「新しい知識を入れながら、楽しく笑顔で進みます」、瀬戸かずやインタビュー（下）

2021年11月3日（水・祝）から11月7日（日）まで大阪の梅田芸術劇場メインホールで、11月13日（土）から11月22日（月）まで東京の東京国際フォーラムホールCで上演される、宝塚歌劇花組・月組 100th anniversary『Greatest Moment』に出演する瀬戸かずやさんのインタビュー、後編です。この公演は『アウグストゥス－尊厳ある者－』『Cool Beast!!』で2021年7月に宝塚歌劇団を退団した瀬戸さんにとって、宝塚退団後初の舞台となります。瀬戸さんの宝塚受験と合格後のエピソード、退団公演『アウグストゥス』の舞台袖で感じたこと、退団翌朝の気持ち、ファンの皆さまへの想いなどを紹介します。

ーー退団されてから2ヶ月。今のお気持ちはいかがですか？

18年も続けるとは自分でも思っていなかったので、一番自分が驚いているかもしれません。宝塚の男役のファンでもありましたし、男役を演じることも大好きでしたので、10年は続けようと思ってはいました。学年が上がるにつれて、責任も大きくなりますから、大変なことももちろんありましたが、やりがいもどんどん見つかるんです。「もっとこうしたい、こうなりたい」という欲も生まれてきました。常に、今の自分をもっと塗り替えたいという思いと共に過ごしていました。

ーー常に、そう思いながら過ごされていたのですね。

大人になってから、「心機一転」して成長を続けていくということは、なかなか難しいことですよね。その場にいることに慣れてしまいますし、自分に次々といろいろなことを課していかないと成長が止まってしまうと思っていたんです。

ーー瀬戸さんは、宝塚とはどのように出会われたのでしょうか？

母が宝塚のファンで、家で一緒にビデオを観ることはあったんです。「宝塚をビデオで観た」という話を高校の友達にしたら、その子も宝塚のファンで、また別のビデオを貸してくれたんです。でも「ちょっと個性的な世界だな」と思ってしまって、途中まで観て「やっぱりいい」って返したんです。

ーー一度は、「やっぱりいい」となったものの…。

自分で返したんですけれども、数日の間に、「なんか気になるな、あの世界が忘れられない」という状態になってしまいまして、結局もう一度借りました。友達は、私にビデオを突き返されて、結構ショックだったみたいなんです。「この前返してきたじゃん！」「ごめん！」って言いながらなんとか貸してもらって、そこから真琴つばささんの大ファンになりました。初めて観た宝塚は、真琴つばささんの退団公演だったんです。「もう観られないんだ」と泣きながら観劇していたら、なんと、特大のウィンクが飛んできたんです。全身でそのウィンクを浴びた瞬間に「私、ここに入る」と決心しました。

ーーそこで決意されたのですね。

高校2年生のときで、進路に悩んでいた時期でもありました。特に夢もなく、何を学びたいかも分からなくて、専門学校や大学、短大のどこを目指せばいいのかも決められなかったんです。とりあえず進学を勧められていたので、そうしようと思ってはいたのですが、モヤモヤするものをずっと抱えていました。そんな中で出会ったのが宝塚だったんです。「これだ！ここなら私も何かできるんじゃないか」と、初めて自分で見つけた夢でした。

※アイデアニュース有料会員限定部分には、宝塚受験と合格後の話、退団公演『アウグストゥス』の舞台袖で感じたこと、退団翌朝の気持ち、ファンの皆さまへの想いなどインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

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■放課後は全てレッスンに。逃げ道を作らないために、大学受験もしなかったんです

■退団公演『アウグストゥス』では、「宝塚ってやっぱりすごい」と毎日言っていました

■退団した翌朝はフワフワと浮いたような感覚で、一つずつ思い返し、噛み締めて

■「こんなこともできるんだ」と新しい知識を入れながら、楽しく笑顔で進んでいきます

＜宝塚歌劇花組・月組 100th anniversary『Greatest Moment』＞
【大阪公演】2021年11月3日（水・祝）～11月7日（日）　梅田芸術劇場メインホール
【東京公演】2021年11月13日（土）～11月22日（月）　東京国際フォーラムホールC
公式サイト：
https://www.umegei.com/greatest-moment/

＜出演＞

初風諄、榛名由梨、安奈淳、髙汐巴、剣幸、若葉ひろみ、こだま愛、安寿ミラ、涼風真世、真矢ミキ、愛華みれ、真琴つばさ、姿月あさと、森奈みはる、麻乃佳世、風花舞、彩輝なお、瀬奈じゅん、大鳥れい、霧矢大夢、壮一帆、彩乃かなみ、桜乃彩音、蒼乃夕妃、蘭乃はな、珠城りょう

彩吹真央、瀬戸かずや／〈特別出演（宝塚歌劇団）〉凪七瑠海、紫門ゆりや

椎名葵、舞城のどか、桐生園加、初姫さあや、白鳥かすが、羽咲まな、扇けい、響れおな、玲実くれあ、鳳真由、咲希あかね、白姫あかり、貴澄隼人、隼海惺、更紗那知、矢吹世奈

＜関連リンク＞
梅田芸術劇場公式twitter
https://twitter.com/umegei_jp
瀬戸かずや Instagram
https://www.instagram.com/kazuya.seto_akira/

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※瀬戸かずやさんの写真１カットとサイン色紙を、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは2021年11月21日（日）です。（このプレゼントの募集は終了しました）有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

※ここから有料会員限定部分です。

■放課後は全てレッスンに。逃げ道を作らないために、大学受験もしなかったんです

ーーそこから1年間で受験の準備をされたのですか？

もう一直線でした。帰宅部でしたので、放課後の時間は全てレッスンに使いました。何も部活をしていなかったのは、宝塚を目指すためだったんだなと、全てが繋がるような感覚がありました。「宝塚が好き」という思いだけは誰にも負けないという強気で受験に挑み、ありがたいことに合格できました。逃げ道を作らないために、大学受験もしなかったんです。

ーー逃げ道を作らず、挑まれたのですね。

猪突猛進なところが元々あったのか、頑張れました。宝塚にハマる前は、ロックバンドのGLAYを追いかけていたんです。一途に突き進むタイプなんでしょうね。

ーー宝塚にハマる前はGLAY推しだったのですね！ダンスや歌を習ったことは全くなかったのですか？

高校受験まではモダンバレエを習っていて、身体を動かすことは元々好きでした。でもやはり、3歳からバレエを習っている人には敵わないんですよ。歌も、受験前のレッスンのみでしたし。ですから、宝塚に入ってからは、とても大変な日々でした。這い上がるのに必死で、本当に落ちこぼれていました。ずっと、「前に進みたい」という思いと共に過ごしてきました。

■退団公演『アウグストゥス』では、「宝塚ってやっぱりすごい」と毎日言っていました

ーー退団公演『アウグストゥス』では、どのようなことを感じられましたか？

幸せでした。本番中は毎日「宝塚ってやっぱりすごい」と、口癖のように言っていました。生徒さんたちが作り上げる世界観ももちろん、それを支える裏方のみなさまの力。オーケストラや道具、照明、音響、衣装など、いろいろな方々が動いてくださっているからこそ、舞台が成立しているんです。そして、観に来てくださるお客様。みなさま、今はマスクをされているので表情は見えないんですよ。でも、笑顔がわかるんです。

ーーマスクごしの笑顔が。

目に見えるように、客席からの思いが伝わってくるんです。退団すると決まってから改めて舞台の袖から、セットチェンジを見ていました。もう二度と戻れないからこそ、ちゃんと見ておこうと。本当にすごいんです。人や道具が秒単位で動いているのに、ちゃんと間に合うんです。奇跡のような瞬間を積み重ねてこそ、私たちは今、この世界をお客様にお届けできているのだなと思いました。そして、お客さまも、毎日違いますし。

ーー客席の変化は、舞台から感じられるものなのですか？

やっていることは毎日同じなのですが、受け取る感覚や色が違うんです。同じシーンなのに、今まで思ってもみなかったような大声が出たこともありました。その違いが毎日楽しかったです。

■退団した翌朝はフワフワと浮いたような感覚で、一つずつ思い返し、噛み締めて

ーー退団された翌朝の気持ちはいかがでしたか？

目覚めた瞬間は、「昨日は夢だったのかな？いや、現実だったんだ」と、何度も自分の中で繰り返していました。ちゃんと歩いているのですが、フワフワと浮いたような感覚で、ボーッと幸せで夢見心地だったんです。もう一回、昨日のことを一つずつ思い返しながら、改めて、すごい一日を過ごしたなと噛み締めていました。

ーー急にスイッチは切り替わらないものですよね。

1週間くらいかけて、きちんと実感していきました。「私は、宝塚をやめたんだよね」と理解はしているので、18年分のものを下ろしてもいいのだなと、身軽になったような気持ちもありました。寂しさがありつつも、新しい道に進めるんだ！と、今はワクワクしています。これまでの制限やガードを取りながら、何にでもチャレンジしていきたいです。

■「こんなこともできるんだ」と新しい知識を入れながら、楽しく笑顔で進んでいきます

ーー今後は、どのようなご活動を？

まだ定まっていないところもありますが、宝塚を卒業した一人として向上心はあるので、少しずつ見つけていきたいです。卒業してからの第一弾の公演として、『Greatest Moment』の舞台に立たせていただけるのは、とてもいい時間にもヒントにもなりそうです。このように、一つずつこなしながらこの先の自分を見つけていきたいです。その過程を楽しみたいですね。

ーーファンの方々も、待っていらっしゃいますよね。

最後はきっと、笑顔と涙で送り出したいと思ってくださっていたのではと、ファンの皆さまには申し訳ないと思っています。ずっと長い間応援してくださっていたにもかかわらず、今まで通りの卒業セレモニーの時間を一緒に過ごすことができませんでしたが、これからも、形は変わりますが皆さまと繋がっていけたら嬉しいです。皆さまに喜んでいただけるように、色々と模索しながらお返ししていきたいと思っています。

ーーまずは今回の公演が、ファンの方々とお会いになれる場所になりますね。

宝塚では18年ですが、外に出てからは1年生というか、ゼロからの始まりなので、一つずつ「こんなこともあるんだ」「こんなこともできるんだ」と学びながら活動を続けていきたいです。新しい知識を入れながら、楽しく笑顔で進んでいきますので、皆さまにもお裾分けができればいいなと思っています。

ーーありがとうございました。公演、楽しみにしております。

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