「すごくドラマチック」、ミュージカル『SMOKE』木暮真一郎インタビュー(上)

木暮真一郎さん=撮影・伊藤華織

27歳で夭逝した天才詩人の作品にインスパイアされた韓国発のミュージカル『SMOKE』が、2018年10月4日(木)に浅草九劇で開幕し、10月28日(日) まで上演中です。この作品に、詩を書く「超(チョ)」役で出演している木暮真一郎さん(日野真一郎さんとWキャスト)にインタビューさせていただきましたので、上下に分けて掲載します。(このインタビューは『SMOKE』公演の開幕前に実施したものです)

木暮真一郎さん=撮影・伊藤華織

木暮真一郎さん=撮影・伊藤華織

――韓国発のミュージカル『SMOKE』は、今回の上演が日本版初演ですね。出演が決まって、最初にされたことはなんでしょう?

出演が決まって初めて知った作品だったので、まず情報を調べました。韓国の観劇レポみたいなものがいっぱい出てきたのですが、あんまり具体的な情報が出てこなくて…。

――日本語で検索すると、観劇された方の熱心なレポートがたくさんありましたね。現在お稽古はいかがですか?

今日は、日野真一郎さんと高垣彩陽さんで、粗通しまではいかないのですが、確認をしつつの通しをしました。演出の菅野こうめいさんに流れをつけていただいて、そこから細かいところを広崎うらんさんがステージングしてくださって。

――広崎うらんさんがいらっしゃるということは、作中でダンスもあるのか気になります。

ダンスもありますね。

――演出の菅野こうめいさんがお書きになった台本を初めてお読みになった時と、皆さんで本読みをされた時の印象はいかがでしたか?

みんな口をそろえて言うんです、「全然違う」って(笑)。最初、台本をいただいて読んだときは「難しいな」というか、読んではいるのですが、あまり内容が入ってこないというか。作品の元になった詩人の李箱(イ・サン)の詩の抜粋なども結構入ってきて、それがまた難しくて(笑)。自分で黙読した段階では、詩の響きや意味合いも、正直あんまりわからなかったんです。それで、これは大変だなぁと思っていたんですけど(笑)。

それで、はじめてキャストの皆さんとお会いして「じゃ、1回読んでみようか?」となったときに、やっぱり、李箱の書いた詩も、朗読すると全然印象が違って。こうめいさんが読み合わせの前に、お勉強会まではいかないんですが、李箱の歴史というか、どういう人だったのか、どういう作品を残しているのかというレクチャーをしてくださって。で、それからみんなで彼の詩を読んでみて、「おお!」みたいな、ちょっと感動というか、「あ、こういう人だったんだ!」っていうのがあって、それから台本を読んだんです。

今日、通しを見て思ったんですが、なんて言うか、すごくわかりやすいというか。全然そういう「難解」と言われる詩人を扱った作品とは思えないぐらいドラマチックで、わかりやすくって。作品を通して、空気的には重いんですけど、最後、「あぁ、観に来て良かったな」と思ってもらえるんじゃないかなっていう解放感があります。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、上演台本・作詞・演出を担当する菅野こうめいさんの印象や、学生時代に劇団に曲を提供していた縁で今もよく観にいくという小劇場などについて語ってくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。10月9日に掲載するインタビュー「下」では、Wキャストで超役を演じる日野真一郎さんや、海役の大山真志さんら共演者について伺った内容、少人数のミュージカルを日本で上演することの意味などについて伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■感覚で観ても多分面白い。ほかの角度からの解釈もあり得るところがいっぱいあったり

■(菅野こうめいさんは)すごくスマートな方で憧れます。ああいう大人になりたいな

■Wキャストは『アイランド』以来2回目。日野さんの演技を見て「自分はこうしよう」と

■学生時代に小劇場の劇団に曲を提供。ちょうど3人芝居を観て「演りたいな」と思っていた

<ミュージカル『SMOKE』>
【東京公演】2018年10月4日(木)~10月28日(日)
【出演】日野真一郎・木暮真一郎(Wキャスト)/大山真志/高垣彩陽・池田有希子(Wキャスト)
【スタッフ】上演台本・作詞・演出:菅野こうめい /音楽・演奏:伊藤靖浩

<公式サイト>
ミュージカル『SMOKE』
http://musical-smoke.com/
ミュージカル『SMOKE』 浅草九劇のページ
https://asakusa-kokono.com/list/2018/09/id-5688

<関連リンク>
木暮真一郎 Twitter
https://twitter.com/kogushin
木暮真一郎 ORCHARD
http://orchard-net.com/wordpress/?page_id=3307

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木暮真一郎さん=撮影・伊藤華織

木暮真一郎さん=撮影・伊藤華織

※ここから有料会員限定部分です。

■感覚で観ても多分面白い。ほかの角度からの解釈もあり得るところがいっぱいあったり

――明るい雰囲気の作品ではないとは思いましたが、観劇後は解放感があるのですね!

そんな笑えるシーンとかはないんですが、でも正直、頭を使わずに感覚で観ても多分面白いと思うんですよ。

――論理立てて考えながら観なくても大丈夫なんですね。

そうです。いろんな見方が出来ますし。“これはこういう意図があって”、みたいなのは、もちろんあるんですが、でもほかの角度からの解釈もあり得るところがいっぱいあったりします。見終わったときの感想も人によって全然違うとは思います。だから観ていただいたときに、お客様がどう感じるのかな?っていうのは、すごく楽しみです。

木暮真一郎さん=撮影・伊藤華織

木暮真一郎さん=撮影・伊藤華織

■(菅野こうめいさんは)すごくスマートな方で憧れます。ああいう大人になりたいな

――今回のカンパニーは初共演の方ばかりですね。演出の菅野こうめいさんはどんな印象をお持ちですか?

すごく好きです。

――ストレートですね!

単純に言ったら、すごく好きというか、ついて行きたくなる演出家さんだなと思います。すごいヴィジョンを持ってらっしゃいますし、そのヴィジョンが結構また、お洒落というかなんというか。最初、稽古はじめのときに、いろんなプランを話してくださったんですが、それを聞いているだけでも、これは楽しい!というか、すごくワクワクする作品になりそうだなっていう感じで。そういうモチベーションの上げ方とか、稽古場の空気感とかがすごい。今回がはじめましてなのですが、大分早い段階から、僕的にはすごく演りやすいなって!

――本当に「この人好き!」みたいな感じですね(笑)。

そうですね(笑)。「好きっ!」ってなりましたね、いろいろホントに(笑)。で、その段階で結構、緊張とかよりも「あ、これはちょっといろいろ試してみたいな」っていう気持ちにすぐ入れたので。いろいろやらせていただくんですけど、その度にすごく的確な、…なんて言うんですか、フワッとしないで、ピンポイントでアドバイスやお話をしてくださるので、「あ、じゃあ、次こうしよう!」とか、すぐにインスピレーションが湧いて(笑)。すごくスマートな方で憧れますね。ああいう大人になりたいなって、思います。

――舞台人としてだけではなく、人生の先輩としても?

生き方もカッコいいなと思います(笑)。

木暮真一郎さん=撮影・伊藤華織

木暮真一郎さん=撮影・伊藤華織

■Wキャストは『アイランド』以来2回目。日野さんの演技を見て「自分はこうしよう」と

――菅野さんが、お稽古場の様子を、“ものすごくクリエイティブで、手応えを感じている”とツイートされていましたが、カンパニーの皆さんでいろんな案を持ち寄って立ち上げていらっしゃるんですか?

そうですね。やっぱり抽象的な表現とか、ここはどういうことだろう? というシーンも多いので。そういうシーンを、特にゆっこさん(池田有希子さん)が、すごく鋭く「ここはどういうことなんですかねー?」みたいな感じで、そこからいろいろみんなで意見を出し合って、って感じですね。

――演りながら腑に落ちなかったり気がついたことを、おひとりおひとりが流さずに問題提起して、皆さんで考えて解決していく、というような。

そうです。あとは、ダブルキャストが2組なので、客観的に見る機会があるので。ダブルキャスト自体は、僕も『アイランド』(2017年)という作品で経験していて2回目なんですけど、でもすごく楽しいですね! ダブルキャスト、なんか(笑)。

――ダブルキャストの醍醐味は、どんなところでしょう?

今日も通しを見ていて思ったんですけど、日野さんが演られているのを1回見てからだと、自分の役へのアプローチの仕方とかの見え方がぜんぜん違って。これはシングルだと味わえない感覚だなって、すごく思いますね。

――「こういう演り方いいな」とか、「ここは自分も頑張ろう」と思われるんでしょうか?

「自分はこうしよう!」って思いますね。やっぱり日野さんと僕は、年齢もキャリアも性格もぜんぜん違うし。そんな感じでぜんぜん違うので、「そうやってそこは考えるんだ」とか、考えるというか、「そうやって演られるんだ」みたいな感じで。

――日野さんが演っていらっしゃるのを見て、役への解釈が広がっていくんですね。

そうですね! すごく広がります。

木暮真一郎さん=撮影・伊藤華織

木暮真一郎さん=撮影・伊藤華織

■学生時代に小劇場の劇団に曲を提供。ちょうど3人芝居を観て「演りたいな」と思っていた

――これまで比較的キャパの大きい劇場でのお仕事が続いていらっしゃいました。今回は小劇場での3人芝居ですが、いかがですか?

そうですね。でも僕、小劇場に観に行く機会は、学生の頃から結構あって。僕は、東京音大(東京音楽大学)にいたんですが、そのときに、日本大学の芸術学部に友達が多くて、そこで劇団などに曲を創って提供したりしていたんです。その関係のご縁で、今もいろいろ観に行きます。この直近に、ちょうどその3人で演るお芝居を観てて「あ、こういうの演りたいな」って思っていたときに、そういう機会が頂けて! すごく嬉しかったですね(笑)。

――びっくりなタイミングですね!

なので、観る機会は多いですが、それこそ今回は、本当に、このくらいの近さ(インタビュー中の1~1.5メートルぐらいの距離)にお客さまが居らっしゃるので、それはちょっと新感覚だなと思っています(笑)。

――それだけ近いと、お客さまの息遣いとかもわかってしまいますね。

そうですね。面白いなと思うのが、このひとつ前に、ミュージカルじゃなくて、ライブに出させていただいたんですが、それも割と客席まで降りてって、コミュニケーションを取る、みたいな感じだったんですよ。この『SMOKE』の後に出る『ナターシャ・ピエール・アンド・ ザ・グレート・コメット・オブ・1812』も、わりとそういう作品なんです。だから、この下半期はすごくお客さまとの距離が近いなって、ちょっと自分の中で不思議だなぁと思ってたんです。

――お客さまとの物理的距離の近い作品が続きますね。

そうなんです。今年はそういう年なのかなって(笑)。正確には『グレート・コメット』は来年ですけど。

木暮真一郎さん=撮影・伊藤華織

木暮真一郎さん=撮影・伊藤華織

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