YouTubeで学ぶ英語:(29)ある日の「我がまま」が救った父の命

YouTubeの「That Moment Your Mistake Saves a Life」=「SoulPancake」チャンネル より

自分が何者なのか悟った瞬間。親はヒーローじゃないと分かった瞬間。愛が終わったことを思い知った瞬間。人生の中には、忘れがたいmomentがあるものです。今日聴くのは、わがままな高校生の娘がそうとは知らずに父の命を救った日の物語: That moment your mistake saves a life です。

YouTubeの「That Moment Your Mistake Saves a Life」=「SoulPancake」チャンネル より

YouTubeの「That Moment Your Mistake Saves a Life」=「SoulPancake」チャンネル より

ニューヨークで生まれ育った女性が、16歳、高校3年生の時のある朝について語っています。聴き取りやすい英語ですが、口語的な表現がたくさんありますので、楽しみながら勉強しましょう。

17歳からしか運転できないニューヨークで、高校に通うのにバスに乗らないといけないことがcoolじゃないと思っていた16歳の彼女、お父さんに車で学校に送って欲しいとしょっちゅう頼んでいたそうです。仕事の都合で、送ってもらえるときもあればダメな時もある。そんなある日のことです。典型的な我がままティーンエイジャーだった彼女とお父さんとのある朝の風景をお聴きください。( )の中の単語は聴き取れますか?

  • This one morning I say, like,  その日の朝、私はこんな風に言ったの。
    “Dad, can you drive me to school?” 「パパ、学校に送っていってくれる?」
    And he (  1 ) “No, I can’t.” そしたら「今日はダメだ」って。
    You know, something in my gut was like, その日は胸の奥でこんな感じがしてた。
    No, you have to be driven to school that day. つまり、今日は絶対車で学校に送ってもらわなきゃと思ってたわけ。
    So I go outside and I do this thing that I’ve never done before, それで、外に出て、今までしたことがないことをした。
    which is when the bus comes,  I (  2 ) it away and miss the bus on purpose. バスが来たのに、手を振って追い払って、わざとバスに乗り遅れたの。
    And I think this is a (   3  )plan.  天才的な考えだと思ったわ。
    So I walk back into my house and I say to my dad, like,  “Now you gotta drive me to school.” で、家に歩いて帰ってパパに言ったの。「もう車で行くしかなくなったのよ!」
    And my dad was livid. He was so angry. パパは青くなって、すごく怒ってた。
    He ( 4 )me in the car, right? 私を車に押し込んでね、
    He starts just giving me this lecture about how I’m a brat 私がどんなに悪い子かお説教を始めたわけ。and how I need to learn how to take responsibility for things  責任を取ることを学ばないといけないとか。and how my actions have (   5    ) on other people’s actions and how it’s not all about me. 私の行動が他の人の行動にどんな結果をもたらすかとか、自分のことばかり考えてちゃいけないとか。
    And we get to my school and the last thing he says to me is, “If I miss this meeting downtown, when I get home you are dead“ それで学校に着いたら、パパが最後にこう言ったの。「もし、このせいでパパがダウンタウンでの会議に遅れたら、お前は面倒なことになるから覚悟しろ」
    And I say, “I don’t (  6 )” And I walk into the high school. 私は「どうでもいいわ」って言って、学校に入っていったの。
    And I have this, like,  chip on my shoulder.  I think I am the(  7 ) person on the planet.  いわゆる挑戦的な態度をとったわけ。自分はこの星で一番カッコいいなんて思ってたわ。
  1. something in my gut
  2. gut は内臓とか胃腸という意味で、直感とか第六感を示す gut feeling という表現があります。”I have a gut feeling that he is the one.  彼こそその人だっていう気がする”   something in my gut は、胸の内で感じる何か、心の中で思う何かという意味です。
  1. livid
  2. 形容詞で、「青黒い、青ざめた」、という意味です。口語表現では、「激怒した、カンカンになっている」という意味になります。日本語だと「真っ赤になって怒っている」みたいな感じでしょうか。激怒するには、turn purple という表現もあります。こちらは紫。面白いですね。
  1. brat
  2. 名詞で、「手に負えないいたずらっ子」「悪ガキ」「我が儘な子ども」という意味です。いまいましい気分が込められた口語表現です。
  1. it’s not all about me
  2. 何でも「私が」「私が」と自分中心に考えたり行動したりするわがままな子どもに、「it’s not all about you この世の中、お前がすべてじゃないんだぞ」とお父さんが言ったセリフを、本人なのでme と言い換えています。
  1. you are dead
  2. 「お前は死んでいる」ではなく、「もうダメだ、やばい、あり得ないくらい大変だ」と大きなトラブルがあることを表す口語表現。
  1. chip on my shoulder
  2. chipは木片です。自分の肩の上に木片を置いて「これを落としてみろ」と相手にケンカを売ったところから来ている表現なのだそうです。ケンカ腰とか、生意気な態度を表す口語表現。

なぜ、この女性が高校生だったときのごく普通の朝の話が、「あの瞬間」として記憶され、語られているのかは後半で明らかになります。この日が、2001年9月11日だったことがヒントです。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、聴き取りの答えと動画の後半部分のスクリプトと解説を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

聴き取りの答えと解説

動画後半のスクリプトと解説

<関連サイト>

SoulPancake ホームページ

http://soulpancake.com/

*SoulPancake は、デジタルメディアで、映像制作会社。Kid presidentをはじめとするオリジナル人気シリーズがたくさんある。ユーモラスで人間味あふれる作品が多く、ミレニアル世代(1980年代から2000年前後に生まれた世代)をターゲットにしている。YouTubeのチャンネル以外にも2012年からはテレビ番組を制作、MTVやABCで放送されている。

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聴き取りの答えと解説

  1. (1)goes        「言う」という意味。He says と同じ感じで He goes と使われています。
  2. (2)wave         wave away で「手を振って追い払う」「はねつける」という意味です。
  3. (3)genius   名詞と形容詞があり、ここではplanを形容する形容詞。「天才」「天才的」
  4. (4)puts     put someone in a car で「車に押し込む」
  5. (5)consequences 名詞 consequence  (行動や状況などから導かれる)結果、帰結、因果関係
  6. (6)care   (動)大事だと思う、気遣う   I don’t care 関係ない、どうでもいい
  7. この動詞を使った表現は他にもたくさんあります。 cf. Who cares ? 誰が気にする?気にしないさ  Take good care of yourself ご自愛ください
  8. (7)coolest   (形)cool  の最上級  口語的には冷たいとか無関心なという本来の意味より、「すごい」「素晴らしい」「カッコいい」という意味になります。
  1. This one morning I say, like,
    “Dad, can you drive me to school?”
    And he goes, “No, I can’t.”
    You know, something in my gut was like,
    No, you have to be driven to school that day.
    So I go outside and I do this thing that I’ve never done before,
    which is when the bus comes, I wave it away and miss the bus on purpose.
    And I think this is a genius plan.
    So I walk back into my house and I say to my dad, like,  “Now you gotta drive me to school.”
    And my dad was livid. He was so angry.
    He puts me in the car, right?
    He starts just giving me this lecture about how I’m a brat and how I need to learn how to take responsibility for things and how my actions have consequences on other people’s actions and how it’s not all about me.
    And we get to my school and the last thing he says to me is, “If I miss this meeting downtown, when I get home you are dead.”
    And I say, “I don’t care.” And I walk into the high school.
    And I have this, like,  chip on my shoulder. I think I am the coolest person on the planet.

■動画後半のスクリプトと解説

この日が、あの2001年9月11日だったことから、彼女の我が儘な行動が図らずも父の命を救ったことになります。会議に遅刻したおかげで、彼はその日、攻撃されたツインタワーに行かなかったのです。そのことが分かってから、父娘が車に乗って家に帰る後半のスクリプトを載せています。

  1. If my dad has an 8:30 meeting for his new job on the 75th floor of the north tower, パパが8時半のミーティングに行くとしたら、ノースタワーの75階だ。新しい仕事を始めたから。
    The tower that’s in flames. あの、炎に包まれているタワーね。
  2. And all I keep thinking is the last thing my dad said to me is that I’m dead if he missed that meeting, そしてずっと考え続けてたのは、パパが最後に言った言葉が、「もしあのミーティングに遅れたら、お前は面倒なことになるぞ」だったこと。
    and then suddenly that thought is overtaken by the sound of the Nokia phone.  そしたら突然、そんな考えがノキアの電話の音に取って変わられた。
    and I answer it and this voice comes over the phone, and it says three things to me. 電話に出たら、電話の向こうから聞こえてきた声が、3つのことを渡しい言ったわ。
    He says, “I’m okay. “ パパは言ったの「私は大丈夫だよ」
  3. “I’m coming to pick you up.”  「お前を迎えに行くよ」
  4. “I have to get off the cell. They need the service.” 「もう切らないといけないんだ。みんな電話回線が必要だから」
  5. And like an hour later my dad gets to high school. それから1時間くらいして、パパは高校に着いたの。
    My dad is a big guy. But he looks tiny. And he’s white. Pale. パパは大柄な人だけど、小さく見えたわ。顔が青ざめていた。
    And he takes me to the car and he opens the door and he physically puts me in the car. 私を車に連れて行ってドアを開け、私を車に乗せた。
    And he grabs the seat belt and he locks me in, like he’s trying to protect me. You know? パパは私のシートベルトをつかんで私を守るように締めてくれたの。
    Gets into the car and he sits down and he puts his left hand on the driving wheel.  車に乗りこんでハンドルを左手で握って
    and he takes his right hand and he grabs my hand. それから右手を伸ばして私の手をつかんだ。
    And that’s how we drive for a half an hour home in total silence. そうやってパパは運転をしたの、家に帰るまでの半時間、何もしゃべらずに。
    And we get into the driveway and he shuts off the car and he said, それから家の前の道について、車を停めて、パパは言った。
  6. “You made me late, so I canceled my meeting and I went to the Brooklyn job site instead.” 「お前のせいで遅刻してしまったから、ミーティングはキャンセルして、ブルックリンの仕事現場に行ってたんだ」
  7. He can’t talk about 9/11. He lost so many guys. But every single year he calls me. パパは9・11のことは話せないの。あまりにたくさんの知人が亡くなったから。でも毎年この日に私に電話をかけてくれるわ。
    And my dad says, “Thanks for being a brat.” そして言うの。「我が儘な娘でいてくれてありがとう」

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