アイデアニュース編集長の橋本です。古い友人で、文芸同人誌を作っている添嶋譲さんと連絡をとり、彼が作成にかかわった本の見本誌を送っていただきました。添嶋さんは、かつて書店にお勤めしていたこともあって書籍に関する知識が豊富で、ご自分で作られた本も素敵な装丁でありながらも、制作費はかなり低いものでした。添嶋さんたちは、6月19日に静岡で「静岡文芸マルシェ」と題した文芸同人誌のイベントを開くとのことです。添嶋さんにアイデアニュースで文芸関係の記事を書いていただけませんかとお願いしたところ、快諾してくださいました。「言葉の工房」と題した添嶋譲さんの記事は今後、アイデアニュースに随時掲載します。お楽しみに。
皆さん、こんにちは。添嶋譲(そえじまゆずる)です。
僕はふだん、趣味で詩歌や小説を書いています。写真を撮ることも好きなので、それに短い言葉をつけたりすることもあります。そして、インターネット上で発表しています。今から15年くらい前、パソコン通信のNIFTYServeの詩のフォーラムというところで、詩歌を書いては発表していました。橋本さんとはその時からのご縁で、今回記事を書かせていただけることになりました。よろしくお願いいたします。
書き上げた詩歌や小説は自主製作の本にして発表することがあります。
とはいっても、新聞広告などで見かけるような自費出版は高額な費用がかかります。一般の書店で流通するとは言っても、実際にはあまり並ばない場合もあると聞きます。
くらべて、同人誌やリトルプレス、ミニコミ誌と呼ばれることの多い自主製作の本は費用は比較的安価で済みます。それは本文そのものだけでなく、レイアウト、表紙デザインも含めてすべて自分の手で作ることになるからです。印刷と製本は印刷所にお願いすることが多いです。発行する部数も、多くても数十冊となるものばかりです。
同人誌も一般の書店に流通することは稀です。そのかわり、同人誌を展示即売するイベントに作った人が自ら出展をして自分で販売をする、という形態を取ることが大半を占めています。主なイベントを挙げてみると、コミックマーケット、コミティアといった漫画同人誌などがメインのもの、文学フリマやテキストレボリューションズなどの文学に特化したものがあります。
僕は静岡に住んでいますが、文芸同人誌のイベントに参加するために、東京や大阪に出かけることがほとんどです。ふだん実際に会うことの少ない、同じ趣味を持った人々に会うのが楽しみです。書かれた文章に関すること、本そのもののつくりに関すること、賞への応募、雑談、他のイベントのことなど、いろいろな情報や意見を交換します。そういったかたがたと、自分の住んでいるところで開催されたらいいんだけどねえ、と話すことがあります。主に交通費や滞在費などの面で、遠方へ出向いてイベントに参加する、ということが高いハードルになっている人がいるんですね。
静岡にも創作活動をしている人、文芸同人誌を作っている人はいるはずなんだから、静岡でイベントをやってみたらいいんじゃない?
そういう軽い気持ちで始めてみたいと思いました。近くでやったら来てくれる人もいるかもしれないし、こんなことをやっているのは自分だけじゃないんだ、と思う人もいるかもしれない、そういうふうに考えたのです。そんな話を知人にしたら、ぜひやりましょう、という話になりました。彼女もまた、作家志望のアマチュア物書きさんです。初回なので小さなところでやりたいと思っていたら、その知人の紹介でカフェのオーナーさんに会場を貸していただけることになりました。
そんなわけで6月19日に「静岡文学マルシェ」というイベントを開催します。静岡市葵区七間町にある、スノドカフェというところが会場です。時間は11時から17時。
当日はアマチュア作家の書いた小説を中心に同人誌が並びます。それぞれが工夫を凝らしたものばかりです。アマチュアの人の書いたものはなかなか手に取りづらいと思われる方もいらっしゃるかもしれません。皆さん立ち読みだけでも歓迎してくれるでしょう。中にはフリーペーパーなど無料配布のものを用意している方もいるので、まずはそれをもらうところから始めてみるのもいいかもしれません。
また、ポストカードギャザリング、という企画を用意しました。作家さんにはポストカード一枚分に詩歌、小説など自分の得意技を表現してもらいました。それらの中から、自分が好きだと思うものを、好きな順番で集めてもらおうというものです。ポストカード一枚分なので、さっと読むことができて、気に入ったものは自分の手元にとっておくことができます。そこから、この人の書いたほかのものも読んでみたい、と思えば改めてその作家さんの本を手にとってみてください。
そして。自分もなにか本を作って参加してみたいと思われましたら。いろいろな発表のしかた、参加のしかたがあるのでそれに乗っかってみるといいのではないでしょうか。自分の書いたものを誰かが手にとってくれて、気にいってもらえるかもしれません。
まずは、いろいろな文芸同人誌イベントに参加してみましょう。一般の書店では味わえないような文学の世界が広がることでしょう。
<イベント情報>
【第二回文学フリマ金沢】6月12日 金沢市武蔵町 ITビジネスプラザ武蔵(石川県)5F・6F
http://bunfree.net/?kanazawa_bun02
【静岡文学マルシェ】6月19日 静岡市葵区七間町 スノドカフェ七間町
http://shizubun.wp.xdomain.jp/
それぞれ、僕が参加した同人誌を展示、即売しています。
また、6月18日は静岡文学マルシェ前夜祭と称して、静岡おでんを食べながら、文学、同人誌にまつわるあれこれを話すイベントも開催します。
よかったら遊びに来てください。よろしくお願いします。
<関連サイト>
【言葉の工房】 http://literary-ace.littlestar.jp/index.html
【静岡文学マルシェ】 http://shizubun.wp.xdomain.jp/
【文学フリマ公式サイト】 http://bunfree.net/
【Pine Piece Project(パインピースプロジェクト)】http://pinepieceproject.biz/
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■同人誌にはどんな種類があるの?
■まずは手軽な「折本」の作り方から
■折本作成に特化したフリーソフト「ottee」
■コンビニのネットプリントで印刷
■セブンイレブンとローソンなどの違い
■いろいろな折本が紹介されているページ
■次回は「コピー本の作り方」を紹介します
■同人誌にはどんな種類があるの?
同人誌といっても、造作によっていくつか種類があります。
- ・折本
・コピー本
・オンデマンド、オフセット本
大ざっぱに言ってこんな感じでしょうか。
コピー本は文字通り、コンビニなどにあるコピーを利用して本文ページを印刷し、自分で製本をするものです。家庭用プリンタで印刷しても便宜上コピー本ということがあります。
オンデマンドやオフセットというのは印刷の方法です。どちらも印刷所に依頼します。オンデマンドはコピーと同じように印刷するもの、オフセットは版を作成して印刷するものです。少ないページで少部数の場合はオンデマンド印刷が、ページ数や部数が多い場合はオフセット印刷のほうが、主にコスト面で向いていると言われています。
今回は、いちばん気軽に作ることのできる折本について説明します。
■まずは手軽な「折本」の作り方から
A4くらいの用紙を8つに折り、真ん中に切目をいれて畳んでいくと本のような形になりますよね。あれを折本といいます。子どものころに作ったことがある方もいらっしゃるかもしれません。
片面に文章や写真、絵をレイアウト、印刷をして、切って折って8ページの本ができあがります。これを使って自分の書いた作品を発表することができます。
僕のサイトにいくつか折本のファイルを置いてあるので、もしよかったらダウンロード、印刷をしてみてください。A4サイズ縁なしで印刷するとレイアウトがきれいになるように作ってあります。
http://literary-ace.littlestar.jp/extra/list.html
■折本作成に特化したフリーソフト「ottee」
いろいろな作りかたがあるかと思いますが、僕はパインピースプロジェクトさんの「ottee」というフリーソフトを使用しています。これは折本作成に特化したソフトで、4ページあるいは8ページの折本を作ることができます。Windows版、Mac版があります。
上記サイトからダウンロードしましょう。
ソフトを起動すると、こういう画面が表示されます(図はMac版ですが、Windows版も同じような画面です)
歯車のアイコンをクリックすると、設定画面が表示されます。ここで用紙サイズ、ページ数、開きかたなどを設定します。A4サイズの用紙で作ると、文庫の半分の大きさの折本ができます。縦書きにしたい場合は右開き、横書きの場合は左開きにしましょう。
新規オブジェクト作成ボタンをクリックすると、四角いボックスが表示されます。ここに文章や画像などを入力し、配置します。オブジェクトの大きさ、文字サイズ、色などはそれぞれの設定画面で設定できます。文章は、縦書き、横書きどちらも入力可能です。
2段組、3段組にしたい場合は、オブジェクトを2段、3段にして配置します。行間や、段間は少しゆったりめに設定すると読みやすいものができると思います。
何度か試行錯誤して、適切な配置を作ってみましょう。
僕が折本を作る場合はフォントをヒラギノ明朝か、小塚明朝、フォントサイズを7〜8pt、行間は4〜5に設定することが多いです。フォントサイズを小さくするとたくさん文章は入りますが、当然そのぶん文字はこまかいので読みづらくなります。
PDFのアイコンをクリックすると、出力メニューが表示されます。ここで、印刷用PDFを選択し、OKをクリックすると保存先を指定するウインドウが表示されますので、指定し保存します。
印刷をする場合は、プリンタのアイコンをクリックするとプレビュー画面が表示されるので、仕上がりを確認した上で印刷し、切って折ります。これで出来上がりです。
■コンビニのネットプリントで印刷
僕のように、自分のサイトや、ブログを開設しているかたは、そこを使って宣伝するとよいでしょう。Twitterやフェイスブックなどで告知してもいいですね。
また、コンビニに設置してあるコピー機では、ネットプリントなどといい、番号を入力するとプリントアウトできる機能を持ったものがあります。それを利用すると、家にプリンタのないかたでも印刷をして折本を読むことができます。プリントアウトするときには料金がかかります。白黒印刷でA4で20円、カラーですと60円かかります。
セブンイレブンで印刷する場合
ローソン、ファミマ、サークルKサンクス、セイコーマートで印刷する場合
https://networkprint.ne.jp/sharp_netprint/ja/top.aspx
それぞれ会員登録が必要です。費用はかかりません。
■セブンイレブンとローソンなどの違い
【セブンイレブンで印刷する場合】
印刷したいファイルを選択します。用紙サイズ、カラーか白黒の指定をします。余白設定は「余白なし」を指定してください。いろいろな人に印刷してもらいたい場合はパスワードは設定しないほうが良いでしょう。設定が終わったら登録します。
印刷の準備が整ったら、予約番号が発行されますのでこれを告知しましょう。
印刷したい人は、コンビニで予約番号を入力して印刷することができます。
【ローソン、ファミマ、サークルKサンクス、セイコーマートで印刷する場合】
印刷したいファイルを選択します。用紙サイズを指定し、原寸/フィットは「原寸で印刷」を指定します。ファイル名はわかりやすいものに書き換えると良いでしょう。設定が終わったら登録します。
こちらはファイルを登録した人のユーザー番号を告知します。
印刷をしたい人は、コンビニでユーザー番号を指定すると、印刷できるファイルが選べるようになるので、希望するものを指定し、印刷します。
■いろいろな折本が紹介されているページ
Twitterでは、いろいろなかたが作成した折本の紹介しています。これらをまとめたものが以下のサイトにあります。今回紹介した8ページの折本だけでなく、凝った作りの折本もあります。いろいろ見てみるとよいでしょう。
今、手に入る折本 http://togetter.com/li/551279
いつでも手に入る折本 http://togetter.com/li/610063
■次回は「コピー本の作り方」を紹介します
次回は、7月に参加するイベントにあわせてコピー本を作ってみます。次回もよろしくお願いします。