「エリザベートは徹夜で」、宝塚風メイクと衣裳の月城すみれさんインタビュー(上)

月城すみれさん=撮影・橋本正人

宝塚歌劇・男役風の衣裳を日常的に着ていることで話題になり、テレビや新聞などでも取り上げられている男性、月城すみれさんにインタビューしました。神戸大学理学部を卒業後、京都大学の大学院に進んで修士課程を終了した彼が、このメイクとファッションに込めている思いについて伺いました。上下2回に分けて、ご紹介します。

月城すみれさん=撮影・橋本正人

月城すみれさん=撮影・橋本正人

月城すみれさんのことを、この記事の筆者(橋本)が知ったのは、宝塚歌劇好きな「ヅカ男子」が集まっているフェイスブックのグループで。月城さんはご自身を「土佐日記の、女もすなる男装といふものを男もしてみむとてするなり、というノリです」と書かれていて、いきなり土佐日記が出てくるところが面白いなと思って、取材させていただくことにしました。

インタビューは、2018年4月5日に、宝塚市内のアイデアニュース社で行い、写真撮影は宝塚大劇場前の「花のみち」などで行いました。

「普段から電車に乗る時も、宝塚男役の格好をしています」とおっしゃっていたので、駅の改札に迎えに行った時から撮影をさせていただきましたが、キラキラのスパンコールをつけた「黒燕尾」で、さっそうと電車から降りてきた月城さんは、別の青い燕尾服を入れたトランクを引きながら、日除けの傘をさし(男役とはいえタカラジェンヌに美白は大切)、さっそうと歩きます。

道ですれ違う人は、「え? なんの人? 宝塚の人?」という感じで、振り返り、交差点で立ち止まると、「写真を撮らせていただいてもいいですか?」と声をかけられます。

この日は、天気が良かったものの、崩れてくる可能性もあったので、インタビューより先に、「花のみち」に出かけて、撮影をしました。

橋本はこれまで、取材でタカラジェンヌのみなさんの撮影もよくさせていただきましたが、月城さんの背筋を伸ばして歩く姿などは、堂に入ったもの。ポーズ写真を撮る時の「目線の泳がせ方」などは、本物のジェンヌさんには及びませんが、それでも、こんなにも桜の花の下が似合う男性は、そういないなと思いながら撮影しました。

月城さんは、京都市北区内に本社のあるビルメンテナンス会社「テスコーポレーション」の社員で、1次産業から3次産業までを一貫して行う「第6次産業」分野への進出を目指すテスコーポレーションが、自家製の野菜などを卸している中華料理店「下鴨 塩見家とんとん」の営業を担当しており、この宝塚歌劇男役風のファッションで、お仕事をすることもあります。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、月城さんが大学で研究してきたテーマや、宝塚歌劇風のメイクをするようになったきっかけ、本物の宝塚歌劇を観て熱中した学生時代について語っていただいたインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。5月2日掲載予定のインタビュー「下」では、就職活動の中で月城さんが疑問に感じたことや、宝塚風ファッションで働ける就職先をどのようにして見つけたのか。現在の仕事の内容や、今後について話してくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■京大の大学院では、出生時の体重が成人後のBMIや血糖値に与える影響を研究

■バーのマスターをやらないかと言われて「月城すみれ」という名前に

■初めて観た宝塚は、月組『エドワード8世』と『Misty Station』

■燕尾服姿で当日券に並び『エリザベート』は徹夜。月1回通い全組観劇

<関連リンク>
月城すみれ 公式ページ
https://www.sumiretsukishiro.com/
月城すみれ Instagram
https://www.instagram.com/sumire585/
月城すみれ Facebook
https://www.facebook.com/sumiretukishiro
京都・下鴨「塩見家とんとん」
https://www.403tonton.com/
テスコーポレーション
https://www.tesu-ts.com/
諏訪ミュージカルスクール
http://suwamusicalschool.com/

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月城すみれさん=撮影・橋本正人

月城すみれさん=撮影・橋本正人

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■京大の大学院では、出生時の体重が成人後のBMIや血糖値に与える影響を研究

月城すみれさんは、京都生まれの神戸育ち。高校時代に暗記よりも理解が必要になる物理が好きになり、神戸大学理学部物理学科に進学。医療機器のMRIなどに使われる「磁性体量子スピン」の研究に携わりました。

大学は4年間ですが、理系の場合は大学院に進むケースが多く、月城さんは神戸大学を4年で卒業後、京都大学・大学院の人間環境学研究科で2年学んで修士課程を修了し、さらに博士課程に進みます。

京都大学大学院の「人間環境学研究科」は、理系と文系の中間のような研究をすることが多く、月城さんは、「出生時の体重が成人後のBMIや血糖値に与える影響の研究」に携わりました。

そんな研究生活を送りながら、京都にある珍しいバーなどを探索していましたが、たまたまのぞいたのが、当時「BAR一條(いちじょう)」という名前で営業していたコスプレバー。店には店長兼店員の人が1人いるだけですが、メイクの道具や着替え用の部屋があり、女装などをするお客さんもいたそうです。

ところが、月城さんは店長から「あんた、面長でアゴが尖ってて、宝塚の男役みたいな顔やなぁ」と言われ、宝塚歌劇のことはほとんど知らなかった月城さんですが、「それ面白そう。宝塚男役のメイク、一度やってみます」ということになりました。

月城すみれさん=撮影・橋本正人

月城すみれさん=撮影・橋本正人

■バーのマスターをやらないかと言われて「月城すみれ」という名前に

最初は写真集などを見て、宝塚男役メイクを真似てみただけでしたが、店長が別の場所に店を引っ越すことになり、店を任せる人がいなくなった時に「あんた、店やってみない?」ということになり、常連客のアイデアで「月城すみれ」という名前をつけ、「ヅカバーすみれ」のマスターになったのでした。

大学院での研究があるので、マスターになるのは週末の夜などの短い時間だけでしたが、そのうち「本物の宝塚を観たことがない」ということに気づいて、大劇場に行ってみることになります。その時「本物の宝塚を観て、良くないと思ったら、このメイクは止めよう」と思っていたそうです。

月城すみれさん=撮影・橋本正人

月城すみれさん=撮影・橋本正人

■初めて観た宝塚は、月組『エドワード8世』と『Misty Station』

初めて観た宝塚は、2012年2月3日から宝塚大劇場で上演された月組の「ミュージカル『エドワード8世』-王冠を賭けた恋-」と「ブリリアントステージ『Misty Station』-霧の終着駅-」。この作品では、トップスターが霧矢大夢さん、娘役トップが蒼乃夕妃さんで、この舞台を観た月城さんは、その迫力と美しさに「これはいいなぁ」と思って、宝塚メイク・ファッションへの思いが高まっていきます。

その後、2012年11月からの宝塚大劇場で上演された星組の『宝塚ジャポニズム~序破急~』『めぐり会いは再び 2nd ~Star Bride~』を観にいってから、宝塚にどっぷり、はまります。

初めて宝塚を観に行った時は、普通の格好で行ったのですが、『宝塚ジャポニズム~序破急~』の時は、新調した黒の燕尾服に飾りをつけて、気合を入れて行きました。周りからどう見られるか気にしていたのですが、「写真撮ってもいいですか?」などと声をかけられるなど、周囲の反応が暖かく、「この格好でいいんだ」と思ったそうで、それからは宝塚風メイク・ファッションで大劇場に通うようになりました。

月城すみれさん=撮影・橋本正人

月城すみれさん=撮影・橋本正人

■燕尾服姿で当日券に並び『エリザベート』は徹夜。月1回通い全組観劇

やがて、毎月1回は宝塚大劇場に通って、全組の公演を観るようになります。人気公演の『エリザベート』などは、なかなかチケットが手に入らず、京都から最終電車に乗って宝塚に行き、徹夜で並んで当日券を入手したそうです。燕尾服姿で当日券を購入するために列に並んでいると、自然とファンの人たちとも仲良くなり、ますます宝塚が好きになります。

月城さんは、自分のメイクや衣裳がそれで良いのか、宝塚OGのいるお店などに行って話を伺ったこともあるそうで、特徴的なアイラインや口紅については悪くないけれど、眉やもみあげ、ひたいなどが全然ダメと指摘され、眉は薄い色で描き始めてだんだん濃くしていくことや、独特のもみあげ、さらに富士ビタイの描き方などを学び、メイクがビシッと決まるようになって行きます。

最近は、宝塚OGの諏訪あいさんらが講師をつとめる、京都市内の「諏訪ミュージカルスクール」に通って、仕草などのレッスンを受けているそうです。

月城すみれさん=撮影・橋本正人

月城すみれさん=撮影・橋本正人

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