「祈ることが芸能に発展していく」 鼓童「混沌」ドラム監修、梶原徹也(下)

島根県三瓶山北の原にて=写真提供・梶原徹也さん

梶原徹也さんのインタビュー後半は、今後の活動などについて紹介します。有料会員向け部分では、坂東玉三郎氏についての印象、鼓童の若手メンバーに伝えたいことなどのお話を伺いました。

梶原徹也さん=撮影・桝郷春美

梶原徹也さん=撮影・桝郷春美

■今の時代、ここまでストイックに!

――2011年以降、梶原さんの今後の活動の方向性が見えてきた中で、約4年前の鼓童さんとの出会いは自然な成り行きだったのでしょうか。

そうですね。僕の中では、自然な成り行きでした。人間が生きていくのに本当に必要なエネルギーがあるとしたら、鼓童さんの活動は、まさに全身全霊でそこに向かっている感じがします。彼らは、今の時代にここまでストイックに!という感じで日々、太鼓に打ち込んで精進しています。僕自身も、本当にやりたい活動に向かう流れの中にいますので、そんな時期には、互いに目指すものが合わさって一つに集まってくるんだなという感覚はあります。

――鼓童の曲について、梶原さんの印象は?

鼓童の代表曲は、神社の祭りのリズムから頂いているものが多いんです。昔のメンバーが神社に何年も通って習得し、許可を頂いて鼓童風にアレンジしている曲が何曲もあります。例えば、埼玉県の秩父神社の「秩父夜祭」で演奏されている「屋台囃子」という曲。これも鼓童の代表曲ですが元々、秩父神社のお祭りのための神様に向けた音楽です。太鼓は本来、神様に祈ることに通じていて、それが芸能に発展していく。そんな太鼓を叩くことの根本について、私自身も再確認させていただきました。さらに、そのようなことを鼓童の若いメンバーに伝えてほしいと外の人から言われることもあります。

「鼓童ワン・アース・ツアー2016 ~混沌」公演より=撮影・岡本隆史

「鼓童ワン・アース・ツアー2016 ~混沌」公演より=撮影・岡本隆史

■太鼓の持つエネルギーをドーンと伝えて行きたい

――これからの鼓童さんとの関わりは?

ここまでがっつりドラムが作品の中に入るのは、現在地方公演中の「混沌」で一段落だと思いますが、それを更に次の段階に落とし込むアイデアを鼓童のスタッフやメンバーと話しているところです。それがどういう形で日の目を見るか、今はまだ発表できませんが、一つ言えるのは、メンバーの小田洋介さんと私が一緒にやっている「えびす大黒」という太鼓とドラムのユニットがありまして、ああいう感じのことを続けて更に発展させていきたいです。

ポジティブなところとより太いラインをつないで、太鼓の持つエネルギーをドーンと皆さんに伝える。そんな感じでどんどん行きたいですね。そんなことで頭がいっぱいです(笑)。

「鼓童ワン・アース・ツアー2016 ~混沌」公演より=撮影・岡本隆史

「鼓童ワン・アース・ツアー2016 ~混沌」公演より=撮影・岡本隆史

<鼓童ワン・アース・ツアー 2016 ~混沌>(6月21日以降分)
2016年6月22日(水)兵庫県明石市 明石市立市民会館(アワーズホール)
2016年6月24日(金)高知県高知市 高知市文化プラザかるぽーと(大ホール)
2016年6月26日(日)鳥取県鳥取市 鳥取市民会館
2016年7月2日(土)愛媛県松山市 松山市民会館
2016年7月3日(日)愛媛県宇和島市 南予文化会館
2016年7月5日(火)山口県岩国市 シンフォニア岩国
2016年7月8日(金)佐賀県佐賀市 佐賀市文化会館 大ホール
2016年7月10日(日)福岡県北九州市 北九州市立黒崎ひびしんホール
2016年7月12日(火)大分県日田市 パトリア日田大ホール
2016年7月14日(木)宮﨑県延岡市 延岡総合文化センター
2016年7月22日(金)長野県長野市 長野市芸術館メインホール
2016年7月24日(日)静岡県焼津市 焼津文化会館

<関連ページ>
「太鼓芸能集団 鼓童」のホームページ ⇒http://www.kodo.or.jp/index_ja.html
梶原徹也のお風呂でコーヒーもう一杯! ⇒http://ameblo.jp/tetsuya-kajiwara/

<プレゼント>
梶原徹也さんのサイン色紙と写真1枚をセットにして、抽選でアイデアニュース有料会員(月額300円)3名さまにプレゼントします。応募は以下のフォームからお願いします。応募の際に記入いただいたメッセージは、コメントのページ(⇒こちら)に掲載します。応募締め切りは7月4日(月)。当選者の発表は発送をもってかえさせていただきます。(このプレゼントは締め切りました。ご応募ありがとうございました。)

<ここからアイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分>

■「アマテラス」に新しい世界が生まれるメッセージを感じた

■芸術監督の玉三郎さんは、別の視点から俯瞰して、まとめられる方

■楽しいことや、できる!っていうポジティブなエネルギーを伝えていきたい

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■「アマテラス」に新しい世界が生まれるメッセージを感じた

――梶原さんと鼓童さんとの関わりは4年目に入りました。

私が鼓童さんに関わり出した時期に「アマテラス」の再演がありました。坂東玉三郎さんがアマテラス役で主演し、鼓童と共演する日本神話を元にした作品ですが、東日本大震災以降に見たタイミングもあって舞台上で表現された岩戸開きが、新しい世界が生まれるメッセージのように僕には感じました。

「アマテラス」再演の前に、スサノオ役に抜擢された小田洋介さんと「出雲に行くぞ!」と言って(笑)、現地の友達に案内してもらいながらスサノオノミコトゆかりの神社をまわりました。小田さんもいろいろと感じていたようですから、この話については、ぜひ本人にインタビューしてもらいたいですね。僕にとって、「アマテラス」という演目はご神事だったんです。

「鼓童ワン・アース・ツアー2016 ~混沌」公演より=撮影・岡本隆史

「鼓童ワン・アース・ツアー2016 ~混沌」公演より=撮影・岡本隆史

■芸術監督の玉三郎さんは、別の視点から俯瞰して、まとめられる方

――鼓童での玉三郎さんの存在について、梶原さんはどのように見ていますか?

鼓童メンバーは日々、和太鼓中心の生活を送っています。和太鼓のことは分かるけど、そこから和太鼓で世の中とどう関わっていこうという部分はちょっと見えづらかったりします。それはロックの世界でも同じで、そこは常に考えながらやらないといけない。そういう中で、玉三郎さんが芸術監督として来られたのは、別の視点から俯瞰できて、全体をまとめることができる方として鼓童が必要としたのでしょう。

「鼓童ワン・アース・ツアー2016 ~混沌」稽古より=撮影・岡本隆史

「鼓童ワン・アース・ツアー2016 ~混沌」稽古より=撮影・岡本隆史

――玉三郎さんが俯瞰する立場だとしたら、ドラム監修として鼓童の方々にドラムを伝授するという梶原さんの立ち位置は、ご自身でどのように捉えていますか?

今回の「混沌」でドラムを取り入れることも、玉三郎さんのアイデアが具現化しています。僕の立場としては、具体的に技術を教えるのはもちろんありますが、現場監督的なところもあります。

玉三郎さんは、芸道の在り方についても教えてくださっていますが、僕はそれをもう少し近い位置から分かりやすく伝える。玉三郎さんの行こうとしている芸道をいくには、もう一度、神様と関係をつながり直してやらなきゃいけないんだよ、といったことをアドバイスする役割。ひょっとしたら、そんなニュアンスもあるのかなとも思います。

僕は、佐渡島で合宿する時は必ず毎朝、神社に行ってお参りをするんです。芸をする時は、神様にご挨拶してから始まる。それが天と地とつながっていく第一歩になるので。それを玉三郎さんがやっていたとしたら、ごく当たり前に見えるかもしれないですけど、モヒカンのパンクロッカーがやっていたら、より身近に感じるのではないかと思います。

愛媛県龍光院にて(和太鼓奏者友岡氏と)=写真提供・梶原徹也さん

愛媛県龍光院にて(和太鼓奏者友岡氏と)=写真提供・梶原徹也さん

■楽しいことや、できる!っていうポジティブなエネルギーを伝えていきたい

――梶原さんご自身はこれから、どういう風に進んでいかれますか。

関西に拠点を移して、自分のやりたいことにどんどんシフトしていますので、それを押し進める感じですね。ドラム叩くこと自体は変わりませんが、そこで必ず、天と地とつながっているという意識は絶対に忘れない。ロックンロールをやるにしても、そこが基本です。

島根県三瓶山北の原にて=写真提供・梶原徹也さん

島根県三瓶山北の原にて=写真提供・梶原徹也さん

何で世の中こんなにギスギスしているんだろうという部分もありますが、ネガティブな方に目を向けてしまうと、そこばかりが気になって腹が立ってくるのであまりフォーカスしないようにしています。もっと楽しいことや、できる!っていうポジティブなエネルギーと仲良くして、伝えていきたいです。

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