「尊敬でき、追うことができる。初めて思った」、橋本さとし&小西遼生対談(下)

橋本さとしさんと小西遼生さん=撮影・岩村美佳

2018年1月12日(金)から、東京、福岡、愛知、兵庫で上演される、Japanese Musical『戯伝写楽 2018』に、斎藤十郎兵衛役で出演する橋本さとしさんと、喜多川歌麿役で出演する小西遼生さんの対談インタビュー、後半です。有料会員限定部分では10年間何度も共演してきているお互いについて伺いました。

橋本さとしさんと小西遼生さん=撮影・岩村美佳

橋本さとしさんと小西遼生さん=撮影・岩村美佳

――今回、おせい役には新たに中川翔子さんがキャスティングされましたが、どんなおせいですか?

橋本:守ってあげたくなります。出会ったときは、自分の野心や野望のために「こいつ使えるな、ちょっとおもしろいな」と思うんですが、シーンを重ねていくごとに、だんだん守ってあげたいなと思わせてくれるんですよね。これは、かずきさんがよく描く「男は女を守るもんだ」というようなものが自然に出てきていて、今回やっとそこに行き着けたかなという感じがします。彼女は本能的な人なので、本能の部分で訴えかけてくるんです。演技や芝居、技術の問題ではなくて、彼女が醸し出すものが役柄の関係性に結びついてきている気がしますね。

――小西さんは、『ブラック メリーポピンズ』でご一緒されていますね。

橋本:あのときも客席で見ていてめっちゃ思った。彼女の芝居を共演者としてではなく、客席から観たときに、「この子を誰かが守ってあげなきゃいけないな」って。それを遼生たちが、がっつり妹としてガードしてあげていたのを客席でも感じた。

小西:本当ですか? 兄弟という役柄で、そういう関係性をちゃんと稽古場でも作れていたから、やはり作品をやっているときも愛おしかったです。それは関係性を作ったこともあるんですが、しょこたん(中川さん)自身がそういう人なんですよね。一見、何を考えているか分からなかったり、人見知りなところがあるんですが、意外とすごく真っ直ぐで、人間っぽい人で、頭で余計なことを考えるんじゃなくて、本能で人と向き合ってくる。楽しいときは楽しいんだってすごく伝わるし、そういうエネルギーを持っている人なんです。『ブラック メリーポピンズ』よりも、さらに今回のおせいという役は、しょこたんの持っているものの出しどころが、とても広く、たくさんあるので、舞台でもっと魅力的にお客さんに伝わるんだろうなと感じていますね。

橋本:ハマリ役だと思いますよ。ハマっているから、彼女の芸能生活においてポイントとなるものに、ならせてあげたい。それは、周りによっても変わってくることだと思いますから。おせいは、彼女が自覚していなくても、観た人が「しょこたんはまってるね」と絶対に思うと思いますので、楽しみですよ。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、『魔都夜曲』から引き続いてのメンバーについて、さらに2007年、2009年『レ・ミゼラブル』、2009年『ジェーン・エア』、2010年『戯伝写楽』、2012年『 ジェーン・エア 』再演、2015年『十二夜』、『シャーロック ホームズ2』、2017年『魔都夜曲』、2018年『 戯伝写楽 2018』と10年間共演してきた橋本さんと小西さんについて伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■橋本:村井國夫さんとこんなに芝居ができる役者人生になるなんて

■小西:お客さんには、劇団だと思われないようにしないと(笑)

■橋本:遼生が稽古場にいないと、少し寂しい

■小西:大先輩なのに、安定してねぇなっていう(笑)

■小西:2010年版を観てくださっている方には、ぜひ観に来ていただきたい

■橋本:ぜひ小西遼生の色気にメロメロになってもらって

<cube 20th Presents Japanese Musical『戯伝写楽 2018』>
【東京公演】2018年1月12日(金)~1月28日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
【福岡公演】2018年2月3日(土)~4日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランド
ホール
【愛知公演】2018年2月7日(水) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【兵庫公演】2018年2月10日(土)~12日(月・休) 兵庫県立芸術文化センター 阪
急 中ホール
チケット発売中
公演オフィシャルサイト
https://sharaku2018.amebaownd.com/

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※橋本さとしさんと小西遼生さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは1月22日(月)です。(このプレゼントの応募は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

小西遼生さん=撮影・岩村美佳

小西遼生さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■橋本:村井國夫さんとこんなに芝居ができる役者人生になるなんて

――他のみなさんはキューブの面々が勢ぞろいな感じですね。

橋本:去年夏にやった『魔都夜曲』みたいな空気(笑)。スタッフも一緒ですからね(笑)。居心地よくさせてもらっていますよ。でも、冷静に考えたら村井國夫さんとこんなに芝居ができる役者人生になるなんて、思ってもみなかったですね。必ず、年に1、2回村井さんと舞台に立てるなんて、めちゃくちゃ幸せなことだと実感しますし、近くで村井さんの芝居を見て、大先輩がまだ現役で、チャーミングさを持ち合わせながらやっていらっしゃることに、勇気を与えて頂き、追いかけさせてもらっています。「あ、また村井さんと一緒や」という存在ではない。「ちゃんと台詞覚えなあかんな」って、ぴしっとしますよ。

橋本さとしさん=撮影・岩村美佳

橋本さとしさん=撮影・岩村美佳

■小西:お客さんには、劇団だと思われないようにしないと(笑)

――小西さんはいかがですか?

小西:お芝居って普通だったら、1ヶ月から1ヶ月半稽古があって、長い時間一緒にいられるなと思うんですが、やっぱり短いと思うんですよ。

――本番を合わせても2、3ヶ月ぐらいですもんね。

小西:やはり商業演劇という、元々同じ釜の飯を食っていた人ではない人たちが集るのに、一つのものを全員で作りあげるには短いと思うんですよね。そういう意味で、『魔都夜曲』のときから近い時間で、結構な人数が集まっていると、稽古の1ヶ月半と本番の2~3ヶ月の間の中で知った相手のことなどがあって、やはりお芝居のコミュニケーションなどが格段によく取れるんですよね。もちろんオフで話すときも盛り上がりますが、やはりお芝居をしているときに、「こういう風にくるんだな」というのがとても伝わるので、「全体をどうやって作っていこう」と考えやすかったりしますし、役の感情をもらいやすかったり、入りやすかったりします。そういう意味では『魔都夜曲』から引き続いてのメンバーというのは、安心感がありますね。

――それがみなさんと繰り返しできる、メリットというところでしょうか。

小西:お客さんにはチーム、劇団だと思われないようにしないと(笑)。

橋本:僕は劇団出身なので、やはり自分の居場所や、常に芝居をやっている顔を見る環境にいました。退団して孤独な役者になって、ひとりでやっていたら、劇団ではないけれど同じ事務所で、みんなでまた集まったりもして。遼生も言いましたが、僕らは芝居をやっている時だけではなく、会社のパーティなどでも会う機会があるので、そんな家族的な関係性は、とても嬉しくありがたいですし、安心感があります。

小西遼生さん=撮影・岩村美佳

小西遼生さん=撮影・岩村美佳

■橋本:遼生が稽古場にいないと、少し寂しい

――お互いのこれまでのお話をお伺いしたいのですが、2007年、2009年『レ・ミゼラブル』、2009年『ジェーン・エア』、2010年『戯伝写楽』、2012年『ジェーン・エア』再演、2015年『十二夜』、『シャーロック ホームズ2』、2017年『魔都夜曲』、2018年『戯伝写楽 2018』。10年間ですごい共演回数ですね。

橋本:遼生が稽古場にいないと、少し寂しい。

小西:(笑)。ありがたいです、本当に。

橋本:こんなに共演しているけれど、絡みがある芝居は少なかったよね。一緒のカンパニーにいるという環境の方が大きくて、「今回遼生おらへんな」って。「遼生、今頃何してるんやろ」「何の舞台してるのかな」って、常に気になるし、そうかと思えば、遼生の名前が入っていて、一緒だと嬉しかったりするし。『レ・ミゼラブル』で初めて出会ったけれど、あのときは自分のことで必死だった。

小西:バルジャンですからね。

橋本:遼生を担いだりしながら、「こいつ、ミュージカルっぽくないな」という印象だったんです。声の出し方から、歌として吐き出す感情から、「この人初めてやけど、ミュージカルっぽくないな」って。僕もミュージカルっぽくない役者だったから、何か共感めいたものをとても感じていて、そこから縁があって一緒にやらせて頂いていて、今は信用できる後輩であり、弟分であり、共演者でもあるという存在になりました。今渇望するのは、遼生とがっつり芝居がしたい。遼生が、芝居がすごく好きな人というのは、もう分かっているから、「がっつり組んだ芝居をやりたいな」と思う。

橋本さとしさん=撮影・岩村美佳

橋本さとしさん=撮影・岩村美佳

■小西:大先輩なのに、安定してねぇなっていう(笑)

――今の話を受けて、小西さんいかがですか?

小西:僕も最初に『レ・ミゼラブル』で共演させて頂いたときに、まず、こんなに長く、たくさんの作品でご一緒することになるとは思っていなかったです。レミゼのカンパニーって80人くらいいたんですね。僕の中で、人と比べてという訳ではないんですが、さとしさんって、すごく信用できる人だったんですよ。それは演劇的にもそうだし、人間的にも。本当に未熟な自分でいるときに、誰々の技術、「歌うまいな」「芝居うまいな」というところに惹かれやすいような気がするんですが、何よりも「さとしさん」という人自体にすごく安心感や、存在感を感じたんです。出会いの時は人数が多いカンパニーのうえ、クワトロキャストでしたから、さとしさんのことをよく知っていた訳ではないですが、どんどん共演すればするほど、すごく底がない人だなと(笑)。

――底がない人?

小西:大先輩なのに、安定してねぇなっていう(笑)。

橋本:(笑)。

小西:安定というのは悪い意味ではなくて、狭いところに収まっていない人という印象があって。『ジェーン・エア』のときに、「この人、本当にかっこいいな」と思ったんです。『ジェーン・エア』は、ジョン・ケアードが演出した作品ですが、いわゆる普段のさとしさんの、すべてをおもしろく変えていくようなものを一切封印した芝居だったんですね。その時に「芝居に人間が出るって、こういうことなんだ」というのを、身近で初めて感じました。「もっと共演できたらいいな」と思っていたら、そこからまた縁が続いたんです。『ジェーン・エア』ぶりにさらに深くなったさとしさんを、今、稽古場で目の当たりにしているんですよ。『魔都夜曲』でももちろん格好いいと思いましたし、「今めっちゃ色気出まくってますよ」と言ったんです。芝居に持っていこうと一つ一つやっている姿が、「すっげぇ! かっけぇ!」と思っていて。食事に連れていってもらう機会が増えて、話す時間も格段に増えたので、今まで実は欲しかったのにいなかった先輩というものや、役者の中での兄貴分という人が初めて出来たと思っています。尊敬でき、ついて行くことができ、追うことができる。初めてそう思ったんですよ。

橋本:遼生にこんなに褒められる役者、いないですよ(笑)。

小西:僕は冷静な時が多いですよ(笑)。

――相思相愛ですね(笑)。

小西:この間も車の中でそんな話をしていて。

――将来、今おっしゃったような、がっつり芝居をする作品を期待しています。

橋本:ただね、遼生はよく僕の歌を練習している瞬間があるんです。油断できない存在でもあるんです(笑)。

小西:さとしさんの歌を歌って、さとしさんが練習しているときは、2010年版のときの歌詞で歌ってやるみたいな、邪魔するゲーム。

――楽しそうですね(笑)。

橋本:油断できない奴なんです(笑)。

小西:虎視眈々と。「格好いいな、その役」ってずっと思っていますからね!

■小西:2010年版を観てくださっている方には、ぜひ観に来ていただきたい

――最後に『戯伝写楽2018』に向けて、メッセージをお願い致します。

小西:2010年版を観てくださっている方には、ぜひ観に来ていただきたいんですよね。一つの作品がここまで違うものに変わっていくことって、なかなかないことです。しかも、それがちゃんとお客さんに届くように僕らが意識して作品を作っているので、今回は2010年版を観た方に面白いと感じていただくことが、一つの目標だと思ってやっています。そして、お正月明けの興行なので、この作品のテーマである「生きている人たち」というのも、1年の始まりにすごく前向きな、ポジティブなエネルギーだと思います。底抜けに明るい作品ではないですが、1年のエネルギーになるものがかなり溢れているので、景気づけに観に来ていただきたいと思います。

――お正月明けに、和の感じもいいですよね。

橋本:ぴったりだと思いますよ。これを観て、2018年をいい年にしてもらいたいなと思います。遼生が言ったように、前向きにみんなが進んでいくという、本当にポジティブなエネルギーに満ち溢れた作品です。人はストレスなど、色々なものを抱えていますが、様々なことにもがき苦しみながらも、行き着くところは必死に生きていくしかない。それがマイナスではなく、プラスの方へ行きたいですよね。不幸せになりたくて生きている人は、どこにもいないと思うので、幸せになるために、みんな一生懸命生きているんだなと、この作品を通して感じて頂けたら。エンターテイメントとしてだけではなく、行き着くところが、それぞれの生き様だと思うので、それをエンタメとしても、テーマとしても感じてもらえればいいなと思います。

■橋本:ぜひ小西遼生の色気にメロメロになってもらって

――どの役も生き方が素敵ですよね。

橋本:どのキャラも愛すべきキャラクターです。観る人によって、どのキャラクターに感情移入していくのか。そういう風に観てもらえれば、より楽しめるし、何回も観たくなると思う。

小西:何より、今のさとしさんを観なきゃ損ですよ。今の十郎兵衛のさとしさんを。

橋本:何をおっしゃいますやら。ぜひ小西遼生の色気にメロメロになってもらって。こいつ、声も目もいい意味で暗さがあるんですよ。

小西:(笑)。隠せませんからね。

橋本:ダークなところがね。人間痛みとか、色々なものって、体のどこかから出てくるんだろうなと思いますし、その痛みを知っていて、それがふっと出てくる瞬間って色気なんですよね。遼生を見ていたら、何があって、どう育ってきたまでは分からないけれど。

小西:(笑)。

橋本:僕がもっていない暗さというものは、すごく感じるな。

――おふたりの魅力も、作品のエネルギーも、楽しみにしてます。ありがとうございました。

橋本さとしさんと小西遼生さん=撮影・岩村美佳

橋本さとしさんと小西遼生さん=撮影・岩村美佳

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“「尊敬でき、追うことができる。初めて思った」、橋本さとし&小西遼生対談(下)” への 6 件のフィードバック

  1. 銀狐 より:

    岩村さんのファンの的を得た文や写真、大好きです❣️

  2. ことり より:

    上下共にとても読み応えがあり、『戯伝写楽』ますます楽しみになりました!お二人の関係性もうかがい知れてほっこり。素敵なインタビュー、そして、いつも素敵なお写真を本当にありがとうございます。

  3. より:

    ステキなおふたりへのインタビュー、楽しく読ませていただきました。
    小西くんの色気、すごく感じます。舞台がとても楽しみになりました!

  4. るみ より:

    お互いの相思相愛ぶりにホッコリしました。
    私だったらあんな事言われたら泣いちゃいます(笑)
    戯伝写楽、もちろん楽しみですがお二人がガッツリ組んだお芝居も観てみたいです。

  5. ぽち蔵 より:

    お二人の関係性がとてもよく分かって、以前から望まれているお二人のがっつり芝居をますます観たくなりました。
    その時は是非また対談を組んで下さいませ〜!

  6. 桜子 より:

    聞いてみたいなぁのあれやこれやが たくさんつまったお話に 読んでいて嬉しくなったり泣きそうになったり。お写真も…とにかくツボでした(笑) 作品もですが これからもこういった記事を楽しみにしています(^^)

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