「新国立劇場開場20周年記念の公演に参加でき、すごく嬉しい」、上山竜治(下)

上山竜治さん=撮影・岩村美佳

2018年6月4日(月)から新国立劇場小劇場で上演される『夢の裂け目』に出演する、上山竜治さんのインタビュー、後半です。有料部分では、井上ひさしさんが描く、普通の生活をしている人を演じることなどについて伺いました。

上山竜治さん=撮影・岩村美佳

上山竜治さん=撮影・岩村美佳

――井上ひさしさんの作品は、音楽がとても大事だと思いますが、今回の音楽、特に歌の部分も多いと思いますが、どんな風に感じていますか?

クルト・ヴァイルの原曲も聞いたりしているんですが、やはり普通じゃありえないというか、どこか異質なメロディというものを常に漂わせている感じですね。

――実際歌うとどうですか?

すごく難しいです。

――今までに扱ったことのない感じですか?

そうですね。(スティーブン・)ソンドハイムもそうですが、頭に入ってしまうと心地よくて口ずさんでしまうんですが、メロディがすごく難解なので。癖があるからこそ、なんだか心地よくなるんですよね。上手く表現できないのですが。

――歌うのは難しいけれど、その心地よさが一番印象に残るような感じ?

いや、心地よさが残るというより、なにかどこか違和感があるな、異質だなという感じが、戯曲の構造によく合っています。

――そういう意味では、意識がいく感じですね。聞いていて流れていってしまわないというか。

そうですね。

――栗山(民也)さんのこの作品へのメッセージなどを拝見していても、とても思いが強い作品だと思いますが、稽古の中で、栗山さんの言葉などで印象に残っていることはありますか?

全部重みがあるんですが……。(少し考え込んで台本を開く)

――書き留めているんですね。

「栗山さんノート」みたいな感じです。

――いつもこういうものを作られるんですか?

「この言葉を忘れないように」というものだったりは。

――そこに、栗山さんワードを書いているんですね。

そうですね。演出的なことでいうと、常にみんな二面性をもっている。たとえば、成田だったら、学者をやりたいのに、闇市の闇商人をやっているんですよ。他の登場人物もそれぞれのみんなそういった過去があって、なにが原因でそうなったかというと、やはり戦争が狂わせたんですよね。戦争というものが、どういった影響を及ぼしたのかを常におっしゃっているので、そこは大事にしていますね。

※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、役柄と自身の比較や栗山民也さんの演出、共演者などについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。6月2日掲載予定のインタビュー「下」では、「普通の生活をしている人」を演じることなどについて話してくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。

<有料会員限定部分の小見出し>

■市井の人々。特別ではなく、普通の人が登場人物だからこその説得力がある

■目指すところは、やはり根本の部分。根本でなにが言いたいのかという本質

■舞台デビューが新国立劇場でしたから、14年経ってまた立てることが嬉しい

■プレイウィズミュージック。音楽が効果的な重喜劇。ぜひ観て頂きたいです

<新国立劇場開場20周年記念公演『夢の裂け目』>
【東京公演】2018年6月4日(月)~6月24日(日) 新国立劇場 小劇場
作◎井上ひさし 演出◎栗山民也
出演◎段田安則、唯月ふうか、保坂知寿、木場勝己
高田聖子、吉沢梨絵、上山竜治、玉置玲央、佐藤誓
公演オフィシャルサイト
http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/16_009665.html

<関連リンク>
上山竜治オフィシャルサイト
http://kamiyamaryuji.com
上山竜治キューブオフィシャルサイト
http://www.cubeinc.co.jp/members/prf/091.html
上山竜治&STAFF Twitter
https://twitter.com/ryuchan_0910

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上山竜治さん=撮影・岩村美佳

上山竜治さん=撮影・岩村美佳

※ここから有料会員限定部分です。

■市井の人々。特別ではなく、普通の人が登場人物だからこその説得力がある

――『宝塚BOYS』もそうですが、上山さん昭和が似合いますよね。

昭和顔ですよね。

――(笑)。昭和感がすごく合うなと思っていたので、この世界観にすごく合うだろうなと思いました。

自分も好きですね。

――昭和は戦争があった独特な時代じゃないですか。もちろん私たちは知らない時代ですが、その時代を演じていくのに、昭和館に行かれていた様子をインスタにあげていらっしゃいましたが、そういう時代を調べたり、知っていく中で、今感じていらっしゃることはどんなことですか?

やはり戦争というものの醜さ。同じことになりますが、及ぼしたその影響というものが、本当にむごいもの。むごいという言葉が合っているか分かりませんが、その重みというものをすごく感じていますね。

――井上さんの作品は特に市井の人を描くというのが大きいと思いますが、特に今おっしゃっていた戦争のむごさなどで、一般の人が巻き込まれて変わっていく。そういう一般の人を演じる、普通の人を演じる感覚って何か特別なものはありますか?

特別なもの?

――たとえば、アンジョルラスとかもそうじゃないですか。普通の市民、いわゆる普通の人たちを演じるのって。王や将軍など位のある役ではなくて、普通の生活をしている人々。

成田は、先ほど言ったように異質だけど、あくまで市井の人々です。なので、特別ではなく、むしろ地続きの感覚。普通の人が登場人物だからこその説得力があると思います。

上山竜治さん=撮影・岩村美佳

上山竜治さん=撮影・岩村美佳

■目指すところは、やはり根本の部分。根本でなにが言いたいのかという本質

――ここから初日に向けて目指すもの、なにをゴールとして今これから積み上げていく感じでしょうか?

ゴールはもちろんないんですが、目指すところは、やはり根本の部分。その根本でなにが言いたいのかという本質みたいなところを、もっともっと掘り下げなければと思います。自身の役柄を掘り下げた上で、共演者のやり取りを丁寧に、舞台上での会話を深め一緒に作りあげていけたら。

上山竜治さん=撮影・岩村美佳

上山竜治さん=撮影・岩村美佳

■舞台デビューが新国立劇場でしたから、14年経ってまた立てることが嬉しい

――上山さんはお芝居がものすごくお好きなんだろうなと思うのですが。

そうですね。

――今は、やはりその「お芝居が好き」という気持ちが動いている感じですか?

本当にずっとやってきてよかったと思う反面、プレッシャーももちろんありますし、やってきたことを全部出さなければという感じです。

――その結果、この作品がご自身のキャリアの中に残っていくような。

もちろん、そうですね。

――今はそういうものを感じていらっしゃいますか?

すごく感じていますね。やはり舞台デビューが新国立劇場でしたから、こうして14年経ってまた立てることが嬉しいです。しかも新国立劇場開場20周年という記念のときに自分が参加できることもすごく嬉しいですし、本当に頑張らなければという気持ちです。あとは、共演者の方たちが本当にすばらしいので楽しいです。

上山竜治さん=撮影・岩村美佳

上山竜治さん=撮影・岩村美佳

■プレイウィズミュージック。音楽が効果的な重喜劇。ぜひ観て頂きたいです

――分かりました。最後に楽しみにしている方へ、メッセージをお願いします。

日本人に今、すごくダイレクトに投げかける題材で、本当にすばらしい作品なので、ぜひ観て頂きたいです。プレイウィズミュージックと栗山さんはおっしゃっていましたが、その音楽の効果というものが、重いテーマの中で、すごく効果的に入っているので観やすいですし、コミカルに重いテーマも考えることができるまさに重喜劇だと思います。

――ちょうど間もなく平成が終わって、次の世代に行くタイミングなので、昭和を描くというのは、ちょうどタイムリーだなと。自分たちが生まれた昭和がもっと昔に、過去になっていくんだなって感じたり。

なるほど。でも、作品が言っていることは今でも全然通じることばかりで驚くくらいです。だから、新しいことでもあり、むしろ“ナウ”な作品でもありますね(笑)。

――(笑)。分かりました。ありがとうございます。

上山竜治さん=撮影・岩村美佳

上山竜治さん=撮影・岩村美佳

※上山竜治さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。この下の応募フォームからご応募ください。応募締め切りは6月15日(金)です。(このプレゼントの応募は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。

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“「新国立劇場開場20周年記念の公演に参加でき、すごく嬉しい」、上山竜治(下)” への 2 件のフィードバック

  1. 遊観子 より:

    この作品への期待が益々高まりました。素敵な記事をどうも有難うございます。

  2. ジャック より:

    14年前の新国の舞台、宮本亜門さんのイントゥザウッズ未見ですが、それ以来の新国で20周年の今にご出演されるとはなにかを感じますね。

    栗山さん語録を書き留めて挑む上山さんの意気込みと、井上さんが込めらた想いを受け止め感じたいです。

    素敵な記事とお写真ありがとうございます。

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