「まず、お客様との繋がりを作る」、玉置玲央『秘密の花園』インタビュー(上)

玉置玲央さん=撮影・達花和月

2018年1月13日(土)に開幕する「東京芸術劇場“RooTS シリーズ”第5弾『秘密の花園』」に出演する玉置玲央さんにインタビューしました。この作品は、1982年に下北沢・本多劇場のこけら落し公演に、唐十郎さんが書き下ろした作品です。唐さんをリスペクトし、本作の演出を切望していた劇団「ピチチ5(クインテット)」主宰の福原充則さんが演出に挑みます。キャバレーホステスの「いちよ」を寺島しのぶさんが、店の客の「アキヨシ」を柄本佑さんが、そして玉置玲央さんは“日暮里の王子様”の「かじか」を演じます。

玉置玲央さん=撮影・達花和月

玉置玲央さん=撮影・達花和月

――『秘密の花園』は、唐十郎さんが1982年の本多劇場のこけら落し公演に上演された作品です。当時の世相を現した描写も多い戯曲ですね。これまで唐さんの作品に触れられたことは?

この戯曲は以前に読んでいました。当時の描写については、そこは観てもらわないと。

――お稽古は着々と?

まだ稽古が始まってわずかなんですが、今日1幕を通しました。『秘密の花園』という戯曲は、82年の初演を観た方にとっては壮大な物語という印象があるそうなのですが、稽古開始の早い段階で通せるくらい実はシンプルな作品なんですよね。

――戯曲を読むと、台詞がポンポンポン!と矢継ぎ早に展開していて、会話の内容も流れで繋がっているようで繋がっていないような。問いかけに対する回答をストライクゾーンからわざと外して返してやりとりしているような印象を受けました。

それはわかります(笑)。そこをどこまで理由付けするのか、演じる分には、どこに「つもり」をもっているかだと思っていて、稽古場でも演出の福原(充則)さんと話すんですが、「熱量」があると突破できるのではないかと。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、「面白くない」と「共感出来ない」の違いなどについて語ってくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。1月5日掲載予定のインタビュー「下」では、元々、演劇の裏方をやろうと思っていたという玉置さんが裏方を止めて俳優業をやるようになった経緯や、定期的に俳優向けのワークショップを開催されている理由などについて語って下さった内容を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■「点」を打っていくと、どこかでその「点」が一気にブワッと繋がる

■「面白くないや」と、「共有出来ないな」には、雲泥の差がある

■「日暮里の王子様」ね。長台詞もちょこちょこあってね

■キーワードはちゃんと伝わらないと、違和感になっていっちゃう

<東京芸術劇場“RooTS シリーズ”第5弾『秘密の花園』>
【東京公演】2018年1月13日(土)~2月4日(日) 東京芸術劇場 シアターイースト
公式ページ
http://www.geigeki.jp/performance/theater153/

<関連リンク>
ゴーチ・ブラザーズ
http://www.gorch-brothers.jp/modules/tinyd9/index.php?id=6
玉置玲央 「博愛日和」
http://hakuaibiyori.seesaa.net/s/
玉置玲央 Twitter
https://twitter.com/reo_tamaoki

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玉置玲央さん=撮影・達花和月

玉置玲央さん=撮影・達花和月

※ここから有料会員限定部分です。

■「点」を打っていくと、どこかでその「点」が一気にブワッと繋がる

――ロジカルという点からいくと、この戯曲はものすごく情報量が多いですね。「点」はいっぱい見つかるのですが、それを直ちに「線」や「面」へ構築するのが容易ではない、というか。

「点」は打てるはずなんです。多分やろうと思えば全部繋げて「線」にも出来ると思うんです。全然関係のない「点」が、「あ、そういえば!」と繋がっちゃうような、例えば1幕でも2幕でもどこでもいいのですが、「点」を打っていくとどこかの風景や台詞で、その「点」が一気にブワッと繋がる…そんなことが起こせればすごいですよね。

玉置玲央さん=撮影・達花和月

玉置玲央さん=撮影・達花和月

■「面白くないや」と、「共有出来ないな」には、雲泥の差がある

――確かに日常で、まったく関係のない「点」同士が、ふいに自分の頭の中で繋がって、腑に落ちて「おおっ!」という瞬間があります。

だから、まだ今日は1幕を通しただけで、後半2幕が残っているので、「線」に繋げていくことが出来るのか、「点」を打ち続けてその効果を狙うのか、変な話「点」だけで終わらせてお客様に委ねるのか、俳優はもう全部理解して、聞かれたことにも何でも答えて(笑)みたいなことにしていくのか、っていうのはもうちょっと探っていくのだと思うんです、多分。

そこは、もしかしたら、ですけれども、結局お客様が観たときに、「面白くないや」っていうのと「共感出来ない、共有出来ないな、これは」っていうのは、雲泥の差があると思っているんです。「面白くない」って思って観ることと、「これは共感出来ないなぁ」って思って観ていることって、些細かも知れないけど雲泥の差があるなって思っていて。

(お客様との距離が)遠くなっちゃえばなっちゃうほど当然ですけど、宜しくないから、まずどんな方法でも、お客様との繋がりみたいなものは作らないと「除外」になっちゃうから。

――確かに稀に「あ、置いていかれたなぁ」と客席で感じるお芝居に遭遇することはありますね。先ほどの「面白くない」と「共感出来ない」は、後者の方が共感できない理由を理解しての結論と考えると、前者より、繋がりという意味での余地がある気がします。

そう、その豊かさはあるんじゃないかな?っていう気がしてて。

――その作品を観て、自分とはこんなところで考え方が違うんだな、という判断が出来る状態にあるということですから、取り付く島もない「面白くない」よりは全然よいということですね。

そのような気はするんですけどね。だから、そういうこともあり得るんじゃないかな?って思っています。

――確かに戯曲を読んでみて、観る側へのアプローチをどう持って行くのか? そこに非常に面白みを感じました。

そうですよね(笑)。

玉置玲央さん=撮影・達花和月

玉置玲央さん=撮影・達花和月

■「日暮里の王子様」ね。長台詞もちょこちょこあってね

――玉置さんの役は「かじか」ですね。作品の中で役柄のもつ熱量がとてもピッタリと思いました。

本当に? 良かったです(笑)。「日暮里の王子様」ね。長台詞もちょこちょこあってね。

――ところでこの「かじか」ですが、女癖の方が…(笑)。寺島しのぶさん演じられる「いちよ」に猛烈アタック。そして川面千晶さんが演じられる「千賀」とも…。

クソヤロウです!(笑)。かじかと千賀の関係って、すぐわかりましたか?

――ざっくりな「原因」と、「結果」については(笑)。細かい「点」は何回か読んで拾い集めました(笑)。でも「活字」と「お芝居」では、戯曲で明確化されていない演者の表現も加わって、情報量としては圧倒的と思いますし理解度が変わるのでは?

多分ね、どっちもあるなと思うんです。戯曲を読んで初めてわかることと、立体になって初めてわかることと。逆に立体になったからわからなくなることも絶対にあって。だから、難しいですよね。でも、自分が今稽古していて、実際に立ってみるとわかりやすいということは多いんです。それはあくまで、俳優側の生理なので、100パーセントお客様に伝わるかと言うと、そうとは限らないのですが。

玉置玲央さん=撮影・達花和月

玉置玲央さん=撮影・達花和月

■キーワードはちゃんと伝わらないと、違和感になっていっちゃう

――演者と観客という関係に限りませんが、人それぞれ「視点」も「思考」も違いますし。

そこを、どういざなうのか、親切すぎないのか、みたいな問いが結構ポイントだったりすると思うんですね。ただ、さっきも「点」の話で、キーワードは物理的にお客様にちゃんと伝わらないと、違和感には絶対なっていっちゃう筈だから。

玉置玲央さん=撮影・達花和月

玉置玲央さん=撮影・達花和月

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“「まず、お客様との繋がりを作る」、玉置玲央『秘密の花園』インタビュー(上)” への 1 件のフィードバック

  1. 遊観子 より:

    読んでいて何度も、うんうんうん、と納得したり、なるほど、そうか!と思ったり、と、たっぷり楽しませて頂きました。

    自分で戯曲を読んだ時点では、まだまだ点を繋げないまま沢山残してる気がしてますので、劇場でブワッと繋がって「おおおおおーっ!」となるのも楽しみに観に参ります(*^^*)

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