言葉の工房:(3) 詩の同人誌展示即売会「ポエケット」/表紙の作り方と印刷

見本誌コーナーに並べられた詩誌。これらは自由に読むことができます=撮影・添嶋譲

皆さん、こんにちは。添嶋です。今回は、文芸同人誌イベントに参加したお話です。

■7/10 TOKYOポエケット開催

7/10、両国にある江戸東京博物館にて開催された「TOKYOポエケット」に参加してきました。

ポエケットは1999年から開催されている、詩に特化された同人誌の展示即売会です。この日は41組の出店があり、個人詩誌、同人誌、リーディング(朗読)を収録したCDやTシャツなどのグッズなどが並べられていました。

見本誌コーナーには皆さんの作品が多数展示されています。自由に手にとって読むことができます。

見本誌コーナーに並べられた詩誌。これらは自由に読むことができます=撮影・添嶋譲

見本誌コーナーに並べられた詩誌。これらは自由に読むことができます=撮影・添嶋譲

ポエケット主催者のブース。ヤリタミサコさん、かわえひふみさんの著作などが並べられています=撮影・添嶋譲

ポエケット主催者のブース。ヤリタミサコさん、かわえひふみさんの著作などが並べられています=撮影・添嶋譲

他の同人誌展示即売会と違い、ポエケットではマイクが全出店者に回され、自己紹介をします。また、出店者の間で一行ずつ言葉を重ねていく、連詩を行います。そのために、スケッチブックが回ってきます。僕も参加しましたが、前の方の言葉を受けつつ、自分の中にある言葉を表現するのは難しく、またとても楽しいことです。

開催中にはゲストの川島むーさん、カニエ・ナハさんのリーディングが披露されました。

川島むーさんは役者さんをやっていらっしゃるということで、リーディングは言葉遊びや日常から派生した言葉を駆使し、一遍一遍にひきこまれます。詩のボクシングでも大阪大会神奈川大会のチャンピオン経験者だけあって読み始めてから会場の雰囲気が一変しました。

カニエ・ナハさんは先日「用意された食卓」という詩集で「第21回中原中也賞」を受賞された方です。柔らかい声質もあって、リーディングが始まると会場はふわりとした空間が広がりました。ですが朗読した詩は決してふわりとはしておらず、むしろ突き刺さるような内容でした。

出店者の中には外国出身の方もいらっしゃいました。アンドリュー・カンパーナさんはカナダで日本語を勉強し、現在は日本に在住し大学で学ばれているとか。日本語で書かれた詩集は、ネイティブの日本語話者にはない言葉の使い方で、なにか不思議な物語を読んでいるかのようです。

出展者の一人、アンドリュー・カンパーナさん=撮影・添嶋譲

出展者の一人、アンドリュー・カンパーナさん=撮影・添嶋譲

年に一回の開催ということですので、また来年、興味があるかたは訪れてみてはいかがでしょうか。

■九月の文芸同人誌イベント

第一回文学フリマ岩手(2016年9月4日 11時〜16時 岩手県産業会館 7F大ホール)百都市構想を掲げ、全国で開催されている文学フリマ。岩手県盛岡市では初の開催。入場無料。⇒http://bunfree.net/?iwate_bun01

第四回文学フリマ大阪(2016年9月4日 11時〜17時 堺市産業振興センター イベントホール)関西でも開催されている文学フリマ。大阪府堺市で行われ、今回で四回目を数える。入場無料。⇒ http://bunfree.net/?osaka_bun04

本の杜 (2016年9月18日 川崎市産業振興会館 4階 企画展示室)今回で10回目となる文芸同人誌イベント。神奈川県川崎市での開催。小規模ながら見本誌コーナーが充実しており、過去出店された作品をすべて閲覧することができます。入場・カタログ代金500円。⇒http://ivent-hon-no-mori.com

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※ここからは、アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分です。前回に引き続き、冊子の作り方です。Wordを使った表紙の作り方、コンビニのマルチコピー機や家庭用プリンタでの本文と表紙の印刷、本文や表紙の折り方と周囲の余白部分の切り落としについて解説しています。

■表紙を作る

■本文ページの印刷

■表紙の印刷

■製本する

■表紙を作る

WordでA4横のサイズで新規ファイルを作ります。

用紙サイズいっぱいの図形を作成します。図形の設定で、枠線なし、塗りつぶしの色を選択します。配置は背面を選択しました。

背景の設定画面。色は好きな色を選択します=スクリーンショット・添嶋譲

背景の設定画面。色は好きな色を選択します=スクリーンショット・添嶋譲

背景部分の設定。配置は背面を選択します=スクリーンショット・添嶋譲

背景部分の設定。配置は背面を選択します=スクリーンショット・添嶋譲

文字の配置はテキストボックスを利用します。フォントの種類、文字の大きさはお好みで。今回は小塚ゴシック体Lを使用しています。あまり細いフォントにすると、印刷した時に文字が潰れてきれいに出ないことがあるので注意しましょう。

右綴じの本を作っているので、左半分に本のタイトル、著者名を入れます。

右半分にはサークル名を入れました。

文字だけで表紙を作るときは、思いきってタイトルの文字サイズを大きくするとそれっぽくなります。

表紙の作成の様子。半分より左側が表表紙、右側が裏表紙になります=スクリーンショット・添嶋譲

表紙の作成の様子。半分より左側が表表紙、右側が裏表紙になります=スクリーンショット・添嶋譲

■本文ページの印刷

家庭用のプリンタでも印刷はできますが、コンビニのマルチコピー機のほうが手軽に小冊子印刷ができます。

前回作成したファイルを一旦開き、Word2010以降の場合、「別名で保存」からファイル形式をPDFにして保存し直してください。

このとき、「最適化」の部分は標準を選択、オプションで「ISO 19005-1に準拠」を選んでください。保存したファイルをUSBメモリか、SDカードなどの記録媒体にコピーして、セブン-イレブンに行きます。

マルチコピーの機械の画面の操作に従って、小冊子印刷を行います。

ざっくり説明すると、 プリントをタッチ → USBメモリをセット → 印刷したいファイルを選択 → 設定画面で、モノクロ印刷、用紙サイズを選択 → 詳細設定で小冊子印刷の設定を行う(今回は縦書きなので右綴じを選択) → 印刷部数を選んで実行 という手順になります。

両面印刷になるので、一枚あたりモノクロで20円、カラーだと100円かかります。

■表紙の印刷

家庭用のプリンタで印刷する場合は、用紙を工夫します。

家電量販店や、カメラ屋さん、パソコンショップなどで販売している、光沢紙を使うと綺麗に仕上がります。紙の厚さもコピー用紙に比べたら厚いので、本の表紙に適しているでしょう。

可能であれば、余白なしの設定で、印刷してください。

コンビニのマルチコピー機で印刷する場合は、持参した用紙では印刷できないことがほとんどなので、本文と同じ用紙になります。また、上下左右に5mm程度余白が出ます。

■製本する

印刷した本文ページ、表紙を全て半分に折ります。できあがりに影響しますので、できるだけ丁寧に折ってください。
ページの順に重ねます。

作ったファイルを印刷し、半分に折ったもの=撮影・添嶋譲

作ったファイルを印刷し、半分に折ったもの=撮影・添嶋譲

道具は中とじ用のスケール(MAXのMC-140という型番です)、ホッチキスを使用します。この他に、カッターマット、定規、カッターを使用します。

中とじ用のスケールは文房具店などで、カッターマットはA4サイズであれば100円ショップで買うことができます。一つあるととても便利なので、ぜひ入手してください。

カッターマット、定規、ホッチキス、中とじ用のスケールを使用します=撮影・添嶋譲

カッターマット、定規、ホッチキス、中とじ用のスケールを使用します=撮影・添嶋譲

折った部分をスケールの中心線にかわせ、ずれないように手でしっかり押さえて、二ヶ所、ホッチキスで止めてください。いわゆる10号針のホッチキスを利用するので、10枚程度の用紙を製本することができます。気をつけてやれば、12-13枚程度まではできますが、針がよれやすくなりますので注意してください。

ホッチキス止めをしているところ。しっかり押さえて止めます=撮影・添嶋譲

ホッチキス止めをしているところ。しっかり押さえて止めます=撮影・添嶋譲

ホッチキス止めをした部分を内側から見たところ=撮影・添嶋譲

ホッチキス止めをした部分を内側から見たところ=撮影・添嶋譲

さいごに、周囲の余白部分をカッターで切り落とします。

カッターの刃は切れ味を確保するために、新しい部分を出して切ってください。今回はプラスチックの定規を利用していますが、金属製の定規のほうがずれたりしないで作業できるかと思います。

余白部分を裁断します=撮影・添嶋譲

余白部分を裁断します=撮影・添嶋譲

余白の部分を裁断します=撮影・添嶋譲

余白の部分を裁断します=撮影・添嶋譲

できあがりました。今回は凝ったことはいっさいせずに、シンプルに仕上げています。

表紙のさらに外側にトレーシングペーパーを巻いて一緒にホッチキス止めをし、カバーのようにしてもよいかと思います。トレーシングペーパーは100円ショップで購入することができます。100円ショップのものは薄手ですが、文房具店では厚手のトレーシングペーパーもあるので、好みのものを用意すると良いでしょう。

周囲を裁断したら完成です=撮影・添嶋譲

周囲を裁断したら完成です=撮影・添嶋譲

次回は印刷所に依頼をして本を作ります。

基本的な部分はコピー本と同じですが、できることが増えるので、凝った本を作ることができます。

次回もよろしくお願いいたします。

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