「宝塚はあのままで。宝塚があるからこそ頑張れる」、宇月颯インタビュー(下)

宇月颯さん=撮影・岩村美佳

2019年11月20日(水)から12月1日(日)に俳優座劇場で上演される、ミュージカル『Live Airline』に主演する宇月颯さんのインタビュー後半です。下では宝塚歌劇団を退団後、1年5ヵ月経った今の思いについて伺いました。ミュージカル『Live Airline』は、歌って踊れるCA(キャビンアテンダント)達のライブパフォーマンスが楽しめるという、未来型航空旅客機を舞台に繰り広げられる作品です。

宇月颯さん=撮影・岩村美佳

宇月颯さん=撮影・岩村美佳

――ご自身のお話も伺いたいのですが、退団から1年5か月ですね。いかがですか、あっという間でしたか?

長いという感覚はないんですが、でも自分的にはすごく昔に退めた感覚です。「まだ1年ちょっとしか経ってないんだ」という感じなんですよ。「最近までやってたんだね」と言われるんですが、「あ、そういえばそうか」っていう感じですね。

――「まだ、1年5か月前か」という感覚ということですね?

そうなんです。いろんなOGの方と会って「でもまだ1年ちょっとでしょ?」「あ、そっか」って(笑)。だから、リアルな時間的には結構早いなと思うんですが。早く感じるからこそ、すごく昔に感じるんでしょうね。

――1年5か月経って、とても昔のことのようですけど、宝塚はどういう場所として残っていますか?

1年ちょっと前までは、あの世界が当たり前でしたが、でも客観的に見たら、やっぱりすごいところで勉強できていたんだなと、本当に改めて宝塚歌劇団のすごさや、素晴らしさを感じることができますし、あそこでしかできない経験とか勉強って、たくさんあったなと思っています。宝塚にいる時はそれが普通だったんですよ、自分の感覚的には。

――それが日常ですものね。

皆さんが「すごいね」「受験がすごく大変なんでしょ」と言ってくださったりしても、それがまったく分からなかったんです。実感を持っていたようで持っていなかったんだと思うんです。だから今、「すごい世界に入れていただけてたんだな」と、宝塚歌劇団という世界に感謝の気持ちがすごく大きくなりました。元々感謝していて、こんなにいい世界で勉強させてもらって、本当にありがたいと思えたからこそ、卒業したんです。でも改めて、それが増した思いがあります。

今、現役で頑張っている子を見ていると、自分はもう戻りたくないと言ったら、言葉が悪いんですけど、もう戻れないな、とも思えます。現役の子たち見ても、すごく尊敬します。一緒にやっていたはずなのに、自分がいたはずなのに、改めて本当にすごいと思いますし、頑張れとも思います。そこでいただいたご縁だったり、もちろんファンの方もそうなんですが、そういう方々も今でもご縁が続いていることも、宝塚でいただいたものなので本当にありがたいなと。改めてすごく愛のある世界だなと思えます。退団する人をお見送りする側になったので、そういうのを見た時に、「ああ、こんなにたくさん愛情をいただいて、やらせていただいたから、今、自分がこうやっていられるのかな」という思いもあります。愛に溢れた、本当に夢の世界だったんだなと。夢から出てしまった人間は、「夢の世界だわ」って思っちゃう(笑)。夢から覚めちゃった、みたいな(笑)。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、宝塚退団後に出演した『ダブルフラット』と『笑う男 The Eternal Love-永遠の愛-』について、宝塚を退団してから1年5ヵ月での自身の変化や、今後について語ってくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■『ダブルフラット』と『笑う男』。大きさに関係なく、舞台に立った感覚が好き

■自分は無理だと思ったことにも挑戦したらいい、という感覚になってきました

■リアルな現代の女性。もしこれが、卒業してすぐだったら、多分できなかった

■『Live Airline』。命を懸けて仕事をしているCAの世界を楽しんでいただけたら

<ミュージカル『Live Airline』ライブエアライン>
【東京公演】2019年11月20日(水)~12月1日(日) 俳優座劇場(六本木)
公式サイト
https://www.wingmusical.com/

<関連リンク>
(株)ウィングメディアプロページ
https://www.wingmpro.co.jp/
宇月颯|junction
https://junction99.com/?page_id=148
宇月颯 instagram
https://www.instagram.com/hayate_uzuki/

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宇月颯さん=撮影・岩村美佳

宇月颯さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■『ダブルフラット』と『笑う男』。大きさに関係なく、舞台に立った感覚が好き

――宝塚に観に行くと、夢の世界だなとなんだかほっとします。

自分的にも原点にも戻れますし、ほっとしますよね。やっぱりこの世界があってくれるからこそ。宝塚はあのままであって欲しいなと思いますし、宝塚だからこそ、あのスタイルが成立していると思う部分もありますので、あの世界はずっと残っていて欲しいと願っています。卒業した方は、皆さんそう思っていらっしゃると思うんです。宝塚があるからこそ頑張れる、みたいなところがありますから。

――宝塚を退団後は『ダブルフラット』と『笑う男 The Eternal Love-永遠の愛-』に出演され、今度の『Live Airline』ですよね。

まだ3作目なんですよね。

――外の舞台はいかがでしたか? レッドシアターの『ダブルフラット』と、日生劇場などの『笑う男 The Eternal Love-永遠の愛-』という舞台でしたね。

そうですね、大劇場と小劇場、1回ずつ経験させていただきました。最初にレッドシアターに出させてもらった時も、規模は関係なく、舞台に立つことが気持ちよくて、すごく好きなんだなと思いました。お客様が舞台を観てくださって、喜んでくださったり、何かしらを感じてくださっている、そういう空間、感覚が好きなんだなと感じられたんです。舞台に立った時に、2000人の劇場と空間は違いますが、立った感覚というのは、そんなに変わらなかったんです。もちろん、表現の飛ばし方や空間の使い方は変わったんですが。でも、演じ方は変わったとは言え、そんなに劇場などは関係ないんだなと感じました。『笑う男』では劇場が大きく、キャストの人数も多くて。それこそ舞台の大先輩方はじめ、ミュージカルスターの浦井(健治)さん、もちろん宝塚の先輩もいらっしゃって、安心していました。すごく勉強になりましたし、大きい劇場で、ある程度の人数で作る感覚も、懐かしいなと思いました。あまり大きさみたいのは気にならなかったですが、役の幅がすごく広がるな、とは思ったんです。

――男役じゃなくなったらということですよね?

男役の時は型を作りまくって、層をどんどん厚くして、何個も何個も演じて、作っていっていたのですが、今はそれをどんどん取って、広がっていく感じが自分の感覚としてあるんです。『笑う男』は、ミュージカルの内容としても、ファンタジー系だったので、感覚的にちょっと宝塚の世界に似てるなと思う部分もありましたね。衣装もコスチュームもので、宝塚にも合うんじゃないかなと。

――そうでしたね。

ミュージカルの歌も多く、「あ、女性だ。どうしよう。踊り方とか、結構気にしなきゃ」と思い、やっぱりそういう葛藤は、その時はあったんですよね。宝塚との違いみたいな部分は、結構カルチャーショック的なものはありました。舞台という感覚は変わらなかったですが……。

――方法論が違う、みたいなことですか?

ひとつの作品を作るという意味で、皆さんが同じ方向を向いて作る点では、変わらなかったんですが、自分の、本当に個人的な、カルチャーショックはありました。

宇月颯さん=撮影・岩村美佳

宇月颯さん=撮影・岩村美佳

■自分は無理だと思ったことにも挑戦したらいい、という感覚になってきました

――新しい世界に出会った?

だからこそ、より「宝塚がこうだったな」というのも分かりますし、「今はこういう感じがいいのかな」という、これからの道も何となく見えてきました。そういう1年で、やりたいことや、視野も全然変わってきたなと思います。宝塚を退めた時は、やっぱり、宝塚の世界しか分からなかったというのもありますし、舞台の世界もそんなに分かってはいなかったので。1年経って、いろんなものが見えてきて、視野が広がってきたら、いろいろ感覚などが変わってきたのかな、と思いました。上手く言葉で説明できませんが……。

――広がった視野で、見えたものはありますか?

「こういうのもやってみてもいい」「1回挑戦してみたい」「こういうのはいやだったはずなのに、やってみたいと思ってる自分がいる」とか。

――例えば伺ってもいいことありますか?

私はミュージカルが好きなので、やはり「ミュージカルに出たい」という思いがあったので、『笑う男 』はすごく嬉しかったんです。でも、ミュージカルだけじゃなくて、普通のお芝居などにも興味が湧いてきました。元々、勉強のためにできたらいいなと思っていたんですが、逆に、「そういうのもやってみたいな」という思いも出てきて。感覚って変わるなぁと。こだわらなくていいのかな、とすごく思っています。

――ミュージカルでなければと思わなくなったんですね。

もちろん、一定のこだわりは持っているんですが、いらないこだわりはいらないのかな、と。それが自分を固めてしまっている部分がありますから。「大きいミュージカルに出たい!」と思っていましたが、それだけじゃないのかな、とか。

――例えば、小劇場の濃密なお芝居に出たら、また違うものが見えるかもしれませんね。

そういうお芝居を観に行ったら「やりたいな」とか「いいな」と、結局思ってる自分がいるんですよ(笑)。だから、お話があれば、オーディションもそうですが、機会があれば、そういうものもどんどん挑戦したいです。

――退団された方々の活躍も幅広くなってきましたよね。

それはすごく思います。私はやっぱり舞台が好きで、舞台がよかったので、こういう道を選びましたけど、「そういう道もあるんだ!」と気付かされたり、自分はできない分、「楽しみにしてるから、頑張ってください。応援します!」と。カイ(七海ひろき)さんなんかも、すごく面白い活動をされてますし。

宇月颯さん=撮影・岩村美佳

宇月颯さん=撮影・岩村美佳

■リアルな現代の女性。もしこれが、卒業してすぐだったら、多分できなかった

――可能性は無限ってことですよね。

そうですね。本当に、そう思うと、出会えないような個性の方々と一緒に、宝塚でやってきていたのかなと思います。外に出てもそうですけど、普通に生きてたら出会えないような、すごく多才な方々と出会えていますから、1年ですごい刺激になっています。

――じゃあ、さらに1年後には、どうなっているか分からないですね(笑)。

多分、私また何か変わっていると思います。また変なこと言い出してるかも(笑)。

――今度はこれもやってみようとか。

自分でも分からなくて未知なんです。自分探しみたいな部分もやりつつ、「何でそう思ってるんだろう、自分」と、結構不思議なので、とりあえず今を頑張ろうと思って生きています(笑)。

――これからどんな出会いがあって、どんな思いになり、どう変化するかが楽しみですよね。

そうなんです。いろいろな舞台とか人に出会いながら、自分がどうなっていくのかなという人生勉強を、舞台を通してやらせてもらっている感じもします。今回も割とリアルな女性像。歳はちょっと自分の歳より若い年代の人を演じてはいますが、リアルな現代の女性です。今、それを演じられることも面白いんですよ。もしこれが卒業してすぐだったら、多分できなかったと思うんですよね。1年ですが、自分なりに感じたり、変わっていく部分もあって、今リアルな現代社会に生きている女性を演じられるのも、すごく面白くて。歌って踊ってという、ミュージカル的な面をアピールしてきましたが、役柄的には、自分と近い女性像だったりするので、そこも演じられる面白さを楽しみに、稽古を頑張ろうと思っています。

宇月颯さん=撮影・岩村美佳

宇月颯さん=撮影・岩村美佳

■『Live Airline』。命を懸けて仕事をしているCAの世界を楽しんでいただけたら

――最後に、お客様に向けて、メッセージをお願いします。

私を応援してくださっている方は、踊ったり歌ったりを観たいとおっしゃってくださる方が、とても多くて、ありがたいなと思っていますし、今回、本当にいい機会をいただけたと思っています。でも、まだまだ外の世界には、私を見たことない方もたくさんいらっしゃるので、宝塚ファンの方はもちろんですが、いろいろな方に観ていただいて、個人的にも知っていただきたいなと思いますし、作品も楽しんでいただきたいです。

『Live Airline』は、飛行機の中のドラマや愛、家族愛、恋人との愛などの“思い”を乗せて運んでいる飛行機です。人だけを運んでいるのではなくて、人の思いも乗せて運んでいるので、共感できる部分がたくさんあると思います。「その経験、私もしたことあるな」という方が、割と多いんじゃないかと思うエピソードも、たくさん盛り込まれているので。ちょっと話が逸れますが、CAさんって保安要員なんですね。サービス業ではなくて、何かあったら自分が命を懸けて、お客様を脱出させたりします。命を懸けてこういう仕事をしている人たちに、共感してくださる方も多いと思います。このCAたちと、乗っている乗客たちの思いを、皆さまにも感じていただきながら、エンターテイメントとして楽しんでいただけたら嬉しいです!

宇月颯さん=撮影・岩村美佳

宇月颯さん=撮影・岩村美佳

※宇月颯さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは12月16日(月)です。(このプレゼントの募集は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

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