「なにくそ精神」は大事で、それがキャリアになる 「螺旋」船橋・坂本インタビュー(下)

鼓童の坂本雅幸さん=撮影・桝郷春美

鼓童の代表を務める船橋裕一郎さんと、中心的奏者の坂本雅幸さんのインタビューの「下」です。「下」では、船橋さんには、焦燥感の中からどう立ち位置を見つけていかれたのか、坂本さんには、新人の頃に鼓童のセンターを担うようになった時の葛藤とそれにどう対応したのか、などをじっくり伺いました。インタビューの「下」は、アイデアニュース有料会員限定とさせていただいていますので、有料会員の方がログインすると全文をお読みいただけます(一部動画も掲載しています)。

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鼓童の坂本雅幸さん=撮影・桝郷春美

鼓童の坂本雅幸さん=撮影・桝郷春美

<有料会員限定部分の小見出し>

■楽器の管理とかトラック運転とか、裏方の仕事でも何でもやらせてくださいと

■新人の頃にセンターのポジションに抜擢、精神的に楽しいというより怖かった

■ドラムをやっていたので「手首で打っている」と言われたのが悔しくて (動画あり)

■男前な先輩が「お前はナンバーワンになれ、俺は最高のナンバー2になる」と

■玉三郎さんには厳しくしていただきました。いい時ほど褒めてもらえないんです

■自分の可能性をどんどん広げてもらっている場所なので、入ってよかった

■いろんな人との出会いから刺激を受けて、いい太鼓が打てるようになりたい

<鼓童ワン・アース・ツアー2016 ~螺旋(日本国内)>
【福岡公演】2016年12月14日(水) 福岡市民会館
【大阪公演】2016年12月17日(土)~12月18日(日) NHK大阪ホール
【東京公演】2016年12月21日(水)~12月25日(日) 文京シビックホール

<関連ページ>
「太鼓芸能集団 鼓童」のホームページ
http://www.kodo.or.jp/index_ja.html

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※ここから有料会員限定部分です。

■楽器の管理とかトラック運転とか、裏方の仕事でも何でもやらせてくださいと

――若くして鼓童に入った人たちの中で、どうやってご自身の立ち位置を見つけていかれたのですか。

船橋:最初は確かな技術がなかったので、なかなかツアーに付いて行けなかったり、キャストから外されたりしていた日々でした。それで、留守番している時に練習させてもらい、自分ができることは何でもやりますと手を挙げていました。たとえば楽器の管理とかトラックの運転とか、裏方の仕事でも何でもやらせてくださいと頼み込んで、とにかく鼓童に置いてくださいという気持ちが強かったですね。そんな中でも技術面においては、自分に足りないものを少しずつでも埋めていくしかなかったですね。

彼(坂本さん)は、入った時からセンターで鼓童を引っ張らなきゃいけないポジションで、それを一年目から任されていました。そういう人たちの悩みは、僕にはなかなかわからないし、逆に大変だろうなとも思います。そんな中心的奏者がいるから鼓童の舞台は成り立つし、いろんな演奏者がいるからグループとしてやっていけると思っています。

――悩みの数だけ、今、代表になられてから生かされている部分は?

船橋:それはあったと思います。自分が遅れているなと思うところもあったし、習得が遅くて焦る人の気持ちもわかるし、先頭を行く人はどんどん行ってくださいと後押しします。

鼓童の船橋裕一郎さん(右)と坂本雅幸さん=撮影・桝郷春美

鼓童の船橋裕一郎さん(右)と坂本雅幸さん=撮影・桝郷春美

■新人の頃にセンターのポジションに抜擢、精神的に楽しいというより怖かった

――船橋さんの話を受けて、今度は坂本さんにお伺いします。センターとして鼓童を引っ張ってこられた中での悩みとは?

坂本:新人の頃、十数年前になりますが、なかなかツアーに連れて行ってもらえない中で、当時演出していた先輩が、僕をセンターのポジションに抜擢してくださいました。鼓童の真ん中で演奏している人をすごいと思って見ているだけだった僕が、急にそこに立たされることになったんです。かなり精神的に追いつめられましたね。自分がこけたら舞台が台無し、というプレッシャーの中で、楽しいというより怖かったです。まだ新人だったので裏方の仕事もいっぱいあって、そういう意味で僕は「器用」と言われていました。

そんな中、ありがたい先輩がいて、「器用な人間はここにいるけど、不器用な人間は練習して練習して上がってくるから絶対に中身が違う。だからお前は基本をしっかりやれ」と言われて、ひたすら基本稽古に取り組んでいました。センターを担っているからわりと派手なことをしている印象がありますが、地道に基本稽古を重ねてきた、と自分でも自負できます。

■ドラムをやっていたので「手首で打っている」と言われたのが悔しくて (動画あり)

――先輩にアドバイスされたことで気を付けていた。

坂本:そうですね。先輩の言葉をずっと肝に銘じていました。何より、単純に太鼓を上手くなりたい気持ちがありました。僕は学生時代、ドラムをやっていたので、僕が太鼓を打つ姿を見て「手首で打っているように見える」と研修生の頃から言われていました。それが悔しくて。ぜったいにそう言わせないようにしてやるぞ、と心に決めて邦楽のバチ先を立てる打ち方をひたすら練習しましたね。実際にやり続けたら、フォームが安定して音も良くなってきました。ですから、基本稽古をしっかりしたことは良かったです。

船橋:「なにくそ精神」は大事で、みんなそれを乗り越えてキャリアを重ねていくのだと思います。

――みなさん、負けず嫌い。

船橋:舞台に立つ以上はそうだと思います。

■男前な先輩が「お前はナンバーワンになれ、俺は最高のナンバー2になる」と

――坂本さんは新人時代、裏方の仕事もしながら、いきなりセンターという大役も担われる中で、どういうことに気をつけて、プレッシャーに負けないようにされたのでしょうか。

坂本:負けず嫌いなところもありますが、ほかには自分たちが鼓童に入った頃、玉三郎さんも時々佐渡に来てご指導されていたので、自ら聞きにいっていました。演奏に関してアドバイスをいただきましたし、演奏に限らずとも立ち居振舞いや普段の生活も含めて道を指南してくださる方がいるのは、ありがたかったです。先輩にも声をかけていただいて勇気をもらいましたし、それらの言葉は今でも覚えています。

――どんな言葉ですか?

坂本:小田洋介という、かなりやんちゃな先輩がいるのですが(笑)、「お前はナンバーワンになれ、俺は最高のナンバー2になるから」と、新人だった僕に言ってくれたことがあって、男前な先輩だなと思ったのを覚えています。

僕自身、器用な部分もあったので、選ばずに何でもやれと先輩に言われたことで思い付くことは手当たり次第、全部やりました。それで視野も広くなりましたし、いろんな人に支えてもらってここまでやってこられたと思います。お客様が応援してくださっているのも励みになりますし、地元(岡山県)の太鼓仲間が鼓童の研修所に入る時に、「行きの新幹線の切符だけは出してやるから、メンバーになるまでは帰ってくるな」と言って送り出してくれたのもありました。研修生の時は本当に辛かったんですけど、地元の仲間が送り出してくれたことを思い出して、まあ帰れないよなと腹をくくりました。

鼓童の船橋裕一郎さん(右)と坂本雅幸さん=撮影・桝郷春美

鼓童の船橋裕一郎さん(右)と坂本雅幸さん=撮影・桝郷春美

――ご自身でも器用という自覚はあるのですか、それとも周りからそう言われるからですか?

坂本:周りの方からはそう言われるのですが…。

船橋:最近、じつはあまり器用じゃないのかなと僕は思い始めています。

坂本:そうかもしれないですね(笑)。

船橋:彼を見ていて最初の頃は、何でもすぐにできるようになって器用だなと思っていましたが、じつのところ結構やり込まないとできないんだろうな、と最近何となく思うようになってきました。ぱっとすぐにはできないことも、次の日にはできるようになっていたから、私たちも彼のことを器用だと思って何でも振っていたんですけど、その陰では、相当練習してたんだろうなとわかるようになってきました。

坂本:はい、してました(笑)。

船橋:いろんなメンバーを見ていると、もっと器用な人はいるなと思います。

■玉三郎さんには厳しくしていただきました。いい時ほど褒めてもらえないんです

坂本:昔、何かができなかった時に先輩に怒られたことがあって、その時に「寝る暇があったらやってこい」と言われたんです。そんな風に先輩から言われた言葉が今でも、ぐるぐると回っています。玉三郎さんからの言葉もよく覚えています。舞台人としてセンターに立たせてもらって持ち上げられることもありますが、「自信過剰と自惚れは芸の妨げになる」とピシャッと言われて、「絶対に気を付けなさい」と。だから、いい時ほど褒めてもらえないんですよね。結構厳しくしていただきました。

■自分の可能性をどんどん広げてもらっている場所なので、入ってよかった

――最後の質問は、個人として伺います。船橋さんにとって鼓童はどんな存在なのか、今のお気持ちを聴かせてください。

船橋:僕は人生を楽しくしたいとずっと思ってこれまでやってきました。大学で考古学を学んだのも好きなことを仕事にしたいという思いからでしたし、その大学で太鼓に出会ってすごく好きになって、それを仕事にできるところがあると知って鼓童に入りました。これまでたくさん壁もありましたが、こうやって続けてこられて自分の可能性をどんどん広げてもらっている場所なので、鼓童に入ってすごくよかったと思います。今は代表という立場にさせてもらって大変なことが多いですが、そんな苦労も含めて鼓童は自分の可能性や夢、その先の人生を楽しくしてくれる場所だと思っているので、鼓童が自分の人生そのものになってきていると今は思っています。

■いろんな人との出会いから刺激を受けて、いい太鼓が打てるようになりたい

――坂本さんにとって鼓童はどんな存在ですか?

坂本:和太鼓に関わること自体が、自分にとって学びの場だと最近思います。舞台に立つのが自分たちの仕事で、そのためにがむしゃらに稽古するのも大事ですが、海外公演に行っていろんな人と交流したり、仕事を通していろんなジャンルの人と関わらせてもらって面白い話を聞いたりすることで、自分たちのアイデアの参考になることもあります。この間は科学者の方に会いましたね。違う分野の話を聞くと視野が広がりますし、そんな出会いから刺激を受けて、僕は30歳を過ぎてから勉強が好きになって本を読むことが増えました。太鼓を通してさまざまな経験ができることがすごく嬉しいです。それらが自分の中に蓄積されて、どんどんいい太鼓が打てるようになりたいです。

鼓童の坂本雅幸さん(左)と船橋裕一郎さん=撮影・桝郷春美

鼓童の坂本雅幸さん(左)と船橋裕一郎さん=撮影・桝郷春美

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