョン(・ケアード)さんの『ハムレット』演出は、お客様に考える余裕を与えない
――『ハムレット』(2017年4月7日から5月26日まで 東京、兵庫、高知、福岡、長野、愛知で上演)はいかがでしたか?
全国公演も含めると結構長くやりましたが、毎回が新鮮でした。特に内野さんや(北村)有起哉さんは常に攻めていてマンネリにならないので、僕らも刺激を受けましたし、楽しかったです。
――全国の色んな場所で上演されましたが、反響は違いましたか?
地方に行くほど、色んなお客様が観に来てくださいますし、やはり1回きりの公演の場所もありましたが、「もっとやって欲しい」という声も有難いことに頂いたので、またこの作品で出来たらいいなと思いました。
――内野さんをはじめとする、名だたる方々と共演されて、稽古から3ヶ月程ご一緒されましたが、新たに受けた影響や発見はありましたか?
内野さんの熱量は、やはりすごいと思いました。劇場が変わる度に、皆さんにどこまで声が届くのかという確認をしたり、常に隙を作ったりしないんです。ああいう姿勢は見習わなければいけないと思いました。やはり「慣れない」ということが、すごく勉強になりました。
――ジョン(・ケアード)さんの演出はいかがでしたか?
お芝居において、「間」はすごく重要じゃないですか。でも、今回はその「間」をなるべく減らして、テンポ感を重視したんです。お客様に「これってこういう事じゃないかな」と考える余裕を与えないんです。言葉の意味をあまり考えさせずに、物語をどんどん先に進めていく。
――そのテンポ感は面白かったですか?
最初はすごく戸惑いました。ここで「間」を取りたいと思っていても取れないので、自分たちが感情をついていかせるしかないですから。でも、やはり「間」がなく、テンポ感があった方がしっくりくるんですよね。そういう意味で、「間」は使いようなんだなと思いました。感情をみせたいところは、あえて感情的にしない方が、より悲しみや怒りが見えるという真逆の方向ですよね。それはすごく参考になりました。例えば、怒る芝居は声を荒げたりすると、お客様にもすごく分かりやすいですし、演じている方も簡単ですが、そうではないということです。
――抑える事で浮きあがる感情が見えるような。
もちろんそれを伝えるだけの技量もなければいけないですが、感情表現のお客様への色々な届け方を分かっていたつもりでも、どうしても声を荒げたり、感情的になったりする方法を選択してしまっていたので、色んなアプローチの仕方があるんだなと、改めて再確認出来ました。
■レアティーズ役では言葉の意味をあまり考えず、気持ちの赴くまま喋ることを意識
――すごく苦労した場面はありましたか?
最後の立ち回りのシーンですね。あそこは、内野さんと僕の2人の決闘ですが、周りを巻き込んだシーンなので、毎回大変だなと思いました。稽古段階で、ジョンが、アクションをつけるの馬木也さんに「短すぎず、長すぎず、でもよりかっこよく、竹の音が聞こえるように」と色んな要求をしていたので大変でしたね。
――稽古で出来上がってしっくりくるものなった?
そうですね。それでもやはり、毎日殺陣の返し稽古はします。東京公演最中でも、劇場変わる度にも、毎日形を確認しますね。
――きっと場所によっても色々と違いますよね?
感覚が違う日もありますね。
――例えば1歩出た距離の感覚が違うという感じですか?
そうですね。前日を踏まえて、このくらいにしようと調整しますが、毎回同じようにやっても同じにはならないので。内野さんが結構全力で来る人なので、いい具合に力を入れてやりましょうと。戦いに使っている竹は何本も折れました。ぶつかりあう音を聞かせるためには、当てなければいけないので。基本、立ち回りは当てないんですが、音を聞かせるために、当てることが前提なので、そのエネルギーを有効活用しながらやっていたら、もうスタッフさんが「代わりの竹ありません!」「やばい」って(笑)。
――以前別媒体の取材で、毎回課題を持って取り組むとおっしゃっていましたが、『ハムレット』はいかがでしたか?
『ハムレット』は、自分の吐き出す言葉の意味をあまり考えない、言葉に囚われすぎないという事を意識しました。特に僕が演じたレアティーズは、父親のポローニアスから受け継いだお喋りな部分もあって、スラスラと次から次へと言葉が出てくるんです。考える前に口が動いている。そこを役者としても、台詞を考えるんじゃなくて、自然に出てくるものなんだということを考えて、気持ちの赴くままに喋る意識をしていました。
――それは新しい感覚だった?
もちろん、他の芝居においても台詞は役の言葉だから、考えながらやることはもちろんNGですが、このシェイクスピアの戯曲の中でそれをするのは、ある意味トライだったと僕の中でも思っています。レアティーズ自体にそんなに長台詞がある訳ではありませんが、言葉の重みというか、レアティーズの愚かさと情けなさ、誠実さが見えるように、怒っていることに対して、ちゃんとリアクションをするということを常に心がけていました。
――妹・オフィーリア役の貫地谷(しほり)さんと一緒にお芝居されてみていかがでしたか?
受ける印象は毎回違うというのもありますし、すごくストレートに伝えてくる方なので、やっていて楽しかったです。だからこそ、兄妹感が出たと思いますね。演じていない時も自分の思っている事、感じた事をストレートに言葉に出す方なので、やりやすく、いい刺激になりました。
■『罠』の課題は、とにかく緊張感。何も起こっていない時も、一瞬も気を抜けない
――今回、『罠』ではどんな課題に取り組みますか?
そうですね……とにかく、緊張感ですね。ダニエルは常に緊張感を持っていなければいけないんです。この作品の中で常に彼に起こっている事は本当に一瞬たりとも気を抜けないので、その緊張感をどれだけ自分が保てるか、それをより高めていけるかが課題だと思っています。それはセリフを聞く時も、自分が言う時も、何も起こっていない時にも、常にどこかで気を張っていなければいけないと思います。
――最後に、楽しみにしているお客様にメッセージをお願いします。
何度も言いますが、1回観たら必ずまた観たくなる作品です。2時間休憩なしでキツいですが、それだけ集中して観られる作品ですし、「やられた!」と思うような洗練された大人の上質なサスペンスをお届けしたいと思いますので、劇場でお待ちしております。
※今回の取材で撮影した写真にサインをしていただいた、撮り下ろし加藤和樹さんサイン入り写真1枚を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは7月10日(月)です。※このプレゼントの募集は終了しました。
上下にわたるインタビュー、とても興味深く何度も読ませていただきました。
7年前はまだ和樹さんに出逢っていなかったので、初めての「罠」観劇になります。
ずっと観たいと思っていた舞台なので、再々演が決まり本当に嬉しいです。
感情的にしない方が、より悲しみや怒りが見える…まさにそうですね。現実でも、悲しみや怒りが深いほど表面には現れないものだと思いました。
「ハムレット」は言葉の滝に打たれる不思議な空間でした。
「罠」では緊張の中、自分も罠にはめられるのをわくわくしながら、劇場空間に身をおきたいと思います。
最後になりましたが、素敵な和樹さんの写真をありがとうございました!!
綺麗な花のバックに全然負けてない和樹さんに、思わず「うわっ!」と声が出てしまいました…笑
罠は初演、再演も観ていますので今回、今の加藤和樹さんのちょっと大人であろうダニエルがどうなるのか楽しみにしています。
ハムレットは確かに決闘シーンの竹の音は印象的!また観たいです。
いつもステキな写真でうれしいですw
加藤さんの舞台「罠」にかける想いと、舞台「ハムレット」を振り返ってのお話、とても興味深く拝読いたし、7月の舞台が楽しみになりました。
いつも、読み応えのあるインタビューをありがとうございます。
役への加藤さんなりの向き合い方や、作品への思いを知ることができて、とても良かったです。読み手のことを考えてくださっているインタビュー内容で、ますます罠が楽しみになりました。これからも良質な記事、期待しております!
こんにちは、今回の記事もお写真もとても楽しめました。
またこれからも沢山のインタビュー等を期待してます。