「今回のような役は、たぶん最初で最後」 、『東京ラブストーリー』、柿澤勇人(下)

柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

【お詫び】11/5追記 プレゼント内容を、「写真1カットと色紙」とご案内しておりましたが、正しくは「サイン入りチェキ」です。心よりお詫び申し上げます。

2022年11月27日(日)に東京建物Brillia HALLで開幕するミュージカル『東京ラブストーリー』に、永尾完治役で出演する柿澤勇人さんのインタビュー、後編です。「下」では、赤名リカというキャラクターのこと、ミュージカルにおける歌と芝居のことについて思うこと、『メリー・ポピンズ』で経験されたこと、廣瀬友祐さんとの久しぶりの共演への想いや、ジェイソン・ハウランドさんの音楽の魅力のこと、どのような作品になりそうかということ、柿澤さんご自身の見どころなどについて伺った内容を紹介します。

柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳
柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

ーーいつも柿澤さんの芝居に心を動かされています。ドラマ、ストレートプレイ、ミュージカルと、垣根なくお仕事される中で得られた表現は、完治役を演じるにあたっても使えそうでしょうか?

使えると思います。本当に最初は冴えない男で、「この人が主役なの?」みたいな感じでいこうかなと。ミュージカルなのでカッコつけたくもなっちゃうのですが、一切それは捨てようと考えています。かっこいいのは三上君でいいですし。4人が集まったら、いい空気になる気がしますね。

ーー製作発表で、空キャストと海キャストの皆さんが一斉に並んでいるのを拝見して、すごくフラットな印象を受けました。(一部キャストは欠席)

「ミュージカルだから、前に出る」みたいな感じが、一切ないところが好きです。「合うな」という感覚がありますし、芝居では、この4人のリアルな空気や年齢で、しゃべってしまっていいと思っています。

ーー4人の生き方の中で、この人に気持ちが動くというキャラクターはいますか?

難しい役でしょうが、リカちゃんがすごくいい役で、彼女の話でもあるのかなと思います。リカにはそのつもりはなくても、とにかく彼女が引っ張っていって、結果的に完治を翻弄していく。それくらいのエネルギーをずっと持っているけれども、常に寂しさや悲しさをフックに置きながら演じなければならないと思います。共感ではなくても、感情移入できるキャラクターなのではないでしょうか。いい例えではないかもしれませんが、エポニーヌみたいな叶わなさですね。

ーー赤名リカを演じる笹本さんと唯月さんは、お二人ともエポニーヌを演じられましたね。

あそこまでドラマチックではありませんが、日常でも僕らもあるじゃないですか。「報われない恋があるけれど、明るく生きていく」みたいな。あのリカが、かなりいいんじゃないかなと思います。玲奈ちゃんと、どう作っていくかにかかっているかな。

ーー2チーム制で、キャストの年代が違うというのもおもしろい仕掛けだなと思うのですが、いかがですか?

若いチームは、本当に若いな〜と思いますね。元気だし、フレッシュです。若さとは、それだけで才能だなと思いました。

ーー分かります。二度と手に入らない宝物みたいな。

そうです。本当に、僕らくたびれちゃったなって(笑)。

ーー(笑)。物語は同じですが、チームによって、大切にするものなどの違いが生まれるのかなとも思いました。

そこは全然違うでしょうし、違っていいと思います。歌詞やセリフも、お互いに感じていることが違うのであれば、変えてしまっていいのかもしれません。彼らの芝居を見て、真似しようにもできないところが、多分たくさんあるんだろうなと想像しています。

ーー今までに、見たことがないような柿澤さんを拝見できるのではと期待しています。

僕も全然わからないです。まだ掴めていないですね。冴えない、ダサい役は芝居でできると思うんです。でもそこに歌が入ってくると、どうしても歌っちゃいますから。すごくキーが高かったり、全身で出さないと出ない音があったりするので、そこをどうするかが課題だと思います。本当は歌い上げたくないんですよね。

ーー今年の『ミス・サイゴン』でも歌っていないところが結構あって、冒頭から語り合っているんです。30年も上演されているグランドミュージカルでも芝居重視になっているんだなと感じました。

最近ロンドンのチームは割とリアルにやろうとしていますよね。僕は好きな方向ですが、歌が多い作品では、歌わざるをえないじゃないですか。多分、悩むと思います。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、『メリー・ポピンズ』で経験されたこと、廣瀬友祐さんとの久しぶりの共演への想いや、ジェイソン・ハウランドさんの音楽の魅力のこと、どのような作品になりそうかということ、柿澤さんご自身の見どころについて伺った内容など、インタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>(有料会員限定部分はこのページの下に出てきます)

■芝居どころに悩んだ『メリー・ポピンズ』。「踊りも芝居だ」と言われて開放された

■ヒロ(廣瀬さん)とは、久しぶりの共演。芝居への思いも話しながら一緒にやりたい

■ジェイソンさんのイメージした世界観がしっくり。音楽は、100%楽しんでもらえるはず

■「この人たち、こういう恋をしてきたのかな」と、空気感がリアルになりそうな作品

<ミュージカル『東京ラブストーリー』>
【東京公演】2022年11月27日(日)〜12月18日(日) 東京建物Brillia HALL
【大阪公演】2022年12月23日(金)~25日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
【愛知公演】2023年1月14日(土) 刈谷市総合文化センターアイリス 大ホール
【広島公演】2023年1月21日(土)~22日(日) JMSアステールプラザ大ホール
公式サイト
https://horipro-stage.jp/stage/love2022/

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柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳
柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

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■芝居どころに悩んだ『メリー・ポピンズ』。「踊りも芝居だ」と言われて開放された

ーー今までに、そういったところで悩んだ作品はありましたか?

『メリー・ポピンズ』です。芝居どころがなく、本番中はセリフや動きなどをいろいろと変えましたが、ロンドンのスタッフからはダンスのダメ出しばかりでした。「僕は踊りたいわけじゃないんですよ、だったらダンサーを呼んでくださいよ」と言ったくらいです。

でも、「踊りも全部芝居だから、こういう目的と動機があって、こうなっているから。うまさは求めていないから芝居としてやってくれ」と言われたときに、すごく開放されました。それまでは、こういうエンターテインメント作品とは距離を置いていたんです。

そういう意味でも、ロンドンの人たちは、わりと芝居重視なのかもしれませんね。僕は今回、たぶん芝居に重きを置いていくと思います。どこで魅せる歌なのか?どこを歌い上げるのか?ということを常に探り、相談しながら作っていく感じです。

柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳
柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

■ヒロ(廣瀬さん)とは、久しぶりの共演。芝居への思いも話しながら一緒にやりたい

ーー廣瀬さんが、同級生で親友の三上健一役です。作品サイトの廣瀬さんのコメントに「カッキーでよかった」とありましたが、柿澤さんはどう思われていますか?

『メリリー・ウィー・ロール・アロング』以来の、久しぶりの共演です。彼はスタイルもいいし、色気もあるから三上にぴったりだと思っています。彼もやはり芝居をしたいと思っていて、「そうじゃないよな、打開したいよな」と、日本のミュージカルのあり方に不満も持っているなど、僕と同じような悩みを抱えていると勝手に感じていますから、いろいろ話しながら、一緒にできたらいいなと思います。

ーーそれは、『メリリー・ウィー・ロール・アロング』の頃から話していたのですか?

あのときは若かったですし、結構勢いでいっていましたから、芝居の話はあまりしていなかったです。でも、ヒロ(廣瀬さん)も、そのときはめちゃめちゃ明るいヤツだったので、何年も役者をやってひねくれたんだろうな(笑)。

ーー廣瀬さんは、熱い想いを抱えつつ、常に繊細に深く考えていらっしゃる印象です。

メリリーのときは、わりとパッカーンとしている人でしたから。

ーーそうなんですね。お芝居の話は最近されたんですか?

いろいろ舞台を観てくれているんです。『スルース〜探偵〜』や『ブラッド・ブラザーズ』の感想を送ってくれたり、「カッキーが、そんな環境でできていることに嫉妬している」と正直に言ってくれたりもしました。

柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳
柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

■ジェイソンさんのイメージした世界観がしっくり。音楽は、100%楽しんでもらえるはず

ーー『東京ラブストーリー』が、ミュージカルとしてどのような作品になるのだろうと思っていらっしゃるであろう皆さまに、これだけは伝えておきたいと思うことをお願いします。

恋愛の結構繊細なところを、行ったり来たりします。「早く決めろよ、なんで行かないんだ、なんでそこ、呼ばれたら行くんだよ、待ってんじゃん!」みたいな(笑)。そういうところでも、もちろん原作が踏襲されていますから、イライラする部分もあるでしょうね。冒頭の音楽から、そういう世界へ連れて行ってくれるので世界観に割とすぐに入れると思います。

絶対に断言できるのは、音楽は100%楽しんでもらえるということです。ジェイソンさんがイメージした『東京ラブストーリー』の世界が、しっくりくるんじゃないかなと。ですから、単純に音楽を楽しんでいただきたいという思いもあります。

柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳
柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

■「この人たち、こういう恋をしてきたのかな」と、空気感がリアルになりそうな作品

恋愛するとか、誰が好き、誰が嫌い、誰と結婚するのか、別れるのかということは、僕ら4人自身みんなわりと経験してきた方だとは思うので、その空気感は結構リアルになると思うんですよ。「この人たち、こういう恋をしてきたのかな」とか。

ハッピーな気持ちにさせる終わり方ではないかもしれませんが、観終わったあとは、寂しい思いや、また恋してみたいなと思う気持ちにもなるでしょう。そこにジェイソンさんのすごく繊細な音楽もありますから。いい芝居だったんじゃないかと思ってもらえたら、一番いいなと思っています。

ーー柿澤さんご自身についての、見どころはいかがですか?

ラブストーリーで、二人の女性に対して一生懸命悩み、生きているというような役は、多分もう最初で最後です。

ーーえ!? 最後ですか?

僕はやる気満々なんですが、そういう役は年齢的な面もありますし、なかなか回ってこないので。ですから今回、そんなレアな柿澤を観にきていただければ。本当に最初で、最後です!

柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳
柿澤勇人さん=撮影・岩村美佳

※柿澤勇人さんのサイン入りチェキを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは11月20日(日)です(このプレゼントの募集は終了しました)。有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

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“「今回のような役は、たぶん最初で最後」 、『東京ラブストーリー』、柿澤勇人(下)” への 2 件のフィードバック

  1. シキ より:

    東京ラブストーリーの原作、テレビドラマを見返しながらミュージカルの開幕を楽しみにしています。
    原作やテレビドラマと比較するというより、キャラクターやストーリーがミュージカルではどよのうになるのだろうかと想像が膨らみます。
    永尾完治という誠実だけど優柔不断な人物を、柿澤さんが演じてきた中では今までにないようなキャラクターなので、どんな柿澤さんの完治が見られるのか、次はないと思うと見逃せません。

  2. Yun より:

    最後?
    鎌倉殿の13人、カッキーが演じる源頼朝の反響を見ていると、そんなことはないと確信してます(笑)
    カンチを経て、どう進化するのかも楽しみです。
    アイデアニュースさん、いつも役者さんの思いが伝わる記事をありがとうございます。
    ジキハイも期待してます!

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