ビートルズの創成期を描いた舞台『BACKBEAT』にジョン・レノン役で出演する、加藤和樹さんのインタビュー後半です。有料部分では、一人ツアーや、音楽活動、演じることなどについて伺いました。
――バンドメンバーは5人でビートルズですが、特に関わっていくのはスチュアートだと思いますが、スチュアートを演じる戸塚(祥太)さんの印象はいかがですか?
初めてお会いしたのがビジュアル撮影のときです。その日僕が朝一で、戸塚さんが夜一番最後だったんです。僕がどうしてもお会いしたくて、夜にスタジオに戻ってあいさつしに行ったら、このチラシのビジュアルの格好でいたわけですよ。「スチュがいる」って思いましたね。この姿の戸塚さんに会って、「よろしくお願いします」と言って。そのときに彼も「ジョンが来てくれた」って。そこで「スチュだ」って思って。ジョンのように、彼に見惚れる自分がいたので、この感覚はすごく大事にしなくちゃと思いました。
――それがファーストインプレッションだったら、すごく心に残りますよね。
やはり人間的に人を惹きつけるものがある。すごくそれは感じましたね。
――この物語の中で、もちろんいろいろと心に響くポイントがあると思いますが、スチュアートが最終的に二者択一することが物語の山場かなと思います。いくつかのなかから、ひとつを選ぶのは人生の中ですごく大きいことですよね。加藤さんご自身は、そういうタイミングはありましたか?
もちろんありますよ。それは音楽をやると決めたときもそうですし、東京へ上京すると覚悟を決めたこともそうですし、ミュージカルをやると決めたこともそうかもしれません。それは、生きていく上で必ずあるものなんじゃないかな。これからも、きっとあるだろうし、この作品を「やる」と決めたときも覚悟がいりましたね。
――そういうジャッジをするときに、一番大事にしているものは何ですか?
勘ですね。あまり先のことは考えないんです。先のことを考えても、あまりいいことはないので(笑)。計画性がないものだから、とりあえずやるだけやってみようと。「やれば出来る」がモットーなので、そういうチャレンジ精神や直感は大事かなと思います。「これは絶対にやれば自分にとって糧になる」とか「絶対におもしろい」とか。
――その直感は当たってきました?
もちろん外れるときもあるし、ケースバイケースですが、どれも無駄にはなってないですね。自分にとっては、絶対的に肥やしになっています。
<取材協力>
ヘアメイク/江夏智也(raftel)
スタイリング/立山功
グレージャケット¥44,000、Tシャツ¥17,000、パンツ¥38,000、靴¥86,000
以上全て(The Viridi-anne tel 03-5447-2100)
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、インタビューした時期に実施されていたツアーについて、加藤さん自身の音楽活動などについて語ってくださったインタビュー後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■(一人ツアーは)不安もありましたが、お客様が支えてくれます
■(音楽活動は)生きがい、自分を表現する場所である、あの空間がないとダメ
■演じることも生きがい、自分にとっては必要なもの
■『BACKBEAT』は彼らのリアル。生きるということを感じていただければ
<舞台『BACKBEAT』>
【東京公演】2019年5月25日(土)~6月9日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
【兵庫公演】2019年6月12日(水)~6月16日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【愛知公演】2019年6月19日(水) 刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール
【神奈川公演】2019年6月22日(土)~6月23日(日) やまと芸術文化ホール メインホール
公式サイト
https://www.backbeat-stage.jp/
<関連リンク>
『BACKBEAT』公演詳細(ステージゲート)
https://www.stagegate.jp/stagegate/performance/2019/backbeat/
加藤和樹 Official Web Site/ASSIST
http://www.katokazuki.com/
加藤和樹 twitter
https://twitter.com/kazuki_kato1007
- 2019年以前の有料会員登録のきっかけ 2020年8月18日
- 西川大貴脚本・演出のミュージカル『(愛おしき) ボクの時代』、17人のキャスト決定 2019年7月27日
- 「演じることはインプット。僕は音楽でアウトプット」、加藤和樹インタビュー(下) 2019年5月17日
- 城田優が演出と出演、加藤和樹・真彩希帆・sara出演、ミュージカル『ファントム』東京・大阪で2023年夏上演 2022年10月7日
- 「冒険的な挑戦」、『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』小西遼生・伊礼彼方(上) 2022年9月25日
- スターが日替わりで登場するバラエティショー『THE PARTY in PARCO劇場』、2022年11月開催 2022年9月13日
※加藤和樹さんのサイン入り写真1枚を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは6月16日(日)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
※ここから有料会員限定部分です。
■(一人ツアーは)不安もありましたが、お客様が支えてくれます
――アイデアニュースにご登場いただくのが『マタ・ハリ』の取材以来なんですが、この1年半くらいで演目やその間の音楽活動も含めて、特に自分のポイントになったことは何ですか?
どれもポイントではありますが、今ちょうどツアー中で、今回一人で回っているので、それはすごくポイントかなと思いますね。今まで一人で回ることがなかったですし、全国で久々に行くところもあって、行くと決断するのは結構迷いも不安もありました。
――おそらく、すごく密な空間ですよね。
そうですね。本当に舞台上に僕だけしかいないので。
――ギター1本持って?
ギターと、ルーパーという機材を使って。あとはカラオケでやるんですが。
――やはり一人でその空間に立つというのは、違いますか?
それはもう不安ですよ。だって、誰も助けてくれないんだもん(笑)。
――(笑)。
でも、その空間が今はとても心地よくなってきています。初日は福岡でしたが、すごく怖かったですね。
――他の舞台に出るときとは違う怖さ?
まったく違います。もちろん自分の他のライブとも違います。楽屋も一人ですし、セッティングも自分でして、機材も自分で片付けて。10年前に対バンツアーで回っていたんですが、そのときはバンドもいましたし、今回はまったくの一人なので。もちろんいい経験にはなっていますし、僕一人でもお客様が支えてくれます。逆に一人じゃないと出来ないこともあると知ることが出来たので、そういう意味では、このタイミングでやれてよかったと思います。
――今、大きいカンパニーの作品が多く、いろんな人と関わる時間が多いと思いますが、逆に仕事をし始めた頃などは、一人の時間もあっただろうかと思うんですが、今のタイミングで、大人数で動くことを知った中で、一人で動くというのは考えも変わってきますか?
改めて一人で出来ることって限られているなと思いました。
■(音楽活動は)生きがい、自分を表現する場所である、あの空間がないとだめ
――大人数いることの良さも感じられる?
はい。やはりひとりだと受ける刺激が圧倒的に少ないですよね。自分で生み出さないと力にならない。周りからの影響を受けて、自分の力に変えるのは、なかなか難しいなと思います。もちろんお客様からたくさんエネルギーをもらいますが、グルーヴ感を自分で生み出して、お客様と共有しなければいけないから、ひとりじゃないありがたみは、すごく感じましたね。
――すごくお忙しい中で精力的に音楽活動をやっている印象です。
今年は特に、このタイミングしかなかったかなと。自分のデビュー日が4月26日なので、その前後1ヶ月くらいで回っています。まもなく『BACKBEAT』の本番もありますし、このタイミングで回ることに意味があったのかなと。
――加藤さんにとっての音楽活動って、何ですか? 忙しい中でも「絶対やりたい」と思うのは。
生きがいですよね。自分を表現する場所である、あの空間がないとダメですね。そして、あの空間は自分とお客様にとって、すごく大事な場所だから、その空間はなくせないですよね。繋がりの一つなので。なくてはならない場所だなと思います。
――個で歌うこと、自分自身で歌うことというのは、『BACKBEAT』の彼らのアイデンティティかなと思いました。
やはり音楽って自分たちを表現するためのツールであって、それが音楽の良さだなと僕は思うんです。もちろん縛られることもあるかもしれませんが、彼らって全然縛られていなかったから。
――逆に今、彼らに触れていて自分自身の活動に返ってくるものもありますか?
これから、たくさんあると思います。
――予感しているものはありますか?
もちろん、それは曲作りやライブパフォーマンス、生き方ですよね。こんな偉大なビートルズにもがむしゃらな時期があって、死ぬか生きるかのギリギリのところでやるっていう。めちゃくちゃなんですよ。
――生きるか、死ぬかってすごいですよね。
当時は戦後まもなくですから、時代ももちろんありますよね。そういう意味では人種問題など、いろいろ難しいこともあっただろうし、その中で、酒、ドラック、セックス、女って、めちゃめちゃな中で彼らは生き抜いていくわけですから。それはすごいエネルギーに満ち溢れていますよね。
――そのエネルギーから彼らの人生を通して、自分に影響を与えるものも、やはりあるだろうと。
自由でいいんだなって。じゃあ、本当の自由がどこにあるかは分かりませんが、何を選択するかも自分だし、人に流されないということ。それは、すごく今の時点でも教えられていることですね。
■演じることも生きがい、自分にとっては必要なもの
――日々が忙しいと、流されてしまいそうになったりしませんか?
そこにちゃんと自分の意思がないと、だめだなとは思います。
――音楽が生きがいであり、自分が個であることの大切なものだと思いますが、演じることへの魅力はいかがですか?
演じることも生きがいですよね。だから、演じることも、自分にとっては必要なものです。先程も言いましたが、こういう作品ではなくても曲作りなど音楽に返ってきます。誰かの人生を生きるということは、なかなかないことですし、こういう表現をする仕事においては、とても必要なことですね。
――インプットになりうるということですか?
むしろインプットでしかないですよね。
――オフの時間でインプットではなく、オンの時間でどんどんインプットが出来ていくんですね。
勝手に入ってきますからね。入れなければいけないですし。皆さんも気づいていないだけで、していると思いますよ。ただアウトプット出来ないから、どんどん溜まっていっちゃうというだけです。僕は音楽でどんどん出していますから。
――今のこの忙しい時間を、見ているほうは「大変だろうな」と思っているかもしれませんが、とてもいい時間ということですよね。
そうですね。楽しいですし、すごく充実しています。
――ファンの方は心配せずに応援してくださいと。
そうです。今はインプットするものが多すぎて爆発寸前ですが、それが出せるときが絶対に来ます。それが楽しみですね。
■『BACKBEAT』は彼らのリアル。生きるということを感じていただければ
――最後に楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。
本当に皆さんが抱いているビートルズのイメージというよりは、やはりこの作品の中の10代の彼らというものが主軸になってくるので、ひょっとしたら「おや?」って思うかもしれません。「全然自分の知っているビートルズじゃない」と思われるかもしれませんが、この5人体制のビートルズは確かに実在したし、彼らは生きていたし、その中で、彼らが何を主張したくて、どんなことを考えながら生きていたのかを感じていただければと思います。ひょっとしたら、とても下品で、ちょっと「うわっ」と思うこともあるかもしれませんが、それが彼らにとってのリアリティだし、リアルだから。その生きるということを感じていただければと思います。
――ジョンの役も結構ぶっ飛んでいて大変だろうなと思います。
ぶっとんでますよ。でも、これが本来のジョンなんだろうなと思いますし、そういうのがあったからこそ、ラブ&ピースの明るい人間として、いろいろなものを見据えることが出来たんじゃないかなと思うんです。それはスチュのことが大きく関係していたでしょうし。彼の中にずっとスチュはいたんですよ。本当にスチュがいなかったら、偉大なるビートルズというのは絶対ありえないと思います。それはスチュだけではなく、ピートもそう。
――ちなみに、『暗くなるまで待って』や『1789』もそうでしたが、かなり激しい、舞台の上で燃え尽きるだろうなと思うものをやったときのクールダウンはどうやっているんですか?
割とスッと戻るので特別なことはしていないですね。
――2回公演でも?
はい。1回シャワーを浴びればリセットされるので。
――『マタ・ハリ』の役変わりでシャワーのお話を伺いましたね。
あれは完全にシャワーがないと無理でしたね。1回すっぴんになって、自分に戻ってから入れ直すという作業でしたから。こういう仕事をしていると、メイクを落とすとオフになったりします。それは重要かなと。マチソワであっても、メイクを落として、再びすることもあるので。
――そうやってクールダウンが出来るんですね。そういう意味では、今回もマチソワ日も大丈夫。
はい、大丈夫です。
――なるほど! ありがとうございました。楽しみにしています。
※加藤和樹さんのサイン入り写真1枚を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは6月16日(日)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
興味深いインタビュー内容でした。
ありがとうございます。
これからも素敵なお写真と記事を楽しみにしています。
BACKBEATを演じたあと、和樹さんがどう変化していくのか?アウトプットが楽しみになりました。
興味深いインタビューありがとうございます。
加藤和樹さんの記事を、今か今かと待ちわびておりました(*^^*)
リバプールの話、一人ツアーの話など、聞きたかったことにフォーカスしてくださっていて、上下共に興味深く読ませていただきました。
そして、いつもながら岩村さんの写真は、見たい瞬間を切り取ってくださっていて嬉しいです!
ありがとうございます(^^)
後編も楽しく読ませていただきました。
インプットとアウトプットを自分なりに楽しみながらうまくやりくりしてる様子がとても伝わってきて、改めて『かっこいい人だな』と思いました。
BACKBEATでインプットされたものがどんな形になってアウトプットされるのかとても楽しみです!
いろんなワクワクが詰まったインタビューと素敵な写真をありがとうございました。
いつも素敵なインタビューありがとうございます。お写真もいつも素晴らしいな、と思います!
私たちが訊きたいこと、知りたいことを代弁してくださるような内容で、読み応えがあり、とても満足しております。
これからも素敵なインタビューよろしくお願い申し上げます。
いつもたくさんの事を聞いていただき、ありがとうございます。また、笑顔の写真には癒されました。毎回内容が濃くて楽しみにしています。
これからも加藤さんのインタビューをライヴや舞台毎にしていただけると嬉しいです。
後編も興味深く読ませていただきました。
音楽、お芝居への思い、特にお芝居でインプットし音楽でアウトプットしているというお話が興味深かったです。爆発寸前とのことなので今後の音楽活動もとても楽しみになりました。
役との切替のお話など気になっていたことも知れましたし、「心配しなくて大丈夫」という力強い発言に安心しました。
これからも加藤和樹さんを取り上げていただけたら嬉しいです。
素敵なインタビューをありがとうございました。