「覚悟して、観ていただけたら」、柿澤勇人(下)

ミッキー役 柿澤勇人さん=撮影・岩田えり

2022年3月21日(月)に開幕し、4月3日(日)まで東京・国際フォーラムホールCで、その後、愛知・刈谷市総合文化センター アイリス大ホール、福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演されるミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』に、双子の一人であるミッキー役で出演している柿澤勇人さんのインタビュー、後編です。

「下」の無料部分では、役作りをしながら考えたこと、ご自身が観劇された『ブラッド・ブラザーズ』との違いなどについて伺った合同インタビューの内容を、有料部分では、ウエンツ瑛士さんや木南晴夏さん(リンダ)との芝居で感じること、今回の上演ならではのチャレンジ、ご自身の活動、本作への思いについてお話ししてくださった独自取材の内容を掲載します。

ミッキー役 柿澤勇人さん=撮影・岩田えり
ミッキー役 柿澤勇人さん=撮影・岩田えり

(※このインタビューは3月初旬に実施しました)

ーー今回、7・8歳の役を演じられるにあたり、ご自身がそれくらいの年齢だった頃も思い出しながら役作りされていますか?

そうでもないです。僕の甥が、今ちょうど8歳なので、ミッキーと同い年なんです。彼の動きなどはすごく参考にはなりますが、模倣するというよりも、「彼らって、なんであんなに可愛くて、こんなにも愛おしいのかな」ということを考えたんです。それはきっと、「全てに対して一生懸命で、ピュア」だからだなと。僕の甥もそうですし、一般的な8歳児もそうだと思うのですが、彼らは「可愛く思われたい」なんて考えてないんですよ。その一瞬一瞬を、一生懸命に生きて、全てのことに無垢に反応しているところが愛おしいのかなあと。

なので、役作りの上では、そういうところを大事にしています。最初は、子どもらしい動きや歩き方、声の出し方などを、少しトライしてみたのですが、「絶対そっちじゃない。そっちにはいくな」と鋼太郎さんにも言われました。「高い声を使おう、などと考えてはダメだ。それを考えた時点で、もう子どもではない」と。

ーー念願が叶っての今回のご出演だと伺っていますが、ご自身が作品を拝見されたときに感じられたことと、いま取り組まれながら思われることとは、違うものでしょうか?

観る側と演る側は、全然違いますね。なんであんなにもやりたい!と言ったんだと、ちょっと後悔するときもあるくらいです(笑)。

あと、どれが良いとか悪いとかいう話ではなくて、今まで公演されてきたバージョンと比べると、今回、全体的に芝居の温度がだいぶ違います。

ーーそれは、鋼太郎さんの演出の方向性によるものでしょうか?

そうだと思います。ご自身も初演に出られていることもあり、柴田恭兵さん、三田村邦彦さんがされていたバージョンに近いのではと思います。初演の映像を僕も拝見したのですが、すごいエネルギーでしたね。汚くて、荒々しいリヴァプールという町に、必死に生きている人たちがそこにいて。歌の音程とか気にしていなかったり。でも、僕は逆にそこがいいなと感じたんです。色気づいたり、カッコつけたり、かわいこぶっていないので、すごく面白かったです。

東宝と松竹バージョンも大好きですけれど、今回は初演に近くなるんじゃないかと思います。60年代のリヴァプールの汚らしい場所で「一生懸命に生きている奴らが集まった」という感じに持っていけたらいいなと。

※アイデアニュース有料会員限定部分では、独自インタビューで伺った内容を紹介します。ウエンツ瑛士さんや木南晴夏さん(リンダ)との芝居で感じること、今回の上演ならではのチャレンジ、ご自身の活動、本作への思いについてお話ししてくださったインタビュー後半の全文を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■ウエンツくんも木南ちゃんも、芝居を通して「わかってくれている」という感覚がある

■「ミュージカル」ではなく「ほぼ芝居」。皆で「歌わない」ことへのチャレンジを

■敢えて「ミュージカルをやりたくない」と言っていた昨年

■鋼太郎さんとウエンツくんと僕の「ミュージカルや芝居に対する思い」を全てぶつける

<ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』>
【東京公演】2022年3月21日(月)~4月3日(日) 東京国際フォーラム ホールC
【愛知公演】2022年4月9日(土)・10日(日)刈谷市総合文化センター アイリス大ホール
【久留米公演】2022年4月15日(金)~17日(日)久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【大阪公演】2022年4月21日(木)〜24日(日)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
公式サイト
https://horipro-stage.jp/stage/bb2022/
https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/bb2022

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左より)サミー役 内田朝陽さん、リンダ役 木南晴夏さん、ミセス・ジョンストン役 堀内敬子さん、ミッキー役 柿澤勇人さん、ナレーター役 伊礼彼方さん=撮影・岩田えり
左より)サミー役 内田朝陽さん、リンダ役 木南晴夏さん、ミセス・ジョンストン役 堀内敬子さん、ミッキー役 柿澤勇人さん、ナレーター役 伊礼彼方さん=撮影・岩田えり

※ここから有料会員限定部分です。

■ウエンツくんも木南ちゃんも、芝居を通して「わかってくれている」という感覚がある

ーー何度も再演されている作品である本作。柿澤さんとウエンツさんならではの双子を今回楽しみにされている方も多いのではと思います。

ウエンツくんと僕とは、演劇やミュージカルについて思っていることがすごく似ているので、稽古場で共鳴することも多いです。一緒に芝居をしていて、楽しいというか、「わかってくれている」という感覚があります。こういうのは、なんかわかるものなんですよね。ウエンツくんだけではなくて、木南ちゃんもそうです。幼なじみという近い関係を演じるのは今回が初めてですが、これまでに共演したこともありますし。木南ちゃんも、何をやっても受け止めてくれるんです。僕も、もちろん、彼女が何をしてきても返せるようにと思っているので、返せないときは、すごく悔しかったりします。だから、そういうところは、如実に出てくると思います。

■「ミュージカル」ではなく「ほぼ芝居」。皆で「歌わない」ことへのチャレンジを

鋼太郎さんの意図でもあるのですが、今回の作品をご覧になった方は、「ミュージカル」ではなく「ほぼ芝居」だと思われる気がしています。歌の経験豊かな方々や先輩方ばかりなのですが、「歌わないで、どうやっていけるか」ということに皆でチャレンジしています。

■敢えて「ミュージカルをやりたくない」と言っていた昨年

ーー『群青領域』『真犯人フラグ』など、ドラマでも柿澤さんを拝見していたのですが、今回、2年ぶりのミュージカル作品へのご出演となります。その辺りも踏まえながら、お客さまに舞台を通して伝えたいこと、見ていただきたいところなどがあればお願いします。

昨年は正直なところ、敢えて「ミュージカルをやらない」と言っていました。それは、ミュージカルが嫌いだという意味ではまったくなくて、もっと色々なことをしたいということだったんです。ミュージカルを封印した年でしたが、やらないでいると、今度はやりたくなってくるんです。今後も続けていきます。

■鋼太郎さんとウエンツくんと僕の「ミュージカルや芝居に対する思い」を全てぶつける

本作は、僕にとって2年ぶりのミュージカル出演となります。吉田鋼太郎さんと、ウエンツ瑛士くんと僕が、日常的に抱いてきた「ミュージカルや芝居に対する思い」みたいなものを全てぶつけるつもりなので、覚悟して観ていただけたらと思います。

ーーウエンツさんにも力強い言葉をいただきました。お二人から同じ想いが伺えて嬉しいです。

(笑)。

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“「覚悟して、観ていただけたら」、柿澤勇人(下)” への 3 件のフィードバック

  1. シキ より:

    記事を読み、観劇させていただいて、どうして柿澤さんがこの作品に惹かれて何度も観たのか感じることができました。大人が子どもを全力で演る姿は大きな姿でいるのに、滲み出てるものは子ども。子どもの頃を思い出してこちらも笑顔になりました。感じて見えているのは子どもなのに、実際の姿は大の大人であまりにも姿が大きく勢いがあり過ぎて本当の子ども以上に予測不能でハラハラもさせられました。また、子ども時代のウエンツさんとの二人の掛け合いや姿はまるで本当の兄弟に見える瞬間もありました。
    純粋な子どもの頃と大人になると壊れてしまうもの、掛け違えたボタン、全てが背中合わせ。一幕の楽しかった場面から一転して、二幕は胸を抉られる思いで観ていました。悲劇で後味はあまり良くないのですが、また観たくなりました。

  2. みゅ~こ より:

    ブラッドブラザーズの記事を読みたくて、今回初めて有料会員に登録しました。
    舞台を観ただけではわからない、役者さんのお稽古中の様子や想いを知ることができて、とてもうれしいです。
    このあと何回かこの舞台を観る予定ですが、より深く感じることができる気がします。
    これからも楽しみにしています。
    有料会員に登録してよかったです!

  3. Poco より:

    岩村さんのインタビューとお写真は毎回素敵なので、好きな俳優さんの記事が出ると嬉しくなります。
    ブラッド・ブラザーズ拝見しました。
    全力で子供を演じている1幕は違和感なく自然で所々に笑いの要素もあり…
    楽しい1幕からの2幕後半はつらすぎて胸が苦しくなります。
    無邪気で素直で可愛い子供時代からティーンエイジャー、そしてあることをきっかけに破滅に向かっていくラスト。柿澤さんの演じ分けが素晴らしくて、最後のセリフがより胸に刺さります。
    ミュージカルだけど演劇を観ている感覚でした。
    今後の作品でも柿澤さんのインタビュー記事があると嬉しいです。

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