「(今考えるトートは?) 言わない。恥ずかしいもん」、古川雄大インタビュー(下)

古川雄大さん=撮影・岩村美佳

ミュージカル『エリザベート』にトート役で出演する古川雄大さんのインタビュー後半です。トートのナンバーを歌うことの難しさ、有料部分では「死」への考えを通して描きはじめているトート像について、さらにルドルフ役の3人の印象を伺いました。

古川雄大さん=撮影・岩村美佳

古川雄大さん=撮影・岩村美佳

――トートのナンバーは、最初は静寂の中から音楽だけ聴こえてきたりしますが、そういうところも難しい?

割と表情も変えずに歌うイメージですね。「最後のダンス」は、トートの変化が見えていいと思いますが、その前や冒頭はわりと静かに、でも音圧があるみたいなナンバー。でも、それってすごく難しいと思うんです。

――今難しいと思っていることを、例えば自分の中で「ワクワクする」感じなのか、「やってやろう」と燃える感じなのか、「大変だな」と思う感じなのか、そういう感情的な部分はどうですか?

「やってやろう」と思っているんですが、「やってやろう」と思って思い切りと歌うと、今本番中のロミジュリに支障が出そうなところがあったんです。実際に、ロミジュリの舞台稽古中にトートナンバーを思い切り練習したら、「ちょっと声出ないじゃん」ということがあったので(苦笑)。そのうまい塩梅を自分で探して練習していきたいと思います。

――ロミオを拝見しながら、後半に闇が広がっていくところで、古川さんの象徴的な陰な魅力を再認識して、トートが楽しみだなと思ったのですが。

ありがとうございます。

――もちろんロミオの後半で闇が広がっていくのと、トートが持っている「死」という概念は違いますが、トートを演じるにあたって役の質的なところは、どうですか?

どう演じようとかと、すごく考えてはいるんですが、いまだにこうだという明確なものはないんです。常日頃思っているのは、自分が出している表現と、見ている方が受け取る表現は違うんだなということです。いろいろな方の話、小池先生が主になりますが、「こういう風に映っているんだ」というのを自分でも客観的に見るようにしながら、意見を聞きながらやりたいと思います。いつもより客観的に、俯瞰して見なければいけないのかなと考えています。

――今まで、たくさんのトートを見てこられて、可能性はたくさんあると思いますが、ご自身が目指すものは?

自分がやりたいものは、漠然とあるんですが、それが果たして有効なのかというのが分かっていないんです。でも、それは多分、これまでのどのトートにもないトートだと思うんです。ただ、正解が分からないので、いろいろな人の意見を聞きながらやっていこうと思っています。

<取材協力>
ヘアメイク:及川美紀(NICOLASHKA)
スタイリスト:森田晃嘉
衣装 =(ジャケット) Tジャケット/(シャツ) フランク&アイリーン

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、今、古川さんが考えてらっしゃるトートについて「絶対に却下されるのが分かっていますから(笑)」と言いつつも「ちょっと分かりやすいイメージ」で語ってくださった内容の全文と、ルドルフ役(トリプルキャスト)の京本大我さん、三浦涼介さん、木村達成さんについて話してくださったインタビュー後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■「死」というものは国や文化によっても違う

■「あれ? 人間じゃん! え? 死なの?」答えがなくていい

■大我の声が大好き、 りょんりょんは一番ハマり役、達成はすごく根が熱い男

■作品にすごく愛があるので、思いきりやりたい

<ミュージカル『エリザベート』>
【東京公演】2019年6月7日(金)~8月26日(月) 帝国劇場
公式サイト
https://www.tohostage.com/elisabeth/

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古川雄大さん=撮影・岩村美佳

古川雄大さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■「死」というものは国や文化によっても違う

――今考えてらっしゃるトートについて、言ってもいいところは……?

言わないです。

――言わないんですか?(笑)。

恥ずかしいもん(笑)。

――(笑)。

でも、「死」というものは国や文化によっても違いますよね。

――確かに概念自体も違いますね。

観る人によっても違うし、その人の中でも違うから、「死って何なの?」というところに、もっていけたらなと思っています。でも、まだ単純なところしか思いつかなくて、もっと深いところにあるのかな。きっとエリザベートの気持ちもずっと考えなければいけないと思いますし、ルドルフやフランツの気持ちも考えなければいけない。だから、ルドルフの分身なのか、ルドルフを導いている存在なのか、その位置づけや、そのときそのときのトートの存在を、全部はっきり分けたいと思っています。ただ、それをどう表現するかですね。あんまり恥ずかしいことは出来ないじゃないですか。

古川雄大さん=撮影・岩村美佳

古川雄大さん=撮影・岩村美佳

■「あれ? 人間じゃん! え? 死なの?」答えがなくていい

――それは役としてですか?

例えば、ルドルフが幼少時代に友だちとしてトートを呼ぶときに、子どもとしての友だちって何かと考えると、ちょっと分かりやすいイメージはピエロみたいな感じかなとか。でも、そういう存在が急にエリザベートの世界観のなかに出てきたら、ちょっとおかしいじゃないですか(笑)。

――なるほど!

それはそれでおもしろいなと思うんです。でも、この世界観でやってもちょっと変だろうし、そういうトライをしてみたいと思いますが、勇気がないかも(笑)。

――(笑)。

それを見せる勇気はない(笑)。

――稽古場で小池先生の前で見せる勇気が?

絶対に却下されるのが分かっていますから(笑)。分かりやすく例として言いましたが、全部のシーンで何かそういう違いを出したいなと思うんです。「あれ? 人間じゃん! え? 死なの?」という感じ。場面ごとに「今は何なんだろう」と思わせたり、最終的に「?」で終わるみたいな、答えがなくていい、自分の中にはあるけれど、というのもアリじゃないのかと。

――おもしろいですね。お話を伺っていると、誰かとの化学反応で変わったり、相手でどう変わるかではなくて、ものすごくご自身のトート像を明確に作るんだなと思いました。ダブルキャストだと、組み合わせで変わることがありますが、そうではないのかなと。

そうですね。でも、特にトートという役はそうなのかなと思いました。でも、どうなんでしょうね。やってみないと分からないですが…。

――そういう意味では、ロミジュリとは全然違うのかなと。

確かにそうですね。

古川雄大さん=撮影・岩村美佳

古川雄大さん=撮影・岩村美佳

■大我の声が大好き、 りょんりょんは一番ハマり役、達成はすごく根が熱い男

――ルドルフ役は今回3人いらっしゃいますが、自分がルドルフでやっていたのと逆の立場ですよね。それぞれの印象はいかがですか?

(京本)大我は前回一緒にダブルキャストでやりました。僕は大我の声が大好きで、一緒にセッションするのは楽しみだなと思います。りょんりょん(三浦涼介)とは、もう何作も一緒にやっていて、僕が考えるに、3人の中で一番ハマり役なのかな。だから、どういうルドルフになるのかすごく楽しみです。(木村)達成はすごく根が熱い男なので、こういうルドルフの熱さや熱量はすごくハマるのかなと思います。

■作品にすごく愛があるので、思いきりやりたい

――最後に、楽しみにしているみなさんへメッセージをお願いします。

新しい時代になったので、新しい『エリザベート』を作れるように頑張れたらと思います。この作品に対して、すごく愛があるので、思いきりやりたいなと思います。

古川雄大さん=撮影・岩村美佳

古川雄大さん=撮影・岩村美佳

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“「(今考えるトートは?) 言わない。恥ずかしいもん」、古川雄大インタビュー(下)” への 17 件のフィードバック

  1. すっしー より:

    古川さんの初日である6/8、昼夜観劇させていただきました。観劇中ずっと次のシーンはどうくるのか?ととてもわくわくしました。ラストは私なりに思うトートの心情にぴったり!その後この記事を再び読んでまたじっくり観たい気持ちに駆られています。次に行くのが楽しみでなりません!

  2. yu より:

    前回ルドルフ役であった古川さんがトート役であったり、トートだけでなくフランツやゾフィーがルドルフ経験者であったり、キャストの変遷もエリザベートという演目の魅力の一つだと思います。古川さんのインタビューを読むと、新しいトート像の演技プランを考えていらっしゃるようで、がぜん楽しみになりました。観劇日が待ち遠しいです。

  3. AKI より:

    いつも雄大くんの素敵な記事をありがとうございます。
    今回は満を持してのトート役!最近の雄大くんの急成長ぶり、また今回の記事を拝見し、彼が創りあげるトートが楽しみでなりません。怪我なく千秋楽まで楽しんで演じて欲しいです。応援しています!

  4. よん より:

    後半ではトート役づくり、トートナンバーの話、ルドルフの三人の話などの具体的な話が聞けてますます楽しみに。
    時折『素』になる感じの古川くん(言わない。恥ずかしいもん(笑)など(笑))はアイディアニュースさんならではかと!
    いつも素敵な記事とお写真ありがとうございます。

  5. くろ より:

    岩村さんの撮る古川くんがいつも自然で素敵だなと思います。構えてない素な感じが。こんな古川くんが舞台に立った時のどこからその熱がくるの?というギャップが際立ちます。益々トートが楽しみになりました。

  6. きなこ より:

    古川さんが、心の中で
    描いているトートのイメージが
    透けて見えるような記事を
    ありがとうございます。

    公演を観だ時に、何を感じるのか、
    益々楽しみになりました。

  7. たか より:

    前回のルドルフからのトートへ、キャスティングに面食らった感はありましたが、日々想いを重ねて役作りしている様子から期待が大きく。
    次回は地方公演もあるのかな?と今からワクワクしてます。

  8. りのん。 より:

    きっと雄大トートから目が離せない、釘付けになると上下記事を拝読して確信しました!新しいトート。雄大くんならではのトート楽しみです。

  9. あまね より:

    初日まであと2週間…はやく黄泉の国に出かけたいです。
    この記事を読んでより古川さんのトートが楽しみになりました。最後に「?」で終わるのか、何を考えさせられるのか…死と関わる役が多かった分、死そのものを演じる姿に期待しています!

  10. つむぎ より:

    古川さん自身もファンも待望のトート役、インタビューを読んでとても楽しみになりました。きっと素晴らしい物になるんだろうと期待しかありません(*^^*)古川さん、初日まであと少しですがお稽古頑張ってくださいね。これからもずっと応援しています。アイデアニュースさん、ステキな写真とインタビュー本当にありがとうございました(*´∀`)♪

  11. ひみか♪ より:

    ルドルフから、トートへ
    立場の変わった古川さんからでは秘密の世界観を楽しみにしています。

    ルドルフキャストの違いも興味深い。
    三回は観ないといけませんね。

    本公演を楽しみにお待ちしております。

  12. より:

    インタビュー、興味深く拝読しました!素敵なお写真もありがとうございます。
    色々な方のトートを間近で見てきたルドルフを経て、いよいよ古川さんがトートとして舞台に立つのだと思うとワクワクします。古川さんの死に対する考え、独特な陰のある姿は絶対にトートに映えるはずなので、今から楽しみです!

  13. えっちゃん より:

    アイデアニュースさんの記事、いつも興味深く読ませてもらっています。
    記事を読みながら、古川さんはどのようにトートを演じるのか、ますます楽しみになりました。
    お写真もどれも素敵です!
    初日まで、ワクワクしながら待ちたいと思います♪

  14. あみゅー より:

    古川くんの愛の詰まったトート、観たらどんな風に感じるんだろ?色んな想像が膨らみまくってます。その想像をどのように裏切ってくれるのか期待でいっぱいです♪

  15. りょうちゃん より:

    後半の記事も興味深く拝見させて頂きました。古川さんが演じられるトートがどのようなトートになるのか、観劇するまでとても楽しみです。今までのトートとは違う感じがしているのでワクワクしています。

  16. はむ より:

    ルドルフを経験してからのトートということで、演技により深みがでるのではないかと期待しています。新しいルドルフが加わり、どのような変化が出ていくのか楽しみたいと思います。

  17. ゆかなママ より:

    後半も楽しく読ませていただきました。
    早く古川トートを観て誰かと語りたい、そんな気持ちにさせてくれると思っています。
    初日が待ち通しいですね。

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