帝国劇場で、その後、大阪、名古屋、福岡で上演される、ミュージカル『エリザベート』にルイジ・ルキーニ役で出演する黒羽麻璃央さんにインタビューしました（尾上松也さん、上山竜治さんとトリプルキャスト）。（上）（下）に分けて掲載します。1月末の稽古が始まる前のインタビューでしたが、出演が決まった思いや、作品をどんな風に感じているか、どんな準備をしているかなどについて伺いました。

※編集部注：新型コロナウイルス感染症拡大にかかわる政府及び東京都の方針等を踏まえ、政府より「緊急事態宣言」が発出されたことを受け、お客様の安全を第一と考え、帝国劇場公演から全国ツアーまで全公演中止されることが、4月8日に発表されました。中止によるご入場券の払戻しにつきましては公式サイトをご確認ください。
https://www.tohostage.com/cancel2020_7.html

－－稽古はこれからですが、今はどんな気持ちですか？

出演が決まってから、ずっと「出るんだな」という実感は日に日に増しています。僕の初日が4月11日なんですが、その日までのカウントダウンが、今年に入ったあたりからはじまっていて、夢にも見るようになりました。

－－どんな夢ですか？

稽古場です。苦しいとかではないのですが、稽古している姿を夢に見るようになって。

－－他の作品でも夢に出て来たりするんですか？

そんなにはないですね。作品の夢を見ることは多々ありますが、稽古にも参加していない状態で夢にまで出てくるというのは、あまりなかったです。稽古をしている最中は、稽古の夢を見ることはありますが、稽古する前から見ることはなく、しかも結構頻繁にほぼ毎日見ていているんです（笑）。

－－毎日！ もはや深層心理に『エリザベート』 がある感じですね。

そうですね。なので、刻一刻と始まるのが楽しみですね。

－－昨年『エリザベート 』をご覧になっているそうですが、作品に興味があったんですか？

はい、純粋に観てみたかったんです。（古川）雄大さん、りょんくん（三浦涼介）とは、ロミジュリ（『ロミオ＆ジュリエット』）で初めてご一緒しました。一緒に作品作りをさせていただいて、すごいなと思う先輩方だったので、純粋に観たいなと思いました。ロミジュリを機にミュージカルがすごく好きになって、観てみたいなと思い、実際に観に行ってファンになりました。帝国劇場の中に入った瞬間に、異様な、独特な世界で、本当に死の匂いがするという『エリザベート』の世界観がすごいなと思いました。これまでも作品のタイトルは知っていましたが、恥ずかしながら昨年初めて観たのですが、何が始まるんだろうと思いました。劇場では2回観たので、2回目に行ったときはある程度内容は知っていましたが、その高揚感の高まりがありましたね。

－－ご覧になって、 印象に強く残るものは何でしたか？

まずは歌ですね。トートが美しいというのもあります。技術的に井上芳雄さんや雄大さんの歌唱はもちろん、いろいろなものに引っ張られながら、すごく分厚いエリザベートの生涯を見ていますよね。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、過去の『エリザベート』作品を観て感じたこと、成河さんと山崎育三郎さんのルキーニについて、キャスティングを受けての思い、役のために体重を増やして髭を生やしていっている状況などについて話してくださったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。3月13日（金）掲載予定のインタビュー「下」では、2019年に続いて2020年も『エリザベート』にルドルフ役で出演する三浦涼介さんから『エリザベート』出演についてかけられた言葉なども紹介してくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

＜有料会員限定部分の小見出し＞

■（『エリザベート』を観て）物語の頭と最後では本当に同じ人かなと

■（ルキーニは）お芝居だけの部分だけではなく、語り手としての技量も必要

■キャスティングをしていただいたからには裏切りたくない

■タフにもしたいし、存在感を出したい、男臭さみたいなものがあった方が

＜ミュージカル『エリザベート』＞
【東京公演】2020年4月9日(木)～5月4日(月・祝)　帝国劇場
【大阪公演】2020年5月11日(月)～6月2日(火)　梅田芸術劇場メインホール
【名古屋公演】2020年6月10日（水）～6月28日(日)　御園座
【福岡公演】2020年7月6日(月)～8月3日(月)　博多座
※全公演中止となりました
公式サイト
https://www.tohostage.com/elisabeth/

＜関連リンク＞
黒羽麻璃央official site
https://kuroba-mario.com
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■（『エリザベート』を観て）物語の頭と最後では本当に同じ人かなと

エリザベートは、子どもの頃は、あんなに天真爛漫だったのに、皇帝と結婚して鳥籠のような環境に身を置くことになる。自分はもっと自由に生きていきたいのに、ゾフィーからの皇后としての教育や、いろいろなしがらみがあって、変わっていく姿が、やはり惹きつけられるところだったのかなと思います。僕は花總まりさんの回しか拝見していないですが、物語の頭と最後では本当に同じ人かなと思うくらいでした。年齢を重ねていくお芝居は、歌い方ひとつとっても全然違いますし、最後の方は歳をとったお芝居なので、「あれ？ （役者が）入れ替わった？」と思うくらい。そこで純粋にすごいなと思いましたね。

■（ルキーニは）お芝居だけの部分だけではなく、語り手としての技量も必要

－－そのときは、ルキーニをどういう風にご覧になっていましたか？

（山崎）育三郎さんと成河さんのお二人の特徴が出ていて、楽しいなと思いました。やはり演じる人によって違うんだろうなというルキーニの印象でした。最初の登場の仕方が、「何が始まったの？」という感じで、天の声みたいな裁判官との掛け合いみたいなものもあって、そこから回想が始まるじゃないですか。ストーリーテラー的な要素もありますし、シーンごとの最初に、説明まではしていないですが、観ている皆さんを惹きつける役割がありますよね。やはり表現者として、お芝居だけの部分ではなく、語り手としての技量も必要だと思うので、難しいことをしているなと思いました。

－－ルキーニは、ほとんど出ずっぱりですよね。

そうですね。ありがたいことですね。自分をスッと落とし込めることができれば、楽しいと思います。

■キャスティングをしていただいたからには裏切りたくない

－－ルキーニだけを追って観てもすごく面白いんですよね。エリザベートが真ん中で何をしていようが、ルキーニはずっと出ていて、いろいろなことをしているじゃないですか。

隙あらばというか（笑）。だから、逆に常に舞台にいなくてはいけないので、居てもおかしくない成立の仕方というか、語り手としても、その居方が難しいと思います。

－－それは、「おもしろいだろうな」と感じているのか、「大変だろうな」と感じているのかいかがですか？

半々ですね。「大変だ」と思うほうがやりがいがあると思いますし、それが「おもしろい」に繋がると思います。何としてでも爪痕を残したいと思っているので、キャスティングをしていただいたからには、そこは裏切りたくない。できるだろうと信じてもらって、この話をいただけているので、そこは臆せずにやれたらいいなと思います。あとは、一応、最年少でもあるので、甘えられる分は、甘えようかなと思っています。

－－どんなところは甘えようと？

先輩に教わることは別に恥ずかしいことでもないですし、いいなと思うことはどんどん。それこそDVDなど、いろいろなものを観て、「この人のこういうところが素晴らしいな」と思うところを、究極は『エリザベート 』以外の作品からでも引っ張ってきて、成立できればと思うので、甘えられる部分は甘えて、自分にうまく落とし込んで、結果を見せたいと思います。いろいろな自分の可能性にも挑戦したいと思います。

■タフにもしたいし、存在感を出したい、男臭さみたいなものがあった方が

－－役を作っていくのに、もちろん稽古場が前提だと思いますが、何かご自分で準備することは、普段から、もしくはこの役に関してはありますか？

体作りから始めていたので、昨年から12Kgほど体重が増えました。

－－筋肉を増やしているということですよね。

筋肉や脂肪もそうですが、体自体を大きく。

－－タフにしたいということですか？

タフにもしたいし、存在感を出したいです。ルキーニ自体がガリガリというよりも、少し大きくあった方が舞台映えもするだろうし、男臭さみたいなものがあった方がいいかなと思っています。あとは大阪、愛知、福岡まで続くロングランですから、純粋にすごく大変なので、消えてなくなってしまわないように（笑）。歌を歌うにしても大きい方がいいかなと思い、少し大きくして、髭を生やしつつ。あとは、今までのいろいろなものを観るというのは、役作りで助かっていますね。

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