2019年11月20日(水)から12月1日(日)に俳優座劇場で上演される、ミュージカル『Live Airline』に主演する宇月颯さんにインタビューしました。上下に分けて掲載します。上では作品にかける思いを、下では宝塚歌劇団を退団後、1年5ヵ月経った今の思いについて伺いました。ミュージカル『Live Airline』は、歌って踊れるCA(キャビンアテンダント)達のライブパフォーマンスが楽しめるという、未来型航空旅客機を舞台に繰り広げられる作品です。
――稽古が始まってキャストのみなさんはどんな印象ですか?
いろいろなジャンルの方がいらっしゃるんです。コーラスグループの方、劇団四季で活躍されていた方々、AKBのアイドルやプロのバレエダンサーの方、テレビでも活躍されてる方など、いろいろで面白いですし勉強になります。
――この作品のオファーを受けていかがでしたか?
飛行機のお話でしたし、飛行機移動を昔からよくしていますので、割と馴染みのある世界かなと思いました。台本を読ませていただいて、自分がただ移動のために乗っていた飛行機に、こんなにもドラマがあって、中で働いてる方って、こんなにいろいろな思いをされてるんだと改めて思いましたし、CAの方々や機長さんたちは厳しい訓練を受けられて、笑顔でお客様の前に出られるというのが、自分が育ってきた環境と似ているなと感じました。人の命を守る、預かるお仕事なので、すごく厳しい訓練をされているんですよね。でも、人前では笑顔で、華やかな、憧れられるような職業だと思うので、自分の経験してきたこととの共通点があって、割とすぐ役に入れました。
――共感度が高いですか?
高いですね。常に飛行機の中が舞台になっているんですが、飛行機の中でも、仲間たちといるシーンだったり、家族といるシーンだったり、お客様の前にいるシーンだったり、いろんな顔を見せる場面があるので、人前に出ている顔と裏の顔なども見ていただけるのかなと思います。
――特に楽しみにしている共演者の方はいらっしゃいますか?
皆さん本当に多才なんですよ。例えば、牧阿佐美バレヱ団の(清瀧)千晴君は、バレエはもちろん、バレエ以外にもピアノを弾かれるんです。しかも簡単なピアノじゃなくて。西村ヒロチョさんは、やっぱりお笑い芸人さんなので、その芸を披露される場面もあります。皆さん自分の得意分野というか、「この人ならでは」のシーンが入っているんですね。私も、男役を一芸と呼んでいいのか分からないですけれど(笑)、自分の持っているものも出させてもらいますし、本当に皆さんひとりひとり、多彩な方がいるから楽しみです。ヒロチョさんの芸は、多分毎日変えられるような感じでしたし、何個も芸をやる場面もあるので、一緒に出ている側の私も、毎日「どうなるのかな」と楽しみにしています(笑)。
――「こういう人」と思ってたら、それだけじゃないんだ、って?
そうなんです。「その人だからこそ」のものも入れてくださっているのも、この作品のひとつの見どころなんじゃないかなと思います。
※アイデアニュース有料会員限定部分には、宇月颯さんが演じる吉村香澄役とご自分との比較や(宇月さんは麻生洋介役も演じます)、作品の中でどのようにミュージカルナンバーが登場するのか、宇月さんと同じ宝塚歌劇団出身で吉村慶子役と岸川亜弓役を演じる咲希あかねさんについてなど、インタビュー前半で伺ったお話の全文と写真を掲載しています。11月17日(日)掲載予定のインタビュー「下」では、宝塚退団後に出演した『ダブルフラット』と『笑う男 The Eternal Love-永遠の愛-』について、宝塚を退団してから1年5ヵ月での自身の変化や、今後について語ってくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■当て書きなのかは分からないですけど、役の説明に『趣味:筋トレ』って(笑)
■「NYに着く前にブロードウェイヒットメドレーを」みたいな“The”ミュージカル
■観客の皆様も一緒に飛行機に乗っているみたいなイメージ
■(咲希あかねさんは)男役をやる場面で主に相手役を、宝塚的な要素もたくさん
<ミュージカル『Live Airline』ライブエアライン>
【東京公演】2019年11月20日(水)~12月1日(日) 俳優座劇場(六本木)
公式サイト
https://www.wingmusical.com/
<関連リンク>
(株)ウィングメディアプロページ
https://www.wingmpro.co.jp/
宇月颯|junction
https://junction99.com/?page_id=148
宇月颯 instagram
https://www.instagram.com/hayate_uzuki/
- ハートフルコメディミュージカル『人間泥棒-元小泥棒の夢-』、大阪で12月23日開幕 2021年11月18日
- 「宝塚はあのままで。宝塚があるからこそ頑張れる」、宇月颯インタビュー(下) 2019年11月17日
- 「未来型航空機のキャビンアテンダント役」、『Live Airline』宇月颯インタビュー(上) 2019年11月16日
- 【動画】舞羽美海と宇月颯が女性ダンサーとして初参加、『ODYSSEY 2021』開幕 2021年10月8日
- 『ODYSSEY』に女性が初参加、舞羽美海・宇月颯出演『ODYSSEY 2021』10月6日開幕 2021年9月14日
- 2020年12月以前のプレゼント 2021年6月16日
※宇月颯さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは12月16日(月)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
※ここから有料会員限定部分です。
■当て書きなのかは分からないですけど、役の説明に『趣味:筋トレ』って(笑)
――ご自身の役については、いかがですか?
当て書きをしてくださっているのか、この役にたまたま私が合っていたのかは分からないですが、お話いただいたときに、この役の説明が「趣味:筋トレ」って書いてあったんですよ(笑)。趣味といえるかは分からないですが、「あ~、私もやるな」と思っていて。体のケアの一環のためにやっているんですが、最近のトレーニングを自分でも発信したりしています。
――インスタにも上げていましたよね。
本当にそういうシーンも出てくるんですよ(笑)。
――筋トレをしてるシーンですか?
仕事をしながら、ちょっとそういうのが出てしまうとか(笑)。さらに、弟ふたりもCAで、姉弟3人で同じ飛行機にCAとして乗っていて、おばあちゃんと妹がお客様として同じ便に乗っているんです。(吉村)香澄という役なんですが、香澄に考えがあって、ふたりを乗せるんです。おばあちゃんたちとの会話で、香澄の本当の姿……というか、普段の姿を喋ってくれるところもあって、多分皆さまも、普段の私をこんな風に思っているんじゃないかなというような会話もあるんです。「普段こういう人なんだろう」と、バックが見えるように演じたいなとも思います。近いからこそ難しいところもありますが、逆に、すごく分かるところもたくさんあるので、その辺は自分との共通点が多くて、面白いなと思ってます(笑)。
■「NYに着く前にブロードウェイヒットメドレーを」みたいな“The”なミュージカル
――ナンバーがいろいろあるそうですが、具体的にどんなナンバーがあるんでしょうか?
ザ・ミュージカルナンバーですね。飛行機のお話の中にそのミュージカルナンバーが、どうやって入ってくるのか不思議に思われるじゃないですか。その設定というか、繋ぎ具合がすごいんです。最新型の飛行機の設定なので、豪華客船の中でエンターテイメントをやっているのの飛行機バージョンみたいな感じです。飛行機の中で、CAたちがショーもやるんですよ。他にゴルフの練習スペースや、スカイラウンジもあって。
――すごく大きい飛行機なんですね(笑)。
大型飛行機なんです(笑)。最新型飛行機。だからある意味、夢の世界にも近いんですが、でも夢のようで、実は本当に現実化されるのではないかと思われている飛行機でもあるらしいです。ニューヨークに行く便なので、ニューヨークに着く前に、ブロードウェイミュージカルヒットメドレーを披露しましょうという感じで、もう”The”なミュージカル。皆さんが1度は聴いたことがあるようなミュージカルナンバーです。自分が出る場面はタップダンスもありますし、ミュージカルの有名な曲を歌われる方もいらっしゃいます。
加えていろいろなお客様が乗っているので、例えば、日本から離れちゃってさみしいな……と思いながら乗っているお客様もいます。香澄は、お客様と近くいたいと思っているタイプのCAで、仕事をちゃんとやって、ちゃんとお客様に寄り添いたいなと思う人。一瞬の、十何時間の出会いだけれども、そこで、その人がどういう思いで飛行機に乗っていて、どういう理由があって、この便に乗っているのか。たくさんの方が乗っているので、難しいとは思うんですが、ひとりひとり、ちゃんとケアというか、気持ちを持って接したいなと思ってる子です。そういう香澄が、ひとりホームシックっぽいお客様に出会うんですね。そういう子に向けて、1曲歌う場面もあります。さみしい気持ちはとてもよく分かるけれど、新たな場所で頑張ってね、という思いを込めて歌います。
■観客の皆様も一緒に飛行機に乗っているみたいなイメージ
飛行機のお客様とCAが歌ったり踊ったりする曲もあるんですよ。ちゃんとパフォーマンスとしてお見せする場面もありますし、この飛行機の中はお客様も参加型なので(笑)。
――お客様も参加型!?
お客様役の方に「飛び入り参加OKですよ」としているから、お客様と歌う場面もあったりします。実際の観客の皆様にそういう場面を観ていただいて、劇場じゃなくて一緒に飛行機に乗ってショーを観ているみたいに楽しんでいただければと思います。私たちもそういうつもりで演じているので。実際に乗ってるお客様役の人にも向けているけれど、観に来てくださっているお客様も飛行機に乗っている。
――観客も飛行機に乗っている乗客、ということですね。
そういうイメージです。だからこのまま、観ているまま、ニューヨークに行けたら楽しいね、とお客様もそこにいる気分になれるのではないかな、と思っています。
――ニューヨークまでの12、3時間を、それだけ楽しめたらいいですよね。映画を3本観るとかじゃなくて(笑)。
映画を観ている時間を、生で楽しめるライブなどがあったら、皆さん楽しく過ごせて、静かにしなければということもなくなるかもしれないですし、本当に面白いなと思いながらやっています。だから、場内アナウンスも飛行機のアナウンスのようにしたりするんです。その辺も面白いなと思ってます。
――役の本人、香澄ちゃんとしては、CAとしても働いて、ステージキャストとしても働くんですよね?
そう! だから、特別な訓練を受けてるんです(笑)。そこにひとり、新人が入ってくる場面があるんですが、そこでも「本当に厳しい難関訓練とオーディションを突破して……」みたいな台詞があるので、多分、普通に航空学校の勉強をしてCAになる、だけではなく、きっとダンスとか歌も上手くないと、ここの飛行機には選ばれないんだな、というイメージでやっています(笑)。
――ふたつの仕事の勉強をしないとできない?
そうです。だから多彩な皆さんが芸を出すことで、こういう人たちが、こういう飛行機で働いてるんだという、想像も膨らむのかなと思います。そういう想像を膨らませながら観ていただけたら、面白いのではないかと思っています。
■(咲希あかねさんは)男役をやる場面で主に相手役を、宝塚的な要素もたくさん
――咲希あかねさんとご一緒なのも、長らく宝塚をご覧になってる方は皆さん気になるところだと思います。
彼女とは元々同じ月組で縁があって、よく一緒に踊らせてもらったり、お芝居の相手役だったりしたんですよ。なので、今回キャストを伺った時にも、「わあ、ちゅー(咲希さんの愛称)なの?」と思って。男役をやる場面で、主に相手役をやってくれるんです。
――咲希さんもCAですか?
そうです。どうやって私が男役で出てくるんだろうって思いますよね。実は香澄ちゃんのおじいちゃんがいるんですね。その回想シーンで自分のおじいちゃん役をやるんです。だから役名で、男役の名前も発表されているんです。後から出てくるおじいちゃんの若い頃。なので、ちゅーも、山崎さん(吉村慶子役の山崎佳美さん)がなさる、おばあちゃんの若い頃。その回想シーンを、ふたりでやります。
――ポスターなんだか自然に似ていらっしゃる(笑)。
(笑)。そうなんです、なるべく近く近く見えるように、頑張っているところです。自分のおじいちゃん役をやるので、話としてもすごく繋がっているなと思います。最終的には、おじいちゃんと一緒に出る場面もあるので。その時に、例えば、私の男役を知らない方でも、「だからあの人がおじいちゃん役やってたんだ」と思ってもらえたらいいなと。孫だから、面影とか、関係があるじゃないですか。だからそういう面でも、後々面白くなるんじゃないかと思いながらやっています。そこでちゅーは相手役をしているので、すごく懐かしいというか。そこの場面は宝塚的な要素がたくさん入っていて、曲もバラードというか、宝塚のお芝居の主題歌でもありそうな感じの曲です。踊りも一緒にデュエットで踊るので懐かしいです。私とちゅーの宝塚時代を知ってくださってる方は、懐かしく観ていただけるんじゃないかなと思います。だからと言って、すごく宝塚寄りなわけでもないと思うので、全く知らない方でも、「素敵だな」と思って観ていただけたら嬉しいです。
――咲希さんとは、どんなお話をされていますか?
普通の他愛もない話をしてます(笑)。毎回宝塚のOGさんと会うと、すごく思うんですが、離れてる時間がなかったかのように話せるんですよね。
――久し振り感がない?
まったくないんですよ。それまでの時間が、よっぽど濃かったのかなと思うんですけど。でも男役をやるとやっぱり、ちょっと次元というかスイッチが違うんで、今からまたそれを戻すのに、若干苦労はしています。「ずっと男役をやっていたのに」と言われるんですけど、ちょっとまた違うんですよ。自分がやってた場所というか、感覚が。
――脳の中のチャンネルが違う?
そうですね。チャンネルを今一生懸命探しています。探しながら戻すというよりは、また、今やるからこその男性、宝塚の男役をやるというよりは、単純に、個人・宇月颯という人が演じた役が、男性だったという感覚でできたらいいなと思っています。宝塚っぽくではなく、普通に、その人物として演じられたらいいなっていう思いがあるので。その辺、まだ私はぎくしゃくしてるんですけど、ちゅーはもう普通にやってるから「あ、大丈夫かな」と安心できます。でも、ご飯とか食べに行って、「あの頃、ああだったよね」とかも話すんですけど、昔話というよりは、最近のお互いを別に知らないのに、知ってるかのように話せるところも面白いです。
――昨日の続き、みたいな?
そうそう、そうなんです!「今、○○やってるんだよ」、「へぇ~、すごいね」みたいな。普通ですね。学年も近かったし、実際の歳も近いので、今はお友達感覚というか。でも男役のほうが男役を演じるという意味で、すごく特別なものをやっているように思われるんですが、娘役も、私が今、女役をやっていて思うのは、「娘役芸」みたいなのがあるんですよね。普通の女性じゃないんですよ。それが改めて宝塚の娘役さんを尊敬してる部分。今は、普通の女性の踊り方や仕草を、「これちょっとおかしくない?」と見てもらったりして(笑)。あと結構彼女は気も効くので、周りのこともすごく察して見てくれています。そういう普段の面を見ているのも懐かしいなと。宝塚の稽古場でも彼女こんな感じだったなって。
――懐かしさと新しさがミックスされたみたいな?
そんな感じです。
※宇月颯さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは12月16日(月)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。