「地獄のような苦しみが…」、『メリー・ポピンズ』大貫勇輔インタビュー(上)

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

ミュージカル『メリー・ポピンズ』にバート役で出演する大貫勇輔さんにインタビューしました。(上)(下)に分けてお届けします。昨年11月に行われた製作発表の日の朝に伺ったインタビューです。製作発表で見事なパフォーマンスを拝見しましたが、それまでの緊張感などについてもお話ししてくださいました。

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

――長期のオーディションを経て出演が決まったそうですが、今の率直な思いをお聞かせください。

今はやっとスタートラインに立ったなという思いです。製作発表が決まってから今日にいたるまでの地獄のような苦しみ、「稽古が始まったら、どうなってしまうんだろう」という不安感がありましたが、今日の何とも言えない感覚は心地がいいです。一昨日の夜が一番緊張のピークで、本当に押しつぶされそうだったんですよ。昨日もあまり寝られなかったのですが、「これが俳優という職業だな」と思いました。自分で積み上げてきた時間を信じられるか、信じられないか。だから、自分のことを信じるために努力して準備をしなければいけない。そこから解き放たれる今日……みたいな感覚です。「本当にこの準備で大丈夫か」「音楽でちゃんと表現できるのか」などの不安感がたくさんありましたが、今はここまで努力したんだから、「あとは楽しむしかないんじゃないか」というところまできて、やっと落ち着きました。後は、楽しみながらどれだけ責任感をもってできるかだと思います。

――今おっしゃっていた不安や、「これが俳優の職業だと思った」というような初めての体験が多かったということですね。

そうですね。『キャバレー』のときに似たような感覚はありましたが、そのとき以上に感じています。あのときは、色々なことが分からないまま進んでいってしまった気がして、今は経験を経て色々なことが分かった上で責任を感じています。

――色々なことが分かっただけに、不安も大きくなったということでしょうか。

自分で失敗しないと思うことは安心してできるんですよ。たいていのことは、失敗しないと思うところまで、自分でトレーニングして行くんですが、今回はそこまで全然間に合わないんです。歌は僕にとってビッグチャレンジなので、その不安感が拭えないまま、この製作発表を迎えることになりました。

――歌については「こうであったら正解だろう」というのが見えにくい?

どうしたら正解なのかが分からない。これぐらいやると何点というような感覚が、自分の中にないんですよね。

――例えば、それがダンスだったら分かる?

そうなんです。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、ミュージカル『メリー・ポピンズ』のオーディションを受けた時の気持ちや、ダブルキャストの柿澤勇人さんら共演者について伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。1月19日掲載予定のインタビュー「下」では、ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』を終えて残っていることや5人のビリーたちへの思いなどについて語っていただいたインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■オーディションは何回受けても緊張するんです(笑)

■勝手に一人で苦しんで、その苦しみをどれだけ楽しめるか

■自分が出る意味は何だろうと考えながらお芝居しています

■少しでもいいところを盗めたら、勉強させてもらいたいなと

<ミュージカル『メリー・ポピンズ』>
【プレビュー公演】2018年3月18日(日)~3月24日(土) 東急シアターオーブ
【東京公演】2018年3月25日(日)~5月7日(月) 東急シアターオーブ
【大阪公演】2018年5月19日(土)~6月5日(火) 梅田芸術劇場メインホール
オフィシャルサイト
http://marypoppins2018.jp/
公式Twitter
https://twitter.com/marypoppinsjp
梅田芸術劇場
http://www.umegei.com/schedule/687/
ホリプロオンラインチケット
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<関連サイト>
大貫勇輔オフィシャルサイト
http://www.yusukeonuki.com/
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大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■ オーディションは、何回受けても緊張するんです(笑)

――そういう意味での不安感があったんですね。「これだけやったんだから、大丈夫だろう」というところまで、まさに今日来れたんですね?

今朝ですね。そう思わないと、今日は多分来なかったですね(笑)。

――(笑)。例えば、ダブルキャストの柿澤(勇人)さんや、他の共演者のみなさんとお話することで、「大丈夫かも」と思えたりするようなプラス要因はありますか?

現段階では、まだ皆さんと会ったばかりであまりそういうものはないんですが、これから稽古をしていく上で、いい関係が築けていけたらいいなと思います。いい関係を築きたいからコミュニケーションを取るわけではないですが、平原さんには先ほどリハーサルのときに、ハモリの感覚について聞いたりしました。

――今日にいたるまでは、自分の中で自己解決したというか、自分で超えてきたという感じですか?

そうですね。自分なりには(笑)。

――なるほど(笑)。長期のオーディション期間は、どんなモチベーションで越えてきましたか?

オーディションは、何回受けても緊張するんですよ。今日みたいな緊張感が、1日前、2日前になると、「大丈夫かな~」と募ってくるんですよね。

――オーディションごとに?

はい。「またやるの? この間、終わりって言っていませんでしたか?」って(笑)。でも、去年の段階で、ある方が「本当に頑張りなさいよ。応援してるから」とおっしゃってくださったんです。この役をゲットできるか、できないかによって、人生の岐路に立たされたような、自分の今後が大きく変わるだろうなという所に立った気がして、そこから挑み方が変わりました。もう、役を取るつもりでオーディションを受けて、取れないということは考えていなかったです。

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

■勝手に一人で苦しんで、その苦しみをどれだけ楽しめるか

『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』では、子どもたちが2年かけてオーディションをしていた。本当に何もできなかった子たちが、アクロバットやタップを全部できるようになり、さらに稽古中から本番中へ、どんどん成長していくのを目の当たりにしたときに、本当に自分の中で、深いところで学んだんです。この子たちができたんだから、自分にできないはずがない。僕が彼らの一番そばにいたので、「こいつらに負けないように、俺もやらなきゃな」と、ビリーの最中にもずっと思っていました。

――すごいタイミングだったんですね。

本当にすごく運命的な流れを感じていて、この作品に自分が今まで積み上げてきたもの全てをかけてやりたいと、強く思っています。

――歌はビッグチャレンジだというお話でしたが。

そうですね。もちろん、タップも挑戦ですね。

――歌とタップが見せ場ですよね。むしろ新しい取り組みがあるのは嬉しいですか? 大変なこともあると思いますが、今、新しい二つのチャレンジに対しては?

基本的に僕は挑戦大好き人間で、本当に新しいことをどんどんやりたいと思っているんです。でも、それを人前で発表するとなると、責任が伴ってくるので。ただ挑戦するだけならばいいのですが、これだけ大きな企画ですし、ものすごく責任が伴ってくるので、色々な人からの期待に自分が応えられるかどうかは、一つのプレッシャーとしてあります。でも、できるだけ楽しんでやりたいとは思っています。苦しむのは勝手に一人で苦しんで、その苦しみをどれだけ楽しめるかですね。

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

■自分が出る意味は何だろうと考えながらお芝居しています

――大貫さんのインスタや、他のインタビュー記事などの、この1年で出てくるワードなどを拝見していて、「役者」というワードが出てくるなと思ったのですが、役者とダンサーと、大貫さんは切り替えてらっしゃるんですか?

それは舞台によってですね。演じながら踊るときは、ふたつのミックスっぽい感じで、本当にダンスのみの公演はダンサーとして出ていて、お芝居のときは、もちろん役者として出ています。自分が出る意味は何だろうということを最近考えながらお芝居しています。

――ひとつひとつ取り組んでいく上で、役者というものの捉え方や、こうやりたいというような変化はありますか?

僕は鈴木亮平さんがとても好きで、彼の準備する力というのは、すさまじいなと思うんです。自分があそこまでできるかどうかは分からないですが、あそこまで準備できる人間になりたいと思っています。先程、初めてだから「苦しみ」と僕は言いましたが、これが多分俳優の仕事なんだろうなと、少し分かってきているんです。だから、どれだけその苦しい中に飛び込んでいけるかというのは、すごく思っていますね。あとは、『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』では、(吉田)鋼太郎さんと益岡(徹)さんがダブルキャストでビリーのお父さん役でしたが、全然違うお父さんで、どちらも本当に魅力的なお父さんだったんです。

――そうでしたね。

そのときにお芝居って何なんだろうと、僕の中ですごく感じました。今回初めてミュージカルのダブルキャストをすることになりました。製作発表のリハーサルでも歌っていて、「こんなにも表現が違うのか」と思いました。でも、それが不安になるのかというと、ちょっと違っていて。今、学んでいる最中という感覚です。

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

■少しでもいいところを盗めたら、勉強させてもらいたいなと

――ダブルキャストが柿澤さんというのはいかがですか?

ものすごくプレッシャーですよ。歌を聞いていて、どこから声出しているんだろうと思います(笑)。少しでもいいところを盗めたらと思いますし、たくさん勉強させてもらいたいなと思います。

――何か具体的に質問したりするんですか?

これから多分すると思います。先程は、「声、どこから出してるの?」「どういうことを意識してるの?」と聞いたりしました。

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

大貫勇輔さん=撮影・岩村美佳

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“「地獄のような苦しみが…」、『メリー・ポピンズ』大貫勇輔インタビュー(上)” への 4 件のフィードバック

  1. さくらなみき より:

    いつも素敵な記事をありがとうございます。
    大貫さんがバート役を手にするまでにたくさんの苦労や努力をなされたことが伝わってきて、より開幕が楽しみになりました。
    “世界一踊れるバート”期待しています!

  2. kimi より:

    大貫君の何事にも果敢にチャレンジする姿が好きです。今回も心踊るミュージカル。素晴らしいバートに会える日が待ち遠しいです。

  3. みこモン より:

    大貫さんのインタビューが読みたくて会員登録しました。読み応えありますね? 後半も楽しみにしています。
    葛藤や苦労を全く外に見せない大貫さん。「勝手にひとりで苦しんで」と言う言葉にプロ意識を感じました。応援しています。

  4. 雪だるま より:

    メリーポピンズ 楽しみにしてます!
    クリエで ユイットという作品で 初めて大貫さんを 拝見しました。
    しなやかなダンスに魅了されました。
    その時 大貫さんが いずれミュージカルにチャレンジしたいとおっしゃっていたので ずっと待ってました!
    いよいよですね!
    舞台で躍動する大貫さん!楽しみです‼️

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