「ヤングフランケンシュタインは、思い切って」、瀬奈じゅんインタビュー(下)

瀬奈じゅんさん=撮影・岩村美佳

2018年2月7日に開幕する「A NEW BROADWAY MUSICAL『FUN HOME ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』」に主演する瀬奈じゅんさんのインタビュー、後半です。有料部分では、昨年の出演作品などについても伺いました。

瀬奈じゅんさん=撮影・岩村美佳

瀬奈じゅんさん=撮影・岩村美佳

――ブロードウェイの映像を拝見すると、アリソンが父がいたときを振り返っていく描き方ですよね。小学生時代、大学生時代の自分と父を舞台上で見ているシーンが多かったですが、当時の父を想像して見ているというのはどう思いますか?

多分、私が演じる43歳の役のアリソンというのは、その想像だけで現在生きていて、「どうしてパパは自殺したんだろう、どういう思いでいたんだろう」という想像を張り巡らせながら、父を思いながら漫画を描いていたりするわけじゃないですか。でも小学生時代や大学生時代のアリソンは、実際にそういう事がわからない間に、父の葛藤とかをわからない間に過ごしているから、まだあまり父を思い巡らしていない段階。でも、きっと何か感じるものがあって、感じる事はあるけれども、日々自分が生きて行く事に一生懸命になっている。だから、この3人の中で、父を思い巡らす場面があるのは私だけなんですよね。そういう意味では、孤独な戦いですが、誰とも絡みがないので(笑)。最後に、お父さんと時空を超えた絡みがあるけれども、孤独な戦いの中でどうやって表現していこうとは思いますね。

――逆に、小学生時代、大学生時代は、むしろ『エジソン最後の発明』の時の父と娘のような感じですよね?

そうだと思いますし、あそこまではぶつかれていないですよね。でも、きっと父親は何か隠している、何か翳をもっている、何か違和感があるという事は思いながら生活している。現実として父は存在しているから、思い巡らせる暇もないというか。小学生時代、大学生時代、43歳の3人のアリソンを一人に見せる事が、とても大変そうだなとは思います。

――楽曲のイメージはいかがですか。

こういう題材にしては、のどかというか。ただ明るい感じの曲調の割には、歌詞が悩みを吐露していたり、問いかけであったりします。私はまだ、日本語で、その曲調に合わせて歌っていませんし、聞いていませんので、まずは日本語でどうなるかというのを聞きたいと思っています。かと思えば、子どもたちが歌う歌はとても楽しい歌になっていたり、思いのほか明るいです。まだ譜面を頂いてなくて、どの辺のキーで歌うかがわかりませんが、普通の女性の声で、私のもっている女性の声で歌っていいものか、少し低めのトーンの声で歌っていいのかというのは、小川さんと相談ですね。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、ミュージカル『ヤングフランケンシュタイン』や『エリザベートTAKARAZUKA 20周年 スペシャル・ガラ・コンサート』などについても伺ったインタビュー後半の全文と写真を掲載しています。

<有料会員限定部分の小見出し>

■吉原(光夫)さんは、当たり前の事を当たり前に繙いていく作業ができる方

■微妙な繊細な年齢を面白がって使って下さるので、やりがいがあります

■トートは両性具有みたいな事で構いませんが、ルキーニが難しかったです

■『FUN HOME』、「観てよかった」と思って頂けるように頑張ります

<A NEW BROADWAY MUSICAL『FUN HOME ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』>
【東京公演】2018年2月7日(水)~2月26日(月) シアタークリエ
【兵庫公演】2018年3月3日(土)~3月4日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
【愛知公演】2018年3月10日(土) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
公式サイト
http://www.tohostage.com/funhome/

<関連リンク>
瀬奈じゅんオフィシャルウェブサイト
http://www.jun-sena.jp/
瀬奈じゅん東宝芸能オフィシャルサイト
https://www.toho-ent.co.jp/actress/profile.php?id=6872
瀬奈じゅんマネージャーtwitter
https://twitter.com/senajunmg

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瀬奈じゅんさん=撮影・岩村美佳

瀬奈じゅんさん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■吉原(光夫)さんは、当たり前の事を当たり前に繙いていく作業ができる方

――共演者についての印象を伺いたいのですが、吉原さんはいかがですか?

吉原さんもよくミュージカルに出ていらっしゃいますが、元々は劇団四季の方で、ご自分で劇団(Artist Company 響人)もされているんですよね。演劇人的なものを感じる方だなと思います。ミュージカルもそうですが、芝居を構築していくにあたって、ごく当たり前の事を当たり前に繙いていく作業が、当たり前にできる方。それが一番必要な事ですが、ついつい、ミュージカルだと、歌や踊りの振付など、色々な要素に捉われて流れてしまいがちなところを見逃さない、見過ごさない、芯の通った方だと思います。

――アリソンの大学生時代を演じる大原(櫻子)さんとは何かお話されましたか?

まだお会いした事はないんです。

――なにか印象はありますか?

実は存じ上げなくて。お名前はもちろん存じていますが、舞台も拝見した事がないですし、歌も聞いた事がありませんでしたので。初めてお会いするまでフラットな自分でいようと思っていて。お会いするのがとても楽しみですね。

瀬奈じゅんさん=撮影・岩村美佳

瀬奈じゅんさん=撮影・岩村美佳

■微妙な繊細な年齢を面白がって使って下さるので、やりがいがあります

――ミュージカルで、主演は久しぶりですよね?

そうですね。今は中途半端な年齢で、早くちゃんとシフトチェンジができたらと思うのですが。今はこの年齢で、中途半端な、微妙な、繊細な年齢を楽しんでいます。この年代の微妙な繊細な面白さみたいなものを、福田雄一さんが面白がって使って下さるので、やりがいがあります。

――福田さん演出のミュージカル『ヤングフランケンシュタイン』も拝見しました。瀬奈さんが楽しそうでした(笑)。

楽しむしかないなと思ってやっていました(笑)。千穐楽付近に、ムロ(ツヨシ)さんの親友の、小泉(孝太郎・進次郎)兄弟が観にいらっしゃって、「やばい、自民党だよね」と。私、ちょっとやらせて頂いていたネタがありましたので、どうしよう……と。始まる前にムロさんが、「ごめんね、呼んじゃった」と謝りに来てくれたのですが、しょうがないと思って、思い切りやりました。そうしたら、「観終わった後に、進次郎さんが『あれが一番笑った』と言ってたよ」と言いに来てくれたので、思い切ってやってよかったです(笑)。多分、時事ネタは賛否両論あると思いますが、楽しんだ者勝ちだと思うので、ひたすらに楽しんでよかったです。

――福田さんの現場はいかがでしたか?

福田さんのやりたいという思いを、制作陣がすぐに叶えるんです。その、スタッフのみなさんの、1つの作品を作るモチベーションの高さが素晴らしかった。例えばネコバスみたいものがナンバーの中で通ったじゃないですか。福田さんが「この場面でこういうものを通したい」となったら、スタッフ総出でネコバスを1日で作っちゃうんです。それは凄かったですね。「みんなで面白いものにしよう」という思いもすごいですし、著作権などが大変なので、そういう面で走り回っているプロデューサーとか。みなさん素晴らしくて、それを見れた事が一番良かったですね。

――あんなにハジケた瀬奈さんを見るのも、久し振りじゃないかなと思いました。

ハジケられるような場が、今までありませんでしたからね。

――宝塚退団後は、割と重たい作品も多かったですよね。

そうですね。『ヤングフランケンシュタイン』は、もう楽しかったですね。

瀬奈じゅんさん=撮影・岩村美佳

瀬奈じゅんさん=撮影・岩村美佳

■トートは両性具有みたいな事で構いませんが、ルキーニが難しかったです

――『エリザベートTAKARAZUKA 20周年 スペシャル・ガラ・コンサート』は、トート、エリザベート、ルキーニとそれぞれ拝見しましたが、素晴らしくてとても感動しました。瀬奈さんだけじゃなくてみなさん凄かったですね。

豪華でしたよね。

――豪華でしたし、みなさん前回よりもさらに進化していらっしゃった。

みんな、それに向けて20年ぐらい努力しているものでしょう(笑)。やはりね、みんな凄いんですよね。スイッチもすぐ入りますし。あれは、宝塚ならではの空気ですよね。

――先日25周年コンサートもされていましたが、そういう長年の積み重ねのなかで、現役当時と同じ歌を、しかも3役やって歌ってご自身で手応えはありますか?

もちろん、男役としての声は現役時代のほうが良いに決まっています。退団後は男役の声で歌う事なんてありませんでしたし、自分は避けてきましたし。ちゃんと女優としての歌を歌いたいし、声を出したいと思うから、封印して歌っていませんでした。ですが、高い声を練習すると低い声も出るようになると言われて、それを信じて頑張っていたら、やはり本当にそうでしたね。これまではずっと低い声ばかりやってきたわけじゃないですか。退団後に、高い声をお稽古する事によって、幅が広がったんです。音域も広がるし、表現の幅も広がるから、歌いやすくなりましたよね。

――そうなんですね。

ただ、それはトートだからいいんです。トートではない男役の時にそれをやったら、ちょっと違うかな。トートは両性具有みたいな事で許されるので、許されると言うと変ですが、高い声、裏声を出したって別に構いませんが、他の男役、トートではない役だったら、ちゃんと男役の声を出したほうが良いに決まっているので、そういう意味では、ルキーニが難しかったです。

――なるほど。あの舞台ではタカラジェンヌの力をまた見せつけられた気がしました。

底力を。

――みなさん、手応えはおありだったのかなと思って。

どうなんでしょうね。私は全くありませんでしたが、楽しかったなというだけで。

――そうなんですね。

でも、衣裳がそのまま残っているという事に驚きました。「流石だな、私は凄い劇団にいたのだな」と。

瀬奈じゅんさん=撮影・岩村美佳

瀬奈じゅんさん=撮影・岩村美佳

■『FUN HOME』、「観てよかった」と思って頂けるように頑張ります

――そういうところから宝塚の凄さを感じられるんですね。ありがとうございました。それでは最後にメッセージをお願い致します。

ちょっと重い題材ではあるのですが、それを重く感じさせない作りになっていると思います。それはなぜかというと、アリソンさんが漫画というポップな表現方法で描かれていて、その世界観がそのままこのミュージカルに投影されているからだと思います。「ちょっと難しいかも」と思われるかもしれませんが、副題にある通り「ある家族の悲喜劇」で、ある家族の、誰にでも経験があるような、私たちにも近いお話だと思います。観に来て下さった方が「観てよかった」と思って頂けるように私達も頑張りますので、ぜひ足をお運び頂けたら嬉しいです。

瀬奈じゅんさん=撮影・岩村美佳

瀬奈じゅんさん=撮影・岩村美佳

※瀬奈じゅんさんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは2月12日(月)です。(このプレゼントの応募は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

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“「ヤングフランケンシュタインは、思い切って」、瀬奈じゅんインタビュー(下)” への 2 件のフィードバック

  1. くめ より:

    瀬奈じゅんさんのインタビューとてもよかったです!
    FUN HOME観劇しましたが瀬奈さんのアリソンがとても素晴らしかったです。この記事を読んで小川さん演出でなかったら出演されなかったかもしれないとは…小川さんありがとうございます!

  2. よう より:

    瀬奈じゅんさんのインタビューを感慨深く拝見しました。本当にFUN HOMEを楽しみにしています。

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