皆さん、こんにちは。添嶋です。
■大人の文化祭「Text-Revolutions」
10/8、東京都浅草にある、都立産業貿易センター台東館で開催された「Text-Revolutions」さん(以下、テキレボ)におじゃましました。テキレボは文章主体の同人誌展示即売会で、今回で4回目になります。ぐずついた天候でしたが、開催直後から和やかな雰囲気の中、来場者が各出展者ブースを回り、自主制作の本やポストカードなどを手にしていました。会場の中央には見本誌のコーナーがあり、当日買うことのできる本が並べられています。
当日、直接会場へ出展できない人のために、委託コーナーもあります。全国から集まった全部で100点ほどの自主制作の本が並べられ、ここでも一般来場者が多数立ち寄り、本を選んでいました。
大人の文化祭と言われることもあるこのイベントでは、会場内でいくつかのミニイベントを併催しています。300文字で書かれたショートショートが掲載されたポストカードを集めて回る企画では、ポストカードを10枚集めると一回くじを引くことができ、各出展者さんから提供された商品をもらうことができます。もちろんポストカードは企画参加者さんの個性が出た素敵な作品ばかりで、これを集めるだけでもアンソロジーを編むような感覚になります。
その場でお題を指定して掌編小説を書いてもらう「机上小説家」という企画では、僕も企画に参加の何人かに掌編小説を書いてもらいました。当日は天気もあまり良くなかったため、「台風」というお題でお願いしました。お願いしてから書き上がるまではしばらく時間がかかるので、その間に他の出展ブースを見て回ることもできます。初めてお会いする出展者さんもいらっしゃるので、企画を通じて話ができるいい機会だと思いました。
会場内にあるミニステージでは小説や詩の朗読が行われました。自分で書いた作品や出展者の作品が読まれ、来場者は耳を傾けていました。時間の関係ですべてを聞くことはできなかったのですが、目で読むのとは違う「本を聴く」という体験を通して、演者の解釈による物語の受け取り方の違い、また、まだ読んだことのない物語に興味をもつことができました。
次回は2017年4月1日開催とのこと。機会があれば一度、一般来場者として参加してみてはいかがでしょうか。
<関連サイト>
Text-Revolutions
http://text-revolutions.com/event/
<11月の文芸イベント>
第23回文学フリマ東京(11月23日11時〜17時 東京流通センター)
全国で開催されている文芸同人誌即売会「文学フリマ」の元祖。自らが文学と信じるものを全国から持ち寄って頒布するイベント。僕も出店しています。入場は無料です。
http://bunfree.net/?tokyo_bun23
- 言葉の工房:(7) 泊まれる本屋「BOOK AND BED TOKYO」、京都店がオープン 2017年2月15日
- 言葉の工房:(6) 第一回文学フリマ京都、出展者として参加してきました 2017年2月7日
- 言葉の工房:(5) 大人の文化祭「Text-Revolutions」/印刷費用の目安 2016年11月12日
- 言葉の工房:(4) 「zine展 in Beppu」/印刷所に依頼して本を作るための手順 2016年9月28日
- 言葉の工房:(3) 詩の同人誌展示即売会「ポエケット」/表紙の作り方と印刷 2016年8月22日
<有料会員限定部分の内容>前回に引き続き、冊子の作り方です。印刷所ごとの料金の目安、使用する用紙やフォントの紹介をしています。
<有料ページ内の記述の関連サイト>
ちょ古っ都製本工房
http://www.chokotto.jp/
POPLS(ポプルス)
http://www.inv.co.jp/~popls/
ねこのしっぽ
http://www.shippo.co.jp/neko/
グラフィック
http://www.graphic.jp/
2016年用、日本語のフリーフォント219種類のまとめ
http://coliss.com/articles/freebies/best-of-free-japanese-fonts-for-2016.html
※ここからは、アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分です
■印刷所の話
自主制作の本では、以前ご紹介したコピーによる制作のほか、印刷所にお願いする方法もあります。コピー代、家庭用のプリンタのインク代、用紙代を考えると印刷所に頼んだほうが安上がりなことも多いです。ここでは、僕が利用している印刷所を幾つかご紹介します。
比較のために、以前からここで作成の手順を紹介している本を印刷するということで、だいたいの費用をあげていきます。
・作ろうと思う本の仕様
A5 本文32ページ。表紙はフルカラーで作ります。30部印刷します。
その他はなるべく同じになるようにしてありますが、まったく同じものがない場合があるので、その場合は似たものを選んでいます。
・ちょ古っ都製本工房
とにかく安価で、という方にはおすすめ。文章系の本であればここが一番安い部類にはいるのではないでしょうか。本文のカラー印刷もありますが、写真主体の作りにすると少し濃い目の発色になるような気がします。原稿作成に慣れた人向きではあります。
・本文モノクロ(オンデマンド印刷)・上質紙70kg
・表紙フルカラー(オンデマンド印刷)・コート紙180kg
・6営業日で納品 3890円
・POPLS(ポプルス)
本文モノクロ印刷から、カラー印刷までわりとオールマイティな印象。オンデマンド印刷が主体の印象。通常、写真主体の作りであれば、オフセット印刷のほうがキレイに印刷されるようですが、ここはオンデマンド印刷でも十分キレイな仕上がりです。わからないことがあっても、親切に問い合わせに対応してくれます。
・本文モノクロ(オンデマンド印刷)・上質紙70kg
・表紙フルカラー(オンデマンド印刷)・標準コート紙、クリアPP加工
・スタンダードセット利用 8342円
・ねこのしっぽ
店頭で直接、原稿の確認をしてもらって入稿することができます。間違いがないかどうか一緒にチェックをしてもらうこともできるそうなので、その際にわからないことがあれば問い合わせることも可能だと思います。本文はオフセット印刷でも比較的安価です。
・本文モノクロ(オンデマンド印刷)・上質紙70kg
・表紙フルカラー(オンデマンド印刷)・ホワイトポスト
・オンデマンドのぱっく利用 15000円
この他にもたくさんの印刷所があります。どの印刷所も時期によって割引をしていることがあるので、それぞれのサイトを見てみるといいと思います。
■用紙の話
印刷所に頼むと、まず悩むのが用紙の種類です。用紙によってはとても凝った作りに見えるため、用紙の選択は重要です。
本文用紙
本文用紙としてポピュラーなのは
・上質紙
・書籍用紙(もしくは淡クリームキンマリ)
の2種類です。厳密に言えば書籍用紙イコール淡クリームキンマリではないのですが、同じように扱っているところが多いです。上質紙は真っ白な紙、書籍用紙は少し黄色がかった紙です。書籍用紙のほうが目に優しいと言われています。僕は文章主体であれば書籍用紙を、写真が多めのものであれば上質紙を使います。ただし、印刷所によっては扱いのない場合や、追加料金が発生する場合があります。
厚さもいくつかあって、70kg、90kgなどがよく使われます。数字の大きい方が厚く、裏に透けて見えにくくなっています。ページ数が少なめであれば、厚い紙を使うことが多いです。また、写真など裏に透けて見えると困るものも厚めの紙を使います。
表紙
表紙に使用する紙は本文に比べると種類が増えます。その分、費用もかかることが多いです。
・上質紙135kg
・コート紙180kg
・ホワイトポスト
多いのは上記のものでしょうか。そのままでは濃い色で印刷した場合、擦れると色がはげてしまう場合があるそうです。これを防ぐにはPP加工といって、フィルムのようなものを表面にはってもらうことがあります。光沢のあるもの(クリア)と光沢のないもの(マット)の二種類がありますが、これも印刷所によっては扱いがなかったり、追加料金が発生することがあります。文字だけで表紙を作る場合は、カラー上質紙やクラフト紙などを選択してデザインするといいかもしれません。
印刷所によっては用紙見本を無料でくれるところがあるので、そこから見本をもらいましょう。名前と、ディスプレイでの見本だけではわからないので、実際に触ってみるのが一番です。たとえば、グラフィック( http://www.graphic.jp/ )ではユーザー登録をしたときにもらえるポイントで、用紙見本と引き換えることができます。ポプルスでもグラフィックほどではありませんが、よく使われる用紙の見本をもらうことができます。
もし、自分でプリンタで印刷する場合は、文具店などで用紙コーナーを見てみましょう。そこにもたくさんの用紙がありますので、好きな用紙を選んでつかうことができます。
■フォントの話
今まで簡単にしか触れていませんが、フォントを選ぶことも重要です。Windows10や最近のMacには游明朝体やヒラギノ明朝が最初からインストールされていることが多いため、これを使用するのが一番楽です。MS明朝など、Windowsに昔から入っているフォントでもいいのですが、なぜかあまり好まれません。フォントの形式が違うため、あまりキレイではないというのが理由ですが、標準でインストールされているフォント以外に利用しようとすると、有料のことが多くほとんどが高価なので最初は標準でインストールされているフォントで作成してみるのも、個人的にはいいと思います。
また、フリー配布しているフォントにも日本語フォントがいくつもあるので、これらを使用することもできます。ただ、何度か書いていますが「商用利用可」とあるものしか、売るための本には使用できませんので、そのへんは注意してください。
参考までに、僕が使っているフリーの日本語フォントは以下にあげておきます。
・はんなり明朝
やわらかくてふんわりとした感じのフォントです。
・こころ明朝
少し細長い、軽い感じのフォント。縦書きにはそのままでは向いていないかもしれません。
・源ノ角ゴシック(Source Han Sans)
http://blog.typekit.com/alternate/source-han-sans-jp/
Adobeがリリースしたオープンソースフォント。ゴシック体ですが、すっきりしているので読みやすくて好きです。
個人的には縦書きには明朝体が合っていると思うのですが、フリーで配布しているフォントの場合、ちょっと凝ったデザインのものが多いため、小説やエッセイなど、量の多い文章でそういうものを使用すると読みにくいのではないかと思います。ですから、できるだけそっけない感じのフォントを選ぶようにしています。