3年ぶりのニューアルバム「Chante ~シャンテ~」をリリースし、11月26日にはビルボードライブ大阪でライブ「Self Produce Live THE PRAYER X」を開く歌手、姿月あさとさん。宝塚歌劇団の宙組トップスターとして一時代を築き、2000年に宝塚を退団してから15年となる姿月さんへの単独インタビュー「下」では、姿月さんを代表する曲になりつつある「夜明け」や「THE PRAYER ~ 祈り ~」について、また普段の生活や舞台に立つ時の心がけについてうかがいました。(聞き手:アイデアニュース編集長・橋本正人)
いいこともあるし、辛いこともある…人間味が出たらいいな
--僕にとって姿月さんは、宝塚男役のように鎧を着ててカッコイイ、雲の上にいるような人というイメージがあるんですけど、今回の「Chante ~シャンテ~」は、1人の人間、1人の女性として「降りてきた」という感じがします。
1人の女性として存在し「語ってる、話してる、生きてる」という、今の自分の生きざまっていうんですか? それこそ本当にいいこともあるし、辛いこともあるし……そんな自分の人間味が出たらいいなと思います。
そのときに引っかかるポイントは、きっと違う
堀内優美(筆者):(ニューアルバムを)聴いていて、同じ女性として共感する部分がたくさんありました。
なんか(自分でも)ずっと家でかけていてもスーッと聴ける感じで。でも歌詞にビビっとくるポイントが、その日のみなさんご自身の毎日の生活もいろいろあるから、そのときに引っかかるポイントっていうのはきっと違うと思うんですよね。どの曲に引っかかるか、どの歌詞に引っかかるかっていうのは、自分のそのときの体調なり、精神的なものに影響しますよね。ちなみに、何に引っかかりましたか?
堀内:「夜明け」ですね。辛い中でも夜が明けていく、こういう気持ちってきっとあるなって思いました。
この曲は、私がどん底で落ち込んでいてすごく辛かったときに、秋元さんが書いてくださったんです。あの歌詞は私そのものです。
この曲で助けられたりする人が増えたらいいなって
堀内:2011年のバースデーライブに行かせていただいたときに、「夜明け」は確かエンディングで歌われて、その時は姿月さんご自身が「まさに自分の今の心境だ」とおっしゃられましたが、4年経ってみていまはどんな気持ちで歌われていますか?
ずっと歌い続けてて、この曲を聴いて、涙を流したとか泣けてきたとかいう人が、たくさんいらっしゃいます。今回ビルボードさんでさせていただくような自分のライブだと、姿月あさとを観る、聴くという形で来てくださいますけど、先日の「(宝塚)OG公演」のように大勢の方と一緒に出演する場合は、私のことを知らない方もいらっしゃる。だからこそ、そういういろんなところで歌って、この曲を知っていただいて、例えばこの曲で救われたり、助けられたりする人が大勢増えたらいいなって思います。この歌って、男女問わず、年齢問わず、いろんなことを感じられる歌なんじゃないかなと思っています。
--シャンソンって、男の人の歌だったり、女の人の歌だったりするわけじゃないですか。元歌が男の人の歌だったりするものを日本にきて岩谷さんが女性の歌にしたり、結構変わってる部分もあるんではないでしょうか?
例えば英語でいうと「me」とか「I」は性別関係ありませんが、岩谷さんの訳詞が「あたし」となっている。それが「僕」とか「俺」だったら男になるわけであり、たまたま全部「私」という言い方になっている。英語だったら両方に当てはまるところを、あえて岩谷さんは女歌になさったんでしょうね。
--「夢の中に君がいる」には「両手を腰にかけて」という歌詞がありますが、あれはダンスっていうことなんですよね? 私が思うのは、ある程度年を重ねた女性が、どちらかといったら若い男性に、「あなたはこれからまだいろいろな恋をするかもしれないけど、私はもう恋はしないからあなたが最後の恋人、でも私は死んじゃうかもしれない…」、そんな歌なのかなと思いました。
いろんな解釈ができますよね。3分~4分の曲の中に、お芝居的なすごいストーリーが凝縮されてるのもシャンソンの良さだと思います。一つ一つが物語になっている。「約束の花束」も、別れて何年も経っている人がバラの花を送ってきて、もう自分は忘れているのにあなたのことを思いだすじゃない、別れたのにそんな優しくしないで、っていう……ね。
いろんなことを回想して自分なりの聴き方ができます
--僕も50を超えたんですが、この「約束の花束」も40のときに聞くのと、いま聞くのとは違うって思いますね。
絶対違うと思います! きっとみんな人それぞれ「あのときあの人と付き合ってたのにな」とか、いろいろ(笑)。「『時の過ぎゆくままに』を中学校のとき聴いてて、なんか思い出した」って言ってた方もいらしたけど、そのとき好きな人がいたんでしょうね。音楽って、いろんなことを回想して、自分なりの聴き方ができます。
--宝塚を2000年に30歳で卒業して15年たって45歳、そしてライブ「THE PRAYER」は10回目と、数字が揃っていますね。そういえば、僕はライブ名にもなっている「THE PRAYER ~祈り~」という曲が、大好きなんです。
私はアンドレア・ボチェッリが好きで、彼が歌ってる曲のカバーなんです。
--あれは僕の中では「エクスカリバー」なんです。僕は「騎士もの」が好きなんですが、宗教的な祈りをこめて光を見いだして荒野の中を歩んでいこうとしている。それを目がみえないボチェッリさんが歌っているというところもあって、すごく「エクスカリバー」だなって思うんです。姿月さんの大事な部分でもあるように感じます。
ありがとうございます。
———————–
<プレゼント>
姿月あさとさんのサイン色紙を抽選で3名の方にプレゼントします。どなたでもご応募いただけます。応募締め切りは11月13日です。当選者の発表は、発送をもってかえさせていただきます。(このプレゼントの募集は終了しました)ご応募くださったみなさま、ありがとうございました。
———————–
<ニューアルバム>
「姿月あさと Chante ~シャンテ~」(Victor Entertainment Web Site で一部試聴可能)
→ http://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A025250/VICL-64432.html
<公演案内>
「姿月あさと Self Produce Live THE PRAYER X」
【大阪公演】2015年11月26日(木) ビルボードライブ大阪
→ http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=9651&shop=2
【名古屋公演】2015年11月27日(金) 名古屋ブルーノート
【東京公演】2015年11月29日(日)、30(月) コットンクラブ(東京・丸の内)
→ http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/asato-shizuki/
———————–
<姿月あさと オフィシャルWEBサイト>
→ http://www.shizukiasato.net/
<アイデアニュース関連記事>
3年ぶりにニューアルバムリリース、姿月あさとインタビュー(上)
→ https://ideanews.jp/backup/archives/10436
「いいことも辛いことも、人間味が出たらいいな」、姿月あさとインタビュー(下)
→ https://ideanews.jp/backup/archives/10438
姿月あさと「THE PRAYER X」、ズ~ンと震えたライブの醍醐味
→ https://ideanews.jp/backup/archives/14194
———————
アイデアニュースは、読者に本当に役に立つ情報を提供するため、企業広告を一切掲載せず、記事のようでじつは企業からお金をもらっている「タイアップ記事」も掲載せず、有料会員のみなさんの支援のみで運営しています。ほとんどの記事には有料会員向け部分があり、「全文閲覧権」(月額300円、初月無料)を購入すると、過去の記事を含めて、すべてのコンテンツの全文が読めるようになります。良質な取材活動を続けるため、どうかご協力をお願いいたします。全文閲覧権購入の検討は、こちら → https://ideanews.jp/backup/archives/2387
<ここからアイデアニュース有料会員向け部分>
中島みゆきさんの「糸」、はじめて歌う予定です
辛いけれど、毎日いろんな努力や我慢をしないと
生きている証であるようなアルバム、ライブにしたい
中島みゆきさんの「糸」、はじめて歌う予定です
堀内:今度のライブの見どころを聞かせてください。
今まで歌ってみて、自分がもう一回歌ってみたいなと思う歌と、アルバムの中から何曲か。はじめて歌う歌では中島みゆきさんの「糸」などを予定しています。「THE PRAYER」では、いま自分で歌いたいなっていう曲を選んで歌っているのですが、いま歌いたいなって思っているのが「糸」なんです。
堀内:「糸」を歌いたいと思われた心境は?
わかりません、なんとなく(笑)。以前から歌いたいレパートリーに入っていました。いつも思うんだけど、自分が聴いてて「いいな」と思う曲と、歌ってみて「いいな」って思う曲は、なんか違うんですよ。歌ってみないとわかんない……。
--「THE PRAYER」は、自分でセルフプロデュースをされているということですが、大変ですよね?
1年に1回、この時期がきたな、と。ビルボードさんに行けるっていうのは、自分にとって楽しい時間です。
堀内:姿月さんのライブの衣装は、いつも色とりどりで華やかですよね。
全て自分で考えています。
堀内:姿月さんが何年か前、「衣装に自分の体型を合わせていく」とおっしゃっていたと、うかがったことがあります。
例えばドレスとかでも、身長高いんですけど、10センチ以上のヒールを履くときもありますし、やっぱりトータルバランスで、遠くから見たときに綺麗に見える方がいいじゃないですか。より綺麗に見える方がいいなと思って努力はしますね。
辛いけれど、毎日いろんな努力や我慢をしないと
--サイズが合わなかったら、もう少し小さいサイズのものを選ぶのではなくて、衣装に合わせてヒールの高さを合わせるんですか?着たいと思ったものに、自分を合わせていく感じ?
自分がこれ着たいって思うものは、自分で選ぶようにしてますね。靴もそうだし、自分の体型もそうですね。
堀内:かっこいいですね。
いえ、辛いですよ(笑)。毎日いろんな努力や我慢をしないと、1年中我慢ですね。年を重ねていくと、努力しない限り地球の引力に引っ張られますので(笑)、引き上げていかないと。
--鍛えたりは、してないんですか?
エクササイズやウォーミングアップは、毎日舞台に立っているのでしています。あれだけ歌ったり踊ったりしていると、それだけでけっこう疲れるので、マシーン使ってるのと同じだと思いますね。仕事自体が鍛えているようなものなので。本番の時は1回ですが、稽古の時は、同じことを1日に何回も何回もしてますからね。
生きている証であるようなアルバム、ライブにしたい
--ちなみに、舞台では、歌う前ってどんなことを考えているのですか?
緊張はしないけど、集中はする。緊張したら身体が固まって声が出なくなっちゃうから。
--集中するというのは、歌うことに対して?
歌うことというよりも、舞台に出ると架空の人物になるわけですので…。緊張については、スポーツ選手でもそうですが、投げるのも、走るのも、跳ぶのも、力が入ると本来の力が出なくなる。力を抜かないと、力任せでは声は出ない。白鳥みたいな感じで、表面は楽にしているようですが、お腹の中に力を入れたり、締めたり、白鳥の足のようなことを私の身体の中でいろんなテクニックを駆使して、いろんなことをしていますね。踊るのは汗をかいてかなりしんどそうに見えるけど、実は歌を歌うのも、かなりしんどいですよ(笑)。
--最後にファンの方へ、10回、15年、45歳の節目として、ご両親も含めればいろんな方にお世話になっているかと思うんですけど、一言お願いいたします。
今の私が生きている証であるようなアルバム、ライブにしたいと思っているので、ホントいなくなってからでは何も言えないので、今を聴いて、今会いに来てください。
橋本:ありがとうございました。
———————–
<アイデアニュース、姿月あさとさん関連記事>
- 「エリザベート TAKARAZUKA20周年 スペシャル・ガラ・コンサート」制作発表会見 2016年11月6日
- 「シカゴは男役ではなく男、苦しかったけれど楽しかった」 姿月あさとインタビュー(下) 2016年10月9日
- 「大阪の歌をおしゃれに」マグノリアで10月19日にライブ、姿月あさとインタビュー(上) 2016年10月7日
- 宝塚OGらが名曲を綴る『LÂge d’Or de la Chanson ~シャンソンの黄金時代2016~』 2016年5月19日
- 贅沢で暖かくて背筋が伸びるひととき 姿月あさとバースデーライブ 2016年3月25日
- 史上初! ブロードウェイに宝塚OGが一挙出演 7月に「シカゴ」NY公演決定 2016年1月22日
- 姿月あさと「THE PRAYER X」、ズ~ンと震えたライブの醍醐味 2015年12月8日
- 「いいことも辛いことも、人間味が出たらいいな」、姿月あさとインタビュー(下) 2015年11月6日
- 3年ぶりにニューアルバムリリース、姿月あさとインタビュー(上) 2015年10月30日
<読者の声>(プレゼント応募メッセージより)
「シャンテ」どれも 素敵な歌ばかりで 決して押し付けてくる歌い方でない 素直に耳に届いてくる歌い方は 姿月さんならではで、今までのアルバムの中で 私は一番好きです。 退団されてから色々なジャンルの歌を勉強されて 今花開いた素敵なアルバムになったと思いました。
「Chante」インタビューを、読んで、ずんこさんの思いを感じながら、毎日楽しく聴き、ずんこさんの歌声に、魅了されております。素敵なアルバムを、ありがとうございました。今回も、楽しいインタビューを、ありがとうございました。
いつも楽しく拝見しております。これからもずっと応援していきます。
姿月さんの歌を聞いてみたいです。(^^)
姿月さん、西村由紀江さんとのコラボ公演を見せてもらいましたが、二人とも阪急沿線つながりで、大阪弁でのMC、なかなか、二人のトークいけましたね。こういった形でないとなかなか、ヅカガールさん関連は、見に行くことがないですね。そういった意味では、Akane LIVさんもLIV MOONでなければ、であわなっかったヅカガール!
姿月あさとさんの歌声にいつも癒され、励まされています。いつまでもこの歌声と共に。。。
『Shante~シャンテ』発売おめでとうございます。今日!ようやく、聞くことが出来ます。♪夜明け・・・を、始めて聞いたとき、涙が止まりませんでした。『Shante~シャンテ~』どのような風に届くのか?! ワクワクしています。これからも、姿月あさとさんの、益々のご活躍をお祈りしています。
Chante、早速聴いています。姿月さんの歌には、愛らしさと強さと哀しさが混在していて、こちらの気持ちでさまざまに響いてきます。何度聴いても心を揺さぶられます。