2018年6月4日(月)から新国立劇場小劇場で上演される『夢の裂け目』に出演する、上山竜治さんにインタビューしました。(上)(下)に分けてお届けします。
――稽古が始まって10日程経ったと伺いましたが、今どんなことを感じていますか?
やはり井上ひさしさんの戯曲や、その背景にある膨大な情報量、歴史、そういったものを受け止めて理解して、自分の中に落とし込めるのが、こんなにも大変なんだと。自分が思っていた以上に、何十倍にもその大変さというものを身に染みて感じています。
――稽古に入る前に戯曲を読み込んでいく段階から、実際に稽古入ってさらに情報をどんどん足しているという感じですか?
栗山(民也)さんの演出をうける前に自分が一人で読んでいたものと、稽古に入ったらやはり解釈の仕方が違って、もっと掘り下げなければいけないと気づいていく上で、栗山さんの言葉はとても重みがあります。
――『夢の裂け目』という戯曲を読んでみて、まず一番惹かれたところはどこでしょうか?
もともと「東京裁判三部作」は、第2部の『夢の泪』を拝見し、すごく感動したんです。いつか自分も出たい!と思いました。それをきっかけに「東京裁判三部作」の戯曲を読み、井上さんがここまで掘り下げ、投げかけている。自分が知らなかった真実、その熱量や重みに衝撃を受けました。
――インスタを拝見しても、この作品についてところどころに思いを書いていて、そこに上山さん自身の熱を感じました。実際に栗山さんの演出が始まって、今おっしゃっていた大変なところ、難しいところ、魅力などを、どういう風に取り組んでいますか?
今回僕が演じさせて頂く成田耕吉という役は、すごく哲学的に物事を考えて、分析して話すんです。たとえば3つの別の題材を自分の中で一つに絡めて言っていたりするので、最初に見たときは「ん? どういうことだろう?」と考えてしまうんです。自分が普通に読み込むよりも、成田の思考が先にいっているんですよね。
――彼の思考が、自分の理解のもっと先をいっているということですよね。
そうなんです。だから、そこを理解するのにすごく時間がかかりました。やはり読んでいく内に必要だなと思ったのは、哲学的な考え方です。たとえば、「この台詞は弁証法で言っているんだ」「政治や、今の日本のことについてなどを哲学的な観点で言っているんだな」って。そうやって構造で考えていくようにしたら、やっと分かってきたんです。
※アイデアニュース有料会員(月額300円)限定部分には、役柄と自身の比較や栗山民也さんの演出、共演者などについて伺ったインタビュー前半の全文と写真を掲載しています。6月2日掲載予定のインタビュー「下」では、「普通の生活をしている人」を演じることなどについて話してくださったインタビューの後半の全文と写真を掲載します。
<有料会員限定部分の小見出し>
■成田は、学問は世界の骨組みを見つけるために発明された、と考えています
■井上さんが伝えたい、ものを考えることの大切さを、成田が背負っているような気が
■成田は異質な存在ではあるんです。その分、覚悟をもって台詞を言わなければ
■憧れていた段田(安則)さんに、遠慮したり引け目をもったらいけないなって
<新国立劇場開場20周年記念公演『夢の裂け目』>
【東京公演】2018年6月4日(月)~6月24日(日) 新国立劇場 小劇場
作◎井上ひさし 演出◎栗山民也
出演◎段田安則、唯月ふうか、保坂知寿、木場勝己
高田聖子、吉沢梨絵、上山竜治、玉置玲央、佐藤誓
公演オフィシャルサイト
http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/16_009665.html
<関連リンク>
上山竜治オフィシャルサイト
http://kamiyamaryuji.com
上山竜治キューブオフィシャルサイト
http://www.cubeinc.co.jp/members/prf/091.html
上山竜治&STAFF Twitter
https://twitter.com/ryuchan_0910
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※上山竜治さんのサイン色紙と写真1カットを、有料会員3名さまに抽選でプレゼントします。有料会員の方がログインするとこの記事の末尾に応募フォームが出てきますので、そちらからご応募ください。応募締め切りは6月15日(金)です。(このプレゼントの応募は終了しました)有料会員の方はコメントを書くこともできますので、どうかよろしくお願いいたします。
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■成田は、学問は世界の骨組みを見つけるために発明された、と考えています
僕の役、成田は、学問は世界の骨組みを見つけるために発明された、と考えています。それを前提にいろんな事象についての考案を述べるんです。僕自身としては、会話の話題が突然飛んだように感じるところがあるのですが、成田の中では骨組みが構築されているので段階を踏んでいる。覚えるのにすごく苦労して、考察を絵で描いて組み立ててみたり、今までとは違うやり方で理解しようとしました。
――脚本の中にも“インテリ”と書いてありますもんね。
そうなんですよね(笑)。
――インテリという、ある意味すごく頭のいい役ですよね。この役はご自身とはかけ離れていますか? 近いところがあったりする?
かけ離れています!
――すごくはっきりいいますね(笑)。
かけ離れてますよ(笑)。哲学的に物事を考えることなんて、ほとんどないですね。それくらい成田は本当にすごい人なんですよ。僕は理屈よりは感情、直感で行動する人間なんですが、成田は違う。哲学的。「こうあるべきだ」と考える道、行き方がぜんぜん違うんですよね。でも平和な未来のために何が必要だと考える理想形はみんな一緒なんじゃないかな。行きたい方向は一緒なので、そこを理解できればと思います。
■井上さんが伝えたい、ものを考えることの大切さを、成田が背負っているような気が
――なるほど。役について栗山さんとお話されたことはありますか?
さっき「重みを感じている」と言ったことは、もちろんいい意味なんですが、栗山さんは戯曲がどういう風に書かれているのかをすごく分析して、それを大事に僕らに伝えてくださいます。井上さんが伝えたい、ものを考えることの大切さ、表面だけではなく本質をみること、そんなメッセージ性を、成田が背負っているような気がして。そのことはすごくおっしゃっていました。「この台詞は本当に大事な、今の日本に必要な台詞なんだよ。だから頼むよ!」って。
――責任重大ですね。
それぐらいすごく重みのある台詞を言わせて頂いていると思っています。
■成田は異質な存在ではあるんです。その分、覚悟をもって台詞を言わなければ
――特に1幕の出てくるタイミングも含めて、役たちの中でも異質な存在ですよね。
そうですね。
――そういう意味で、みんなと質が違うというのは、やはり意識して作られていますか?
演出がつく上でも、そこを明確に理解するようになりましたね。主人公をはじめとする登場人物とかけ離れ、常に哲学的に考えている成田は、おっしゃるように異質な存在ではあるんです。とにかく正論をとにかく言う。まっすぐに言う。その美しさがある役ですね。
――観客目線で見ても、すごく目立つというか、質が違うという意味でも。
だから、その分、覚悟をもって台詞を言わなければいけないですね。
■憧れていた段田(安則)さんに、遠慮したり引け目をもったらいけないなって
――段田(安則)さんをはじめとする共演者のみなさんとご一緒されていて、どんな刺激を受けていらっしゃいますか?
本当に稽古場にいるのが楽しくて、刺激的で。素人みたいなことを言いますが(笑)舞台でずっと観てきたすごく憧れていた俳優さんと、自分が今一緒にお芝居ができているのがすごく幸せですね。
――段田さんと結構会話をしていくシーンが多いじゃないですか。ご一緒してみて、いかがですか?
本当に憧れて、尊敬している方なので、遠慮したりとか引け目をもったりしたらいけないなって。もうとにかく、自分の正義や哲学というものをどんどんぶつける役なので(笑)。
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いつも楽しく拝見させて頂いております。
上山さんとは正反対な役柄に(上山さんは感じて行動するに対し、役柄は考えた上で行動する)真摯にご自分なりに噛み砕き理解し役を理解し生きようという意気込みと作品や共演者のかたたちへのリスペクトを感じて、私も心して作品を拝見させて頂きたいと思います。
また、お写真もいつもながら、とても素敵でありがとうございます。