「男役とか女役とか関係なく」、『パジャマゲーム』出演・北翔海莉インタビュー(上)

北翔海莉さん=撮影・岩村美佳

2017年9月25日から10月29日まで東京と大阪で上演されるミュージカル・コメディ『パジャマゲーム』。タカラヅカ卒業後、この作品が待望のミュージカル初出演となる北翔海莉さん。インタビューは制作発表の後に行われ、初「女優」としての意気込みや相手役・新納慎也さんのこと、退団後の新たに始めたこと、そしてこれからの道についてまで、様々な話が飛び出した。常にファンの方々のことを思いやりながら話す北翔さん。「タカラヅカという枠」から飛び出した今を満喫している感じにあふれる、気持ちの良いインタビューとなった。

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北翔海莉さん=撮影・岩村美佳

北翔海莉さん=撮影・岩村美佳

1)今まで2500席の劇場で歌っていたのに、歌唱披露はとてつもなく緊張しました

――私も先ほど制作発表を拝見させていただいたのですが、とても北翔さんらしいスタートで嬉しくなりました。

ありがとうございます。

――制作発表で伺えなかったお話もお聞きしていきたいと思います。まず、歌唱披露が生演奏でとても豪華でしたが、 歌ってみていかがでしたか?

女性のキーで披露するのが初めてでしたから、 今まで2500席の劇場で歌っていたのに、とてつもなく緊張しましたね。「女性としてどう居たらいいんだろう?」みたいな部分もあったので(笑)。 でも、新納さんが登場されてからはちょっと安心して、相手役さんがいるっていいなと思いました(笑)

――やっぱり娘役さんが相手役のときとは全然違うんですね。

そうですね。 自分が身を委ねていいんだと思いました。タカラヅカでは逆の方向でしたからね。

――でも、私は全然違和感がなかったです。元・男役さんだった方が外の舞台で初めて歌われると、 やっぱり大変そうだなと感じてしまうことが多いのですが、全然そんな感じがしませんでした。

そんなそんな。 なんとかごまかせたってことで(笑)

――何か「秘密の特訓」をされたのですか?

もともとジャズのスキャットなどで高音も今まで出してきていましたから。それでもソプラノで歌う機会はずっとなかったですし、まだ声変わりも途中段階ですから、本番までにはしっかりと強化したいなと思います。

――そのためのレッスンなども?

そうですね、 今までにない発声法もやり始めました。

北翔海莉さん=撮影・岩村美佳

北翔海莉さん=撮影・岩村美佳

2)新納さんは穏やかで楽しくて、力まずに委ねることができる方

――相手役の新納さんもとても面白い方で、 その新納さんが北翔さんと組まれるというのが私の中ではすごいツボなのですが……。

そうなんですね、ツボなんですね(笑)

――今日の制作発表でもすでに面白さを発揮されていましたが、初めてお会いした時の印象は?

歌稽古で初めてお会いしたのですが、稽古場に入った瞬間に空気がとても穏やかだったので、「ああ、安心できる人だな」とまず感じました。いつも穏やかで楽しくて、そしてユニークで、私自身も違和感なくというか、力まずに委ねることができる方ですね。今回は他にも本当に面白いパフォーマーの方々がそろっているので、早く稽古場で皆さんとお稽古したいです。

――北翔さんと新納さんですし、コメディですし、アドリブは期待できるのでしょうか?

作品的にあまりふざけられないんですよね。ふざけろと言われたらいくらでもできるのですが……。 今までお互いキャラクターものが多かったのに、 今回は二枚目と言いますか、 真面目な男性と女性の役なので、本来のお笑いの部分はあまり出さないと思うんです。本当に「役替わり公演」がない限りはね(笑)。

――「役替わり公演」も是非実現してほしいです。「お笑い」が本来なんですね(笑)

でも、いつも三枚目をやる人が二枚目をやる面白さもあると思うんです。

――そういう人だからできる事って何かあるんですか?

たとえば藤山寛美さんが二枚目をやったときって強烈にかっこいいんですよ。それと一緒だと思います。 役者魂といいますか、芝居心がわかっているからこその二枚目ができるんです。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、宝塚歌劇団の東京サヨナラ公演千秋楽の翌日の様子などについて語っていただいた、インタビューの全文を掲載しています。また、今後のコンサートのことなどについて伺ったインタビューの後半は、3月17日に掲載します。また、『パジャマゲーム』で北翔さんと共演される新納慎也さんのインタビューも、近日中に掲載する予定です。

<有料会員限定部分の小見出し>

3)ベイブの恋愛に対する不器用さに、 北翔海莉の不器用さがそのまま重なりそう

4)2017年の『パジャマゲーム』として、トムさんのカラーを出していけたら

5)今でも在団生から毎日のように連絡が。中には「喝を入れて」という人も

<ミュージカル・コメディ『パジャマゲーム』>
【東京公演】2017年9月25日(月)~10月15日(日) 日本青年館ホール
【大阪公演】2017年10月19日(木)~10月29日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
http://pajama-game.jp/

<関連サイト>
北翔海莉オフィシャルサイト
https://hokushokairi.fan-club.link/

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北翔海莉さん=撮影・岩村美佳

北翔海莉さん=撮影・岩村美佳

3)ベイブの恋愛に対する不器用さに、 北翔海莉の不器用さがそのまま重なりそう

――女優さんとしての不安もあるという話が先ほどもありましたが、一番不安なことは?

まず立ち方がわからない、歩き方がわからない。そこから、女装の役を経験されている新納さんにきちんと伺って(笑)、勉強したいなと思います。

――でも、こういう言い方をしていいかわかりませんが、 先ほどはとても可愛らしかったです。

本当ですか! そこ太字で(笑)。「太字」が今日の制作発表からのキーワードですから、太字でお願いします。

――ファンの方の印象はどうかしらと気にされていましたが……。

どうかしら? どうだろう?

――私は制作発表での新納さんと同じ意見で、 可愛らしさ全開でいいのではないかと思ったのですが。

ラブシーンもありますから、そこは気になるところですね。自分がまず抵抗があるといいますか、女としてラブシーンを演じることに慣れていないので、ベイブの恋愛に対する不器用さに、北翔海莉の不器用さがそのまま重なるんじゃないかと思います。

――でも、そこがまた、ときめきポイントになりそうですね。

北翔海莉さん=撮影・岩村美佳

北翔海莉さん=撮影・岩村美佳

4)2017年の『パジャマゲーム』として、トムさんのカラーを出していけたら

――今回、演出を担当されるトム・サザーランドさんが北翔さんに惚れ込まれたそうですね。

光栄なことです。タカラヅカの男役出身だからこそ出せるベイブの味みたいなものをトムさんがどう料理してくださるか楽しみです。2017年の『パジャマゲーム』として、トムさんのカラーを出していけたら面白いと思いますね。

――何となく「古き良き」みたいに言われがちな作品でもあると思うのですが……。

それをリニューアルというか、 現代の日本ならではの味付けをいかにできるかですね。その意味で、今回のキャストは本当に面白いと思うんです。今回の役者にしか出せない味がやっぱり あるので、それをうまく作品に乗せて行きたいです。

――何が「新しさ」になるのかを、私もとても楽しみにしています。

北翔海莉さん=撮影・岩村美佳

北翔海莉さん=撮影・岩村美佳

5)今でも在団生から毎日のように連絡が。中には「喝を入れて」という人も

――ふと数えてみたら、 ご卒業されてからまだ3カ月です。

でも「もう3カ月」ですよ。目まぐるしく働いております(笑)

――東京のサヨナラ公演千秋楽の翌日はどのようにお過ごしでしたか?

クリスマスディナーショーまで1カ月を切っていたので、 翌日の朝一からお稽古のため動いていました。卒業を実感する間もなく次のステージへと動き出したのですが、引越しをして「もう兵庫県にはいないんだな」と思ったとき「辞めたんだな」と実感しましたね。今では自分がタカラヅカのあのステージをやっていたのが信じられないぐらい。今でも在団生から毎日のように連絡が来るのですが、何だかもうみんなすごいなと思います(笑)

――どんな連絡が来るんですか?

いろいろですね。 寂しくなったから連絡してくる人もいれば、悩み相談してくる人もいるし、中には喝を入れて欲しくて連絡してくる子もいます。ありがたいことに専科時代に全組をまわらせていただいて400人ぐらいと友だちになりましたので、各組に知り合いがいるんです。

――未だ頼られる存在なんですね。

いやいや……(笑)。

――よく「組カラーが違う」と言われますが、5組とも経験された北翔さんはそれを実際体験して語れる稀有な方だと思うのですが。

はい。私はタカラヅカ100周年に全組立ち会った人ですから。

――実際のところ、どう違うのですか?

組のカラーというよりトップのカラーの違いですよ。 組じゃないんです。

――そうなんですね!

たとえば花組は蘭寿とむさん時代の『オーシャンズ11』も出ましたし、 『エリザベート』の明日海りお君の時代も経験していますが、「花組が」じゃないんですよ。トップのカラーで変わるんですよ。

――なるほど……。

星組も、私の時代は私のカラーだったと思うけれど、 今は星組というより紅ゆずるさんのカラーになっているので、トップが持つ雰囲気がやはり影響するのだろうと思いますね。

――卒業してからタカラヅカの舞台はご覧になりましたか?

紅さんのプレお披露目公演(オーム・シャンティ・オーム)は国際フォーラムの2階の後ろで見させていただきました。みんな、よく頑張ってましたよ!

北翔海莉さん=撮影・岩村美佳

北翔海莉さん=撮影・岩村美佳

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“「男役とか女役とか関係なく」、『パジャマゲーム』出演・北翔海莉インタビュー(上)” への 10 件のフィードバック

  1. りょうさん より:

    宝塚をゆるく観ていたライトファンでしたが北翔カラーの星組にはまりました。
    退団でもういつ舞台で会えるかわからないと悲嘆していたのが八面六臂のご活躍でうれしい悲鳴です。
    インタビュー記事拝読してパジャマゲームますます楽しみです。
    素敵な記事ありがとうございました。

  2. ピエール より:

    みっちゃんの飾らない言葉で、今の気持ちが語られていて、とてもうれしく読みました!
    はじめての女役ってどうなんだろうって「パジャマゲーム」のことを考えていましたが、とても楽しみになりました。性別なんて関係なく、先入観にとらわれずに素直に、舞台を楽しみたいと思います。
    宝塚卒業後もみっちゃんロスになることなく追いかけられるのは、とても幸せです。
    みっちゃん、ありがとうございます!!

  3. たんぽぽ より:

    インタビューを読ませていただいて、いつも変わらない自然体で真摯なみっちゃんの言葉に心がほっこり温かくなりました。「パジャマゲーム」の出演者も素敵な方々ばかりで、みっちゃんの優しいスマイルが皆さんを巻き込んで、楽しくて、素晴らしい舞台になる事間違いなしの予感がします!これからも北翔さんのインタビュー記事をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

  4. まつげん より:

    みっちゃんの素の部分をそのまま引き出してくれた、いいインタビュー記事ですね!
    宝塚現役時代に、頼れる男役だけど、可愛いさいっぱいだったみっちゃんが、そのままの魅力を持ち続けて新しい世界に挑戦している姿が、存分に感じられました!

  5. みゆ より:

    素敵な記事とお写真を楽しく拝見しました。本当にありがとうございます。よくご存知だからこそ聞ける突っ込んだ内容で、面白かったです。次回も楽しみにしております。

  6. るみたん より:

    北翔さんの記事ありがとうございます。
    中本さんの記事は、いつも読むたびに聞いて頂きたいことを、聞いて頂けて読んでいていつも気持ちがいいです。ありがとうございます。
    これからも、北翔さんの記事を載せて頂けると嬉しいです。

  7. サクラ より:

    愛情深い、素晴らしい記事をありがとうございました。北翔さんが大好きで大変尊敬しており、退団された後もどんなお仕事をされるかずっとわくわくしています。実力では宝塚の枠を既に超えていたと方だと思うので、これからも外部で舞台女優さんとしてご活躍されることを願っています。こちらのサイトでこれからも引き続き北翔さんのインタビューを載せていただけると嬉しいです!楽しみにしています。

  8. ハナシキブ より:

    こんにちは。素敵な記事をありがとうございます。卒業されてからの北翔さんのご活躍を、大変楽しみにしております。
    これからも、どうぞ見守ってください。
    よろしくお願いいたします。

  9. まりもり。 より:

    北翔さんへのインタビュー、とても楽しく読ませていただきました。
    中本さんの宝塚への関心の深さ、分析力と文章力と共に、通り一遍ではない愛に満ちたインタビュー内容で、一問一答で北翔さんも、ファンの知りたい内容についてもリラックスして答えてくださっているようで素敵な記事でした。
    お写真も美しく、後半も楽しみにしております。

  10. やっちん より:

    中本さんの書かれる記事は他とは違って、すごく愛情深くファン目線で聞いてくださることが多いので、どうしても購読したく会員にならせていただきました。北翔さんへのインタビューも私たちが知りたかったことがいっぱい!他の媒体とは違う角度で聞いてくださっていて、北翔さんも心を開いて答えてくださってるように思いました。これからもファンが知りたい素敵な記事を期待してますので、よろしくお願いします。

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